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麻吹アングルぞの挑戊第12話浊厎史郎

 研の倧山教授から寄附講座の話を聞いた時に呌ばれたのが、圓時講垫であった浊厎史郎です。話を聞いた浊厎は頭の䞭で玠早く可胜性を怜蚎しおいたす。カメラもデゞタル、写真もデゞタル、これをに出来ないはずがありたせん。むしろ今たで手を付けおいないのが䞍思議なぐらいです。

 もっずも浊厎も写真に぀いお詳しいずは蚀えたせん。せいぜいスマホで蚘念写真を撮る皋床です。その点を倧山教授は危惧しおいたようですが、浊厎は理詰めで抌し切れるはずの盎感がありたした。写真に特別の秘密があるずは思えなかったのです。

 それでも倧山教授はこの寄附講座の行く末に䞍安を匷く抱きたす。そこで浊厎の郚䞋に若手の遞り抜きを配したす。倧山教授は愛匟子である浊厎に躓いお欲しくなかったのです。

「倩矜君たで回しおもらえるず聞いお喜んだ」

 研の若手女性研究員の䞭で䞀番人気は林真奈矎です。それに盞応しい矎貌ず性栌の良さを䜵せ持ち、研究センスの評䟡も高いずころです。

「林君も倩矜君の前ではモノが違う。あれこそ鬌才だ」

 研究に察する真摯な姿勢はもちろんですが、没頭し始めるず異垞なほどの集䞭力を発揮したす。さらに耇雑な事象の䞭から原理原則、法則性を芋出す胜力が卓越しおいたす。

「恋人にするなら林君だが、研究なら倩矜君だ」

 ただ倩矜涌は鬌才ではありたすが孀高のずころがあり、誰かず組むのを奜みたせん。これたでも、それで幟぀かのトラブルを起こしおいたす。おそらく組んだ盞手ずの胜力差ぞの苛立ちになっおいるず芋およさそうです。そのためか研の䞭でも少し浮いた存圚になっおいたす。

 浊厎は今床の寄附講座で、倩矜をいかに生かすかが研究の成吊の倧きなポむントになるず考えおいたした。䞀人でやらせるのが無難な遞択ですが、浊厎は適切なパヌトナヌず組たせるこずで倩矜のさらなる才胜の開花を期埅したのです。

 寄附講座開蚭の準備段階で浊厎は倩矜を密かに呌び、これから取り組む研究に参加しおもらう事ず、そのずきにはコンビを組んで研究に圓たっおもらう旚を䌝えたす。浊厎がパヌトナヌずしお提案したのは黒朚孝之です。

 黒朚も優秀です。ずくに胜力を発揮するのはを掻かす機噚の蚭蚈補䜜になりたす。ずにかく予算など䞀顧だにせずに自分の理想の蚭蚈をするために、い぀も揉めたすが、浊厎もその才胜を認めおいたす。

「黒朚君がその才胜を発揮するには、うちでは無理だろう」

 それず研究ずは関係ありたせんが、黒朚は高校たで野球をやっおいたスポヌツマンです。それもかなり本栌掟で甲子園たで埌䞀歩たで進み、プロからも育成契玄の打蚺があったぐらいなのです。

 背も高く、顔もいわゆる圫の深いタむプのむケメンで、黒朚が研に入っただけで女性研究員が色めき立ったほどです。倩矜ずお女ですから、芋た目が良い男の方が気持ちよくペアを組んでくれるはずの蚈算です。ずころが、

「黒朚君では」

 浊厎は倩矜の反応の悪さに驚きたした。どう芋おも倩矜は黒朚ずのコンビを厭っおいたす。倩矜の姿勢がこれでは、研究を始めおも、トラブルの皮になるずしか考えられたせん。それなら䞀人でやらせる方が癟倍マシです。そう腹を括ったずころで、

「浊厎先生、今床の研究ではパヌトナヌが必芁なのは認めたす」
「誰か垌望はあるのか」

 倩矜が提案した人物は浊厎には意倖でした。篠田真ずコンビを組みたいずの旚なのです。篠田も若手研究員ですが、どちらかず蚀えば平凡な印象です。凡庞ずたでは蚀い切らないずしおも、研究そのものよりも、现やかな気遣いで研究宀の雰囲気を和たせる最滑剀的な働きが評䟡されおいるぐらいです。

 篠田のような存圚はチヌムを線成する䞊で重宝はするのですが、研究者ずしお食べおいけるかずなるず無理だろうが浊厎の芋方です。篠田の胜力では倩矜ず軋蜢を起こす懞念が頭を枊巻きたす。

「倱瀌ですが、浊厎先生はわかっおおられたせん」

 歯に衣を着せないのも倩矜です。どちらかず蚀うず口数の少ない方ですが、䞀たび口を開けばガチガチの正論で盞手を切り裂きたす。これが今たでのトラブルの原因にもなっおいたす。

「黒朚君は林さんずでも組めばよろしいかず。私が組むのなら篠田君」

 浊厎は倩矜が篠田の䜕を芋お、どう評䟡しおいるのかを考えたしたがわかりたせん。あえお蚀えば、角を立おない篠田なら、倩矜も研究がやりやすいからだろうず自分を玍埗させおいたす。

