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運動経隓だった私が、豪雚の70キロを走っお芋えた景色ヌ゚クストリヌム マラニックヌ 

    䞀撃で人生を倉える魔法はない。小さな積み重ねがい぀の間にか、芋える景色を倧きく倉えおいる。運動経隓ほがれロだった私が、なぜか70キロもの道のりを走るこずになった。

    40歳を過ぎおから、産埌倪り解消のためによたよた走り出し、い぀の間にか山を走るトレむルランナヌのはしくれに。たたに倧䌚にも参加するが、蚘録やタむムを远うタむプではなく、いわゆるファンランナヌずいう郚類に入る。

    マラニックっお、ご存知ですか
    マラ゜ンMarathon×ピクニックPicnicマラニック

    マラニックはタむムや順䜍を競わず、景色や地元の人ずのふれあい、゚むドステヌションのおいしい食べ物を楜しみながら、のんびり長距離を走るずいうコンセプト。私の嗜奜にぎったりだ。
    そこで、ランニング最長距離曎新ぞのチャレンゞも兌ねお、山口県の「呚防倧島りルトラマラニック2026」70キロの郚に参加を決めた。これたでの最長走距離は、昚幎したなみ海道を走った60キロ。

    倧䌚前日4月25日、線集者時代の先茩でラン友・みすみんず岩囜垂で合流。私は関西、みすみんは九州䜏たいだが、旅ずランを通じお繋がり、こうしお幎に数回䌚える。
    この日はよく晎れたいい倩気で、岩囜垂の景勝地、錊垯橋、岩囜城を芳光。目に優しい新緑のグラデヌションをバックに、朚造の趣ある錊垯橋がよく映える。小さな山の䞊にた぀お城ぞは、ロヌプりェヌに乗っおいこう。本来なら歩きたいずころだが、70キロ走を明日に控えおいるので、足は枩存しおおく。

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    山口県岩囜垂の錊川に架かる錊垯橋は、「日本䞉名橋」の぀

    16時半のロヌプりェヌに乗っお山頂ぞ。朚挏れ日のキラキラした森を歩いお、芋ごろのツツゞにデコレヌションされたお城に到着。小ぶりで嚁圧感がなく、玔和颚ながらどこかメルヘンな雰囲気が挂っおいる。

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    䞀目芋おかわいいず声が出た、ツツゞに囲たれた岩囜城


    山頂から県䞋の景色を䞀望するず、みすみんが地図を芋ながら「あれが明日走る呚防倧島」ず、海に浮かぶ島を指さしお教えおくれた。倕暮れ前のただ明るい日差しを济びお、青く茝く呚防倧島。「瀬戞内のハワむ」ず称される地ぞの期埅が膚らんでいった。

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    はるか遠くに島が芋える。意倖ず近い

    山頂には30分匱の滞圚だったが、森を散歩しおほどよく䜓がほぐれた。17時発最終䟿のロヌプりェヌに乗り蟌んで䞋界ぞ戻り、早めの倕食をずりに居酒屋ぞ。お目圓おの店には「本日18時半以降貞し切り」ず匵り玙があったが、18時前に滑り蟌んで手早く倕食を枈たせる。
    「今日はロヌプりェヌも倕飯も制限時間ギリギリっお感じだったけど、いいテンポで進んで党郚間に合ったね。明日もギリギリなんずかなるっおこずかな」ず、みすみんず2人ほくそ笑んだ。
    「ほくそ笑む」ずは、物事がうたく運んだずき、満足そうにひっそりず笑うこず。䞭囜の故事「人間䞇事塞翁が銬」の「北叟ほくそう」が、幞犏な時にひそかに笑った、ずいう゚ピ゜ヌドに由来しおいる。ほくそう笑む→ほくそえむ。

    「人間䞇事塞翁が銬」は、人生は予枬䞍可胜で、幞せが䞍幞に、䞍幞が幞せに転じるこずもあるため、安易に䞀喜䞀憂するものではないずいう教蚓を䌝える蚀葉。人生は䞍確実なもので、今経隓しおいるこずが埌々どんな圱響を及がすか、その時点ではわからないもの。䞀芋するず困難で䞍幞に思えるような状況が、楜しさや幞犏に倉わるこずだっおある。

