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【教育ニュース最前線vol.09-1】話題の映画2選‼ ①『新渡戸の夢』②『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』


    【教育ニュース最前線vol.09-1】
    日々報じられる教育関連情報から、教育業界への影響が大きいと思われる内容を、代ゼミ教育総研 研究員が厳選してピックアップ。
    それぞれの分析・私見を述べます。
    教育・学校・入試について関心がある方々の、考えるヒントとなりましたら幸いです。

    \\ ✨Vol.09は3日連続投稿 ✨//
    09-1の今回は映画特集!話題の映画を 2 本ご紹介します🎥


    ①話題の映画🎬『新渡戸の夢』

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     形態映画(2024年7月公開)  タイトル新渡戸の夢   監督野澤和之 出演工藤慶一、工藤朱美、藤井茂、藤田正一 ほか\begin{array}{|l|l|} \hline\ \small形態 & \small映画\scriptsize(2024年7月公開)\ \\ \hline\ \smallタイトル & \small新渡戸の夢 \ \\ \hline\ \small監督 & \small 野澤和之 \\ \hline\ \small出演 & \small工藤慶一、工藤朱美、藤井茂、藤田正一 \scriptsize ほか\\ \hline\end{array}

    映画『新渡戸の夢』を観ました。
    野澤和之監督のドキュメンタリー作品です。

     ▼遠友夜学校創立130周年記念作品「新渡戸の夢 〜学ぶことは生きる証〜」

    「新渡戸」とは、新渡戸稲造(1862〜1933)。
    米国で出版された『武士道』と国際連盟の事務局次長を務めたことで有名です。2007年(平成19年)まで五千円札の肖像画に採用され、「われ、太平洋の架け橋にならん」も人口に膾炙しています。

    新渡戸稲造は、南部藩(盛岡市)で生まれ、東京の叔父の下で勉学に励み、札幌農学校(現北大)や東大で学び、米国やドイツの留学を経て札幌農学校の教授に就任しました。そして、貧しくて学校に通えない人々のために、妻のメリーと「遠友夜学校」(1894〜1944)を創設しました。
    生徒を授業料無料・男女共学・年齢制限なしで受け入れており、当時としては画期的です。50 年間で約 1,170 名が卒業しました。

    「遠友」は、『論語』の「朋、遠方より来る。また、楽しからずや」に由来します。

    札幌では、1990 年に「札幌遠友塾自主夜間中学」が開校。
    先生は全てボランティアです。
    現在、週一回、約 70 名の生徒たちが学んでいます。先生もほぼ同数です。 

    ▽札幌遠友塾自主夜間中学のホームページ

    戦争等何らかの理由で義務教育を受けられなかった人、不登校だった人、
    外国籍の人など、夜間中学のニーズがあります。

    2020 年の調査では、未就学者は約 9 万 4 千人、最終卒業学校が小学校の人が約 80 万 4 千人います。
    都道府県別では、北海道が未就学者が最も多いです。

    <参考資料> 
    第9回 夜間中学等に関する協議会 国の夜間中学設置・充実に向けた現状等(北海道教育庁学校教育局義務教育課)(令和5年11月27日)


    2023年度、北海道初の公立夜間中学校「札幌市立星友館中学校」が開校
    しました。

     ▽札幌市立星友館中学校のホームページ

    国も、公立夜間中学校の設置を推進しています。

     ▽夜間中学の設置促進・充実について(文部科学省)

    『新渡戸の夢』では、「遠友夜学校」の卒業生の子どもたちに取材しています。すでに亡くなった父母から聞かされていた学校の様子を語り、校歌を歌います。

    また、東京の「こども武士道」の教室や「札幌遠友塾自主夜間中学」を紹介しています。

    新渡戸稲造の夢。
    教育に賭ける思いは、今、どのように息づいているのか。
    教育の本質に迫るドキュメンタリーです。

     ・  🎬  ・  🎬  ・  🎬

    💡研究員はこう考える

    私は学生時代『武士道』を読みましたが、あまり面白いとは思いませんでした。しかし、公立夜間中学の設置を巡る会議に出席する機会がありました。しばしば新渡戸稲造ファンと出会うこともありました。「INAZOマルシェ」というイベントに参加し、札幌遠友夜学校跡地に設置された新渡戸稲造記念公園の存在も知りました。

    何より、私が札幌北高校に勤めていたとき、道徳教育推進教師(化学の教諭)が「総合的な探究の時間」に新渡戸稲造を扱った自作テキストを使用したワールドカフェを行ったことで、あらためて注目していました。

