エピソード3-16 大きな栗の木の下で
ここは兵庫の昔からずっとある大きな栗の木。今年も沢山の栗を実らせていた。その木の下に西からせこ、東から木の子と二種類の妖怪がやって来た。
せこ:
おぉ~今年もこの大きな栗の木たくさんの栗を実らせたな~。今年はいったい何にして食べよう、焼き栗、栗ご飯、お菓子にしてもおいしいよな~。
木の子:
やった~今年もオラたちの栗の木いっぱい栗を実らせたぞ~!さてさてじゃあ栗の実落として集めようぜ~。
せこ:
おい、お前たち何してるんだ!この木はオイラたちが昔~しから大事にしている栗の木なんだ、勝手に取るなよな!
木の子:
何だと~。お前たちが植えた栗の木じゃないだろう?だったらオラたちが栗の実取っても文句言うなよ~!
せこ:
お前たちのせいか!去年まだ実が小さかった頃、今年は豊作だと思っていたのにオイラたちが収穫したら一昨年より少なかった理由は!
木の子:
だからこの栗の木はお前たちの物じゃないだろ。だったら早い者勝ちに決まってるだろう!
せこ:
何だと~ふざけるな~!この栗の木はオイラたちの物だ!だったらどっちの物か勝負で決めよう!!
木の子:
ああ、いいとも!のぞむところだ、勝負勝負!!
こうしてせこと木の子は栗の実を賭けて対決することになった。しかしこの妖怪たちそもそも争い事やケンカは嫌いである。そのため対決といってもかけっこ、綱引き、力くらべといった具合。しかもお互いに小さな子供ほどの妖怪どんなに頑張ってもどんぐりの背比べ。決着がつかなかった。日が暮れてきた。せこも木の子もお腹が減ってきた。そこで妖怪たちは今日は引き分けとしてまた明日ここで対決しようと約束して帰って行った。
次の日せこと木の子は約束通りこの大きな栗の木に集まり昨日の続きの対決をした。しかし決着つかない、お腹が減ったので帰って行く。
その次の日もまた栗の木の下で対決をした。それでも決着がつかない。そこでお互い明日は一人だけ助っ人を呼んで良いことにして、お腹が減ったので帰って行った。
せこと木の子の勝負が始まって4日目の日、それぞれが助っ人を連れて栗の木の下に集まっていた。
木の子:
よ~し今日こそは決着をつけてやるぞ!おどろくなよ~助っ人さんお願いします!
木の子がそう言い終わるかどうかといったところで後ろの方からすごい勢いで飛び出して来た者があった!飛び出してきたのは毛むくじゃらの一本足の大きな妖怪だった!それはせこたちの群れに突っ込んでいき2~3人のせこを跳ね飛ばした!しかし、その毛むくじゃらの妖怪もぴたりと止まってしまった!目の前に壁が立ちふさがっていたのだ、そして逆に毛むくじゃらをはじき飛ばした!
せこ:
どうだ恐れ入ったか!オイラたちが呼んだぬりかべさんはお前たちじゃ歯が立たないだろ~。
木の子:
いやまだまだだ~!オラたちの助っ人の一本ダタラさんだって昨日たくさんお酒を飲ませたからまだまだ止まらないんだぞ~!
どうやら普段はおとなしい一本ダタラとぬりかべであったが酒のせいで正気を失っているらしい。二人はぶつかり合って何度も何度も力くらべをしている。そんな妖怪たちがワイワイやっている所にそ~っとやって来て大きな栗の木に登り上からニヤリと笑って見ている大きな黒い影があった。その黒い影はせこと木の子が助っ人二人の力くらべに夢中になっているのを確かめるとネバネバした糸を飛ばしてそれぞれ1人づつを木に上に引き上げた。そしてまた糸を飛ばし次の2人を捕まえようとした時せこと木の子に気づかれた。
せこ:
だれだ~オイラたちの仲間を変な糸で捕まえようとしてるのは?
木の子:
お、お前は悪い妖怪の代名詞、土蜘蛛だな!仲間を返せ~~!
土蜘蛛:
ワッハハハ、お前たちのような弱い妖怪たちがいくら集まってもこのオレ様にかなうわけないだろ~!全員オレ様が食ってやる、ハハハハ。
土蜘蛛がそう言って笑っているすきにせこと木の子たちは一本ダタラとぬりかべにさらに強い酒を飲ませた!すると一歩ダタラは鼻息荒く走り出し土蜘蛛が登っている栗の木に激突した!不意を突かれた土蜘蛛は栗の木から落ちてきた。そこに酔っ払いフラフラしたぬりかべが倒れた。土蜘蛛はぬりかべに押しつぶされ目を回し気絶した。
せこ:
やったー!どうだ土蜘蛛、オイラたちみんなが力を合わせればどんな奴にだって負けないのさ~!
木の子:
そうだそうだ!オラたち一人ひとりは弱いけどみんなが力を合わせればとっても強いんだ!
こうしてせこと木の子は笑顔で肩を組んだ。しかし、その光景を見て山から降りてきたさらに大きな影があった。そしてその影は立ち上がった一本ダタラとぬりかべにネバネバの糸を吐き動けなくした。
大土蜘蛛:
フフフフフ、よくもアタイの旦那に痛い目に合わせてくれたな。さあそれじゃあアタイたちのメシになってもらおうかね~。さあどいつからだ?
先ほど倒した土蜘蛛よりも二回り大きい土蜘蛛にすごまれ、せこと木の子たちはさすがにもう自分たちでは太刀打ちできないと解った。
せこ・木の子:
神様、お願いですオイラ(オラ)たちを助けてください!
すると急に空が真っ暗になり空から何かが降って来た!ダイダラボッチ:あら?何か踏んずけた?いやだ~ワタシ蜘蛛は嫌いなのよね~なのに2匹も踏んずけてるじゃない!いやだいやだ。その大きな影、ダイダラボッチの足からペッちゃんこになった土蜘蛛が2匹ひらりひらりと落ちてきた。
ダイダラボッチが去ってゆく背中手を合わせながら、せこと木の子は抱き合って喜んだ。そして栗の実は仲良く取って半分づつ分けて帰って行ったのだった。