    そう、どんな展開が埅っおいるのか、䜕事もやっおみないず分からない。

    倧䌚圓日、4時にホテルを出発、充血した目をしばたきながら車で呚防倧島ぞ。運転はみすみん、早朝からありがずう昚倜はシャワヌを济びお早々ベッドに入るが、緊匵ず期埅で目が冎えお眠れなかった。
    倧島倧橋を枡り呚防倧島ぞ入り、深い矀青色の空ず海を暪目に車を走らせおいく。集合堎所の片添ヶ浜海浜公園に近づいたころ、歩道に浮かぶように連なる小さな光の列が目に入った。明かりはずっず埌方たで続き、薄暗がりの䞭でうねる蛇のようだ。

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    早朝に降っおいた小雚ず混じりあっお、明かりが芋える

    「もしかしお、100キロがスタヌトしたずころじゃない」。ヘッドラむトを灯した集団が走っおいた。100キロのスタヌトは、70キロより時間早い早朝時。光っおうねる蛇を芋぀めながら、「100キロ、私にはただ無理だわ」ず呟く。
    走り始めた圓初は、すぐに息があがっおキロも続けお走れなかった。運動習慣のない䜓を䞀から立お盎す䜜業は䞀朝䞀倕にはできず、ポンコツな自分に嫌気がさしながらも、少しず぀走距離を延ばし、心肺を鍛え、足を䜜り、70キロに挑むずころたでじわじわず進んできた。揺れるヘッドラむトを眺めながら、今たさに100キロのスタヌトをきった人々の、それぞれのプロセスず挑戊に思いをはせる。

    車の䞭で朝食を枈たせ、受付、トむレ、ストレッチ。70キロがスタヌトする時はあっずいう間にやっおきた。茝く空ず海を目の前に、アロハヌマハロヌずいうハワむアンな声揎に囲たれ、玄200人のランナヌが䞀斉にスタヌトをきる。
    透き通る海、遠くに連なる島々、新緑をたたえた朚々を眺めながら、島の芳光名所を巡るように蚭定されたコヌスを進む。青ず赀のコントラストに目を奪われお立ち止たるず、厳島神瀟の鳥居が海にそびえおいた。道端の蚘念碑に、シヌボルトっおここで䜕したんず日本史を思い返す。はじめおの土地を走るず、こうしお感芚ず奜奇心が開いおいく。

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    本家宮島の厳島神瀟ず同じく、海䞭に建぀分瀟の鳥居
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    シヌボルトさん、こちらに䞊陞しお動怍物のスケッチをしたそうな


    呚防倧島は矩母の生たれ故郷で、「島に入る道はめっちゃ分かりにくくお、車で行くず絶察迷うから心配やわ」ず蚀われたが、実際はよく敎備された道ず倧きな橋で本土ず繋がり、迷うこずも危ないこずもなかった。倧島倧橋は1976幎、ちょうど50幎前に開通しおいるが、77歳の矩母が過ごしたのは孊生時代たでだから、その時分の印象が匷いのだろう。

    「ほんずうに䜕もない䞍䟿な田舎」ずいう話も䜕床も聞かされおいた。けれど、走りながら目の前に広がる絶景を芋おいるず、こんなに透明な海ず抜けるような空が目の前にある暮らしは、なんお莅沢なんだろうず思う。
    東京育ちの私は透き通った海ずは無瞁で、゚メラルドグリヌンの海があるのは、沖瞄ず海倖だけだず長らく思っおいた。
    高村光倪郎の詩に、劻・智恵子が぀ぶやいたずいう「東京に空が無いずいふ、ほんずの空が芋たいずいふ」ずいう䞀節があるが、智恵子もこんな矎しい自然に囲たれお育ったのだろう。東京に空がないずいう気持ちが、少しわかる気がする。
    自分には䜕があるのか、無いのかずいうのは、その枊䞭にいるず認識しずらい。だから、こうしお旅に出お非日垞に浞かり、それを浮かび䞊がらせおいきたい。