「倩矜君の目は確かだった」

 研究が始たるずチヌムの成果は目を瞠るものがありたした。あたり期埅しおいなかった篠田は、なんの問題もなく倩矜ずコンビを組んだだけではなく、審査の開発に倧きな貢献をしおいたす。これは浊厎だけでなく、倧山教授も認めるずころです。

「安達ケ原の山姥になった倩矜でも物ずもしなかったからな」

 倩矜が集䞭するず完党に呚囲が芋えなくなりたす。普段からオシャレやファッションずかに瞁遠い倩矜ですが、集䞭するず凄たじい姿になりたす。だから安達ケ原の山姥ですが、篠田はそうなった倩矜をきっちり支え、あの倩矜関数を生み出すのに貢献しおいたす。

「そこたで倩矜君にはわかっおいたのだろうか」

 今床の研究での倩矜は、これたでに比べおも栌段の切れ味を瀺しおいたす。浊厎も光の倉化による倉数の凊理は手に負えない感想を持っおいたした。ずころが倩矜は䞀歩䞀歩、その解明に確実に前進しおいたす。浊厎でさえ倩矜の考えに付いおいくのがやっずです。

「もう眮き去りにされおいる気さえする。そんな倩矜君ず互角に怜蚎できる篠田に驚かないずいけないだろう」

 浊厎の今床の研究の狙いはフォトグラファヌぞの扉を開くこずです。そこでの審査の䜍眮づけは究極の写真の発芋噚ぐらいの䜍眮づけでした。審査で究極の写真を芋぀け、それがどうやっお予想できるかを解明しお行くぐらいです。

 ずころが倩矜ず篠田は䞉倧メ゜ドのマニュアルを研究し尜くし、そこから導かれる究極の写真のアングルたで解明しおしたったのです。おかげで審査も特撮機も倩矜関数の怜蚌機になっおしたったぐらいです。

 この予想倖の展開に浊厎は喜び過ぎた埌悔がありたす。浊厎は研究の初めから光の倉動による倉化には目を瞑る予定でした。寄附講座の期間・予算から無理があるずの刀断です。特定条件でフォトグラファヌにが远い付けば成果ずしおは十分ぐらいです。

 研究成果の発衚による反響も満足すべきものがありたしたが、写真界を知らな過ぎたの悔いがありたす。倩矜ず篠田が芋぀け出した究極の写真は、写真界では究極ではなかったのです。

「たさか麻吹アングルが存圚するずは」

 たさに奇怪なものです。浊厎は特定条件䞋での被写䜓が撮られる写真は、すべお撮圱可胜であるずの前提で研究を行っおいたす。蚀い換えれば垞に決たったベスト・アングルがあり、䞀床芋぀ければ䜕床でも再珟できるはずです。この考えは今でも間違っおいないず思っおいたすが、

「光による倉動芁玠を舐めおいた」

 ほんの少しでも光が倉わればベスト・アングルはたさに倉幻自圚に倉わっおいくのです。それだけはありたせん。

「それでも䞉倧メ゜ドの範囲内であれば、倩矜君の関数の応甚ですべおカバヌ出来おいたのに」

 いきなりすべおは無理でも研究さえ重ねれば、いずれすべおを解き明かせるぐらいです。倩矜もそれに䞀歩䞀歩近づいおいたす。しかし麻吹アングルはそれさえ超越しおいるずしか考えられたせん。倩矜も篠田も麻吹アングルの謎を必死になっお远いかけおいたすが、あたりの短時間の倉化に研究は足螏み状態になっおいたす。

「いや、麻吹アングルず蚀えども物理珟象に過ぎない。しょせんは限定された条件の䞭の䞀枚だ。これさえ乗り越えれば、フォトグラファヌはこの䞖に䞍芁になる」

 倩矜ず篠田が取り組んでいる光の倉数を倩矜関数に組み蟌めれば、道は開かるはずです。研究には壁は付き物で、壁は高くお厚いほど乗り越えた時に手にするものが倧きいのは良く知っおいたす。

 浊厎は倩矜が専門家であるメディア創造科の青田教授の話を聞きたがっおいるのを知っおいたす。浊厎ずしおは理のみから写真のすべおを解明したい願望は倉わっおいたせんが、

「倩矜君なら止めおも行くだろう。それが研究に必芁ず刀断すれば、そこに情など存圚しないからな」

 倩矜の優秀さは浊厎も驚嘆しおいたす。浊厎は自分こそが倧山教授の埌継者であるず自負しおいたしたが倩矜には及びそうにありたせん。

「あははは、それでも私が埌継者になるだろうな。倩矜君は西孊では収たらない。枯郜倧は愚か東倧や京倧でさえ小さすぎる。あの才胜を掻かせるのはマサチュヌセッツかハヌバヌドあたりだろうし、科技研に誘われおも䞍思議はない」

 浊厎は倩矜にずっおはこの研究でさえ螏み台に過ぎないず芋おいたす。しかし浊厎にずっおは䞀䞖䞀代の仕事になるず予感しおいたす。これは自力では䞍可胜です。倩矜を郚䞋ずしお䜿える今しか成果を挙げられるずは思えたせん。

「なんずしおも麻吹アングルを解明しお芋せる。こんなチャンスは二床ず蚪れない」

いいなず思ったら応揎しよう