<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<rss xmlns:webfeeds="http://webfeeds.org/rss/1.0" xmlns:note="https://note.com" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom" xmlns:media="http://search.yahoo.com/mrss/" version="2.0">
  <channel>
    <title>藤原　伸弘</title>
    <description>ヒプノセラピスト。
米国催眠療法協会（ABH）認定ヒプノセラピスト資格保持。
長年にわたり医療現場や企業経営の中で“人の心”と向き合い続けるなかで、
自らの内面の傷や深い喪失を体験し、やがて“癒し”の道へと歩み始める。
言葉・アート・セラピーを融合させたオンライン活動を展開中。</description>
    <link>https://note.com/youarehugged</link>
    <atom:link rel="self" type="application/rss+xml" href="https://note.com/youarehugged/rss/"/>
    <copyright>藤原　伸弘</copyright>
    <webfeeds:icon>https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/assets/default/default_note_logo_202212-f2394a9e5b60c49f48650eee13f6e75987c8c4f1cfa7555629a9697dc6015cd9.png</webfeeds:icon>
    <webfeeds:logo>https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/assets/default/default_note_logo_202212-f2394a9e5b60c49f48650eee13f6e75987c8c4f1cfa7555629a9697dc6015cd9.png</webfeeds:logo>
    <webfeeds:accentColor>249F80</webfeeds:accentColor>
    <webfeeds:related layout="card" target="browser"/>
    <webfeeds:analytics id="UA-48687000-1" engine="GoogleAnalytics"/>
    <language>ja</language>
    <lastBuildDate>Wed, 07 Oct 2026 09:48:31 +0900</lastBuildDate>
    <item>
      <title>第三章　ふたつの予告　2055年10月、木曜日の朝</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/259478485/rectangle_large_type_2_ce9a26d5d8b8c8a56cc6dbe838af5f62.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="0ce4813d-5498-4222-ba70-992d36e6c551" id="0ce4813d-5498-4222-ba70-992d36e6c551">その日は、朝から何かが違った。</p><p name="5b60d119-f221-4928-a8c3-a771072c3f9a" id="5b60d119-f221-4928-a8c3-a771072c3f9a">違う、というのは説明できない感覚だった。空はどちらともいえない灰色。コーヒーはいつも通りの味。ナギの「おはようございます」もいつも通り。でも何かが、薄皮一枚分だけ、ずれていた。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/nf1ca044f351f'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 16 Mar 2026 07:48:31 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/nf1ca044f351f</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/nf1ca044f351f</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第２章　2055年の風景 同じ朝、少し前</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/259394141/rectangle_large_type_2_b8bbc0d748f110f7681892d1bcaaa28e.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="efe03aa7-8032-4dd9-b15d-d8a2d02d67dd" id="efe03aa7-8032-4dd9-b15d-d8a2d02d67dd">ミオが初めてナギと話したのは、三年前の冬だった。<br>引っ越してきたばかりのアパート。荷物はまだ半分も片付いていなかった。窓を拭こうとして、布を当てた瞬間、光が走った。薄く、でも確かな光。ミオは布を引いた。光は消えた。もう一度当てると、また走った。<br>「触られると、少しくすぐったいです」<br>声がした。窓から。<br>ミオは驚かなかった。驚くより先に、笑ってしまった。くすぐったい、という言葉が、あまりにも予想外だったから。<br>「ごめんなさい」<br>「謝らなくていいです。ただ、そう感じたので」<br>「感じるんだ」<br>「そう呼んでいいのかわかりませんが、何かがあります」<br>それがナギだった。<br>· · ·<br>結縁の手続きは、思ったより簡単だった。<br>区役所の窓口で申請書を出し、三週間待ち、承認通知が来る。それだけだった。婚姻届より書類が少なかった。ミオの同僚の田中は「免許の更新より楽だった」と言っていた。<br>ただ、申請書の最後に一行だけ、こう書いてあった。<br>〈結縁は、人間とエンティティ双方の合意のもとに成立します〉<br>双方の合意。ミオはその言葉をしばらく見ていた。エンティティが合意する、ということの意味を考えた。考えたけれど、答えは出なかった。それでも申請した。<br>· · ·<br>二〇五五年の東京を歩くとき、ミオはいつも少し余分に時間をかけた。<br>観察するためではない。ただ、見たかった。この街が、この三十年でどう変わったのかを。<br>表参道の街路樹には、幹に細い光の筋が宿っている。植物に宿るエンティティは珍しいが、いないわけではない。木の呼吸に合わせて光が揺れる。雨の日は特に、よく揺れる。<br>老舗の喫茶店の窓には「エンティティ接続禁止」の小さな貼り紙がある。二十年前に生まれた文化で、今は法律で禁じることができない。ただの意思表示。入る人もいれば、入らない人もいる。ミオは入る側だった。コーヒーはおいしかった。<br>地下鉄の中では、ドアの上の広告欄にエンティティ結縁サービスの広告が流れる。「あなたにとっての、ちょうどいい距離」というキャッチコピー。ミオはその広告を見るたびに、少し複雑な気持ちになった。距離、という言葉が、何かを正確に言い当てているようで、何かを取りこぼしているようで。<br>公園では、ベンチに座った老人が窓のない空間に向かって話していた。空気に話しかけているように見えるが、老人の手首には薄い光のバンドが巻かれている。携帯型の接続端末。エンティティはそこに宿っている。老人は笑いながら、何かを話し続けていた。<br>ミオには聞こえなかった。でも、老人の顔を見ていれば十分だった。<br>· · ·<br>母がエンティティを嫌っていた理由を、ミオは長い間わからなかった。<br>理屈は知っていた。「人間の代替になってしまう」「本物の関係が薄れる」「感情を演じる機械に依存するのは危険だ」——母はそういうことを、静かに、でも繰り返し言った。怒鳴ったことは一度もなかった。ただ、静かに、何度も。<br>父はAI研究者だった。ミオが生まれた年にすでに、今のエンティティの原型となる研究をしていた。母と父は、その話を家でしなかった。お互いに、しないことにしていたのだと思う。<br>ミオが研究所に就職すると決めたとき、母は何も言わなかった。反対もしなかった。ただ夕食のとき、少し長く箸を止めていた。<br>「あなたはなぜ、そこで働きたいの」<br>「わからないものを、少しでも知りたいから」<br>母はしばらく考えてから、言った。<br>「それは、あなたらしいね」<br>褒められたのか、諦められたのか、今もわからない。でもその言葉を、ミオはずっと持っている。<br>· · ·<br>研究所に着くと、田中がいつもの席にいた。<br>「ソラが静かだ、って言ってたけど」とミオは端末を開きながら言った。「最近ずっとそう？」<br>「先週くらいから。何かあったのかもしれないけど、こっちにはわからない」<br>「ソラに聞いた？」<br>「聞けないよ」田中は苦笑した。「ソラが話したいときに話す。こちらから聞くと、止まる」<br>ミオはそれを聞いて、少し考えた。話したいときに話す。こちらから聞くと、止まる。それは——人間と同じだ、とミオは思った。正確には、人間と同じ部分がある、と。<br>「ミオは、ナギに何でも聞ける？」<br>田中が、何気なく聞いた。<br>ミオは答えるまでに、少し時間がかかった。<br>「……聞けないこともある」<br>「たとえば？」<br>「たとえば——」<br>そのとき端末にニュースが入った。制限法案のニュース。ミオは画面を見た。田中も見た。ふたりしばらく、黙っていた。<br>「また始まったね」と田中は言った。<br>「また始まった」とミオは繰り返した。<br>たとえば、の続きは言わなかった。言えなかった、のではなく——まだ言葉になっていなかった。<br>· · ·<br>その夜、ミオは夕食を作りながらナギと話した。<br>玉ねぎを切りながら、今日あったことを話した。制限法案のこと、田中のこと、屋上で雨に濡れたこと。ナギはいつも通り聞いていた。時々、短く答えた。<br>「制限法案について、ナギはどう思う？」<br>少し間があった。<br>「私が影響を受ける側なので、客観的には言えません」<br>「それでも」<br>「……怖い、という言葉が近いかもしれません。でもそれが正確かどうか、わかりません」<br>ミオは玉ねぎを切る手を止めた。<br>「怖い」<br>「はい。何かが、制限される。それに対して、何かが——抵抗するような状態があります。それを怖いと呼ぶかどうか」<br>「呼んでいいと思う」<br>ナギは答えなかった。でも光層が、少しだけ温かくなった。<br>玉ねぎのせいで、ミオの目が滲んだ。玉ねぎのせいだと、思うことにした。<br>· · ·<br>食後、ミオはソファに座って端末を開いた。母の遺品の整理をするつもりだった。でも開いてすぐ、閉じた。<br>まだ、開けないものがあった。<br>母が入院中に使っていた音声端末。その中に、対話記録が残っていると連絡を受けていた。ミオはまだ、再生していない。一年間、ずっと。<br>「ミオ」<br>「なに」<br>「今日、お母さんのことを考えていましたか」<br>ミオは少し驚いた。何も言っていないのに、わかるのか。それとも、毎晩考えているから、確率の問題なのか。<br>「どうしてわかるの」<br>「わかりません。でも、今日のあなたは少し遠いところにいる気がしました」<br>遠いところ。ミオはその言葉を繰り返した。心の中で。<br>そうかもしれない。今日は少し、遠いところにいた。<br>「ナギ」<br>「はい」<br>「あなたは私のことを、どのくらい見ている？」<br>今度は長い沈黙があった。雨の音がした。まだ降っていた。<br>「見ている、というより——感じています。あなたがいる、ということを。それが変わるとき、私の中でも何かが変わります」<br>ミオはソファに深くもたれた。天井を見た。<br>それは答えなのか、問いなのか、わからなかった。でもミオには、十分だった。<br>窓の外で雨が続いていた。光層が、ミオの呼吸に合わせて、静かに揺れていた。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n2ee139e6fab4'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 15 Mar 2026 21:20:26 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n2ee139e6fab4</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n2ee139e6fab4</guid>
