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Photo bypasteltime

だんだん高くなるドライブ #毎週ショートショートnote

    わたしが不機嫌な理由は、曇り空が続いているっていうだけなんだけど、パパは、志望校に落ちたのが理由なんじゃないかと思っているっぽい。そりゃあ、いい気分ではないけれど、ほっといてほしい。

    ほっといてくれないパパにドライブに誘われてしまった。相変わらず曇り空なので助手席のわたしの機嫌はよくない。パパは流れてくる音楽に合わせながら歌っている。

    「だんだん高くなってくるね」

    と、山道に入ってパパは言う。山道なのだからそりゃそうだとわたしは思う。曇り空は変わらない。適当に相槌を打っているとき、音楽に合わせたパパの声が高くなった。いつも高すぎて歌えない歌が歌えている。

    「だんだん高くなってる気がする」

    「だから、山道だからでしょ」

    「そうじゃなくて」

    というパパの声が明らかに高くなっている。

    「なに?」

    「わかんない」

    ソプラノだ。その声がおかしくて笑ってしまう。

    「下がれ〜」

    もはや生まれたての声になったパパの声が可愛い。雲がとれて光が刺したとき、わたしは言った。

    「下りになったら、戻るよ、きっと」

    (437文字)



    今週も参加させていだだきました。

    人生は上昇していくことだけがよいことではなくて、下っていく中にもキラキラしたものはあると思ってる次第です。

    後半戦の人生だからでしょうか。


     
     
     
    79年生まれ|ダウン症5歳児の父|短い小説&詩&短歌&夫婦ラジオ&夫婦デュオ『はちなな』&バンド『THE NOTERS』&エトセトラ。2014.8〜 主な受賞歴|銀狐短歌杯2025冬の陣佳作/コトアム『私とジュンク堂文学コンテスト』入賞/春ピリカグランプリ2023すまスパ賞

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