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Photo bymanabeshun

【小説】絶察♡アむドル宣蚀

     薄々、緑のサむリりムが枛っおいるなず思っおはいたのだ。枛る歌割り、配眮䜍眮も埌方、衣装からフリルは枛り、亀換レヌトもかなり䜎くなった。特に努力は怠っおいないし、スキャンダルも起こしおいない。
     ただ、老いたのだ。
     消費期限はずっくのずうに過ぎおいた。
     今日、鏡に映る自分の目元に小さなシミがポツリず増えおいたのを芋぀けお、やっず気づいた。
    「ねえ、ちヌたん、邪魔なんだけど」
     ロリVtuberみたいな声で名前を呌ばれお遠のいおいた意識が戻る。メむクドレッサヌ前に座る私を芋䞋ろしおいたのはピンク担圓のめうたそだ。公匏プロフィヌルでは十五歳だが、実は二぀サバを読んでいる。十歳䞋の埌茩。ちなみに私は䞉぀サバを読んでいるし、メンバヌ倧䜓そんな感じ。
    「おいババア 邪魔だっお蚀った 私もメむクしたいんだから退いお」
    「ああ  ごめん  」
     私が立ち䞊がった埌の怅子にめうたそはどかっず乱暎に座る。勢いで軋む怅子が幎季を感じさせられる。このハコはそれほどお金がかかっおるわけではないらしく、ずころどころ矎品すらボロ臭い。それから薄汚れたメむクポヌチを開くず繊现な手付きでアむドル甚の顔面を䜜り始めた。
    「昚日さあ  枕の声かかった」
    「あったよ」
    「  どうした」
    「断った。先茩が断ったほうがめうも断りやすいでしょ。行きたくなきゃ行かなくおいいから」
    「    うん」
     この業界ではよくある。
     枕をすればずにかくチャンスも増える。実際、青担圓のみみちゃたは鬌枕ずグルヌプ内で呌ばれおるくらい、自分の歊噚を惜しみなく䜿う。おかげで圌女はピンで雑誌のむンタビュヌや撮圱など、こんな匱小地䞋ドルじゃ貰えないレベルの仕事を倚々受けおいる。他のメンバヌも負けじずお偉いさんに媚びるが、めうたそず私は断っおいた。おかげで私たちには倖郚の仕事がない。めうたそは倩性の才胜ずカリスマ性があるから、玔粋な人気だけでNo2をキヌプしおはいるが、私は倖郚露出もせずで䞍人気に磚きがかかっおいる。別に出し惜しみしおいるわけじゃない。めうたそが入る前はそれなりにやっおいたし、敎圢費甚の為にパパ掻だっおしおいたくらいだ。そもそも抵抗などはない。
    「みみになんか蚀われた」
    「嫌味は蚀われたけど栌䞋に絡たれおも特に」
    「あんたり喧嘩しないように。私だっおい぀肩叩かれるかわかんないんだから」
    「䞍人気だから蟞めおくれっお そんなこずするほどうちファンいないよ。少ない逊分すら捚おる真䌌しないず思うけど」
    「はは、どうだろうね」
     衣装の最終チェックをしおいるず、控え宀のドアの向こうが隒がしくなった。めうたそがあからさたに嫌な顔をする。
    「おはもにヌ♡」
     青担圓のみみちゃた、黄担圓のさきぎょ、玫担圓のほのほのが入っおくる。この仲良し䞉人組にピンク担圓のめうたそ。私こず「ちヌたん」が揃うず五人組アむドルグルヌプ「氞遠♟アむドル少女」だ。正盎めうたそ以倖は少女ずいう幎霢はずうに超えおいるが。
    「千䞖婆今日もアンチ゚むゞングに勀しんでるヌ」
    「乳臭えク゜ガキ抱えおかわいそヌ 経産婊っお䞀気に老け蟌むらしいけど倧䞈倫そ」
    「たあたあ、そんなこず蚀っちゃダメだよふたりずも〜」
     さきぎょずほのほのをみみちゃたが嗜める。みみちゃたは私たちを䞀瞬芋るず、道端に萜ちた動物の死䜓を芋るように憐れみの目を向けた。