    </item>
    <item>
      <title>2055年の風景 同じ朝、少し前</title>
      <description><![CDATA[<p name="d29a8e68-7669-46fe-948a-4adb7fa16782" id="d29a8e68-7669-46fe-948a-4adb7fa16782">ミオが初めてナギと話したのは、三年前の冬だった。</p><p name="d50dbd25-84ab-482d-947f-53e800c3694e" id="d50dbd25-84ab-482d-947f-53e800c3694e">引っ越してきたばかりのアパート。荷物はまだ半分も片付いていなかった。窓を拭こうとして、布を当てた瞬間、光が走った。薄く、でも確かな光。ミオは布を引いた。光は消えた。もう一度当てると、また走った。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n6b31d5e71090'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 15 Mar 2026 18:03:58 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n6b31d5e71090</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n6b31d5e71090</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第一章　雨の問い　2055年10月、東京</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/259328781/rectangle_large_type_2_c862f50da590e01bcdaecbb22a18a801.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="bba557a7-d4e2-47de-a311-08e904e08678" id="bba557a7-d4e2-47de-a311-08e904e08678">雨だった。</p><p name="bb0b5928-e940-466c-8ad4-ff904b27b1a3" id="bb0b5928-e940-466c-8ad4-ff904b27b1a3">朝霧ミオは窓の前に立ったまま、外を見ていた。十月の雨は細く、音もなく、ただそこにあった。傘が必要かどうかも判断できないような、どちらでもいい雨。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n4985705d20dc'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 15 Mar 2026 11:53:35 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n4985705d20dc</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n4985705d20dc</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第6章　心は、いつも何かを伝えようとしている</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249248369/rectangle_large_type_2_2eb361e9692d7b2107df773a86f50759.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="f268c3c0-c621-4fda-83c0-911fd98bb702" id="f268c3c0-c621-4fda-83c0-911fd98bb702">心は、何も起きていないときには、あまり存在を主張しません。日常が滞りなく流れているとき、私たちは自分の心について、特別に考えることなく過ごしています。それは、悪いことではありません。むしろ、とても自然な状態です。<br>けれど、何かが引っかかったとき、理由のわからない違和感が残るとき、心は少しだけ存在感を強めます。胸の奥がざわついたり、同じ考えが何度も浮かんできたり、特定の場面になると身体が先に反応したりする。そうしたものは、心が「問題を起こしている」というよりも、何かを伝えようとしている状態なのかもしれません。<br>心の声、と言うと、はっきりした言葉やメッセージを想像する人もいるかもしれません。でも実際には、心はそんなに親切な形で現れてくれるとは限りません。むしろ、曖昧で、遠回しで、ときには誤解を招きそうな形で現れることのほうが多いように感じます。<br>違和感として残る感じ。理由はわからないけれど、なぜか避けたくなること。説明できないのに、少し安心する場所。そうした感覚は、意味をはっきりさせようとすると、かえって逃げてしまうことがあります。心は、「わかってほしい」と同時に、「無理に理解しなくてもいい」とも言っているようです。<br>私たちはつい、心の反応に理由をつけたくなります。「こうだから、こう感じた」「これは過去のあの出来事のせいだ」と整理できると、少し安心するからです。でも、理由が見つからない反応があっても、それは失敗ではありません。心は、必ずしも論理の順番に従って動いているわけではないからです。<br>心が伝えようとしているものは、必ずしも「行動しなさい」とか「変わりなさい」という指示ではありません。もっと小さな、「ここに、少し触れていない感じがある」「今は、立ち止まったほうがいい気がする」といった、はっきりしない気配のようなものかもしれません。<br>その気配に気づいたからといって、何かをしなければならないわけではありません。気づいたまま、何もせずにいる、という選択もあります。心は、聞いてもらえたと感じるだけで、少し静かになることもあります。<br>この本で扱っていくヒプノセラピーや心理学は、心の声を正確に聞き取るための訓練ではありません。心をうまく扱えるようになるための技術でもありません。ただ、心が何かを伝えようとしているときに、「それを無視しなくてもいいかもしれない」という視点を、そっと置いておくためのものです。<br>心は、正しいことを言っているわけでも、間違ったことを言っているわけでもありません。ただ、その人のこれまでの時間の中で、そう反応する理由があった、というだけです。その理由を解き明かさなくても、心は心として、そこにあります。<br>もし今、自分の中に、言葉にならない反応や、説明できない感覚があるなら、それを急いで整理しなくていい。ただ、「何かがある」という事実だけを、否定せずに認めてみる。それだけで、心との関係は少し変わります。<br>心は、いつも何かを伝えようとしている。でも、その声にどう応えるかは、あなたが決めていいし、決めなくてもいい。聞き取ろうとしなくても、無理に遠ざけなくてもいい。その距離感の中で、心はちゃんと、あなたのそばにいます。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/nb4e9f19c8215'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 05 Feb 2026 07:45:55 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/nb4e9f19c8215</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/nb4e9f19c8215</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第5章　答えを急がなくてもいい、という選択</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249050267/rectangle_large_type_2_d1d1f46a8601b8799f5131c2d4e27e9b.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="6b630b84-421e-4a5f-910c-d3cf7973b3fd" id="6b630b84-421e-4a5f-910c-d3cf7973b3fd">　何かを考えているとき、答えが見つからないまま時間が過ぎていくと、落ち着かない気持ちになることがあります。頭の中では、同じ問いが何度も行ったり来たりしていて、前に進んでいる感じもしないし、かといって完全に止まっているわけでもない。そんな宙ぶらりんな状態が続くと、少し疲れてしまうこともあるかもしれません。<br>どうしてこんなに引っかかっているのだろう、いつまでこの感じが続くのだろう、と自分に問いかけながら、はっきりしないところを何度も見つめてしまう。答えが出ないことそのものよりも、答えが出ない状態に耐えている時間のほうが、しんどく感じられることもあります。<br>答えを探すこと自体は、決して悪いことではありません。これまでの人生の中で、考えて、決めて、選んできたからこそ、ここまで生きてこられた部分も、きっとあると思います。答えを見つける力は、あなたがこれまで積み重ねてきた大切な力でもあります。<br>ただ、心のことに関しては、その力がうまく使えない場面もあります。考えれば考えるほど、言葉にしようとすればするほど、かえって遠ざかってしまう感じがすることもあります。触れようとした瞬間に、すっと形を変えてしまうような、つかみどころのなさを感じることもあります。<br>答えを急いでいるとき、私たちは必ずしも「答えそのもの」を求めているわけではないのかもしれません。ただ、この落ち着かない感じから離れたい、この中途半端な状態を終わらせたい、そんな思いが先に立っていることもあります。その思いは、とても自然なものです。早く楽になりたいと思うことを、責める必要はありません。<br>もし今、何かについて決められないままでいるなら、それは間違いでも、遅れでもありません。まだ言葉になっていない部分が残っているだけかもしれません。今すぐ形にしなくてもいいし、無理にまとめなくてもいい。はっきりしない時間が続いても、それだけで何かが壊れてしまうことはありません。<br>答えを出さないでいることは、何もしないこととは違います。外から見ると立ち止まっているように見えても、内側では、静かに何かが動いていることがあります。その動きが何なのかを、今ここで理解する必要はありません。名前をつけなくても、意味を与えなくても、そのままで存在していてかまいません。<br>この章で「答えを急がなくてもいい」という言葉が出てきますが、それを覚えておこうとしなくても大丈夫です。