    マラ゜ンにはちょうどいい曇り空にずきおり倪陜が顔を出し、優しい海颚が汗をぬぐっおくれる。最高のロケヌションに、自然ず足取りも軜くなる。序盀はキロ分台で走ろうず思っおいたが、スポヌツりォッチを芋るず分30秒をきっおいる。みすみんも同じく軜い足取りで、旅は順調そのもの。ただ、コヌスは坂も倚くなかなかの峠走、飛ばし過ぎるず埌半に響きそう。

    今回䞀番のお楜しみは、゚むドステヌションの食べ物。ピザ、寿叞、チヌズケヌキ、冷やしコッペパン、ひじきの酢の物などなど、倧䌚ホヌムペヌゞで玹介されおいた゚むドの補絊食は地元の特産品ばかりで、超魅力的。それが、この倧䌚を遞んだ決め手でもあった。
    豪華゚むドが8キロごずに蚭眮されおいるから、「70キロ走る」ではなく、「次の゚むドたでがんばる」ず思っお走ろう。そう考えるだけで、自分史䞊最長距離を走るずいう、気負いずプレッシャヌが小さくなる。

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    青、緑、ピンクず虹のようにグラデヌションを描く透明な海。曇り空で海の矎しさが䌝わりづらいのが残念

    お楜しみの゚むドでもりもり食べお、蚘念撮圱をしお、ランナヌやボランティアの方々ずふれあう。最初の゚むドはひじきの酢の物で酞味を補絊、第゚むドは寿叞職人が目の前で握るアナゎ寿叞、お腹が空いおきた第゚むドは肉うどん。ランナヌの腹ず心を捉えた絶劙な配眮にうなる。䞭孊校の校庭を䜿った゚むドでは、地元の䞭孊生ずおがしき男の子が、500メヌトル先たで届きそうな倧声で応揎しおくれた。

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    握りたおほかほかのお寿叞、絶品
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    矩母が暮らしおいた「油良」の暙識を発芋。「海がきれいで食べ物がおいしくお人も優しくお、ずっおも玠敵なずころ」ずラむンしたら、「ほんず田舎やから」ず䞀蚀返信が。ここで育った人にずっおは圓たり前すぎる光景が、私には恩恵でしかない

    思い描いおいた通りの展開。気分䞊々、足さばきも快調に次なる゚むドを目指しおいるず、薄曇りの空からパラパラず雚が降り出した。倩気予報は午埌から小雚だったので、これは想定の範囲内。レむンゞャケットを持参しおいるが着る必芁はないくらいで、「このくらいの雚なら、暑さしのぎにちょうどいいね」ず、笑顔でシャワヌランを楜しむ。

    ずころが、雲行きは次第に重くなり、昌過ぎには本降りの雚ずなった。小雚予報は倖れたようだ。

    ゚むドでもぐもぐ食べおいるあいだにも雚足は匷たり、ザヌザヌザヌず激しい雚音が響く。颚も匷く気枩もぐっず䞋がり、テントから出るのを躊躇しおしたう。だが、ただただ先は長く、道のりは半分以䞊ある。いや、半分ずか考えるのはやめよう。゚むドグルメをしっかり味わっお元気を぀けお、たた次の゚むドを目指しお進めばいい。

    チヌズケヌキもぐもぐ、ピザむしゃむしゃ、でっかい冷やしパンコッペもいただきたすどの゚むドも、䞻催者ず地元の人のおもおなしの心があふれおいお、お腹も胞もいっぱいになる。

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    カフェからどんどん運ばれおくるピザ。たくさん焌いおくれおありがずうございたす
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    冷やしパンコッペ。もちもちのパンにクリヌムがぎっしり、食べ応えも味も最高でした。ミルク、むチゎ、チョコなどのフレヌバヌから抹茶をセレクト

    胃腞はすこぶる快調でぐんぐん食べ進み、同時に雚もどんどん匷さを増しおいく。瀬戞内のハワむアンな景色も、倧雚にけぶっおよく芋えない。気枩はさらに䞋がり、レむンりェアを着おいおも寒い。立ち止たったり歩いたりするず䜓枩が䞋がっおしたい、䜎䜓枩症の危険もありそうだ。ゆっくりでも、止たらず走り続けよう。みすみんずも別れ、それぞれのペヌスで進んでいくこずに。

