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Photo byenpreth

🌸定年まであと10年。わたしが会社員をつづける理由


    「定年まであと30年以上あるからさ、」

    旦那様とまだおつきあいしていた頃、彼が未来の話をした。

    この先私と生きていくという話だったが

    わたしはこの定年まで30年あるというフレーズが妙にひっかかった。

    定年まで30年ある人の主語は、彼ではなく、わたしだったからだ。

    「ん?わたし定年まで働くの?」

    わたしはとても驚いた。

    社会人6年目
    結婚したら仕事を辞めるとは全く思ってはいなかったけれど
    定年まで働くという概念も、わたしの中にはなかったからだ。

    「え? 定年まで働かないの?」

    彼の方も驚いて、驚いている彼にまたわたしは驚いた。

    彼が言うには
    正社員のまま定年まで働き続けるのと、途中でやめるのとでは
    老後の受け取る年金がかわってくるのだという。

    だから同じ会社でなくても、わたしもずっと正社員でいた方がいいと。

    「そうなん?」

    あまりピンとこなかったが、言われてみれば

    夫婦揃って国民年金と厚生年金の2階建て。しかも、負担は半分。
    年収がどうであれ、共働き厚生年金夫婦は、老後の年金生活が充実する。
    勿論、退職した時の年収は高いほどいい。

    彼は二人の未来を語っていたが、わたしはこの時、わたし自身のことを考えた。

    確かに
    わたしが自由に使えるわたしの年金。高けりゃ高い方がいい。
    がんばって稼げば、厚生年金は増える。
    フリーになってどんなに稼いでも、将来受け取る年金は一定額だ。貯金を崩していくしかない。

    年取ったら、年金をもらいながら
    ゆっくりフリーで稼いだっていい。

    きっと、結婚しても子供ができても、彼は仕事を辞めないだろう。

    わたしだけ辞めて
    将来受け取る年金に差がつくのもなんだか悔しかった。

    女だからってだけで男と年金の受取額で差がつくなんて
    確かに腑に落ちなかった。

    結婚前の二人が交わす会話としてはあまり色気のない内容だったが、妙に納得して

    わたしは、定年式で花束をもらっていた上司の顔を自分に置き換えながら決意した。

    「わたしは、正社員を辞めない。わたしの未来のために!」」

    ふたりは変わった誓いあいをして結婚を約束したのだ。

    気づけば勤続28年

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    それから気づけば勤続28年。

    新卒で入社して、結婚、出産、育児休暇と時短期間を経て、
    今もわたしは正社員として働いている。

    前述の通りの誓いがあったので
    会社を辞めるという選択は迷っても一番最後で

    どうやったら続けられるか1個1個解決してきたら
    辞めずにこれたということか。

    それでもなぜ続けてこれたのかふりかえってみると、
    いくつか要因がある。

    1.結婚相手が共働き主義だった
    2.子供を授かるまでの期間があった
    3.職場に支えてくれる人が多くいた
    4.時短社員期間を長くとれる会社だった

    1.結婚相手が共働き主義だった


    いちばん大きな要因は、冒頭にも書いた結婚相手だ。

    彼は、結婚や出産でわたしが退職することを望まず、
    むしろ仕事を続けていくことを望んだから。

    子供がなかなかできない妊活期間も
    子育ても介護も

    誓いの通りとにかく二人でいっしょにやった。

    彼の仕事も遅くとも7時には終わる車通勤だったので
    お迎えや、休みの日もお互いに平日休みを交互にとって
    子育てをしていた。

    家事はお互い、向き不向きがかぶっていなかったから、
    わたしは食べ物のこと、彼は暮らしのこと
    役割分担を明確にしてたのも良かったと思う。

    共働きの家事は、上手な方がやればいい。

    もちろん妥協と感謝は不可欠だ。


    2.子供を授かるまでの期間があった


    結婚後はしばらく子供に恵まれず、ある意味仕事に専念できたし
    ひとり時間やふたり時間もここで充分満喫できた。

    学生時代の友人はみんなママになっていたから
    悩みがないわけではなかったけれど
    わたしは仕事に全集中。
    体力、気力フルマックスで仕事していた。