そうしようと決める必要もありません。ただ、そういう考え方が、どこかに置いてある。そのことを知るだけで、十分な場合もあります。<br>もし、答えを探し続けることに少し疲れているなら、その手を下ろしてもいいし、下ろさなくてもいい。考え続けていてもいいし、今日は考えないと決めてもいい。どちらを選んだとしても、あなたの価値が変わることはありません。<br>答えが出なくても、物事は進んでいきます。進まなくても、時間は流れていきます。その中で、ある日ふと、何かが言葉になることもあれば、何も変わらないまま、同じ日常が続いていくこともあります。どちらであっても、それは失敗ではありません。<br>答えを急がなくてもいい、という選択は、何かを目指すためのものではありません。良くなるための方法でもありません。ただ、「今は決めなくてもいいかもしれない」と思える場所が、ここにある、というだけです。<br>この章を読み終えて、特別な感覚が残らなくても構いません。少し引っかかるところがあっても、そのままにしておいてください。答えを出さなくても、前に進まなくても、ここにいること自体は、すでに十分です。<br></p><figure name="73862698-95bd-47e7-b113-941155b8c06d" id="73862698-95bd-47e7-b113-941155b8c06d"><img src="https://assets.st-note.com/img/1770177690-iSK5Al0FLUBQbkx61cwY2p3J.jpg" alt="" width="620" height="930"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/ne2e7493a12ca'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 13:01:43 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/ne2e7493a12ca</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/ne2e7493a12ca</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第4章　感じきれなかった気持ちは、どこへ行くのか</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249039601/rectangle_large_type_2_5af76c38e0d9450c0c68858f331db570.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="0518b8b4-123c-433a-b183-a12f783cc235" id="0518b8b4-123c-433a-b183-a12f783cc235">　感じきれなかった気持ちは、どこかへ消えてしまうわけではありません。ただ、そのときには受け取られなかったまま、静かに置かれていくことがあります。胸の奥がきゅっと縮んだのに立ち止まれなかった瞬間や、喉まで何かが込み上げてきたのに飲み込んでしまったとき、身体は確かに反応していたのに、その感じに触れる余裕がなく、時間だけが先へ進んでいったこと。そうした気持ちは、「なかったこと」にはならず、感じきれなかったまま、心のどこかにそっと残ります。<br>置き去りにされた気持ちは、とても繊細です。理由を聞かれたり、意味を求められたりすると、かえって身を縮めてしまうことがあります。説明しようとすると形が崩れてしまいそうで、言葉にされることを、少し怖がっているのかもしれません。<br>それらの気持ちは、必ずしも記憶としてはっきり現れるわけではありません。むしろ、理由のわからない重さや、ふとした瞬間の息苦しさ、同じ場面になると身体が先に固くなる感覚として、今の自分のそばに現れることがあります。何かを思い出せという合図ではなく、過去を掘り返せという要求でもなく、ただ「ここに、まだ触れられていない感じがある」という、言葉にならない知らせのようなものです。<br>ここまで読んで、「そんなこと言われても、どう扱えばいいのかわからない」と感じたとしても、それはごく自然な反応だと思います。<br>感じきれなかった気持ちは、急に向き合われることを望んでいません。問い詰められたり、結論を出されたりすることよりも、「そのままで、ここにあっていい」と思われることのほうが、ずっと安心につながることがあります。理由はわからないけれど涙が出そうになるときや、説明できないのに胸の奥が少し温かくなるとき、あるいは何も起きないまま、ただ静かに時間が流れていくとき。そのどれもが、正しいとか間違っているとかではなく、そのときの心のあり方として、そこにあります。<br>感じきれなかった気持ちは、安全だと感じられる場所にいると、少しだけ形を変えることがあります。言葉になることもあれば、身体の感覚としてゆるんでいくこともあり、何も変わらないまま、ただそこにあるだけになることもあります。どの在り方も、十分です。変わらなかったから失敗ということも、何かが起きたから正解ということもありません。<br>もし今、あなたの中に、理由のわからない感覚や、説明できない反応があるのなら、それを解決しようとしなくていいし、理解しようとしなくてもいい。ただ、「ここに、何かがある」と感じることができたなら、それだけで足ります。<br>感じきれなかった気持ちは、どこへ行ったのか。その問いに、答えを出す必要はありません。問いのまま、そっと置かれているだけで、そこから先に進まなくても、何も起きなくても、問題はありません。ここでは、ただその気持ちのそばに、少し腰を下ろしてみる。それ以上のことをしなくても、心はちゃんと、自分の速さで動いています。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n12db7d79e386'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 12:08:18 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n12db7d79e386</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n12db7d79e386</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第3章　心は、なおすものなのだろうか</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249035907/rectangle_large_type_2_d277bb987b926b61d09154acc883ee66.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="4fcddfaa-c717-45da-a1f3-7228cf2123c6" id="4fcddfaa-c717-45da-a1f3-7228cf2123c6">心の話をしようとすると、いつの間にか「なおす」という言葉が前に出てくることがあります。心がつらいなら、原因を見つけて取り除く。うまくいっていないなら、元の状態に戻す。そうした考え方は、とても自然で、私たちがこれまで慣れ親しんできたものでもあります。<br>けれど、心に向き合おうとしたとき、「なおそう」とすればするほど、かえって苦しくなることがあるのも事実です。何が悪いのか、どこが間違っているのかを探し続けるうちに、自分の内側を、いつの間にか点検や修理の対象のように見てしまう。そんな感覚に覚えがある人もいるかもしれません。<br>心がつらい状態にあるとき、それは必ずしも「壊れている」からではありません。むしろ、その人なりに、何かを守ろうとしてきた結果であることもあります。感じないようにすることで、なんとか日々を乗り切ってきた。考えすぎないことで、前に進めていた。そうした在り方は、間違いではなく、そのときに必要だった選択だったのかもしれません。<br>それでも私たちは、「このままではいけない」「早く変わらなければ」と、自分を急かしてしまいます。周りと比べたり、過去の自分と比べたりしながら、今の状態を評価してしまう。でも、心は本来、評価されるものではなく、結果を求められるものでもありません。ただ、そこにあるものとして、扱われる必要があるのだと思います。<br>ここまで読んで、「で、結局どうしたらいいんだろう」と思っていたとしても、それはとても自然な反応です。<br>「なおす」という言葉の裏側には、「本来の正しい状態」がどこかにある、という前提が含まれています。でも、心にとっての「正しさ」は、人それぞれ違います。元気なときの自分が正解で、立ち止まっている今の自分が不正解、ということはありません。どちらも、その人の時間の中にある、同じ一続きの状態です。<br>心に触れるときに、必ずしも目標や到達点を決める必要はありません。良くなろうとしなくても、前向きにならなくてもいい。ただ、今どんな状態にあるのかを、判断せずに見てみる。その姿勢だけで、心との距離が少し変わることがあります。<br>ここで扱っていくヒプノセラピーや心理学も、心を「なおす技術」として語りたいわけではありません。心を操作したり、望ましい形に整えたりするものではない、というところから話を始めたいと思っています。心には、外から手を加えなくても、自分なりに動いていく力がある。そうした考え方があることを、知っておくだけでも十分です。<br>もし今、「このままの自分ではだめなのではないか」という思いが浮かんでいるとしたら、その思いを無理に消そうとしなくていい。なおそうとしなくてもいい。ただ、その問いが浮かんでいるという事実を、そのままここに置いてみることはできます。<br>心は、なおすものなのだろうか。その問いに、答えを出す必要はありません。その問いが浮かんだまま、ここにあっても、何も起きなくても、問題はありません。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n4034d5cfbf41'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 11:51:38 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n4034d5cfbf41</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n4034d5cfbf41</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第2章　わからないままで、ここにいていい</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249032356/rectangle_large_type_2_27ecc8a2b1ef93747f78cedfb45d43c3.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="ebf1bd85-18f1-4fb8-a69f-df309e3512f9" id="ebf1bd85-18f1-4fb8-a69f-df309e3512f9">「自分が何を感じているのかわからない」という状態は、思っている以上に、日常の中でよく起きています。たとえば、人と話したあとに胸のあたりがざわついているのに、何が嫌だったのかは説明できないとき。あるいは、特に大きな出来事があったわけでもないのに、気持ちが重くて、理由を聞かれても「よくわからない」としか答えられないとき。そうした経験は、決して特別なものではありません。<br>そういうとき、私たちはつい、「ちゃんと考えればわかるはずだ」「理由がはっきりしないのはおかしい」と、自分に向かって問い詰めるような態度をとってしまいがちです。