    空から降り泚ぐ豪雚で、瞁石ブロックで車道ず区切られた歩道は川のような氎量。氎たたりを避けようもなく、靎の䞭たでぐっしょぐしょ。さらに車が通るたび容赊なく氎しぶきがあがり、暪からも激しい氎責めにあう。
    雚の日に車を運転しおいるず、氎たたりで盛倧に氎しぶきを飛ばしおしたうこずがある。もし、これをもろにかぶったりしたら悲惚だな ず思っおいたが、今たさに悲惚なそれを猛烈に济びおいるではないか。こんな日が来るなんお、予想だにしおいなかった。
    フルマラ゜ンだず、亀通敎備されおいお道の真ん䞭を走れるから、雚でも車の氎しぶきを济びるこずはないはずだ。トレランは山の䞭なので、車は走っおいない。ならば、こんなに掟手に車の氎しぶきを济び続けられる倧䌚は、田舎のマラニックだけ。最初は「ぎゃヌやめおヌ」ず叫んでいたが、繰り返すうちに無の境地に至り、我が奈良県のマスコットキャラ・せんずくんみたいなアンニュむな衚情でしぶきを受け止めおいたず思う。自分の力でどうにもならない状況なら、受け入れるしかない。

    ぀い数時間前たで優しく私を包んでいた瀬戞内のハワむは芋る圱もなく、容赊ない氎責めを繰り出しおくる。昚幎の倧阪䞇博で人間掗濯機が話題になったが、こんな感じだろうか。回15分の䜓隓に事前予玄が必芁で倧人気だったが、タダで、時間もほが無制限で人気アトラクションに䌌た䜓隓ができるなんお、私っおば超ラッキヌかも。ずもかく、非日垞でめったにできない䜓隓であるこずは間違いないよね。
    南囜でるんるんマラニックのはずが、荒倩の道端で゚クストリヌムな氎責めにあっおいる自分がおかしくお、1人で肩を揺らしクックっず笑いながら走っおいく。

    党身から氎をボトボト滎らせ、゚むドでいただいたむチゎ倧犏ずさくら逅を食べる。ベンチに座っお靎ず靎䞋を脱ぎ、ふやけお真っ癜になった足の裏に入念にワセリンを塗り蟌み、足指を開いたりひっぱったりしおストレッチ。氎がたっぷり浞み蟌んで重たい靎䞋を、おりゃず党力で絞っおいたら、「あの、倧倉そうですね」ず、地元䜏民らしき女性が遠慮がちに声をかけおくれた。ですよね、どう芋おも倧倉そうですよね。

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    ワセリン持っおおよかったサングラスはザックにしたいたした

    「こんな荒れた倩気の䞭走るなんお、みなさんすごいですね。やめないんですか」ず心配をにじたせた衚情で問いかけられ、「ありがずうございたす。あず20キロないんで、最埌たで走りたす」ず答える。なんでやめないのかず蚝るような荒れた倩気。すでに50キロ以䞊走っおきお足は重く、氎をたっぷり吞いこんだ足裏はふやけおチクチク痛むし、おいしい゚むドもあず箇所で終わり。楜しさや心地よさを求めるファンランナヌならば、別にやめたっおいいはず。

    そもそも、70キロなんお長距離を走るのは、気持ちいいずか楜しいずか、健康にいいずいう範疇を䞀般的には超えおいる。雚が降っおも降らなくおも、倧倉で苊しいこずには違いない。ランナヌではない倚くの人が、なぜそんなこずをわざわざするのかずいぶかる気持ちがずおも理解できる。私だっお若かりし頃は走るのなんお倧嫌いで、孊校のマラ゜ン倧䌚なんおなくなっおしたえず心底祈っおいた。そう、こんな倧雚が降っお䞭止になればいいず。

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    最埌の゚むドでいただいたゞャムがのった杏仁豆腐。癜湯が甚意されおいお助かった

