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理想の自分を生きる途中

    特記事項:なし

    いわゆる“いい子”だった。
    自分で言うのもなんだけど
    勉強も運動も
    目の前のことは一生懸命やったし
    親に反抗なんてしたことなかった。

    履歴書を書く年頃になると
    “特技” “特記事項” って欄があった。
    「どうしよ…何も思いつかないや…」

    大学時代にバブルがはじけた。

    リクルートスーツに黒ヒール。
    駅のホームでカロリーメイトを噛み締めて
    ようやく始まったOL生活も
    1つ年下の彼と遠距離恋愛になって
    3年も勤めずに退職願を出した。

    24歳の終わりの頃

    特記事項 : なし

    求められて

    「え?私って必要とされちゃってる?」

    退職を申し出たら、会社に引き留められて
    宇都宮から新宿まで新幹線通勤した。

    駅と家の場所しか分からない道を
    背筋をピンとして
    喉の奥で唱えて歩く。

    「私は求められて東京まで通ってるの。」

    線路っぱたのアパートで

    たった3か月で夫が転勤になった柏で
    長女を授かった。
    つわりがひどくて派遣会社に電話したら
    「じゃ、今日付で。」だって…

    急に所属先を失ってできた時間を
    電車の轟音に窓を閉め切って
    ただただ
    食べた物を吐いちゃわないように
    天井を見上げて座ってた。

    あの時計
    カチカチ言わないやつに
    買い換えたいな。

    怪獣がやってきた

    バイバイ! 轟音で揺れるアパート!

    引越した、実家近くのマンションの
    小さな庭の花壇は
    もこもこふわふわグリーンに
    私のお腹はポンポコリンになっていった。

    可憐な赤ちゃんに見えた娘は
    やがて ”怪獣” に変身した。

    とにかく泣く。
    寝ない。
    夜泣きも酷い。
    どうしようもなくママっ子。

    2歳で言葉を手に入れた娘は
    おしゃべり怪獣に進化。
    「30秒でいいから黙って。」
    笑いながらお願いすると、間髪入れず
    「もう30秒経った?」
    って聞いてくる。

    「どっちがいい?」
    「これ!」

    「何をしたい?」
    「これ!」

    「OK! じゃあ、そうしよう!」

    私は怪獣の小さな背中を追いかけるのが好きだった。
    その背中は、いつもちょっと
    うらやましかった。

    1812gの弟

    近所に念願の戸建てを見つけて引越して
    2人目を妊娠。
    でも突然の出血で
    出産までずっと病院の白い天井を見つめてた。

    「あれ?この時計、壊れてる?
    全然進んでないけど…」

    やっと退院した小さな弟を
    初めて抱っこした怪獣が
    「かわいい〜」って愛おしそうに
    頬ずりをした。

    あったかい物が
    体中にこみ上げた。

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    耳の後ろが熱くなる

    やがて
    娘はバレエ
    息子はサッカー
    子どもたちを追いかける毎日の中で
    私は
    ヨガインストラクターの資格を取った。
    “ヨガなら私にもできる”
    って理由で。

    「先生!腰が痛い時、どうしたらいいですか?」

    生徒さんの質問に
    ザワっと耳の後ろが熱くなる。
    私の頭の中の引き出しには
    スクールで習った効能しか入ってない。

    もっと…
    ちゃんと…

    趣味って言える?

    夫が独立することになった。
    「事務・経理をやって欲しい」
    と言われて
    「ヨガを辞める理由ができた。」
    って思ってしまった…

    「あ!先生、お久しぶりです!」
    「やだぁ、もう先生じゃないですよ!」

    急いで仕事を終わらせて帰って
    録画したドラマを見る
    私の至福の時間。

    「“ドラマを見る” って趣味って言えるのかなぁ?」

    シーンという音

    娘を念願のバレエ留学に送り出した頃
    私が録画したドラマは
    見ないまま溜まるようになっていた。

    息子はサッカーではなく
    勉強で高校を目指すと決めた。

    お喋り怪獣の部屋の電気は
    点けっぱなしになることはなくて
    シーンという音が聞こえてきそうだった。

    このままここに
    おばあちゃんになるまで住む?