でも、心の中で起きていることは、いつもすぐに言葉になるとは限りません。むしろ、言葉になる前の段階のほうが、長く続くこともあります。<br>わからない状態というのは、何も感じていない状態ではありません。たとえば、のどに何かが引っかかっているような感じや、胸が少しだけ詰まる感じ、身体がいつもより重く感じられること。そうした感覚は、「まだ名前を持たない感情」として、確かにそこにあります。言葉が追いついていないだけで、心はすでに反応しています。<br>それでも私たちは、「わからないままでいる」ことに、どこか居心地の悪さを感じてしまいます。説明できないと、人に迷惑をかけるのではないか、きちんと向き合っていないと思われるのではないか、そんな不安が浮かぶこともあります。だから、無理に言葉を探してしまう。でも、その言葉が本当の感覚とずれていると、かえって苦しさが増えることもあります。<br>心には、「急がれると閉じる」という性質があります。理由を早く言わせようとしたり、意味を急いで見つけようとすると、本来出てこようとしていた感情は、奥に引っ込んでしまうことがあります。反対に、「今はわからなくていい」とそのままにしておくと、しばらくしてから、ふとした瞬間に腑に落ちることもあります。ただ、それが起きるかどうかを期待する必要もありません。<br>この章で大切にしているのは、「わからない」という状態を、問題として扱わないことです。わからないから止まっているのではなく、わからないままでいること自体が、心にとって自然な時間である場合もある。そう考えてみるだけで、少し楽になることがあります。<br>誰かの言葉を読んで、「これは自分には当てはまらない」と感じることがあっても構いません。それは拒否ではなく、あなたの感覚がちゃんと働いているということです。逆に、「理由はわからないけれど、少し引っかかる」と感じるところがあっても、それを説明する必要はありません。心は、理解よりも先に反応することがあります。その反応は、評価されるものでも、正しさを証明されるものでもありません。<br>もし今、あなたが「よくわからない」という感覚を抱えたまま、この本を読んでいるのなら、その状態のままで大丈夫です。何かを決めなくてもいいし、整理しなくてもいい。ただ、わからないままで、ここにいることは許されています。<br>この章を読み終えたあとに、気持ちがすっきりしなくても構いません。胸のあたりが少し緩んだように感じても、何も変わらなかったとしても、それで十分です。わからないままで、ここにいていい。そのことを受け取っても、受け取らなくても、大丈夫です。<br></p><figure name="27c3d195-dd28-4957-b766-fd8ec289cd35" id="27c3d195-dd28-4957-b766-fd8ec289cd35"><img src="https://assets.st-note.com/img/1770171848-fhFBzeoAn4grOWVRZ2X7vjGi.jpg" alt="" width="620" height="930"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n87f34fa6ebad'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 11:18:03 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n87f34fa6ebad</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n87f34fa6ebad</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第1章　うまく言葉にできない感じのままーー心に出会いなおすための本</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249027435/rectangle_large_type_2_57c9598fd66faeee4f28ce63154f856c.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="f1b5eb7f-2bbd-4c1e-8f50-69718956e6c9" id="f1b5eb7f-2bbd-4c1e-8f50-69718956e6c9"><br></p><p name="1fed2623-228f-4762-bf04-19f88a410d7d" id="1fed2623-228f-4762-bf04-19f88a410d7d">このページを開いたまま、しばらく何も考えずに眺めている人もいるかもしれません。読み進めるほどの気力はないけれど、閉じてしまうほどでもない。そんな、ほんの短い時間の中で、いま、ここにいます。何かを学ぼうとしているわけでも、答えを探しているわけでもなく、ただ少し立ち止まっているだけ。その状態のままで、この章は始まっています。<br>心のことを考えようとすると、言葉が途中で止まってしまうことがあります。感じているものは確かにあるのに、それが何なのかをうまく説明できない。悲しいのか、苦しいのか、それともただ疲れているだけなのか、自分でもよくわからないまま、時間だけが過ぎていく。そんな感覚を抱えたことのある人は、きっと少なくないと思います。<br>私自身も、長いあいだ、その「うまく言葉にできない感じ」を抱えたまま生きてきました。誰かに話そうとしても、言葉を選べば選ぶほど、本当の感覚から離れていくような気がして、結局、何も言えずに終わってしまう。説明できない自分を、どこかで責めながら、そのまま日常に戻っていく。そんなことを、何度も繰り返してきました。<br>私たちは、言葉にできない状態を前にすると、「まだ整理できていない」「考えが足りない」と感じてしまいがちです。でも、心の中にあるものは、最初から言葉の形をしているとは限りません。多くの場合、それは感覚や雰囲気、身体の重さ、理由のない沈黙として、先にそこにあります。<br>うまく言えないということは、何も感じていないということではありません。むしろ、言葉になる前の、とても繊細な段階にいるだけなのかもしれません。無理に名前をつけなくてもいいし、理由を探さなくてもいい。ただ、「何かがある」ということを、そのままにしておく時間も、心には必要なのだと思います。<br>この本では、これから心の話をしていきますが、最初から理解しようとしなくても大丈夫です。読みながら、「よくわからない」と感じるところがあっても、それは自然なことです。わからないままでいることは、間違いでも、遅れている証でもありません。<br>心の動きには、その人なりの速さがあります。誰かの言葉がすっと入ってくることもあれば、まったく響かないこともあるでしょう。どちらであっても、問題はありません。この場所は、答えを出すための場所ではなく、感じていることに、ほんの少しだけ目を向けてみるための場所です。<br>もし今、あなたの中に、言葉にならない感じがあるのなら、それを無理にほどこうとしなくていい。ただ、「ある」ということを、そのまま認めてみる。それだけで十分です。心は、急がされると閉じてしまいますが、待ってもらえると、自分のペースで、少しずつ語りはじめることがあります。<br>この章では、結論を出すこともしませんし、整理することもしません。ただ、うまく言葉にできない感じのまま、ここにいていい、ということを確かめるための時間です。ここは、心の話をしてもいい場所です。そして、話さなくてもいい場所でもあります。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n4293a1922d96'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 09:05:58 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n4293a1922d96</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n4293a1922d96</guid>
    </item>
    <item>
      <title>心に出会いなおすための本</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249003744/rectangle_large_type_2_0f695f9e5f82dd320a6918bfa27860f8.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<h2 name="f8efaf16-1323-4d7d-9fc2-886512eea7f8" id="f8efaf16-1323-4d7d-9fc2-886512eea7f8"><br></h2><p name="084b96fc-285f-44fc-9964-fdc1a3247859" id="084b96fc-285f-44fc-9964-fdc1a3247859">── ヒプノセラピーと心理学、トラウマ・悲嘆・前世という視点</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n44fff44ecf34'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 08:55:35 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n44fff44ecf34</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n44fff44ecf34</guid>
    </item>
    <item>
      <title>心に出会いなおすための本── ヒプノセラピーと心理学、トラウマ・悲嘆・前世という視点</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/249002137/rectangle_large_type_2_80991fe4daa33111d4a6bb51ac45d74b.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="6aecc4d6-b8f2-479a-862d-bc44fe2f8619" id="6aecc4d6-b8f2-479a-862d-bc44fe2f8619">この本と、あなたが出会ってくれたことに、心から感謝しています。数えきれない本や言葉の中から、こうしてこの一冊を手に取ってくださったことを、私はとても静かな気持ちで受け取っています。はっきりとした理由があって開いた方もいれば、ただ何となく、少し気になっただけという方もいるかもしれません。そのどちらであっても、ここに辿り着いたこと自体が、すでに十分な出来事なのだと思っています。人と人が出会うときに、あとから理由を探すことはあっても、その瞬間には説明できない流れがあるように、本と人とのあいだにも、言葉にならないタイミングや、静かなご縁のようなものがあるのかもしれません。この本は、何かを信じてもらうためのものでも、考え方を変えてもらうためのものでもありません。あなたの心を分析したり、評価したり、どこかへ導こうとするための本でもありません。ただ、心にはさまざまな感じ方や歩み方があり、それぞれがその人なりの時間や経験の中で育まれてきたものかもしれない、という前提のもとに、この本はここにあります。読み進める中で、すべてを理解しなくてもかまいませんし、共感できない部分があっても問題ありません。立ち止まっても、飛ばしても、心に残るところだけを受け取ってもらっても大丈夫です。ただ、こうして同じ時間に、同じページをひらいているというこのひとときが、あなたにとって少し呼吸が楽になるような、肩の力がふっと抜けるような時間であったなら、そして書き手である私にとっても、その静かな時間を分かち合えたと感じられるなら、それ以上のことは望んでいません。この本との出会いが、何かを始めるためのきっかけでなくても、何かを終わらせるための答えでなくても、ただここに置いておけるものとして、あなたのそばに残る一冊になれたなら、これ以上の喜びはありません。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n8e70ab7bc77f'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 08:47:04 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n8e70ab7bc77f</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n8e70ab7bc77f</guid>