    あず䜕キロでゎヌルなんだろう。ふず前を芋るず、䜓を倧きく巊に傟けお、おそらく痛むほうの足をかばいながら走っおいるランナヌの背䞭が芋えた。スピヌドは遅く、けれど止たらず走り続けおいる。远い越すずきに、「ナむスランデス」ず声をかけるず、少し顔をゆがめながら笑っお返事をしおくれたが、雚音にかき消されお聞き取れなかった。私の父ず同じくらいの幎霢だろうか。
    数時間前には、雚の䞭家の䞭を飛び出しおきお、「これ食べお元気぀けお最埌たで走っお」ずバナナを枡しおくれたおばあちゃんがいた。「ありがずうございたす、うれしい」ず受け取るず、「あんた、すごいね」ず耒めおくれた。あの人は、倧雚の䞭玄関を少しだけ開けお通りを芋぀め、ランナヌが来るのを埅っおくれおいたのかもしれない。そうじゃなきゃ、あんなにいいタむミングでバナナをもっお飛び出しおこられるはずがない。

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    バナナは倧事にずっおおいお、垰りの新幹線でいただきたした。優しい味がした

    私蚭゚むドもあった。私蚭゚むドは、倧䌚が甚意した公匏゚むドではなく、䞀般の人が善意で蚭眮しおいる゚むド。食べやすいようにむいた柑橘、䞀口サむズのお菓子、コヌラ、バンテリンスプレヌ。ランナヌの喜ぶものを熟知しおいたので、ご自身も走る方なのかもしれない。セヌラヌムヌンの仮装をした男性がおどけおランナヌに声をかけおいお、みんな笑顔になっおいた。

    走銬灯のようにこれたでの道のりを回想しおいるず、スポヌツりォッチがピピっず鳎った。衚瀺を芋るず走距離60キロ、自己最高蚘録を超えおいく瞬間。「おお、超えた」ず小さく声が挏れお、「やった」ず少し倧きな声が出る。前埌には誰もいないし、いたずしおも土砂降りで私の声は届かない。雚に打たれお冷え切った顔に、にんたりず笑みが広がり、ほっぺたがじんわりず枩かくなった。


    朝に車で通った芋芚えのある倧通りに入り、そろそろ終わりが近づいおいるこずがわかった。ゎヌルはスタヌトず同じ地点だ。疲劎ず足の痛みでペヌスはだいぶ遅くなっおいたが、最埌たで歩かずに走り続けたい。よっしゃず顔を䞊げるず、そうめんの゚むドで䌚話した女性が前を歩いおいたので、远い越しざたに話しかける。

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    そうめん゚むドでは「もう埌期高霢者なんで、今幎は70キロ」ずいう男性ずお話。去幎たでは100キロを走っおいたらしい。「かっけヌ」ず叫んでしたった


    「もう少しですね雚が激しくお長かったけど、終わりたすね」
    「ほんずに長かったナむスランです」
    远い越しお、雚がごうごうず流れ萜ちおくる登り坂を走っおいるず、「䞀人だず気持ちが続かなくお歩いちゃうけど、䞀緒だず走れそう」ず远い付いおきお、隣に䞊んでくれた。
    「よかったじゃあ、䞀緒にゎヌルできたすね」
    名前も䜕も知らないけれど、远い抜いたり、远い抜かれたり、声を掛け合いながら、同じ道のりを進む。

    ゎヌルゲヌトが芋えたずき、「あの、よかったら手を぀ないでゎヌルしたせんか」ずもちかけおみたら、「うわ、いいですねそうしたしょう」ず、ノリノリで応じおくれたので、2人で手を぀ないで䞇歳しながらゎヌルゲヌトをくぐる。
    MCのお兄さんが、「こんな倧雚で70キロも走っおその笑顔満面の笑みじゃない、なんなの君たち」ず぀っこんでくれた。すごい笑顔でゎヌルしたみたい。ほんず、䞀䜓どんな趣味なんでしょうか。

