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「人によって大きく態度を変える人」が組織を壊す。教室のヒエラルキーを破壊する、ある「逆転現象」の仕掛け



    ※本記事は、特定を避けるため個人情報を含む一部の事実をぼかして執筆しています。

    ハラスメントの種は、どこにあるのか

    カスハラ(カスタマーハラスメント)やセクハラ、パワハラ。 ニュースで毎日のように取り上げられるこれらの問題を起こす大人は、いったいどのような子供時代を過ごしてきたのでしょうか。

    私は小学校の教員として、子供たちに「いじめ」について語る時、道徳的な「優しくしようね」という言葉は使いません。代わりに、将来のハラスメントに直結する「ある危険な兆候」について、少し厳しい現実を突きつけます。

    特に、担任である私には従順なのに、新しく来た先生や出授業の若い先生に対して、あからさまになめてかかったり、不適切な言動をとったりする子がいる時。私はクラス全体に、こう問いかけます。

    「先生は、どういう人がいじめをしやすいか、考えたことがあります。それは『人によって態度が大きく変わる人』です」


    「相手によって態度を変える」ことの恐ろしさ

    「仲の良い人とそうでない人で、多少態度が変わるのは誰にでもあります。でも、それが『大きく』変わる人は要注意です」
    「同じお願いをされても、ある人には『いいよ』と言い、ある人には『いやだよ』と180度対応を変えてしまう。ある先生には敬語なのに、違う先生にはため口で失礼なことを言ってしまう。それはとても危険なことです」

    子供たちは、静かに私の言葉に耳を傾けます。

    「なぜ危険か分かりますか? それは『この人には何を言ってもいい』『何をしてもいい』と、相手を値踏みしているからです。この先生は怒らないからため口でいいや。この子は言い返してこないから嫌なことを押し付けちゃえ、と。」

    そして、私は話を子供たちの未来へと繋ぎます。

    「そういう人が大人になったら、どうなると思いますか。ファミレスの店員さんに『自分の方が客で偉いんだから』と土下座させたり、ひどい言葉をぶつけるクレーマーになります。言い返してこないだろうと、お尻を触ってセクハラをする大人になります。皆さんは、そんな大人になりたいですか?」

    教室は水を打ったように静まり返ります。

    「このままでは、自分もそんな大人になってしまうかもしれない」

    子供たちは、自分自身の日常の振る舞いと、恐ろしい大人像が地続きであることに気づくのです。


    教室を揺るがす「逆転現象」

    「でも、今ならまだ間に合います。みんな多かれ少なかれ、人によって態度を変えてしまう素質を持っています。先生だって、こういう話をするくらいですから、普段から気をつけています。」

    そう前置きをした上で、私はクラスの「ある2人」の名前を挙げます。 それは、特別支援学級に在籍しているAさんと、通常級にいるけれど大人しく、普段は全く目立たないBさんです。

    「でも、このクラスには『絶対に将来、いじめやハラスメントをしない』と先生が断言できる人がいます。それは、どんな時でも、誰に対しても言葉遣いや対応が変わらない、AさんとBさんです」

    この瞬間、名前を呼ばれた2人は心底びっくりした顔をします。 しかし、それ以上に衝撃を受けているのは、周りのクラスメイトたちです。普段、教室の中心にいる声の大きな「人気者」や「やんちゃな子」たちほど、ハッとした表情を浮かべます。

    なぜなら、彼らは心のどこかで、大人しいAさんやBさんのことを「自分たちより下だ」と無意識に見下していたからです。


    ヒエラルキーを壊すことが、いじめをなくす

    教育界の巨匠である向山洋一先生は、「授業で逆転現象を起こす」ことを大切にされていました。 普段できる子が「できない」と悩み、普段できない子が「できる」と輝く瞬間を作る。それこそが、教室に固定化された見えないヒエラルキー(階層)を壊すことに繋がるからです。

    「声が大きくて目立つこと」や「要領が良いこと」ばかりが評価される集団では、必ず「人によって態度を変える」ことで自分のポジションを守ろうとする人間が生まれます。それがいじめの温床になります。

    だからこそ、私は名指しで褒めます。

    「誰に対してもフラットで誠実であること」

    それこそが、この教室(社会)において最も価値が高く、尊敬されるべき姿なのだと、価値観の逆転を起こすのです。

    大人たちの社会、ビジネスの現場でも同じではないでしょうか。

    コンプライアンス研修で「ハラスメントはダメだ」と唱える前に、組織の中で「人によって態度を大きく変える人間」を評価してしまっていないか。そして、普段は目立たなくても、誰に対しても誠実に仕事に向き合う人を、きちんと称賛できているか。

    いじめもハラスメントも、個人の道徳心だけでは防げません。 集団の中の「誰が本当に素晴らしいのか」という評価のシステムを正しくセットし直すこと。それが、誰もが健やかに過ごせる場所を作る、たった一つの確実な方法だと私は信じています。

     
     
    元不登校・高校中退→小学校教師(10年目)。 気合いや感情論に頼らず、子どもの主体性を"戦略的"に引き出す「微細技術」と「仕組み」を発信中。 「完璧な先生」を目指して苦しむ方へ。怒らなくても、型にハメなくても、教師と子どもが無理なく笑顔になれる実践とマインドを届けます。

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