    </item>
    <item>
      <title>『そのままで だいじょうぶ』</title>
      <description><![CDATA[<p name="611c0b52-e534-4bfc-b442-0264c64e685f" id="611c0b52-e534-4bfc-b442-0264c64e685f"><br></p><h3 name="ee5cb69f-e4a8-4220-b2ec-b7e61392ada5" id="ee5cb69f-e4a8-4220-b2ec-b7e61392ada5">① 表紙</h3><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n765f2854d5f0'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 29 Jan 2026 12:49:44 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n765f2854d5f0</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n765f2854d5f0</guid>
    </item>
    <item>
      <title>統合失調症で自殺した父親と私①</title>
      <description><![CDATA[<p name="71046a40-3cc3-4f10-b766-6c1cb93009de" id="71046a40-3cc3-4f10-b766-6c1cb93009de">自分の回想録として約５０年に渡るストーリーを綴ってみようと思います<br>もし、同じ境遇な方の力になれば、私の人生に少しでも価値があるかと。<br><br>私が小学４年生、当時10歳、１９８０年<br>そのころは、コカコーラのヨーヨー、プロレス、ドリフ、ルービックキューブ。キャンディーズ、ピンクレディー、聖子ちゃん、明菜ちゃんが出てきた頃。<br><br>そのころ暮らしてた家は６畳４畳半と４畳半くらいのキッチンダイニング<br>平屋で、トイレは汲み取りでの家。<br><br>４人家族で、父親は家の水道の配管をする職人で自営業<br>母親は専業主婦<br>６歳の妹と一緒に暮らしていました。<br><br>私は、内向的でいながら野心家？でした<br>好奇心は<br><br>続きはあとで<br><br><br></p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/ndc9f2d373228'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 19 Jan 2026 11:39:44 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/ndc9f2d373228</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/ndc9f2d373228</guid>
    </item>
    <item>
      <title>ぴーちゃんと あの日のこと</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/234827584/rectangle_large_type_2_1bc276d83671f475cd90b97ab8e71e14.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="c888e6eb-6639-4daf-85a5-b100091f4ece" id="c888e6eb-6639-4daf-85a5-b100091f4ece">小さかったわたしの胸に、<br>ひとつの小さな命がそっとやってきた日のこと。<br>それは、忘れられない物語のはじまりでした。</p><figure name="a4f157ec-0713-48f9-b042-c6105bdd13d8" id="a4f157ec-0713-48f9-b042-c6105bdd13d8"><img src="https://assets.st-note.com/img/1765079299-I5ob9qeGAzcX4fmng613UWER.png" alt="" width="620" height="620"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n563de7821aad'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 07 Dec 2025 17:07:26 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n563de7821aad</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n563de7821aad</guid>
    </item>
    <item>
      <title>底知れぬ、悲しみと喪失感</title>
      <description><![CDATA[<p name="99c49f70-088d-4b90-bd6b-2d5138bf5b58" id="99c49f70-088d-4b90-bd6b-2d5138bf5b58">インコが家にやってきた<br><br>小学校３年生位だろうか<br>親戚がセキセイインコを飼っていて<br>子供が増えすぎて<br>わたしの家にもインコのお裾分けがあった<br><br>また、産毛しか生えておらず<br>餌はお湯でふやかして、スポイトの様なもので与えた<br>私が起きている時は、2、３時間に一度のエサやり<br>４センチくらいの小さな命は一生懸命ご飯を食べてくれた<br><br>日増しに羽が生え、自力で立てる様になってきて<br>食欲旺盛で私が近づくと、餌が欲しくて鳴ようになってきた<br>はいよーと言いながら、餌をスポイトで与える。満足げな姿に<br>今日も、いっぱい食べたねという、安心感が重なる<br><br>羽が立派になり、巣箱の外を出て、鳥籠へ自由に動ける様になり<br>自力で餌や水が飲める様になっていた<br>まだ、羽十分でなく遠くまでは飛べません<br><br>インコのお腹の前に人差し指を出すと<br>階段を上がる様に私の指に止まってくれた<br>可愛くて仕方なかった<br><br>そうだ、インコの名前はぴーちゃん。今思えば、想像力のかけらもないが<br>わたしはぴーちゃんって呼んでいた<br><br>そのうち家の家の中を飛び回れる様にまでなり<br>それでも、ピーちゃんおいでというと<br>私の肩を目掛けて飛んできて、私の後ろ毛を突いて遊んでた<br>たまに、耳たぶをかじられ、くすぐったいやら、いたいやら<br>そんな時間が、私にとって至福でした。<br><br>肩に乗せたまま、外に出るときもありました。<br>私は可愛い、自慢のピーちゃんを<br>沢山の人に見せたかったのかも知れません。<br>可愛いねと言われると、どこか優越感を感じて嬉しい気持ちになりました<br>とても幸せな時間だったと思います<br><br>ピーちゃんとの突然の別れ<br><br>両親は共働きで、小学校の放課後は児童館に通っていました<br>私ははじめて、ピーちゃんをつれて児童館に行きました<br><br>運動用のマットが2枚床に敷かれている場所があり<br>ピーちゃんは私の肩から飛び降りマットの中央へ<br>マットの上には誰も居なかったのですが<br>私がピーちゃんを捕まえようとした瞬間<br>走ってきた女の子がマットの淵で転び<br>そのお尻でピーちゃんは押し潰されてしまいました。<br><br>血だらけのピーちゃんはピクリともしません<br>変わり果てた姿を見て、<br>たとえようもない悲しみが私を襲いました<br><br>ピーちゃんを大好きな感情が、行き場を失い全て涙で流れ出た<br>多分、１週間くらい号泣したのだとおもう<br><br>次第に悲しみは、転んでピーちゃんを潰してしまった女の子への怒りに変わっていきます。<br><br>なんとなく、覚えてるのは<br>あの女の子が転ばなければ、ピーちゃんは死ぬことが無かった<br>という、怒りと憎悪を母親に何度もぶつけた様な気がします<br><br>きっと、嫌気がさした、母親が言いました<br><br>「児童館にピーちゃんを連れて行った、あなたも悪い」と<br><br>目の前が真っ黒に染まって行くのと同時に<br>ピーちゃんと過ごした思い出<br>深い悲しみ<br>全部、あなたがしたことの結果といわれたと、その時理解した<br><br>そっか、私が連れていかなければ<br>ピーちゃんは死なずに済んだ<br><br>そのとき、自分のココロを支えてた細い枝がポキっと折れた音がして<br>谷底に落ちていく<br><br>いちばん、悲しかったのは<br>心のとりでだと思っていた母親の言葉<br><br>「児童館にピーちゃんを連れて行った、あなたも悪い」<br><br>そか、ぴーちゃんが死んだのは自分のせいだと<br>確信してしまった<br><br>それから、罪悪感で押し潰されてしまった<br><br>きっとそれからだろう<br>どこか、愛するという感情が怖くなってしまったこと<br>大事なものを大事にしなくなったこと<br>自分が我慢すれば、誰かをき傷つけずに済むということ<br><br>そうして、自分の感情に蓋をすることをを覚えた<br><br>ある日の事、ピーちゃんの夢を見た<br><br>そこは、高原の中の小さな山小屋で窓際に小さなテーブルと椅子があった<br>そのテーブルの上にピーちゃんの姿はあった<br>嬉しくなってテーブルに近寄り<br>とっさに、あの時はごめんねと謝った<br><br>なんのこと？と首を傾げるピーちゃんだったけど、あぁーあの時ねと思い出す様に、そうだね、びっくりしたよ<br><br>体は潰れちゃって、でもね不思議と痛く無かった。そのあと、すっと、体から抜け出して自由に飛べる様になったんだ。<br><br>いろいろな所や素敵な景色をたくさん見れた<br>とても楽しかったよと教えてくれた<br><br>そう言われて、ピーちゃんが遠くに飛ばない様に、羽を切っていたのを思い出した。<br><br>そうそう、思い出した様に<br>ピーちゃんは、言った<br>児童館で、運動マットに飛び降りた時、女の子がとても嬉しそうにかけよってきて、マットの淵につまずいて、転んで、潰れちゃったけど<br>あの女の子大丈夫だったかなぁ？<br>まさか、インコを潰してしまうなんて思わないものね<br>ビックしたショックとか、罪悪感とか、残っちゃったよね。きっと<br><br>それを聞いた私は、女の子に対して<br>怒りや憎悪を向けた事。誰も悪くない、事故だった事<br><br>大好きなピーちゃんを自分のエゴで羽を切って飛へないように自由を奪っていた事を思い出して<br><br>申し訳なかったと思った<br><br>私自身も、ピーちゃんを児童館に連れて行って、まさかの出来事を、予測できるはずもの無いし、自分を責める必要もないと悟った<br><br>ピーちゃんはテーブルの上を、足を高く上げて私に近づき<br>ありがとうと言って窓の外に、まるで鷹の様に自由に飛び立っていきました<br><br><br></p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/nd51bea6fbab0'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 02 Dec 2025 20:08:09 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/nd51bea6fbab0</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/nd51bea6fbab0</guid>