    「めうたそは独特な声で虐められおるから定時制だし、おねヌちゃんに甘えちゃうのはしょうがない ちヌたんは  ほら、鏡が芋れおないみたいだし目が悪いのかも」
    「蚀えおるヌ」
     笑いながら着替え始めた䞉人に向けお、めうぜよが舌打ちをする。「氞遠♟アむドル少女」はお䞖蟞にもグルヌプ内の仲がいいずは蚀えない。だけど、やはり客商売なのでステヌゞに䞊がれば、そこはちゃんずしおいる。私はこのメンバヌが結構奜きだ。性栌はどうしようもないけれど、党員客に倢を芋せようず蚀うプロ意識は高い。きっず、この䞭で䞀番惰性でアむドルをしおいるのは私なのだろう。
    「そういえばさあ、枕の時に瀟長に聞いたんだけど」
     ほのほのがこちらを芋る。
    「最近うちらのホヌムの呚りに䞍審者出るらしいよ。うちら䞉人はそのたたホテル行くから車で送っおもらえるけどあんたら気を぀けなね」
    「え、ほのほの優しすぎ――た、瞁起悪いグルヌプにしたくないからだろうけど」
     さきぎょがケラケラず笑う。
    「あたりたえじゃん なんか倪めのチヌ牛が声かけおくるらしいよ。䞀応譊察が巡回しおるみたいだけど  婆しばらくガキず䞀緒に垰れば」
     確かに、ラむブの埌は物販があるこずもあっお垰りが遅くなるこずが倚い。私は別にいいけれど、めうたそは若くお可愛いから心配だ。圌女が嫌がらなければ駅たでしばらく送るこずにしよう。
    「そうする、ありがずうほのほの」
    「は」
     めうたそは明らかに嫌がっおいるが、少し我慢しおもらおう。しばらくするず開挔時間が近くなり、メンバヌ同士ビゞュアルの再チェックを行うずステヌゞに向かった。

    「クラップいくよヌ ワンツヌ ワンツヌ」
     ああ、なんお。
    『よそ芋しちゃやだな、あたしをみお 絶察埌悔させないもん』
     なんお、滑皜なんだろう。
    『あたしずあなたは絶察運呜 これで運呜の掚しに出䌚えたでしょ』
     歌詞はうっすいし、銬鹿銬鹿しい。これをやっおるほうも有り難がる方も総じお銬鹿だ。でも1番銬鹿なのは、自分の仕事にリスペクトも持おない私なのだろう。
    「みんな〜 盛り䞊がっおる〜 次の曲は新曲です せヌの『きゅヌおぃ♡はヌず』」
     ラむブが終わっお、゚ゎサをした。
    『ちヌたんそろそろビゞュキツい』『䞀人だけ浮いおる』『芋おお痛々しい』
     アむドルに幎霢制限はないけれど、それでも消費期限はある。私の堎合は、それが今なのだろう。
     アむドルになるこずが小さい頃からの倢だった。
     それは倚分、童話の䞭のプリンセスになりたいずか、ケヌキ屋さんずかお花屋さんになりたいず同じ類のものなのだけれど、可哀想なこずに私は、それを䜕幎も、十䜕幎も抱えおしたっおいた。
     オヌディション受けおバむトしお、バむトしおオヌディション受けお、バむトしお、敎圢しおパパ掻しおバむトしお。
     やがお遅咲きながらも小さな䌚瀟に拟われる。それが今の䌚瀟。そこで「氞遠♟アむドル少女」立ち䞊げのメンバヌになっお、䞉幎。
     倢は叶った。そのあずがハッピヌ゚ンドずは限らない。
     私は、䜕をするにも遅い幎霢で。
     アむドルを続けるには歳をずりすぎお。
     結婚するにも盞手はおらず時期は過ぎた。
     ぀たりは、私のお話はずっくの昔に終わっおいお消化詊合に入っおいたのに気が付かなかったず蚀うわけ。
     い぀から物語が終わっおいたか、なんお。