    参考(YouTube):高等学校における道徳教育の充実に向けて(文部科学省初等中等教育局 教育課程課 教科調査官 飯塚秀彦):校内研修シリーズ№81

    そうした中、この映画の存在を知り、シアターキノで、上映後のトークショーにも登壇することになりました。

     ▼シアターキノ「新渡戸の夢」

    そこで、新渡戸の著作を読みました。 

    ▽『新渡戸稲造作品集・21作品⇒1冊』 Kindle版

    教育に関する講話や評論も収められているのですが、ユーモアを交えながら、現代に通用する教育論を力強く述べています。

    「生徒にモッと自ら動く自ら働くという気象を養成することは出来まいか。今日の有様では、小学も中学も、また高等学校から大学に至るまで生徒がただ受働的、受け身にばかりなる。先生が何か言うとハイハイといって受けるだけで、考えて疑を出すことも出来ぬ。」

    「自ら動く自ら働く気質を奨励するには、モット生徒に質問をさせたり、疑があったならこれを吐かせる工風が必要と思う」

    「教育は単に押込になっているようです。教育の教に重を置き育の方を怠る風が行われる。育とは心気を引延ばす意である。殊に少しく一風変った児童であれば、色々脳髄に浮ぶ疑もあろうから、その疑を言い出して質問をして討議するような方法が何かしなければ、とても普通の教育の受け身にばかりでは足らん。」

    出典:青空文庫 図書カード:No.50895
    「帝国六大教育家」1907(明治40)年10月,「教育家の教育」より

    いかがでしょうか。
    まさに「主体的な学び」のことです。

    教師が専門分野のみならず、人間としての広い教養を身につける必要があること、単なる知識や技術の供与ではなく全人的な教育を行うこと、率先垂範の大切さも述べています。

    映画の中では、札幌遠友塾自主夜間中学の元代表・工藤慶一さんたちが
    教育において「待つこと」の大切さを強調しています。

    生徒が何を求めているのか。
    生徒に合った学びは何か。
    この学びで生徒はどうなるのか、想像する。
    生徒の疑問や気持ちを聞き取ろうとする。
    生徒が「わかる」のを急かさない。
    なぜなら「わかる」ための時間は人によって異なるから。
    学びが深まるリズムやテンポは人それぞれだから。
    先生には「待つこと」が必要である、と。

    私は義務教育の未就学者の数を知らなかったです。

    不登校や外国から来た子どもたちなど、義務教育段階の学習内容を習得しないまま社会に出る人たちも簡単には減らないと思います。
    国も夜間中学の設置を勧めています。

    ニーズがあるところに学びの場ができていけばよいと思います。

    映画“新渡戸の夢”は、東京都推奨映画となっています。

    今後の上映スケジュール👇
    【東京】
    ・
    シネマハウス大塚  8/3(土)、8/10(土)、8/17(土)、8/24(土)、8/31(土)
    ・
    大泉学園ゆりあホール 8/11(日)
    【大阪】
    ・
    シアターセブン 8/31(土)~9/13(金)
    【群馬】
    ・
    前橋シネマハウス 9/21(土)~10/11(金)
    【北海道(函館)】
    ・
    シネマアイリス 9/20(金)~9/26(木)

    ※その他、上映情報は映画公式サイトにてご確認ください


    ②話題の映画🎬『ONE LIFE』奇跡が繋いだ6000の命

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     形態映画(2023年英国)  タイトルONE  LIFE  奇跡が繋いだ6000の命   監督ジェームズ・ホーズ 出演アンソニー・ホプキンス、ジェニー・フリン ほか\begin{array}{|l|l|} \hline\ \small形態 & \small映画\scriptsize(2023年英国)\ \\ \hline\ \smallタイトル & \small \rm{}ONE   LIFE\scriptsize   奇跡が繋いだ6000の命 \ \\ \hline\ \small監督 & \small ジェームズ・ホーズ \\ \hline\ \small出演 & \smallアンソニー・ホプキンス、ジェニー・フリン \scriptsize  ほか\\ \hline\end{array}


    早くも猛暑が到来している今年の夏。
    日本では、夏というと、戦争を顧み、そして平和に思いを馳せる
    季節でもあります。
    そのようなタイミングで、戦争を新たな視点で振り返ることになる
    一つの感動的な映画の上映が始まっています。

     ・  🎬  ・  🎬  ・  🎬

    ▼ナチスから 669 人の子供の命を救った、奇跡の実話

    この作品は、英国ロンドンで株の仲買人をしていた青年ニコラスが、実際に行動した実話がもとになっています。

    第 2 次世界大戦勃発直前の 1938 年。
    友人からプラハにいる難民の話を聞かされたニコラスは、いてもたってもいられなくなり、母親の反対を押し切って現地入りを強行する。
    そして、そこで目にしたのは、オーストリアとチェコの間に位置するズデーデン地方から逃れてきたユダヤ人の難民たちの悲惨な生活ぶりでした。その時すでにナチスはズデーデン地方を占拠し、ユダヤ人たちは命からがらプラハに逃れてきていたのです。

    ニコラスは、なんとか子どもたちだけでも救えないかと考え、現地のイギリス人のボランティアグループと共に、救出作戦に着手するのです。
    子どもたち一人ひとりの顔写真を撮り、渡航申請を一枚一枚手書きで作成していく・・・
    モノクロ写真の一つ一つには、親と離れ離れになることへの不安なまなざしが映し出され、観る者の胸が締め付けられるのです・・・というのも、そのあと間もなくはじまるホロコーストにより、その子供たちの多くは二度と親に会えなくなることを、われわれは“歴史として”学んでしまっているからなのです!