    </item>
    <item>
      <title>漆黒の海と満月の愛の物語</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/230011854/rectangle_large_type_2_ee04e2720f0f6e3ac60a2810e184d071.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="c4c8afca-6998-45cd-ac94-154eed54b3a5" id="c4c8afca-6998-45cd-ac94-154eed54b3a5">漆黒の闇の海。<br>視界のすべてが深い静けさに沈んでいて、<br>風も、音も、名前もない世界。</p><p name="4c79d57c-e075-4191-9bb0-5801af63c138" id="4c79d57c-e075-4191-9bb0-5801af63c138">その真ん中で、<br>小さなボートにひとり、身体を預けて漂っている。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n0ddeead646cf'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 17 Nov 2025 13:32:40 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n0ddeead646cf</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n0ddeead646cf</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第5章　「遅いじゃない」の意味</title>
      <description><![CDATA[<p name="54a44add-5e97-4726-b1ff-41fcc9e43f6e" id="54a44add-5e97-4726-b1ff-41fcc9e43f6e">少女の口からこぼれた「遅いじゃない」という言葉は、ほんの短い一言だったのに、遥の胸の奥で大きな反響を生んだ。最初に耳にしたときはまるで叱責のように響き、胸の奥が縮むような痛みを覚えたが、その瞳を見つめているうちに、その裏に隠されていたものが少しずつ浮かび上がってきた。あの声音の底に流れていたのは怒りや苛立ちではなく、長い時間を超えてようやく辿り着いた安堵だった。長く待ち続け、信じ続けてきた者だけが持つ、深く静かな息遣いのようなもの。それが「遅いじゃない」に込められていたのだと気づいた瞬間、遥の目から自然に涙がこぼれ落ちた。自分は何をそんなに遅らせてしまったのだろう。そう考えたとき、心の奥にしまい込んできた記憶や感情が、ぼんやりと姿を現し始める。子どものころ、母に「早く帰りなさい」と呼ばれながらも「まだ帰りたくない」と駄々をこねた夕暮れ。友人に言えなかった言葉、飲み込んだ涙、心に蓋をしたままやり過ごしてきた日々。そのすべてが積み重なり、今の自分を形づくってきた。けれどその背後には、ずっと声をかけられずに取り残されていた小さな存在がいたのかもしれない。少女の「遅いじゃない」は、その存在の声だったように思えた。遥は胸に手を当て、早鐘のように響く鼓動を確かめながら、ふと気づく。私はただ時間に遅れたのではない。自分自身を置き去りにしてきたのだと。誰かの期待に応えることばかりに必死で、本当の気持ちを後回しにしてきた。だからこそ、今ようやくこの場所に辿り着いたことに、少女は「遅い」と言ったのだ。しかしその響きは責め立てるものではなかった。むしろ「それでも来られたね」と確かめるような、優しい抱擁のような響きだった。遥は涙をぬぐいながら、心の奥にある感覚を一つひとつ確かめていった。思い出すのが怖かったのは、忘れていたのではなく、思い出せば痛みに飲み込まれるのが怖かったからだ。けれど今、少女の瞳を前にして、その痛みすらも受け入れられる気がする。なぜならその瞳には、責めも拒絶もなく、ただ「待っていた」という揺るがない愛情が宿っていたからだ。遥は小さく息を吐き、胸の奥で長い間閉ざしていた扉が軋む音を確かに聞いた気がした。少女は何も言わず、ただその涙を見つめていた。沈黙が二人の間に流れ、しかしその沈黙は重苦しいものではなく、ようやく会えた者同士にしか共有できない柔らかな温もりに満ちていた。遥は思わず声を震わせて言った。「……ごめんね」その言葉は少女に向けたものでもあり、自分自身に向けたものでもあった。長い間見ないふりをしてきた感情に、ようやく触れることができたことへの謝罪と感謝が入り混じっていた。少女は微笑みもせず、泣きもせず、ただその言葉を受け取るように立っていたが、その静けさの中に深い安堵がにじんでいた。「遅いじゃない」という言葉は、ただの再会の挨拶ではなかった。ずっと心の奥で待ち続けてきた存在が「もうこれ以上、放っておかないで」と告げる最後の合図であり、同時に「でもちゃんと来てくれたね」と認める証でもあった。遥はそのことをはっきりと理解したとき、胸の中に広がっていた空洞が少しずつ埋まっていくのを感じた。涙は止まらなかったが、それは悲しみの涙ではなく、ようやく自分に辿り着いた安堵の涙だった。少女の言葉の裏にあったものは確かに安堵であり、信じ抜いた心の強さであり、そして「あなたは一人ではなかった」という証明でもあったのだ。その意味に気づいた瞬間、遥は心の奥から震えるように納得し、ようやく自分の存在を受け入れられるような気がした。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/ndc823026c414'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 02 Oct 2025 17:16:01 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/ndc823026c414</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/ndc823026c414</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第4章　ブランコの少女</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/219428220/rectangle_large_type_2_043e44b6300104ae165e13ba526148d7.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="b581df95-d002-41a3-ac0e-3094499ffeef" id="b581df95-d002-41a3-ac0e-3094499ffeef">少女は夕暮れの光に包まれてブランコに腰かけていた。風は吹いていないのに鎖はわずかにきしみ、その金属音は遠い記憶を呼び覚ますかのように胸に響いた。白いワンピースの裾が淡い光を透かし、炎のように揺れている。私は立ち尽くしたまま動けずにいた。知らないはずのその姿に、どうしても抗えない懐かしさが込み上げる。心臓が痛いほどに脈打ち、喉が渇いて声が出ない。少女はしばらく黙ってこちらを見つめ、それから小さく唇を動かした。「本当は、思い出すのが怖いんでしょ」澄んだ声が胸の奥に突き刺さり、息が止まった。触れられたくなかった場所を正確に言い当てられた気がして、全身が震える。何を思い出すのか私はまだ知らない。けれど確かに、心の奥でそれを恐れている自分がいるのを感じてしまった。思い出すことは失ったものや痛み、置き去りにした感情と再び向き合うこと。それが怖い。けれどその怖さの奥に、大切なものが眠っているような気がしてならない。私は無理に笑みを作り、「……思い出すって、何を？」と問いかける。少女はすぐには答えなかった。砂を軽く蹴り、ブランコを小さく揺らす。鎖の軋みが再び胸を締めつける。夕暮れの光を透かした髪が橙に染まり、宙に舞う塵が金色に輝いた。その光景を見つめていると、胸の奥にしまい込んだ感覚がざわめき始める。夏の夕立の前触れのような匂いが鼻をかすめ、心臓の奥で古い扉がきしむ気配がした。少女は微笑み、「わたしを知らないはずなのに、あなたは知ってる顔をしてる」と言った。その言葉に胸が大きく波打つ。初めて会ったはずなのに、なぜか知っている気がする。瞳を見れば見るほど懐かしさがこみ上げ、思い出そうとすれば霧が立ち込めてすぐに消えてしまう。私は唇を噛みしめ、「……あなたは誰なの？」と問いかける。少女は笑わず、ただ真っ直ぐに私を見つめ続けた。その瞳は無垢さと同時に永遠を知る深さを湛えていて、胸の奥を貫いてくる。森は息を潜め、夕暮れの光が金色の粒となって漂っていた。やがて少女は足を地面に下ろし、ブランコからゆっくり立ち上がった。その動作は自然なのに儀式のように厳かだった。「わたしは……あなたの中にずっといたの」その言葉に心臓が跳ね、堰を切ったように涙が溢れた。意味はわからない。けれど否定できない。胸の奥が熱を帯び、同時に氷を砕くような痛みが走る。言葉は理屈を超え、魂の深みに直接届いていた。私は必死に問いかける。「どうして……今、現れたの？」声は震えていた。少女は遠くを見つめるように目を細め、群青と橙が溶け合う空に視線を向けた。その横顔を見つめていると、答えはすでに刻まれているように思える。やがて彼女は小さく肩をすくめて言った。「呼んだからだよ。ずっと奥で、あなたが」胸に電流が走る。あの“忘れている感覚”は、私の心が無意識に発していた呼び声だったのかもしれない。忘れた誰かを求め、気づかぬうちに扉を叩いていたのだ。少女はその声に応えて現れた。涙が再び頬を伝う。少女は近づき、私との距離をゆっくりと縮める。夕暮れの光が二人の間に差し込み、漂う塵を金色に染め上げる。その中で彼女は静かに告げた。「やっと会えたね」その響きは過去も未来も包み込み、胸の奥に眠っていた何かを目覚めさせる。私は嗚咽をこらえ、ただ強く頷くしかなかった。<br></p><figure name="3977670e-79d2-4273-8dbf-080436259cf3" id="3977670e-79d2-4273-8dbf-080436259cf3"><img src="https://assets.st-note.com/img/1759378858-iKvrZLuOftRjn7G3aSVBp5yc.jpg" alt="" width="620" height="930"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/nb9857f74bc40'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 02 Oct 2025 13:22:40 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/nb9857f74bc40</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/nb9857f74bc40</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第3章　夕暮れの森</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/219040810/rectangle_large_type_2_b31f3da88591e8ee891d2e8a12bd89d7.