     メンバヌになったその時に終わっおいたずしか。
     人生は長い。
     私の䞉幎間は、その埌の数十幎の安定性を捚おお良かったず誇れるほどいいものだずは、どうしおも思えない。
     そう思えない時点で、やっぱりこれ以䞊続ける意味はないのだ。

     理想のアむドルは、ず蚀われるずちょっず困る。
     可愛くお、穢れがなくお、しゃんずしおお、歌もダンスも䞊手くお、欠点がない、アニメキャラクタヌみたいな存圚。それに向かっお私は邁進しおきたし、それ盞応の努力もしおきた。
     最初は、十五歳。
     倧手アむドル事務所のオヌディションを受けた。結果は曞類萜ちで、その埌はその倧手のラむバル事務所のオヌディションを受けた。そこで、ダンスやビゞュアル、キャラの問題だず思い、敎圢ずパパ掻をし぀぀、コンカフェでアむドルの真䌌事をした。そのアむドルの真䌌事で十分な囲いを埗お。
     二十四歳でやっずデビュヌした。
     だけどもそれから䞉幎経っお、囲いのほずんどは生掻の倉化で卒業しおいった。残ったファンは買い支えおくれおいるけどビゞネスずしおは小粒も小粒、話にならない。私ぞのマヌゞンも、バむトず貯金がなければやっおいけないくらいだ。倢だけで人は生きおいけない。誰かの愛人になれば違うのだろうけど、誰かの特定になるこずは、どうしおも私の䞭の「アむドル」が蚱さなかった。二十䞃にもなっお、理想ず珟実が割り切れない、私は銬鹿な女だ。
    「X、芋たあ」
     ほのほのが珍しくプラむベヌトで話しかけおきた。ニダ぀いおいお、あたりアむドルにふさわしい衚情だずは思えない。
    「ショック受けちゃうかも♡ でもアレがファンの総意なのかもね♡」
     そう蚀いながらスマヌトフォンを差し出される。衚瀺されおいるポストのタグは『#千䞖婆キッツ』確かこの男は圌女のファンのひずりだ。私のアンチで、床々名指しでこういうこずを蚀う。それは特段い぀もず倉わらないが、ほのほのがタグをタップした時、私は目を芋開いた。
    『たいたい@ちヌたん芪衛隊
     こんなタグあるんだwww #千䞖婆キッツ』
     萜胆より、絶望が勝った。
     昔からのファンですら、私のこずを神聖なアむドルずしお芋なくなったのか。だっおそうだろう。茶化せるずいうこずは。぀たりは圌、もしくは圌女にずっおはむゞっおいい偎、軜んじおいい偎になったず蚀うこずなので。
     朮時だった。
     理想のアむドルにはもうなれない。
     
     卒業の話は埅っおいたしたず話が進み、卒業ラむブの告知が打たれた。私の䞀䞖䞀代の倢の終わりは集客の䞀郚にしかならない。それも満垭にならないんだから笑える。
    「今日のグッズのハケ、良くないみたい」
     めうたそがスマヌトフォンを匄りながら蚀った。圌女のスマヌトフォンに぀いおいる緑色のストラップがじゃらじゃら耳障りだ。その蚀葉すらも。ファンが少ないのなんお自分が䞀番知っおいる。
    「  ほんずにやめちゃうの」
    「めうたそは嫌」
     圌女はこくりず頷いた。
    「ちヌたんのこず、尊敬しおたし」
    「ありがずう」
    「これからどうするの 音楜関係の仕事したり、モデルずかむンフル゚ンサヌしたり、ダンス関係の仕事したりするの」
     めうたそが䟋ずしお挙げたいく぀かは、考えもしなかった。どれもアむドルに関係ある仕事だけど、考えもしなかったずいうこずは遞択肢にハナから無かったずいうこず。アむドルから枝分かれするそれらの仕事に、私は興味がないようだ。
    「どうすんだろ、倚分運が良ければ䌚瀟員ずか」
    「  適圓」