    夢のかけら

    「うそ?ホントにあそこに引越せるの?」

    “未来年表” には書いてなかった。
    17年住んだ家を売った。

    私はそれまで集めてきた夢のかけらを
    水道管すら取っ払って
    ガランとしたコンクリの箱になった
    マンションの部屋にぶちまけた。

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    枯れ枝の新芽

    “置かれた場所で咲きなさい”
    って言うけど
    環境も、何もかも
    自分の感性を信じて作った新しい家は
    かけがえのない
    根を下ろせる場所になった。

    枯れたように見えた枝に
    私の好奇心の新芽が
    顔を出し始めた。

    抗えなかった

    私は
    密かにずっとやりたいと思ってた
    大人向けバレエ教室を見つけた。
    恐る恐る体験レッスンに行った日は
    緊張で頭も体も、とっ散らかってたけど
    その帰り道で
    勝手に手が動いちゃうくらい
    心まで踊ってた。

    バレエは私の初めての ”趣味“ になった。
    最初のうちは、人に言うのが恥ずかしかったけど
    踊りたい気持ちは
    恥ずかしさもすっ飛ばす威力を持ってた。

    そして
    大分遅ればせながら
    Netflixで韓ドラを見始めた。

    「”沼“ ってやつはこれかぁ。」

    おすすめを見てるうちに
    「わ!この俳優さん可愛い!」
    って子を発見!
    アイドルグループに所属してることを知った。

    「へぇ~。アイドルには興味ないけど…」

    …気づいたときには
    “沼の住人” になってた。
    韓ドラじゃなくて
    アイドルグループの方の…

    やばい…
    これはイタイ…
    派手なうちわを持って
    クネクネする自分とか
    おぞましい…
    でもさ
    気になる…

    家族に隠れて
    こそこそと検索しては
    「踏みとどまれ!」と
    自分に言い聞かせ。
    でも
    “来週、近くでファンミーティングがある”
    って知って
    ううう~む。

    呆れる夫と息子を尻目に
    会社を休んで会場に向かった。

    その3か月後。
    久しぶりに会う友達と
    洒落たカフェでケーキを食べてたら
    人生で初めて入ったファンクラブから
    「彼はアイドル活動を休止して俳優に専念する」
    って通知が来た。

    美しいケーキは
    突然
    味も見た目もどうでもいい
    ただの甘いかけらになってしまった。

    空いた穴に

    初めての推しが俳優に転身して
    私は、にわかファンのくせに
    盛大に落ち込んだ。

    “○○ロス” って言葉に
    「は?何言ってんの?」
    と冷ややかな目線を送ってて「ごめんなさい」だった。

    そのポッカリ
    いや
    ボッコリ空いた穴に
    するりと入ってきたのが今の推し。

    ボッコリの穴が聞いて呆れるってもんだ。

    それでも一応
    浮気しちゃいけない
    ってブレーキをかけてた。

    ブレーキは見事に壊れて
    私はボッコリ空いた穴だけじゃなく
    全身を新しい ”推し“ 一色に染められてしまった。

    自分でも理解不能なほど
    細胞の1つ1つが喜ぶ。

    彼らの曲の
    “理解されなくても自分を貫く”
    ってメッセージに
    小さく芽吹いてた私の好奇心の芽は
    ギュン!と一気に葉を広げた。

    底なし沼とひっかかり

    それからの私は
    寸暇を惜しんで彼らの全てを知ろうとした。

    言葉を理解したくて
    韓国語の勉強にも熱が入った。

    分刻みで摂取し続ける新しい喜びに
    時計の針は急ぐどころか
    1分1分を惜しむように進んでいった。

    それにしても…
    いい年してちょっとヒドいかな?
    もはやこれは、病の域だよな…

    「ガチ恋とか、勘弁してよ。」
    さすがに怪獣も呆れ声だ。
    「恋?いや、まさか。」

    相手がホストなら通ってたかも?

    いや、待て待て。
    違う。
    そんなんじゃない。
    じゃあ何だ?
    何でそんなに引き寄せられるんだ?

