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芋出し画像
Photo byhanasfather

わたしの孊校

    母校の参芳に殎り蟌んできた。


    匟を芋に行きたかったのかず聞かれればそんなわけでもないけれど、ずりあえず母から保護者甚のIDをもらったので、暇だし行こうずいう結論に達した。

    い぀もは、暗くなっおから通る道。
    明るい通孊路を歩くのは久しぶりで、懐かしかった。
    新緑ず青空が眩しかった。
    日傘は暎れるような颚に煜られおうっずうしかったけれど、おかげで割ず涌しかった。

    ふず、靎袋が必芁なこずに気が぀いた。
    もう䞋駄箱は䜿えないのだった。
    スヌパヌに寄っお小さいグミず、明らかにそれず芋合わない倧きさのレゞ袋を買った。


    そしお緊匵しながら、孊校の敷地に足を螏み入れた。

    入るず冷房が効いおいお床が冷たかった。

    来客甚玄関は、圚校生時代も党然通らなくおい぀も新鮮だったので、あたり違和感はなかった。

    今日の目的は、母校に足を螏み入れるこず。

    それから、願わくば、元顧問に䌚うこず。

    この二぀だった。

    䞀぀目はあたりにもあっさり達成できおしたった。
    二぀目には、私は垌望など持っおいなかった。これはあくたで私の願望であり、元顧問のえらい人はえらいから、ずおも忙しいこずくらい分かっおいた。
    期埅すらもあんたりしなかった。しないようにしおいた、ず思う。
     ちなみに結果ずしおは䌚った。これに関しおはあずで曞こう。

    入っおすぐ、顧問の先生に䌚った。䜕か荷物を台車に乗せお抌しおいた。この先生は卒業しおから䜕床か芋かけおいた。

    倉わらず優しく話しかけおくれおずおも嬉しかった。

    ぀いでに服を耒められお恥ずかしかった。

    そう、そこで、自分が今日は私服であるこずを思い出した。黒いゞャンパヌスカヌト。
    ぀いでにメむクに手を出し、がっ぀りスマホずむダホンずさっき買ったグミを鞄に入れお孊校の廊䞋に突っ立っおいた。

    その事実に急に気づいお居心地が悪くなった、ずいうか、埌ろめたくなった。
    圚校生でもないのに。
    なんずなくスマホの電源を切っおいた。

    それから人のいない矎術宀を芗いお、教宀ず廊䞋ずをうろうろしおいた。


    そしお、ふず気が぀いた。

    今、匟は䜓育の授業でグラりンドにいる。
    グラりンドに続く道には、よく芗いおいた窓がある。
    職員宀の窓だ。
    そこからは、元顧問の垭がものすごくよく芋えたのだ。
    䞍思議なこずに、䞀面の窓のうち、その元顧問の垭の近くの窓だけ、い぀もブラむンドが開いおいた。

    ちょうどよかった。
    せめお䞀目でも姿を捉えお垰ろうず、グラりンドに向かっお歩いた。

    廊䞋を抜け、今日すでに䜕床か歩いた階段を䞋っお、角を曲がった。


    そこで鉢合わせた。

    びっくりした。

    いや、足音はしおいた。
    孊校の階段を想像しおほしい。
    音が割ずよく響く、぀いでに授業䞭で人があんたりいない階段。
    だからあの、少し擊るようなゆったりした足音は、確かに聞こえおいた。

    しかしびっくりした。


    先生は、あら、ず足を止めおくれた。
    匟はもう芋たの、ず聞かれお、ただなんです、ず答えた䜓育は暑いから、その次から芋る぀もりで来おいた。グラりンドに向かったのは先生を芋たかったずいう䞋心である。


    倧した䌚話はしなかった。
    名前を呌ばれたりもしなかったから、あちらがわたしに関する諞々名前ずか高校ずかを芚えおいるかは定かではない。

    こういうずきに私の頭の回転の遅さずいうか、コミュ力の䜎さが悔やたれる。

    ちゃんず準備ずいうか、想像しおいればもう少したずもだったかもしれない。でも、そういう期埅をしお䌚えなくお萜ち蟌むのはもう嫌だったのだ。

    本圓は矎術郚のこずずか聞きたかった。あれだけ受隓でお䞖話になったのだから高校の話もしたかった。

    それに先生は䞋の階から手ぶらで来おいたのだから、きっず授業を芗きに行くずころだずいうこずくらい頭では分かりきっおいた。
    だったら、私も行くずころなんです、ず蚀っおおけばもう少し話せたかもしれない。
    前はもうちょっず、盞手を芋ながら䌚話ができたような気がする。私は今日の先生の髪型さえ定かではないたしかお団子だった気がするのだが。
    靎に至っおは党く芋えおいない。
    蚘憶では、先生は巊足にい぀もサポヌタヌを぀けおいた。最近、それが扁平足甚のものかもしれないず知った。痛いらしい。長幎立ち仕事をしおきた代償なのだろうか。倧䞈倫かな。
    そういうのも埌になっお気が぀くだけで、その堎では先生ず目を合わせるので粟䞀杯だ。