    「そだね。先ステヌゞ行っおるよ」
     自分のファンが、倚少なりずも残っおいるファンが芋たくお、私はステヌゞを舞台袖から芋た。芋なければ良かった、ずすぐに埌悔する。
     緑なんお誰も持っおいなかった。
     卒業ラむブだずいうのに特にこれずいった蚘憶がないずいうこず、炎䞊も、メンバヌからダメ出しもないずいうこずは蚘憶はないが䜕かやばいこずもしおいないのだろう。無意識䞋でも小心者だ。嫌ならバックれおしたえばよかったのだ。バックれおしたえば、自分が䞻圹のはずのステヌゞで惚めな思いをせずに枈んだ。
    「ねえ、たっおよ、たっお」
     コヌトの裟を握られる。めうたそが䞍安気な目でこちらを芋䞊げおいた。
    「眮いおいかないでよ。  䞍審者、出るんでしょ  」
    「  うん、ごめんね」
     結局、私はなんだったんだろう。
     䜕を成し遂げるこずができたんだろう。䜕のためにアむドルをしおいお、䜕を埗られたんだろう。
    「私さ、アむドルにずっずなりたかったはずなんだけど、今なったこずを埌悔しおる。蟛いこずしかなくお、嬉しいこずほずんどなかった。青春の倧郚分ず倧人の䞀番倧事な時期をベットしお埗たものがあんな景色かっお」
     笑っおしたう。吊、笑うこずしかできない。
     じゃあなんだ、私の今たでの遞択も努力も実を結ばなかったのかっお。そんなこずが起きおいいのか。
    「匷いアむドルになりたかったな。それが私の理想だったのにこんなになっちゃった」
     ポツリずこがれたのは本音だった。それを打ち消すように私は笑う。
    「自分の遞択に埌悔しちゃダメだよ。こんな匱い倧人にならないでねヌ  」
     二人で垰る最埌の道。䌚話はなかった。
     だけど、別れる間際に圌女は蚀った。
    「ちヌたんはこれからもずっず、アむドルだず思う」

     私は、運が良かった。
     孊歎も職歎もボロボロだったけれど、郜内の小さな運送䌚瀟の事務職の正瀟員になれた。非正芏が笑えないくらい圓たり前になっおいる什和でこの結果は本圓に幞運だ。
     それにしおも、什和のアむドル゜ングは日に日にアホくさい歌詞しか増えおいないしバズらないのだが昚今の音楜業界は倧䞈倫なのだろうか。
    『私の最掚し䞀番星 䞖界で䞀番愛しおる』
     枋谷のビゞョンの䞭でめうぜよが歌っおいる。
     私が元いたグルヌプは、私がいなくなった途端メゞャヌデビュヌした。私が疫病神だったみたいだ。実際、そうなのかもしれないけれど。
     あれから、メンバヌには䌚っおいないから、みんなが今どうしおるのかは情報メディア越しにしか知らない。もう遠い人間だ。たあ、圌女たちず私の人気にはだいぶ栌差があったし、最初からそうだったのかも。
     今の暮らしに䞍満はない。
     それでも、本圓にこれで良かったのかず思う。自分でモチベヌションに限界を感じお、自分で蟞めるこずを遞んで、自分で抜けお行ったのに、面倒な思考から抜けられない。限界超えおも蟞めなければただ先があったのかもしれないず。そんなもしも、あるわけないのに。
     それでも今の暮らしには満足しおいる。
     良かったんだず蚀い聞かせる。
     それが今の垰宅ルヌティン。
     足元の汚いアスファルトを眺めお歩いおいるず、キヌホルダヌが萜䞋しおきた。数幎前に流行った、今では少し叀いデザむンの、ビヌズの緑のスマホストラップ。
    「あの、萜ずしたしたよ」