    さまざま人たちの協力を得て、ニコラスの救出活動は続きました。
    そして遂に第二次世界大戦が勃発。
    最大規模 250 人の救出作戦はなるか・・・。

    そうして、終戦から半世紀ほどたったある日、奇跡が起きるのでした。
     
    老いを重ねながらも、最後まで子供たちを救うことができなかったことを日々悔やんでいたニコラスは、あるテレビ番組に突然招かれます。
    そこには、ニコラスが救出した子供たち、“ニッキ―ズ・チルドレン”たちが!!

    感動の秘話は、そこでおわりではありません。
    物語が終わった後に、観衆はこの映画が“奇跡”の映画であると驚愕するはずです。ぜひ、映画で奇跡を確かめてください。

    🎬 ・  🎬  ・  🎬  ・  🎬 

    💡研究員はこう考える

    この映画のタイトルである、“ONE LIFE”とは、何を意味しているのか。 
    これを、“一人の人生”と訳せば、ロンドンのごく平凡にみえた青年ニコラス・ウィンストンの一生を追いかけた映画、と言ってしまえば、それはそのとおりでしょう。

    しかし、一人の人間が善意で取り組んだ行為が、後半生に思いがけない展開をもたらすことになる、という伏線が敷かれていることに気づいたとき、その行為がもたらした副産物のあまりの大きさに心が動かされ、改めてONE LIFEの意味合いを再認識するのです。

    あるいは、もう一つ別の見方もできるのかもしれません。

    映画の中にはユダヤ教の聖典タルムードの、「一人の命を救うものは、世界を救う」という一節が出てきます。
    もし、“ONE LIFE”が、ここに由来するとすれば・・・

    ニコラスとその仲間たちが、子どもたちの命を大切に思い、一人ひとり、
    できるだけ多くの命の救うため奔走し続けた。
    その結果、669 人の大勢の子どもたちを救い出すことになり、
    それが、さらに多くの人たちの命につながっていった・・・

    言い換えれば、一人ひとりの人生を大切にすることが、いかに大切なことか、そして、人類の未来はそこから生まれるのだ、という壮大なメッセージも浮かび上がってくるのです。

    ・ 🗺 ・ 🗺 ・🗺 

    ウクライナやガザでの惨状をみるまでもなく、残念ながら世界には、戦争や紛争が止む日はいまだ訪れていません。

    ですので、平和教育のもつ役割は大きいのです。

    たとえば日本では、終戦後、“平和教育”の大切さがと謳われ続け、広島、長崎の被爆地には毎年、多くの子どもたちが訪れています。

    国際連合教育科学文化機関のユネスコは、ユネスコ憲章前文で次のように謳っています。

    「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、
    人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」

    1945年11月16日採択 ユネスコ憲章前文より

    「平和は対話と相互理解に基づき、人類の知的及び倫理的連帯の上に築かねばならない」とその精神を唱えています。

     ちなみにユネスコは、人種差別主義と反ユダヤ主義が台頭した世界大戦への反省から生まれた組織で、まさにこの“ONE LIFE”が描いている部分と重なります。

    教育とは平和を教えること、と言っても過言ではありません。

    しかし、どうして、悲劇は繰り返されるのか・・・

    平和の最大の敵は、“忘却”という人もいます。
    過去の惨劇を忘れたころに、新たな惨劇がどこからか訪れることになる、
    ということです。
    ですが、厄介なことに、忘却は人間の性(さが)でもあります。

    私たちは、忘却に抗うためにも、執拗に語り継がなくてはいけませんし、もっと言えば、こうした作品によって、かつて何があったのか、どういう悲劇があったのかを、絶えず思い起こさせられる必要があるのでしょう。

    そういう意味で、ONE LIFEは、間違いなく最良の作品の一つでしょうし、われわれが映画の中の奇跡を目の当たりにできること自体が、また奇跡と言えるのでしょう。

    ★現在全国で上映中

    映画“ONE LIFE”は、文部部科学省選定となっています。


    vol.09-2,09-3 もお楽しみに📓

    “夜間中学”については、こちらの記事でもご紹介しております。
    よろしければ併せてお読みください🏫👇

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