    そして、子供ができたのは結婚して7年。

    キャリアもそれなりについていたから
    体力的にも精神的にも安定している時だった。

    なかなか赤ちゃんができない事も
    長い付き合いの職場のみんな分かってくれていたから、

    念願の赤ちゃんと妊婦社員を応援してくれた。

    2.職場に支えてくれる人が多くいた


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    わたしの職場にはたくさんのパートナースタッフがいた。

    子育て真っ最中の少し先輩ママさんや
    お子さんが大学や就職、結婚もして子育てが落ち着いた大先輩ママさんたち。

    妊娠中も、復職のときも
    彼女たちに囲まれて仕事ができたこと、

    わたしが仕事をつづけられた理由として、
    とても大きなウェイトを占めている。

    彼女たちは子育てのよき相談者だったし、
    働きながら子育てをする大変さと力の抜きどころを
    リアルに教えてくれた。

    子供の病気や、保育園、小学校、受験のことまで
    たくさん相談してたくさんアドバイスをもらった。

    彼女たちでなければ
    わたしは仕事を続けるのは難しかったかもしれない。

    3.時短社員期間を長くとれる会社だった


    わたしが勤務している会社は育児休暇後の復職のとき
    時短社員を選択することができた。

    時短社員期間は子どもが中学校1年生まで取得できるので
    2人子供がいるわたしは15年近く時短勤務することができた。

    看護休暇や時間帯でとれる有給休暇制度なども充実していて
    働きながらも子供との時間がとれる制度があったのもよかった。

    給与体系もちがうので、フルタイム社員に遠慮することもなく
    時短社員の働き方で引け目なく働くことができた。

    ライフシーンの変化で働き方が選択できる会社の制度が整っていたこと

    給与が低い不満はあるけれど

    女性が会社を辞めなくてもいいような制度と環境が整っている会社を選んで本当によかったなと思っている。


    退職しない環境づくり


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    それでも、少なくともわたしのいた職場で定年式をむかえた女性社員に一度も遭遇していないのも事実。

    働く女性に訪れるライフシーンの変化は短いスパンだ。
    妊娠や出産も子育てもずっと続くわけではないし、

    子供とのかけがえのない時間も
    仕事を辞めなければ得ることができないわけでもない。
    手のかかる時期だって本当にあっという間だ。

    このあっという間の短いスパンで
    多くの女性が退社を余儀なくされる。

    定年まで働くことを当たり前に想定している男性と、
    同じ数の女性がいてもいいのに。

    従業員のライフステージの変化に合わせて、仕事を途絶えることなく続けていくことができる会社はきっとある。

    子育てをしながら転職活動なんて本当に大変そうだ。

    だからこそ、女性も自分の定年を見据えて、長く働き続けられる会社かどうかを基準に選ぶ視点が大切だと思う。

    そして、わたしは環境にとても恵まれていたと思うけれど
    仕事を続けていく環境を自分でつくることも大事になってくる。

    結婚していない人や子供がいない人
    今の自分とウェイトが違う人と同じ舞台に自分をあげてしまうと

    そりゃあ、できないやれないしんどいことになる。

    今の自分は何にウェイトを置いているのか

    これをブレずに自分で持っておくことが大切だと思う。
    どんな環境でも自分の舞台にあがるのだ。

    ライフスタイルや価値観は、時間とともに変わるから。

    若いころは仕事が楽しくて、キャリアを積みたい、出世したいそんな気持ちが強かった。仕事が生活の中心で、青春だった。

    子供が生まれてからは、子供以上に大切なものはなかったから
    育児休暇、有給休暇、半日有給、看護休暇、時短勤務
    使えるものはみんな使って、子供の行事やイベントに参加した。