    ゎヌル埌に提䟛されたみかん鍋は、枩かくお、柔らかいおもちが入っおいお、皮ごず食べられるみかんの甘みが身に染みお、冷えた䜓がゆるんでいく。肩にかけたフィニッシャヌタオルは、豪雚のおかげであっずいう間にびしょびしょだけど、誇らしくおしばらく雚を染み蟌たせおいた。
    日焌け止めにメむクもしお、サングラスもかけた晎れ晎れしい装いでスタヌトしたが、メむクなんお跡圢もない、党身ずぶ濡れのどぶネズミのような様盞を呈しお垰っおきた。
    私だけじゃない、呚りもみんなびっちょびちょでドロドロ。足を匕きずったり、䌑憩宀に座り蟌んでがヌっずしおいる人もいるが、それぞれがなんずもいえない安堵感ず充足感を挂わせおいる。予枬䞍可胜な道のりを進むこずにハマっおしたった、愛すべき仲間たち。

    ゎヌルすぐ暪にある枩泉で䜓を掗いながしお枩める。塩分が含たれたお湯は、擊り傷やふやけた足にしみるけど、それでも最高に気持ちよくお、湯船から出るタむミングが難しい。
    埌からゎヌルしたみすみんず合流し、互いを称えあう。なんずかやりきったね。うんうん、本圓にゎヌルできおよかったずいうか、生還できおよかった。みすみんは、制限時間分前にゎヌルゲヌトぞ到着し、MCのお兄さんに「ギリギリ間に合うがんばれ」ず叱咀激励、䌎走されながらゎヌルしたずいう。昚日の、「明日もなんずかギリギリ間に合うんじゃない」ずいう予蚀を、芋事的䞭させた。

    20時を過ぎおから、ホテルぞの岐路に぀く。駐車堎を出お、倧通りに入る道を巊折しようずするず、歩道に小さな光がたたたいおいる。みすみんが、「そうだ100キロ、ただ走っおる」ず声を䞊げる。もはや嵐のような雚の䞭、ヘッドラむトを぀けおゎヌルを目指す人たちが1人、2人ずこちらぞ向かっおくる。自分たちのゎヌルにホッずしお、もうすべお終わった気分になっおいたが、ただ続いおいた。朝暗闇の䞭をスタヌトした人たちが、再び闇が萜おからも走り続けおいた。

    雚の沿道に光るヘッドラむトは、朝のように連なっおはおらず、ぜ぀り、ぜ぀りず間隔をあけながら、途絶えずに続いおいる。車ですれ違うたびに、「ナむスラン」「最埌たでファむト」ず声をかける。もちろん、圌らには聞こえない。みすみんは、氎しぶきをあげないようにゆっくり車を走らせる。しばらく進んでも、ヘッドラむトの明かりは途切れなかった。制限時間には間に合わないのかもしれない。それでも、䞀歩䞀歩確実に前に進む。

    むチゎ倧犏を食べおいるずき、「走るのをやめないのか」ず問われた蚀葉が胞によぎる。なぜ走るのか、なぜやめないのか。その答えは無数にあるようで、぀しかないような気もするし、栞心に近づいたず思ったら消えそうになり、぀かみきれない。闇に浮かぶヘッドラむトを芋぀めおいるず、そんな問いの答えがたた぀、湯気のように胞の奥から立ち䞊がっおくるのを感じた。
    走り続けおどこにたどり着くのかはわからないし、最終ゎヌルを定めおいるわけでもない。華々しい蚘録を出したり、衚地台に乗るようなこずもない。きっずこれからも、苊しくお倧倉なはずの状況を楜しんでいる自分をニダリず笑ったり、小さな挑戊を達成した瞬間に䞀人でにんたりしたり、仲間ず分かち合う喜びに満面の笑みを浮かべたりしながら、ちょっずず぀進んでいくのだろう。

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    打ち䞊げもラストオヌダヌギリギリで滑り蟌み、山口の銘酒で也杯



    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    40代からのラン、旅ラン。走り、土地を䜓隓し、䌁画・取材・執筆・線集たで䞀気通貫できるラむタヌ、線集者。 䜓力筋力・運動経隓ほがれロで40代になっおから走り出す。トレラン、旅ラン、筋トレにハマり、健康ず゚ネルギヌを取り戻し、䜓ず思考を曎新し続ける日々。

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