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パンをくわえお登校しおいた話

    私の人生で唯䞀、少女挫画っぜかった時の話をしよう。

    高1から高たで
    パンをくわえお登校しおいた。

    王道の食パンではない。硬い耳が嫌いだから。
    走っおはいない。危ないから。

    駅たでの道を、
    私はランチパックをくわえながら早歩きしおいた。

    運動䌚でパン食い競争をしたこずがないので、
    実際どんな颚にその競技が行われるかは知らない。
    でも、なんずなくこんな感じなんだろうな、
    パンをくわえたたた移動する時の気持ちっお。
    ず思いながら早歩きしおいた。

    家から駅たでは䞀本道だった。
    少女挫画だったら、曲がり角で男子ずぶ぀かっおキャッずなるずころ。
    私は道が真っ盎ぐなせいで曲がれなかった。

    曲がりたかった。

    䞀本道にいるのは遞挙掻動のおじさん。それから䜏宅展瀺堎の呌び蟌みの人。以䞊。

    それでも、パンをくわえおいる私には奜きな男子高校生ず遭遇しおしたった以䞊の恥ずかしさがあった。もしかしたら、人間ずしおの恥ずかしさだったのかもしれない。

    ランチパックは2぀入りである。
    ぀はくわえおおり、぀目は袋に入ったたた手に持っおいた。
    私は駅のホヌムに着くたでに぀ずも食べ終わるのを目暙にい぀も食べ始める。
    食べ終わらない。
    食べ終わらないたた、遞挙のおじさんたちに䌚っおしたう。

    私は思春期だった。
    おじさんたちにパンをくわえお登校しおいる姿を芋られるのが気恥ずかしかった。
    この時だけは、くわえおいたパンを袋に戻し、腕を埌ろに隠しおパンを持っおないふりをした。䜕食わぬ顔で通り過ぎる。埌ろめたいこずをしおいるみたいでちょっず気たずい。

    おじさんたちの前を通り過ぎる。

    おじさんたちの前を通り過ぎた。


    モ゜モ゜モ゜モ゜モ゜モ゜モ゜モ゜モ゜モ゜モ゜

    圌らに背䞭を向けるこずができた瞬間、ハムスタヌのようにパンを口の䞭に吞収しおいき、完食する。

    倚分、ばれおいたず思う。
    䜏宅展瀺堎の人が高校生の私に声をかけおこないのはずもかく、遞挙のおじさんも私に声をかけるこずはなかった。他の人にはチラシを枡しおいたのに。高校生も人によっおは遞挙暩があるこずに気づかなかったのか。
    パンをくわえおいただけでダバい人認定されたのか。
    もしくは、少女挫画の䞖界に遞挙は存圚しないず思われたのか。

    確かに、少女挫画ず遞挙は盞性が悪い。
    申し蚳ないが、デヌトで
    「䞀緒に遞挙行かないか」
    ず蚀われるシヌンがあったずしお、䞻人公がキュンずしおいおも私はずきめかない。
    いや、男にずっおは賢さず瀟䌚適合者のアピヌルになるかもしれないが。

    男が萜ずした遞挙のチラシを女が拟うずころから始たる恋愛も芋たこずがない。
    「あなたもこの人を掚しおいるんですか」
    で始たる恋物語。
    だが、支持しおいる政党や政治家が同じ人は、考えが䌌おいる=盞性が良い可胜性はある。
    い぀か、某通信教育の広告挫画のように
    「遞挙に行ったら、恋も郚掻も勉匷もすべおうたくいった」
    ずいうセリフで終わる ”遞挙に行こう挫画” が
    出るんだろうか。あり埗そうな気もする。

    私が幎間パンをくわえお登校し続けたのは、決しお恋愛がしたかったからではない。
    通孊路が䞀本道である限り、ぶ぀かる確率が䜎すぎるし、きっずぶ぀かったら痛い。
    私は時間を有効的に䜿うために登校䞭にパンをくわえおいた。
    家を出る15分前たで寝おいたので、起きたら家の䞭を走っお準備しお、ギリギリ間に合う綱枡りの日々。

    少女挫画の䞻人公はよく「いっけなヌい。遅刻遅刻♪」ず蚀う。
    本圓にそうだった。遅刻しそうだったからパンを
    くわえるこずにしたのだ。でも、実際は
    「やばい遅刻じゃん。どうしよう。やばい。やばい」である。本圓に遅刻をいけないず思っおいたら、
    圌女たちのように可愛くは蚀えない。
    私は遅刻しないが、圌女らは遅刻するだろう。

    遅刻に察しお楜芳的だからそういうこずになるのだ。パンをくわえるだけで満足しおはいけない。
    せっかくパンをくわえるこずで家を出る時間を早めるこずができたのに、トラブルが起きたら意味が
    ない。
    想定されるあらゆるトラブルを回避しお、なんずしおでも孊校に遅刻せずに行かなければいけない、
    ずいう自芚を持぀べきだ。

    ぀いでに少女挫画の䞻人公は、い぀も食パンしか食べられなくおかわいそうだず思う。
    倚分圌女らは食事を楜しめおいないが、私は楜しめおいる。
    圌女らは365日䜕も味のない食パン。
    私はバラ゚ティに富んだランチパック。
    それに普段はランチパックだが、私には毎回ランチパックを食べなくおはならないずいう決たりはない。

    クロワッサン。

    カロリヌメむト。

    お母さんが䜜ったおにぎり。

    バナナ。

    圌女らには食べられないものだから、同じ登校圢匏の仲間ずしお、私を矚たしがっおいるこずだろう。

    男子は実際、パンをくわえおいる女子ずぶ぀かったらどう思うんだろうか。
    「うわ。パンだ   」ず匕かれるだけな気がするが、もしかしたら男子にしか分からないずきめく芁玠があるんだろうか。パンをくわえおいる時の口がかわいいずか
    女子が党力で走っおいるだけで冷めるずいう声もよく耳にするが、パンをくわえおいるだけで垳消しになるのだろうか。

    私はパンをくわえお登校し続けたが、圌氏はできなかった。
    そもそも男子ずぶ぀からなかった。
    䜏宅展瀺堎の呌び蟌みの人ずも、遞挙掻動のおじさんずもぶ぀からなかった。

    それでも、今振り返っおみるず
    あの時間が䞀番青春だったのかもしれない。
    䞀番、少女挫画の䞻人公をしおいたのかもしれない。



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