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【詩的話】バーミリオンヒューと彼女 #ひと色展

    yuhi(ゆひ)

    「門限の時間だ」と彼女は言うけれど、一人暮らしに門限があるのはどうなのかな、とぼくはつぶやく。

    「わたしの門限じゃなくて、この子の」

    彼女の肩に乗るサイズの小さなその子は、夕焼けに染まって全身が赤い。そして、にっこりとぼくに微笑みかける。その子の胸に名札が付いている。

    「バーミリオンヒュー」

    名前を読み上げると、その子は嬉しそうに彼女の肩の上でくるくると回って見せ、スカートを広げて膝を折り、えらく丁寧に頭を垂れた。

    「今日は本当に楽しかった。今日の一日だけで、ごはんが何杯も食べられるほどに」

    そのセリフは彼女が言ったのか、バーミリオンヒューが言ったのか判断がつかない。どちらにせよ、楽しかった今日の日が胸に広がっているのは間違いない。間違いないからこそ、夕焼けが永遠であればいいとぼくは祈る。

    「さよなら、またね」

    どこまでも温かいそれに触れて、ぼくは泣いている。彼女がぼくの涙を拭う。その手を梯子にして、バーミリオンヒューがぼくの肩に乗る。

    「だいじょうぶだよ、わたしはずっといるから」

    門限がくると、彼女もバーミリオンヒューも消えた。ああ、そうだったとぼくは毎日のように思い出す。彼女はもうここにはいないんだった。

    さよなら、またね。

    明るいその声がこだましている。


    イシノアサミさんの「ひと色展」にコラボ記事を書かせて頂きました。とにかく、色の子たちがかわいいです。

    バーミリオンヒューちゃんは、こちらです。


     



     
     
     
    79年生まれ|ダウン症5歳児の父|短い小説&詩&短歌&夫婦ラジオ&夫婦デュオ『はちなな』&バンド『THE NOTERS』&エトセトラ。2014.8〜 主な受賞歴|銀狐短歌杯2025冬の陣佳作/コトアム『私とジュンク堂文学コンテスト』入賞/春ピリカグランプリ2023すまスパ賞

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