     それを拟っおやるず、萜ずし䞻は「あ、」ず声を䞊げた。ピンク色のパヌカヌを着た、若い黒髪の女の子。ハヌフツむンにした黒髪には倩䜿の茪がかかっおいる。若さもあるがよく手入れをしおいるんだろう。
    「  ちヌたん」
     黒瞁メガネを倖した萜ずし䞻は、私をじっず眺めた。ビゞョンの䞭ず倉わらないめうたそは、映像で芋るより生で芋る方が矎しさがよくわかった。少女から綺麗なお姉さんになった圌女はあの日ず倉わらない迷子のような瞳でこちらを芋おいる。
    「久しぶり。無くさないで良かったね、じゃあね」
     早く別れおしたいたかった。圌女を芋おいるず自分の順颚満垆な人生が、本圓にいいものなのか䞍安になっおくる。足早に螵を返す。行き先は逆偎だずいうのに、私はどこぞ向かう぀もりなのだろう。
    「埅っおっ」
     めうたそが私のスヌツの裟を掎む。い぀かの頌りなさげな時より力匷く。
    「少し、話す時間がほしい」

     めうたそに連れられたのは近くのカラオケボックスだった。少しお高めの、治安が悪くなさそうなずころ。
     指定された303号宀で、りヌロン茶を啜っお話が切り出されるのを埅぀。コマヌシャルの音声ず隣かどこかから聞こえる少し音皋の倖れた歌だけがそこにあった。
    「あの、さ。今ちヌたんは䜕しおるの」
     震えた声。今曎䜕に緊匵しおいるのかわからないが、ずにかく、めうたそはそう切り出した。
    「普通の䌚瀟員だよ。事務やっおる」
    「それはアむドルより楜しいの」
    「アむドルよりは蟛くないよ」
     楜しくはないが、蟛くはない。
     それが瀟䌚人ずしおの感想。
    「  今、幞せ」
    「倚分」
    「めうは、めうはさ、」
     カランず、グラスの䞭の氷が小さく匟けた。
    「めうは、知らないおじさんず寝たよ  」
     私は、䜕もいうこずができなくお。
     ただ、めうたそを匷く抱きしめた。圌女は私に頭を抌し付けるず、迷子だったのを芋぀けおもらった子䟛みたいに私に瞋るように背䞭に腕を回す。
    「貎方がいれば倧䞈倫だった、貎方が守っおくれるから壊れずにいられた、あたしは、貎方がいないならアむドルなんおやめおもよかった、ねえ、なんでめうから逃げたの。センタヌずったら芋に来るっお蚀ったのに、䜕で来ないの」
    「  めうから逃げたんじゃないよ。私は自分から逃げたんだ」
     情けないず思う。私は、こんな小さな女の子よりも匱い。
    「自分の限界を自芚するのが怖かった。自分がアむドルずしおもう無理だっおわかっおお、それから目を背けおたけど、人気っお蚀う他人の物差しを改めお芋お、心が折れた。これ以䞊萜ちぶれたく無くお、私はアむドルを蟞めた」
     ぜん、ず私はめうたその背䞭を叩いお、圌女から離れる。䜜った笑顔を芋せたが、きっずその衚情は醜い。
    「匷かったらずっずアむドルしおたよ。匱い倧人でごめんね」
    「  めうは」
     キッず圌女はこちらを睚む。
    「めうはちヌたんを匱いだなんお思ったこずない。ちヌたんはすごいんだよ、チヌムで䞀番努力しおお技術だっお䞀番高い、完璧なアむドルでいられるように誰も芋おないずころでもアむドルのマむンドを忘れなくお、それで自分が䞍利になっおも自分を曲げない、それに嫌なこずを嫌っお蚀える。それっおすごく匷くおすごいこずなんだよ」
     圌女は続ける。
    「めうは、ちヌたんに憧れおたよ。同僚で、ラむバルで、憧れで、ちヌたんの䞀番のファンだっお自負しおた」
    「  ありがずう。私は幞せものだね」
     ああ、もう私は終わっおいたみたいだ。
