
ほらみて、こんなに大きくなったの──この『爆弾』が見えますか
いつしか何者かであることが、生きること──命を追い越した。
無銘である私を認めてくれる人などいない。
この世界に生まれ落ちたとき、名前をもらうのが決まりだからだ。何者かである前に、何者であるべきかを定義されるように。
自分が何者であるかを伝える名前がなければ、私は存在できないらしかった。当たり前のように名前が呼ばれ、返事をする人々の傍らで。無数の視線の前で立ち尽くし、ただ口を開いては噤むことしかできない苦しみ。
名前に対しては、この身体さえも無力だ。どんなに叫んでも、どんなに手を伸ばしても、届かない距離があった。
ああ、最後に私を呼んでくれる誰かがいたのは、いつだったっけなあ。
どうやら、何者かでない者は、存在しないのと同じらしい。
だから無視されても、決めつけられても、追いやられても。勝手に名前をつけられたとしても、仕方がないらしい。
───あぁ、もういいや。
だったらせめて、私が壊そう。
その瞬間、私の中で何かが、カチリと音を立てた。
生まれつきの爆弾だったのか。
爆弾を埋め込まれたのか。
それとも、爆弾にさせられたのか。
誰も知らない。わからない。
そもそも本当に爆弾があるのかさえも。
でもそんなことはもう、どうだっていい。
───さて、あなたに質問です。
自動販売機で飲み物を買うように。
SNSで流れてきた動画をクリックするように。
いつのまにか、爆弾のスイッチを押しているかもしれないとしたら。
あなたは、私の名前を呼んでくれますか?
ほらみて 私を
目を逸らさないで─────名前のない怪物/EGOIST