
喫茶ファンタジア|灯台の町サレーン
こちらの作品は、創作大賞2026 #オールカテゴリ部門 に応募している短編集『喫茶ファンタジア』の中の作品になります。すべての話は下記マガジンから読むことができますので、ぜひゆっくりと読んでみてください。
喫茶ファンタジア あらすじ(223文字)
とある銀河の奥深く、喫茶『ファンタジア』では、日々その日を終えた星たちの大家が、とぼとぼと、時にはちらちらと、その日にあったことを話しに来るのでした。ファンタジアのある銀河には、様々な星があります。鳥しかいない星、空中に全てが浮いている星、死がない星。それぞれの星には、「大家」と呼ばれる主たちがいるのでした。大谷は、星を運営するために、日々奮闘しながら、悩みながら、過ごしています。まるで、どこかの星に生きている人間のようだと、僕は思いました。
ああでもない、こうでもない。
第四銀河の端くれ、サレーンという町のの飲み屋で、二人は「光」を、どうやって、広い宇宙の端まで届けるかを考えていたのです。
二人、というのは言うまでもなく、マーミンと新太郎です。マーミンはもともと第四銀河生まれの星で、実家が大家をやっているからといって、星作りの指導役の仕事をしていました。新太郎は、第九銀河の生まれで、何もないところから突然生まれた「新星児」という存在なのでした。
二人が出会ったのはここ、サレーンの町でした。サレーンの町は、第四銀河の端、ということもあり、「灯台」と呼ばれていました。灯台を目指す星たちは多く、そこに行くには「ジューケン」という、流れ星になれるかどうかのテストを受ける必要がありました。
「ジューケン」とは、サレーンの町まで、八〇光年の距離を、流れることができるか、という試験でした。そして、それを乗り越えたものだけが、この町に来れるのでした。たどり着くことができると、この町で、第四銀河の「光」を届けるために、働くことができるのです。
「ああ、もう、新太郎は天才肌だから、そんなことが言えるんだよ。」
マーミンは、慎太郎があまりにも突拍子もないことばかり言うので、少し怒っていました。
「冷ませばいいじゃんか、ラーメンなんか。いつまでも温かいものなんてないだろ。ジャーン、って第一銀河まで行って、水星に頼めば、そっからまた息を取り戻して、光はあそこまで届くだろう。」
新太郎は、すんなりと言いました。
「光」というのは、言うなれば生きているので、届けるためには休憩ポイントが必要でした。そして、サレーンで協議されているのはいつも、その休憩をどこでするか、ということでした。
慎太郎がいう、「あそこ」というのは、「地球」という星のことでした。第一銀河の中心近くにあり、そこに光を届けると、何かが起こる、とここらへんの銀河では言われているのです。何が起こるのかは、サレーンで三十星年調べられていますが、いまだに明かされていません。
ちなみに、星年というのは、一つの星が十の銀河を流れる時間を一単位として数えられているものです。
ラーメンを食べると、光はもちろん遠くまで行けるのですが、ラーメンは、慎太郎が生まれた第九銀河にしかない代物で、ここ、サレーンにはもちろんありません。
「サレーンにあるもので、光を満足させないといけないんだよ、新太郎。お前はそのことをわかってない。」
赤いベンチに座りながら、二人は話しているのですが、なんとも話が進まないまま、もうすぐで三光年が経とうとしていました。
「サレーンまで来ても、こんなめんどくさいことが待ってるなんて、俺は知らなかったんだよ。」
新太郎が怒ります。それもそのはず、マーミンは第四銀河の出身なので、サレーンの町のことは知っていましたが、新太郎は第九銀河の生まれで、第四銀河まで半星年も離れているので、サレーンの町が星一倍輝いていたのはわかっていたのですが、それが何をしている星なのかはわからないまま、目指していたのです。
二人に渡されたのは、一つの瓶でした。その瓶の光を、「地球」まで届けることが、二人の使命なのです。