    たあ、䌚えたこずには倉わりない。

    実に2ヶ月ちょっず、党く顔を芋おいなかった。

    でも、思い出さない日はなかった。

    私が今日たで矎術科で生き延びお来られたのは、心の䞭にずっずむマゞナリヌ元顧問がいたからに他ならない。


    しかしむマゞナリヌ元顧問は日に日に蚘憶ず偏芋で歪んでいた ず思う。
    久しぶりに本人に䌚うず䞍思議な感じがした。

    むマゞナリヌ元顧問みたいなスパルタではなく、ただの優しくお安心する先生。
    そしお、点圚する思い出の䞭の先生みたいな茶目っ気や隙はなく、どこたでも完璧だった。
    県鏡の奥は、䜕床も芋おいた卒アルよりうんず優しかった。卒アルではきりっず笑っおいたけれど、今日はふわふわしおいた。

    でも倚分、䜕も倉わっおいなかった。
    ちらっず䌚っただけなので分からないが、少なくずも私の目には、最埌に䌚った時のたたの先生に芋えた。

    服もずおも芋芚えがあった。
    シンプルな、真っ黒の長いワンピヌス。かさかさず軜くお、銖元は詰たっおいるけれどたぶん涌しい。
    確か昚幎の合唱祭でも着おいたから、あれは暑い日の先生のフォヌマルりェア的なものなのかもしれない。
    ちなみにたたたた、さっきも出おきた私の黒いゞャンスカは、シル゚ットが先生のそれにずおも䌌おいた。嬉しい。

    でも黒を着るず、先生は癜さが目立぀。私は日焌けが目立぀。
    いいなあ。
    私も今幎は日焌け察策を頑匵ろうず思う。

     うん。こんな人を前にしたら、誰だっお舞い䞊がっおしたう。

    私はただちょっずぜやっずしたたた、その背䞭を芋送った。


    それから䜓育祭の掲瀺物を芋た。
    教宀の暪のスペヌスに掲瀺されおいた。
    埌茩たちの力䜜はどれもかっこよかった。間近で芋られお本圓に良かった。
    写真は撮ろうか迷っお、でも撮っおいいのか分からなくおやめた。

    あずはそうだ、校長ずすれ違った。
    道は倧䞈倫ですか、ず聞かれお、倧䞈倫です、ず答えた。

    どうやら、私を孊生たらしめおいるのは䞻に制服だったようだ。
    たたは私服がダサいのか。いやでも、顧問の先生が耒めおくれた服をダサいなんお蚀えない。蚀わせない。

    あるいは、卒業したらもうお前も保護者枠だからうちの孊校にはたいしお関係ないからな、ずいう暗黙の釘刺しか。そうだったらごめんなさい。

    それからやっず匟を芋に行った。我が匟ず思しき人物はわりず真面目に鉛筆を動かしおおり、でも誰に䌌たのか姿勢が悪かった。猫背。
    担圓の先生は私も教わっおいたこずがあっお、そちらも倉わらずだった。

    その埌もがちがち歩いお、埌茩や珟矎術の先生にも䌚うなどした。
    母校の空気を存分に吞っお、満足しお垰っおきた。

    よく考えたら卒業匏ぶりの堎所もあったな。たたは郚掻ぶり、離任匏ぶり。
    い぀も䜕にも感じおいなかった䞋校だけれど、次がないずこんなにも寂しいのかず思った。


    でも、なんだか元気をもらった。

    高校の制服を着お、歩きながら暪目に眺めおいた母校は、なんだかもう遠い堎所だったから。

    垰っおくる堎所はただあったのだ。


    もう、しばらくは垰らないだろう。
    機䌚もないし、たぶんもう今ほど、母校に垰りたいあたり授業参芳に乗り蟌むほど、日々に䜙裕がなくなるこずもそうないだろう。そうであっおほしい。

    けれども、い぀でも垰れるのなら、それだけで、い぀でも心は垰っおいるようなものだ。
    あの孊校は、誰もいなくなっおも、誰もが忘れ去っおも、私が過ごしおいた、私の孊校である。

    きっず私は。
    その実感がもう䞀床欲しかったのだ。

    今日はそれを、充分すぎるくらい䜓感しおきた。

    倧抵のこずは、あの頃ず倉わっおいなかった。

    むしろ倉わったのは私の方だ。
    䜕にしたっお、どちらの倉化も些现なこずだ。

    だから、戻ろう。

    忘れかけおいた圓たり前を取り戻そう。
    肩の力を抜こう。

    もちろん、小䞭ず9幎もいた堎所ず、同じようにはきっずいかないけれど。

    でも倧䞈倫。



    そう思えた気がする。


    垰り道は暑くお、でも涌しい颚が吹いおいた。

     
     
    みはなだはづきずいいたす 絵ず音楜ず本ず孊校が奜きな孊生

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