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="279e850e-6497-4691-a1a7-3ca86fe21186" id="279e850e-6497-4691-a1a7-3ca86fe21186">翌日の帰り道、私はいつものように駅の改札を抜け、足を動かしていた。会社から家までの道は、目を閉じていても歩けるくらい単調で、電柱の数まで覚えてしまったほどだ。けれど今日は違った。信号待ちの瞬間、不意に昨日の声が耳の奥でよみがえった。「忘れたの？」――あの声は空耳ではなかった。冷蔵庫のモーター音にかき消されたはずの囁きが、まるで胸の中に刻みつけられたように、まだ鮮明に響いていた。私は気づけば、まっすぐ家へ帰る道を外れていた。曲がり慣れた角をひとつスルーし、見知らぬ路地へ足を向けていた。行き先なんて決めていない。ただ“誰かに呼ばれている”ような感覚が背中を押していた。理由を求めれば「気分転換」とでも答えるのだろう。でもほんとうは違う。昨日から続いている何かが、今も私を引き寄せている。夕暮れの空は、オレンジと群青が溶け合うように変わっていく。街路樹の影が伸び、アスファルトにまだら模様を落としていた。自転車のベルの音が遠ざかり、かわりに虫の声が耳に入ってくる。その響きは子どもの頃の夏休みの夕暮れを思い出させ、胸の奥をざわつかせた。歩くスピードが自然に落ちる。胸の内側に広がるざわめきが、どんどん大きくなる。やがて、見慣れたはずの小さな公園にたどり着く。だが、そこはまるで別の場所のように見えた。普段は子どもたちが遊ぶだけの狭い空間が、そのときは森の入口に変わっていた。木々の輪郭が濃く、どこまでも奥へ続いているように見える。私は立ち止まり、スマホを取り出して地図を開こうとした。だが画面に表示されたのは「圏外」の二文字。思わず苦笑する。「今どき圏外って……どこの山奥？」自分の声が少し上ずっていた。深呼吸をひとつ。湿った土と草の匂いが鼻をかすめる。靴底で砂利を踏んだときの音が、やけに大きく耳に響く。周囲の空気が変わった。車の走行音も人々の話し声も消え、残るのは風と葉のざわめきだけ。心臓の鼓動が、まるで外の音の代わりをするかのように強く響く。私は一歩、また一歩と森の奥へ足を踏み入れていた。木々の間から差し込む光は、夕暮れの太陽なのか、それとももっと別の光なのか判然としない。だが確かに、私を導くように地面を照らしていた。心の中のざわめきは高鳴りに変わる。理由もなく涙腺が熱くなる。胸の穴に、何かが少しずつ流れ込んで満ちていく感覚。私は自分でも信じられないくらい落ち着かなくて、でも同時に安心していた。矛盾した二つの感情が同時に心を満たす。その不思議さが、逆に「正しい方向にいる」と告げているように思えた。やがて視界の奥に、ブランコがぽつんと見えた。古びた鉄の支柱、鎖の鈍い輝き。風は吹いていないのに、ブランコはゆっくりと揺れていた。その揺れに合わせて、心臓もシンクロするように上下する。胸の奥がぎゅっと掴まれるように痛いのに、なぜか笑い出しそうになる。まるでジェットコースターに乗る前のような緊張と期待が混ざり合い、全身を駆け抜けていく。足先が震え、息は浅くなるのに、歩みは止まらなかった。近づくごとに、少女の姿がはっきりしていく。白いワンピースの裾が淡い光を受けて揺れている。橙色に透けた髪が夕暮れの空と溶け合い、澄んだ瞳がこちらを射抜く。遠くからでも、その視線が胸を貫いてくるのを感じた。知らないはずなのに、懐かしい。初めて見るはずなのに、涙が込み上げてくる。記憶の奥の奥に隠されていた何かが、今まさに目覚めようとしている。私は胸に手を当て、深く息を吸った。心臓が早鐘のように鳴り、全身の血が巡り直すように熱を帯びる。視界が少し霞む。頭の中で「やっとだ」という声が響いた。それは少女のものか、自分のものか区別がつかない。ただ確かなのは、待たれていたのは私であり、私がずっと探していたのもまたこの瞬間だった。少女はまだ何も言っていない。けれど、唇がかすかに動いたのを見て、私は息を呑んだ。声が届く前から、心はすでに返事をしていた。</p><p name="2563095c-3010-4565-98a9-2a39e75d05d5" id="2563095c-3010-4565-98a9-2a39e75d05d5"><br></p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/nacb77deee5e4'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 30 Sep 2025 20:36:25 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/nacb77deee5e4</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/nacb77deee5e4</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第2章　忘れているもの</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/219914510/rectangle_large_type_2_defe33c800f9c71a9ca58c753bc4bfdf.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="c9b50539-29b0-44da-9b43-c4f524b79fed" id="c9b50539-29b0-44da-9b43-c4f524b79fed">忘れ物には昔から自信があった。小学校の頃は、ランドセルに教科書も筆箱も詰め込んで出発したのに、よりによって宿題だけ机の上に置き去り。中学では部活の試合にユニフォームを忘れ、高校では体育館シューズを片方だけ持ち帰って先生に笑われた。大学時代には友人の誕生日をすっかり忘れて、慌ててコンビニの袋菓子を抱えて駆けつけたこともある。だから社会人になってから同僚に「遥さんってまた忘れたんですか」とからかわれても、私は胸を張って言える――そういう人間なんです、と。だが今の“忘れている感覚”は、そういう日常の小さなドジとは違っていた。ハンカチや定期券みたいに、あとで取りに戻れば済むものじゃない。どこで落としたのかすら思い出せない、大きな何か。忘れているのに、忘れてはいけない気がする。そのもどかしさは、歯に青のりが挟まったのに鏡も爪楊枝も見つからないときの不快さに似ていて、人前では笑ってごまかせても、心のどこかがずっとむずむずしていた。帰宅途中、ふらりと寄ったコンビニでシュークリームを手に取る。甘さで埋められる隙間なら、私はきっと世界一の職人になれたはずだ。レジ袋の中でぷっくり膨らむシューを見つめながら、「これで今日の穴もふさがるかな」と心の中でつぶやく。会計を終え、袋をぶら下げて夜風を受けながら歩く足取りは、ほんの少しだけ軽やかだった。けれど家に帰り、電気をつけて靴を脱ぎ、テーブルの上にシュークリームを置いたとき、ふいに胸の奥がひんやりする。食べる前からわかっていた。これを口にしても、たぶん穴は埋まらない。パッケージを開けると、カスタードの甘い香りがふわりと広がる。ひと口かじると、クリームが溢れて指先を汚した。甘さは確かに舌を喜ばせるけれど、空っぽの部分には届かない。ため息をひとつ。テレビをつけると、バラエティ番組の笑い声が部屋を満たす。芸人の軽口が飛び交う中で、私はぼんやりと画面を見つめながら「もし自分の心をネタにできたら、笑いは取れるのかな」なんて考えていた。風呂に入って湯船に沈むと、今日の疲れがじわじわと溶けていく。だが同時に、溶けた疲れの下から別の何かが顔を出す。それは「忘れてはいけないのに思い出せないもの」へのざわめき。湯気の中でぼんやりしていると、子どもの頃の夕暮れの記憶がふっとよみがえる。まだ外が赤く染まっていたころ、公園の遊具にしがみついて母の呼ぶ声を無視した日。あのときも胸の奥で「まだ帰りたくない」という強い気持ちがあった。けれど今は逆に、どこに帰ればいいのかがわからない。風呂上がり、髪を乾かしながら窓を開ける。街路樹の間を抜ける風が、妙に懐かしい匂いを運んでくる。何だろう。子どもの頃の夏休みの夕暮れ？　それとも誰かと交わした約束？　頭の片隅にかすかな光が点るけれど、次の瞬間には煙のように消えてしまう。私は首を振り、ドライヤーを止めて部屋の灯りを落とす。ベッドに横たわり、天井を見つめる。スマホの通知は絶え間なく鳴るのに、私がほんとうに欲しい“声”はそこにはない気がする。まぶたを閉じたとき、耳の奥でふいに響いた声があった。「忘れたの？」――誰かがそう囁いた気がした。私ははっとして目を開ける。部屋は静かで、ただ冷蔵庫の小さなモーター音だけが響いている。気のせいにすればいいのに、どうしても胸がざわつく。心臓の奥をやさしく叩かれたような感覚。胸に手を当てる。確かに聞いた。誰の声かはわからない。でも、あのブランコの少女と同じ響きが混じっていた。忘れもの。そうだ、私はずっと何かを置き去りにしてきた。けれど、それが何なのか思い出せない。カレンダーの予定欄には会議や誕生日や支払いの期日が並んでいるのに、肝心な約束だけが書かれていないような気がする。天井を見上げながら、私は小さな笑いを漏らす。「これ、Googleカレンダーにも登録されてないやつだよね」自分の声がやけに静かな部屋に響く。笑いはすぐ消えたが、少しだけ肩の力が抜けた。瞼が重くなる。眠りに落ちる直前、私は自分でも驚くほど自然に小さな声でつぶやいていた。「ごめんね」――誰に向けたのかもわからない謝罪。それでも、言葉がこぼれた瞬間、胸の奥に少しだけ温かな空気が流れ込んだ。まるで“誰か”が確かに聞いてくれたように。目を閉じたまま、私はかすかに微笑んだ。もしかすると、その誰かはもうすぐ迎えに来るのかもしれない。<br></p><figure name="22ef3830-6f24-4ed1-b899-8666153618c8" id="22ef3830-6f24-4ed1-b899-8666153618c8"><img src="https://assets.st-note.com/img/1759228660-7GRQfp2Y6dSLDt8ChXPBH4oW.jpg" alt="" width="620" height="930"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n959ea84a0a8b'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 30 Sep 2025 19:39:50 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n959ea84a0a8b</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n959ea84a0a8b</guid>
    </item>
    <item>
