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きみの声だけ100年後 [最終話]

    『きみの声だけ100年後』

    最終話 百年後の約束

     あの日から、五年が過ぎた。

     大学二年生になった僕――朝倉湊は、海沿いの遊歩道を歩いていた。

     潮風が頬を撫でる。

     空は青かった。

     蝉の声が遠くから聞こえる。

     あの夏と変わらない景色。

     でも。

     僕はもう、あの頃の僕じゃない。

     環境工学を学ぶ学生になった。

     きっかけは、一台の古びたラジオだった。

     百年後の少女。

     結城澪。

     海しか見えない世界で暮らしていた少女。

     最後に聞いた声は、今でも覚えている。

    『未来で待ってる』

     あれ以来、ラジオは二度と鳴らなかった。

     修理もした。

     調べもした。

     祖父の残した資料も読み尽くした。

     でも。

     答えは見つからなかった。

     それでも僕は前を向いた。

     澪との約束を守るために。

     未来を少しでも変えるために。

     その日。

     大学の研究室帰りだった。

     海辺の広場では、小さな環境イベントが開かれていた。

     植樹活動。

     再生エネルギー展示。

     子ども向けの工作教室。

     賑やかな声が響いている。

     僕は何となく足を止めた。

     すると。

    「すみません」

     後ろから声がした。

     振り向く。

     一人の少女が立っていた。

     歳は同じくらい。

     黒髪が風に揺れている。

     優しい目をしていた。

    「アンケートをお願いしてもいいですか?」

     僕は少し笑った。

    「いいよ」

    「未来について?」

    「はい」

     少女は微笑む。

    「私、未来を守る活動をしてるんです」

    「おばあちゃんの影響で」

    「おばあちゃん?」

    「昔から言ってたんです」

     少女は空を見上げる。

    「青空は、奇跡なんだって」

     胸が少しだけ高鳴る。

    「名前は?」

     少女は答える。

    「結城澪です」

     時間が止まったようだった。

     風が吹く。

     波の音が聞こえる。

     蝉が鳴いている。

    「……初めまして」

     澪は笑った。

    「初めまして」

     その笑顔を見た瞬間。

     なぜだろう。

     胸の奥が少しだけ温かくなった。

     忘れていたはずなのに。

     初めて会うはずなのに。

     どこか懐かしい。

     そんな気がした。

     そして。

     空は。

     どこまでも青かった。

    ――きみの声だけ100年後・終――

    最後まで読んでいただき、ありがとうございました!これからも英語系noteを作りながら短編小説noteも始めていこうかなと思っております。好きと
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    すだ

     
     
    英検準1級を持ってる中学生です 暇なときに英語を教えてます さいほうへいきさん推しです

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