    推し情報でパンパンの脳みその隙間で
    その
    不安になるほど強い磁力への疑問を
    だんだんと無視できなくなってきていた。

    柵の向こう側

    ひょんなことから
    俳優に転身した“元推し”の
    出待ちをすることになった。

    心の痛みは
    目を背けてるだけで、実は癒えてなくて…
    辛い別れをした元カレに会いに行くような面持ちで
    推し活歴20年のベテラン先生に連れられて行った。

    イベント会場の入口から
    私道を挟んだ歩道に張られた柵の内側で
    ひたすら “元カレ”
    いや
    “元推し” の到着を待ってた。
    急な話だったから夕飯も食べてなかった。

    開場時間が近づき
    目の前の私道を
    “業界の人” って感じの関係者が
    続々と通り過ぎて行った。
    彼らはこっちを見ようとはしない。
    でも、自分に向く視線はちゃんと分かってる顔で
    "招待客" の余裕をにじませて歩いて行く。

    我々はギュウギュウとひしめきながら
    静かに目だけ見開いていた。

    「キャー!!」
    悲鳴のような歓声があがって
    スマホのカメラを向けた。
    私道のさらに向こう
    会場に続く歩道を
    スタッフの持つ大きな照明に照らされて
    誰かが歩いて行った。

    「あ、大物はあっちを歩くんだ。」

    何度も「キャー」をやり過ごして
    ようやく “元推し” が現れた。
    顔はハッキリ見えない距離だけど
    191㎝の美しい姿は
    明らかに彼だった。
    入口の前でこっちを向いて手を振ってくれて
    会場へと消えて行った。

    「はぁ~。本当に会えた。」
    そう言って帰ろうとするとベテラン先生が
    「最後まで粘らなくちゃ!何が起こるか分からないんだよ。」
    って。

    「マジか…」

    そしたら…

    イベント途中と終了後の2回も
    “元推し” が目の前まで来てくれたのだ。
    しかも
    最後は私たちに
    端からハイタッチして歩いてくれた!
    私は思いがけず握手するように彼の手を握ることになった。
    反対の手に持ってたスマホのカメラには
    彼のGジャンのドアップの映像と
    カオスな歓喜が残された。

    「先生ありがとう!」

    お礼を言おうと思ったら
    ベテラン先生は柵をぶっちぎって
    あっちの方まで彼を追いかけて行ってしまった。

    「…すごっ。」

    帰りの電車で
    癒えていなかった心が
    ちゃんと回復したのを感じた。
    私の気持ちは
    新しい推しだけに向かうことになった。

    翌日
    “元推し” がストーリーを挙げた。
    自撮りする彼の背中の向こう
    柵の中にひしめく
    ぼやけた顔の点の1つがきっと私だ。

    「彼の撮った写真に一緒に映った!」

    でも
    何度もその写真を見るうちに
    彼の姿以上に
    名も知らない招待客の姿が思い出されてきて。

    「私は何で柵のこっち側にいるんだろう?」

    当たり前に立ってたその場所に
    急に
    苛立ちにも似た違和感が
    つぶつぶと沸き上がって来た。

    通り過ぎて行った、余裕を纏った横顔。

    ぼやけた点の1つでしかない私…

    「あっち側の人間になりたい…」

    「いやいや…なれないでしょ。」

    そうかな?
    なろうと思ったこともないのに?

    普通に仕事して家庭を持って子育てして。
    それは望んだことだけど
    もうやったこと。
    残りの人生
    余韻で終わっていくの?

    「嫌だ!でも私に何ができる?」

    将来何になりたい?

    ”ガチ恋“ 疑惑はそっと脇に置いて
    私は自分にできる ”何か“ を
    考えずにはいられなくなってた。

    ずっと頭の片隅にあった。

    “自分の代名詞になるものが欲しい”

    保育士資格を取り
    色彩検定を受け
    ヨガインストラクターをやり
    やっぱりインテリアが好きで空間ディスプレイデザイナー資格を取り

    やりたい事…
    できる事…

    好きなことを仕事にできる人は限られてる?

    50過ぎて本業の他に始めるんだよ?
    今さら、妥協とか遠慮なんてしてる場合じゃないじゃん。
    こちとら残り時間が少ないんだ。

    でも逆に
    結婚も子育ても終わってるのは
    むしろアドバンテージ!

