
穴のないクロックスみたいな本「しろいろの街の、その骨の体温の」村田沙耶香
この本にたどり着いた経緯
「怖かった。」そんな言葉で綴られた感想を目にしたのがこの本に初めて出会った時。
女の怖さだとか考えられない。なんて許容を手放した感想にひどく苛立ったのだろう。
探しても出会えなかったこの本が、とある大学近くのブックオフで出会えた。
感想
医療用クロックスのように溢れ出る場所は無いのに、簡単に感情が積もり踏み締めてる。
読み進めるにつれて、昔誰かとつけあった傷の記憶が1枚ずつスティックノリで貼り付ける様に並べられる。
子供時代は、やけに近くの存在に影響され、些細な違和感を数でぼやけさせられてた。それしか生きる方法を知らなかった。今ではピントが合う位置まで下がれる様になってしまったから、生真面目に正解なるものを探してしまうんだ。
ラブレターという名の気持ちの排泄物を受け取って飲み込んでみたかった。きっと拒絶し拒んだだろうけれど、幅の広いカプセルのごとく多量の水と共に押し込みたい。
皆んな1つの教室の中で、自分を守るためや喜ばせるために精神的な自慰行為に没頭する。
見返すと恨む事は、相手と同じ価値観を共有する事。嫌いな相手と共有するのは空気だけで十分。
懐かしいなんて言葉で表すには、重過ぎる。けれど、懐かしいと踏みしめられるくらいには、思い出や経験を重ねて成長出来たのかもしれない。そんな思いを馳せられる物語。
私の過去にない思い出までもぬるく思い出し、喉が熱をもつ。あの苦しさは、皆が経験したものなのか。仕方なかった。という言葉だけで包めるものだったのか。読了後もありありと続くのこの感情は、ガス漏れのような目に見えぬ違和感と着々と這いつくばる重みをも思わせられる。
追伸
決して綺麗なものではないけれど、並べたくなるそんな本でした。
あの時、私が感じていた感情を最も簡単に表現しきる村田沙耶香にこうべを垂れつづけたい。
通気性が悪くていいことは、忘れずにいられることぐらい。あ、あと雨でも強気で歩けるかな。
この本も好きだと思いますよ