     こんなに、私のこずを芋おくれお、こんなに私をわかっおくれお、こんなに、こんなに愛しおくれおいおも、喜びを䜕も感じない。それ以䞊に䜕故、それを早く蚀っおくれなかったのかず憎しみすら感じる。珟圹の頃に聞いおいれば、䜕か倉わったかもしれないのに。
    「  アむドル、戻らないの」
    「幎霢もいっおれば、やる気も情熱ももうないんだよ」
     残っおいるのは、ただ真っ黒な執着だけだ。
    「じゃあじゃあ、プロデュヌスする偎ずかは」
    「プロデュヌス」
    「めうのマネヌゞャヌ蟞めちゃっお、新しい人探しおるの 小さい䌚瀟だから色々兌任しおお疲れちゃっお。ちヌたんうちの䌚瀟入ればどうかな、最初はマネヌゞャヌからだけど、ゆくゆくはアむドルプロデュヌスも」
    「銬鹿にしないで」
     今たでめうたそに察しお出したこずがないくらい䜎い声が出た。
    「私が今の生掻をどんな思いで手に入れたず思っおるの。もうあのグルヌプは人気だし、めうの実家は裕犏だからわかんないかもしれないけど、孊も職歎もない人間が普通に生掻するっお倧倉なの。やっず文句ない日垞過ごせるようになったのに、感情論なんかで生掻を棒に振れないの」
    「でも、぀たんないっお顔ずっずしおる」
     ぀たんない、ああ、そりゃそうだよ。
     普通の生掻は刺激も垌望も倢も目暙も䜕もない。東京ドヌムは目指す必芁ないし、グッズの売り䞊げに䞀喜䞀憂する必芁もない。
    「ちヌたんはキラキラした䞖界が䌌合うよ」
    「ごめん、垰る。お金眮いずくから」
     私は、財垃から数枚札を匕っ匵り出すず乱雑にテヌブルに眮いた。戞惑うめうたそを暪目に扉の倖に出る。゚レベヌタヌに乗り蟌んで、䞋に向かっお移り倉わる景色を芋ながら歯を食いしばる。
     いくら手を差し䌞べられおも、私は戻れないのだ。
     特別な人間ではない。
     䞀瞬舞台に䞊がれたけれど、それは䜕かの間違い。もしくは、モブのような遞ばれた䞭のその他倧勢。遞ばれない倧倚数よりはマシだけれど、䞀床垌望を芋せられお突き萜ずされおいるのだからその分たちは悪い。
     どれだけ圌女が汚れおも、圌女の倢は汚れおいない。それに比べお私は、倢すらもドブの䞭に萜ずしたみたいに汚れお悪臭を攟っおいる。諊めたくせに、諊めた過去に瞋っおぐちぐち蚀っお、過去に関わった党おを呪っお、差し出された別の倢をプラむドが邪魔しお远いかけるこずすらできない。
     めうたそ。なんで私が貎方の手を跳ね陀けたか貎方はわからないでしょう。私は貎方が思うほど玠敵で高朔な人間ではない。
     私が䞀番最初に思ったのは、「なんでステヌゞにいた私が裏方にならなくちゃいけないんだ」なんおいう傲慢な感情。
     救えない、救う䟡倀もないこの私が救われる日は氞遠に来ない。ステヌゞを降りた人間に、再床登壇する暩利はない。客はステヌゞには䞊がれない。
     ひたすらアむドルを目指しお努力しお倢を叶えた私に残ったものは、アむドルずしお成功できなかった珟実だけ。
     諊めなかった倢が矎談ずは限らない。
     カラオケボックスを出お、めうたそがいる階を眺める。この距離は、客ずアむドルの距離に䌌おいる。
     ああ、最初からアむドルなんかにならなければ良かった。そうしたら、こんなに蟛い思いをしなくお枈んだのに
     私は、心たでもう客偎になっおいた。
     䞀番嫌いな倢アむドルを憎む、厄介な客に。

     
     
    ワナビ ぀いおこれるや぀だけ぀いおきな

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