    自分の病気がみつかったときは、自分のカラダにウェイトを置いた。
    カラダに負担がない働き方を会社側に伝え、今の自分はどうしたら会社に貢献できるかを考えた。

    定年まであと10年となった今は
    仕事がオフのときの自分時間を大切にすることにウェイトを置いている。

    その為に与えられた有給休暇もフルで活用したい。

    退職をやめる理由


    そうこういっても、
    一度も退職を考えたことがないのかといわれたら、そりゃあ、ある。

    割り切って働いていたとしても、働いている時間はフルマックスで精神もスキルも使っていたから、帰宅してからも休みなく1日が過ぎていく。

    ああ、つかれたなあ。
    ゆっくりしたいなあ。 
    やめたいなあ。

    そりゃあ、思う。

    でも、いざ退職という行動の前にふと考えるのだ。

    例えば、子供が可愛くて大変で
    もっとそばにいたいと思ったとき

    ここで退職して24時間子供たちとの時間を増やしても、
    そのうち子供たちは自分のコミュニティができていく。

    実際、いま有給を取って、ママ今日休みだよーなんて言っても、ふーんじゃあゆっくりねと、友達とどこかにあそびにいってしまうのだ。

    じゃあ、暇になったから再就職のためにもう一度就活をとなると
    ズボラなわたしはできなそう。

    いまの会社以上の会社に正社員で採用される自信もない。

    フリーランスの日々も経験してみたいけれど
    お金にもズボラなわたしは、自己管理なんてできなそう。

    そう、わたしはただ会社を辞める度胸を突き動かすおっきな動機がなかったというのも正直なところだ。

    しつこいが、
    正社員を辞めると厚生年金は途絶える。

    辞めてる期間、パートタイマーで正社員と同じ時間働いて厚生年金に加入したとしても正社員の金額とは大きく差がある。

    仕事を辞めたわたしが将来受け取る年金は
    途絶えることなく厚生年金を払い続けた旦那様とは確実に差がついてしまうんだ。

    それがやっぱり悔しくてわたしは退職をやめてきた。

    みんなが選択できる社会


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    わたしの夢は、定年まで正社員でいること。

    年金だけではやっていけないと働き続ける老後はいやだから。

    自分の年金で自由に暮らし
    大好きなライティングをしているおばあちゃんになりたい。

    夢が定年なんてきっと男性はあまり思わないんだろうなあ。

    子供が生まれて、子供との時間を多くとりたいから退職します、
    もしかしたらそう言って退職したい父親もいるかもしれない。

    でも正社員をリタイアするのは母親が圧倒的に多い。

    なぜ、定年式を迎える女性社員を見かけないのか。

    わたしはここが疑問で、なんだか悔しいのだ。

    妊娠や出産という点で女性の方がより自分ごとにはなるけれど
    男性も女性も同じようにライフステージは変化するものだ。

    その変化の度にキャリアを中断することなく、
    働く人たちのウェイトに合わせて選択できるような柔軟な働き方を提供できる企業はやはりとても魅力的だし、どの企業にも必要なことだと思う。

    また、制度はありますよ〜。利用する人いませんけどね~。
    なんていう環境ではまるで意味がない。

    企業側は制度をつくるだけではなく、全社員がその制度をノーリスクで利用できるような工夫を都度こらしていかなくてはならないと思うのだ。

    もちろん、女性も定年まで働き続けるのが理想だと押し付けているわけではない。

    退職をした先の未来にウェイトを置いた前向きな退社ならばいいのだ。

    幸い男性と比べてわたしたち女性の選択肢はとても豊富だから。
    子育ての最中女性が退職していくのは男性ほどは驚かれない。

    専業主婦になり、かけがえのない子供との時間を満喫したいとか

    フリーランスの夢を叶えたいとか

    パートタイムにシフトして家族に合わせて過ごしたいとか

    女性は退職の選択が豊富だ。

    ただ、わたしが言いたいのは
    正社員で働き続けたかったけれど、やむを得ず退職を選ぶという現状が、働きたいと願う人にとって大きな損失だということだ。

    退職の選択だけ豊富にするのではなく、仕事を続けていくための選択のほうを豊富に提案していくべきだ。

    いまわたしの職場では、育児の有無や性別にかかわらず、誰もが時短勤務を選択できて看護休暇を取得できる制度の導入を提案している。

    同一労働同一賃金。
    そんな前に、社員からパートタイマーにならざるを得ない状況を変えるべきだと思う。

    「正社員でいたい」という願いを持つ人が、安心してその選択を続けられる環境をつくる。

    そうすることで、女性が退職を余儀なくされる状況を少しでも減らして、多様な働き方ができる職場を目指したいと考えている。

    働く環境は、誰もが柔軟に選択肢を持てるように進化していくべきだから。

    こんなおばちゃん社員ができることなんて、本当にたかが知れているけれど、手の届く範囲でもいい

    みんなが働きつづける環境の一部に少しでもなれたらと思うのです。

    最後までお読みいただき、本当にありがとうございました🌸











     
     
     
    🌸エッセイと✨️小説と書きたいこと書きます。現実と思想のはざまにいる時間がスキ。

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