    恥も外聞もかなぐり捨てて
    自分の欲を満たしにかからなくちゃ
    おいそれと人生を終われない!

    夢を追って着々と歩む家族を
    誇りに思いつつも
    サポート役でしかない自分が悔しくて…

    小さい頃から嫌いだった質問
    「Yukiちゃん、将来何になりたい?」が
    いよいよ私を逃がすまいと両肩をがっちりと掴んできた。

    ”発信“ ですか…?

    「私のいいところって、どこですか?」

    何とも丸投げな問いは
    それでも
    カッスカスの出がらしになるまで
    考えを絞りつくした必死さが伝わったのか
    答えてくれる方々がいた。

    “勉強してから”
    じゃなくて
    今できる事を見せていけばいいよ。

    「うん…だから何を?」

    これまでのあなたの経験が
    誰かを助けることになるよ。

    「誰かのサポートはもう嫌なんだけど…」

    ホロスコープやらタロットやら
    あらゆる方面にも助けを求めた結果…

    「発信に向いてる。
    これまでの経験をそのまま発信してみるといい」

    「へっ??」
    すっとんきょうな声が出た。

    “半 信 半 疑” って4文字が
    ルパンのタイトルコールみたいに
    カチャカチャと頭の中にタイプされた。
    けど…

    やっとこさ見つかった “発信“ というやつは
    ふわふわと重さが無いくせに
    掴まれた肩の痛みを消してくれた。

    うん!とにかく始めよう!

    「インスタグラマーってやつか?」
    「スッピンとか無理だぞ?」

    ノウハウもヘッタクレもわからない
    “インスタ発信” を始めた私は
    意外に面白がる家族の反応に
    ちょっと安心して小鼻を膨らませ
    川の砂の中に
    金色に光る粒を見つけたような気持ちでいた。

    クルクルと自分のしっぽを追いかけて
    同じ場所を回るのを止めて
    効かない鼻で ”光る粒“ を探しながら
    私は小さく歩き始めた。

    磁力の正体

    そっと脇に置いといた
    ”ガチ恋“ 疑惑。

    目をそらしても
    ピュン!って
    自動でそっちを向いちゃう、ものすごい磁力。

    目が♡の自分。
    ありえないでしょ。

    誰彼かまわずこんなことは言えないから
    AIに長々と胸の内を聞いてもらった。

    「彼はYukiさんの “こうありたい” を体現してるんだね」

    !!!

    腑に落ちた。
    しっくりすっぽり腑に落ちた。

    だからか!!

    「好き~!」って思いながら
    「私は何をやってるんだ?」って
    ヒリヒリした衝動に駆られるのは。

    努力の限りを尽くして夢を叶える眩しい姿
    唯一無二の自分らしさを、恐れず貫く強さ

    それこそが

    ”なりたい自分“

    私を惹きつける磁力の正体だ!

    推しグループ “Stray Kids”の直訳は
    “さまよう子どもたち”
    私たちが持つペンライトは羅針盤(コンパス)がモチーフ。
    彼らが迷わないための道しるべ。

    私にとっては
    彼らこそが羅針盤なんだ!

    「おおお!それなら!やっちゃえ私!」

    柵を超えて
    誰かに招待されるほどに
    輝く自分を目指しちゃえ!

    恥だの無理だの言って動かなければ
    一生同じ場所で
    自分のしっぽを追いかけて
    ぐるぐる回ってるだけだ。
    あと30年もぐるぐるしてたら
    丁度いい穴が掘れて
    チーン!って
    お迎えが来ちゃう。

    でっかい夢があるなんて
    最高にカッコいいじゃないか!