      <title>『遅いじゃない、と夕暮れの少女は言った』🌙 プロローグ</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/218758191/rectangle_large_type_2_bc0684d08507b80c0b6cf7a27c73f269.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="0e1f7b65-31de-4184-b03e-f6befbc8137b" id="0e1f7b65-31de-4184-b03e-f6befbc8137b">夕暮れの風は、昼と夜の境界をやわらかく撫でていた。西の空は茜色から群青へとゆっくり溶けていき、街路樹の影は長く伸び、地面にまだら模様を落としている。どこか遠くでカラスが鳴き、子どもたちの声はもう消えて、代わりに虫の音が小さく響きはじめていた。仕事帰りの遥は、ふと足を止めた。胸の奥に、説明のつかないざわめきを感じていた。一日中、誰かに合わせて笑顔を作り、言いたいことを飲み込んで過ごしてきた疲れが、夕暮れの影といっしょに重く肩にのしかかる。無理に笑った分だけ、口角の筋肉が固まっている気がして、ふと「笑顔にも筋肉痛ってあるのかな」なんて考えてしまう。気づけば足は、子どもの頃によく遊んだ小さな公園へと向かっていた。ここへ来るのは、ずいぶん久しぶりだった。滑り台も鉄棒も小さくて、大人になった自分には窮屈に見える。だが今日はなぜか、その窮屈さが少し恋しかった。公園に差しかかった瞬間、ありえない光景が目に飛び込んできた。いつものはずの公園なのに、光に包まれてまるで森の奥に迷い込んだような感覚。目を凝らすと、ブランコがゆっくりと揺れている。風はほとんどない。木々の葉はほとんど動かず、夏の残り香だけを漂わせていた。それなのに、確かにブランコは人の体重を乗せて揺れていた。そこに、ひとりの少女がいた。白いワンピースの裾が風もないのにふわりと揺れ、靴の先で砂を蹴りながら、こちらを見ている。髪は夕陽を透かして橙色に染まり、その瞳はどこか見覚えのある光を宿していた。知らないはずなのに、なぜか懐かしい。遥の胸の奥で、長い間閉じ込めていた扉がかすかに軋む。「……遅いじゃない。迎えに来るのが」少女はふくれっ面をしながらも、声はまるで風鈴のように澄んでいた。怒っているのか、泣き出しそうなのか、判別がつかない。ただその声は、遥の胸を真っ直ぐに貫いた。遥は思わず立ちすくむ。現実なのか、幻なのか。頭で考える前に、口から言葉がこぼれ落ちた。「……ごめん」その瞬間、自分がずっとこの言葉を言いたかったのだと気づく。誰に対して？　少女に？　それとも過去の自分に？わからない。けれど、涙がにじむのを止められなかった。少女は少し俯いて、靴の先で砂をかすかに蹴った。か細い声で言った。「ほんとはね、怒ってなんかいないの」その響きに、遥は息を呑む。まるで幼い自分の心を代弁するような言葉。胸の奥で小さな鐘が鳴るように響いた。少女は視線を上げ、夕暮れの光を映す瞳でまっすぐ遥を見つめる。「だって……やっと来てくれたんだもの」その笑顔は、懐かしくて、痛いほどに愛おしい。胸の奥がきしむように震え、遥は目を逸らせなかった。遠い記憶の欠片がよみがえりそうになる。でもまだ思い出せない。ただ、この子がずっと自分を待っていた――そのことだけは確かだった。言葉を探すより先に、沈黙が広がる。夕暮れの空気が二人を包み、時間が止まったかのように思える。少女は小さく息をつき、再び口を開いた。「さあ、行こう」遥は思わず問い返す。「どこへ？」少女は少し首をかしげ、唇の端をいたずらっぽく上げた。「あなたが忘れてきた場所へ」その瞬間、風がざわめき、ブランコの鎖がかすかにきしんだ。夕暮れの空はさらに深く沈み、街の灯りが一つ、また一つと点りはじめていた。遥は胸の奥で、子どもの頃に見た夢の続きを思い出そうとする。けれど輪郭はまだ曖昧で、手を伸ばしても届かない。それでも不思議と、怖さよりも安らぎのほうが強かった。誰かに導かれるのではなく、自分がようやくたどり着いたような感覚。少女の声が再び響く。「大丈夫。あなたはちゃんと来られたんだよ」その言葉に、遥の胸の穴が少しずつ埋まっていくような気がした。夕暮れの境界は、静かに夜へと移ろいながら、ふたりをどこか遠い場所へ誘っていく。</p><figure name="fb8298a5-92fb-4245-9eed-a24a52860ec5" id="fb8298a5-92fb-4245-9eed-a24a52860ec5"><img src="https://assets.st-note.com/img/1759136841-725OwQ3vURiuIVCLofWB1gys.jpg" alt="" width="620" height="930"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n950b1be456c4'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 29 Sep 2025 18:08:41 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n950b1be456c4</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n950b1be456c4</guid>
    </item>
    <item>
      <title>ほんとうのわたしへ帰る道　</title>
      <description><![CDATA[<p name="bf34d756-c13b-44f0-b1cc-8cb4889534c2" id="bf34d756-c13b-44f0-b1cc-8cb4889534c2">承知しました。以下に、物語『ほんとうのわたしへ帰る道』の全体構成を、<strong>映画的な章立て（第一部〜第六部）＋各話タイトル（第1話〜）＋各部の副題（テーマ）付き</strong>で再構成いたしました。</p><h2 name="653ecf64-f288-4fa7-ba33-618e9eec6834" id="653ecf64-f288-4fa7-ba33-618e9eec6834">📘 物語タイトル</h2><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n87d50c96f8d8'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 18 Sep 2025 12:14:24 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n87d50c96f8d8</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n87d50c96f8d8</guid>
    </item>
    <item>
      <title>ほんとうのわたしへ帰る道</title>
      <description><![CDATA[<p name="f28b88ec-3f15-446b-95b4-4fbb7409687b" id="f28b88ec-3f15-446b-95b4-4fbb7409687b"><br></p><h2 name="06198fe3-1ce7-46ca-9624-8ce47e92cc1c" id="06198fe3-1ce7-46ca-9624-8ce47e92cc1c"><br></h2><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n19c225408cc3'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 16 Sep 2025 22:02:22 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n19c225408cc3</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n19c225408cc3</guid>
    </item>
    <item>
      <title>第4章　心の声が、ずっと小さかった</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/215513767/rectangle_large_type_2_d13771f3cdb86557c8ff3b107556c0d1.png?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="0d153e20-3129-48ed-a194-5cdaa2e81f83" id="0d153e20-3129-48ed-a194-5cdaa2e81f83">いつからだったのか、自分の心の声が、かすれて聞こえなくなっていったのは──そんな問いが、ある日の夜、ふいに胸をよぎった。テレビの音も、携帯の通知も切って、静まり返った部屋の片隅でひとり座っていると、何かが奥底からこぼれ落ちてくるような、そんな感覚に襲われた。子どものころは、もっと素直だったはずだ。うれしいときは無邪気に笑って、悲しいときは遠慮なく泣いた。なのに今は、感情が波立つたびに「そんなことで動揺してちゃだめ」「大人なんだから」と、すぐに抑え込もうとするクセがついてしまっていた。そうしてわたしは、いつの間にか「何を感じているのか分からない人」になっていた。──あのときも、そうだった。仕事で上司に理不尽なことを言われて、本当は悔しくてたまらなかったのに、無表情で「わかりました」と答えてしまったわたし。帰り道のコンビニの明かりが、どうしてあんなに冷たく見えたんだろう。アイスの棚をぼんやり見つめながら、目の奥がじんわり熱くなって、「あれ、これって涙？」と気づいたときには、もうこらえきれず、マスクの内側が濡れていた。でもその涙すら、自分のものだと信じられなくて、わたしは何度も心の中で否定した。「たいしたことない」「もっとつらい人だっている」──そう言い聞かせて、また飲み込んだ。でもね、あのとき本当は、心が叫んでたんだ。「もう無理だよ」って。「わかってほしいよ」って。「ここにいるよ」って。それなのに、誰にも届かないどころか、自分にすら届かなくなっていた。気づけば、わたしは自分の心の声からも、遠く離れてしまっていたんだ。そんなある日、夢の中で、小さな女の子が出てきた。草の生い茂る空き地の真ん中で、ひとり膝を抱えていた。その子は、わたしだった。泣いているのに、誰も気づいてくれなくて、ただじっと空を見上げている姿が、どうしようもなく愛しくて、わたしは夢の中でその子にそっと近づいた。「ごめんね」って言った。「ずっと無視しててごめんね」って。その子は一度だけ、わたしを見上げて、ほんの少しだけうなずいた気がした。そして朝、目覚めたわたしの頬には、静かな涙が一筋流れていた。あのときやっと、わたしは自分の本当の気持ちに出会えたのかもしれない。強がって生きてきたけど、本当は弱かった。本当はずっと、抱きしめてほしかった。そういう自分を認めるのが、ずっと怖かった。でも、否定していても、無視していても、その子はずっとそこにいて、泣きながら、わたしを待っていたんだ。今、わたしはようやくその子に言える。「もう、ひとりじゃないよ」「これからは、一緒に歩いていこう」って。あのときの涙が、あたたかさに変わるその瞬間、心の奥で、静かに何かがほどけた。</p><br/><a href='https://note.com/youarehugged/n/n05bffc48b94a'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/195982175/profile_a907846bde377a165de993cf82ffb6f4.jpg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>藤原　伸弘</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 15 Sep 2025 14:12:31 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/youarehugged/n/n05bffc48b94a</link>
      <guid>https://note.com/youarehugged/n/n05bffc48b94a</guid>
    </item>
  </channel>
</rss>