    履歴書に

    特記事項 : なし

    って書いてた私が
    おぼろげでも
    “特別な私” の姿を描き始めたんだから。

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    干上がった底

    “情熱を注ぐもの” を見つけた私は
    毎日の暮らしを
    カメラのレンズ越しに見るようになっていった。

    推し活に充てられてた ”寸暇“ は
    リール作りへと充てられていった。

    20人程の “桜フォロワー” から始まったアカウントは
    じわりじわりと動き始めた。

    早口でまくし立てるハウツー講座の
    「必ずあなたのウリを商品にできます!」
    なんてキャンペーンに
    高額のローンを組みそうになったけど

    結局
    自分の感覚だけが頼りだった。

    それでも
    ぽつりぽつり嬉しいコメントが届くようになって
    時には
    寝て起きたらフォロワーさんが100人増えてた!
    なんてこともあったけど
    1年ほど経ち
    7000人を超えたあたりから
    パタリと動きが止まった。

    どうにか何かを作り出そうにも
    頭も心も
    空っぽの冷蔵庫みたいだった。

    推しで栄養補給して
    どんなに前向きに笑っても
    カサカサと乾いた感触が残るようになってきて。

    どうやら
    川だと思って “光る粒” を探していたそこは
    水たまりだったのかもしれない。

    流れてくるはずの水は無く
    湧き出る泉も見当たらず

    干上がった底が見えてきてしまった。

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    理想の自分を生きる途中

    そういえば
    こんなに毎日自分のアカウントを見てるのに
    他は
    推し以外ほぼ見てない。
    興味も時間も無くなっちゃった。

    そうか。きっとみんなそんな感じなんだ。
    なのに
    迷いながらやってる私のアカウントを
    ずっと見てもらおうなんてね…

    「はぁ~。私はインスタグラマーにはなれないな…」

    ん??
    待って…。

    私インスタグラマーになりたかったの?
    違うじゃん。
    私に何ができるのかを探すために始めたんだった!

    で?
    なんか見つかった?

    う~ん…あった…かも…

    “意外と文章を書けるみたい”

    リールじゃ収まりきらない事を
    noteに書いてみたら
    “作る” んじゃなくて
    自分の中から出てくる何かを文字にしてる
    ”出す“ に近い感覚があった。

    これ
    私の ”できること“ って思ってもいいのかな?

    もうちょっと書いてみるか…

    頭ではそう思っても
    増えないどころか減り始めたインスタのフォロワー数に
    心のひび割れが止まらなくて…

    ただ自分の気持ちを逸らせるために
    noteの連載を書き始めた。
    今私が出せるのは
    この彷徨ってる自分の姿だけだから。

    今を書くには
    過去を遡らなくちゃで
    自分の半生を書き始めた。
    私は人生を自分で選んで生きてきたつもりだった。
    でも、本当に望んでたものは
    ずっと見えていなかったのかもしれない。

    それでも
    全部、一生懸命だったし
    何一つ後悔してる事は無くて
    そういうのひっくるめて今の私になったんだって
    何だか
    自分に「よしよし」ってしてあげたくなった。

    そして
    それを書いてる時
    無心になれるって気づいた。

    頭の中に散らかってたものを
    1つずつ並べ替えていく感じ。

    これ
    すごく落ち着くなあ。

    インスタで
    カッコつけてみたり
    映像の自分に
    「げげっ…おばさんじゃん。」
    って、げんなりしながら

    とにかく手を休めずに
    砂を掘り続けたからこそ
    “文章を書くこと” が
    少し光って見える気がする。

    「やった!砂金見つけた!」
    って飛び跳ねるような感動じゃないけど
    自分の内側に散らかってるものを
    文字にして出してみたいって思いは
    私の中にある ”泉“ なのかもしれない。

    まだ『理想の自分を生きる途中』だけど
    今振り返ると
    飛び越えたあの “柵” は
    遥か後ろでもう見えない。

    歩く度に
    砂漠の砂に足を取られて進まないような
    地図も無い旅だけど

    遠くに感じる磁力は
    確実に私の行きたい方向。

    だから
    カッコ悪くても
    誰かに好かれなくても
    自分の泉から湧くものには
    もうちょっと勇気出して
    正直になってみよっかな。

    だって私の羅針盤が
    そっちに反応するんだもん。

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    #創作大賞2026

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    東京53歳 金髪 “当たり前”をちょっとずつ脱皮しながら エッセイ書いてます 子どもたちが巣立った今 どう変わっていくのか 理想の自分に向かう日々のあれこれ Instagram:日常の切り取りを少し

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