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Photo byaritakakanazawa

もうひず぀の「東京嫌い」

    吉玉サキ

    私が䞊京したのは19歳のずきだ。

    目的は進孊。䞊京したかったわけではなく、行きたい孊校がたたたた東京にあった。ちなみにもうひず぀の進孊先候補は倧阪にあったが、そっちは孊費ず倍率の関係で諊めた。

    東京に行けば玠敵な日々が埅っおいる  なんお期埅はなかった。

    それは、圓時の私の状況が関係しおいる。私は普通高校を䞭退しお通信制に圚籍しおいたため、「孊校に通う」ずいう行為が久しぶりで、ちゃんず通えるか䞍安だったのだ。あず、北海道出身なので、倏の暑さず梅雚の湿床に耐えられるかも䞍安だった北海道には梅雚がない。

    䞊京が決たったずき、実家のベッドに座っお奜きな人ずっくにフラれおいお友達だったに電話で報告した。

    圌は、「いいなぁ」ず蚀った。「やっぱり、倢を叶えるなら東京に行かなきゃね」ず。

    私は曖昧な返事をしながら、「そういうんじゃないのにな」ず思った。

    倢だずか将来だずか、そんなこずたったく想像できない。今はただ、孊びたいこずがあるから進孊する。それがたたたた東京で。

    私は、どこにいたっお私なのに。どこに行ったっお、私にしかなれないのに。

    東京に行っただけで䜕かになれるような、そんな子どもみたいなこず、蚀わないでほしかった。

    ◇

    䞊京しおもやっぱり、東京ずいう街に特別な感情を抱くこずはなかった。「すごい」ず目を茝かせるこずもなければ、畏怖や劣等感を抱くこずもない。

    北海道出身ず蚀うず、倧自然からコンクリヌトゞャングルに来たず思われがちだが、私が育った札幌はたあたあ郜䌚だ。もちろん東京のほうがずっず郜䌚だが、そこたでの驚きはない。「たぁ、こうだよね」ずいった感じ。呚囲がおのがりさんに期埅する反応は、できなかった。

    東京は、私にずっお気楜な街だった。

    それには理由がある。私は䞭孊生のずきに嫌なこずがあり、それをひきずっおいた。札幌は小さく、遊ぶ堎所は限られおいる。私はい぀も、「䞭孊の頃の自分を知る人に䌚ったらどうしよう」ずビクビクしおいた。

    しかし、東京にはそれがない。これだけ人が倚ければ、私を知る人にばったり䌚うなんおこず、ないだろうから。

    「地元じゃない」ずいう䞀点においお、東京はずおも䜏みよい街だった。それ以倖の感情は特にない。

    むしろ、東京に䜏んでいない人のほうが、「東京」を過剰に意識しおいるように芋えた。

    たずえば垰省したずき、地元の友人に「オシャレ。やっぱり東京の人は違うね」ず蚀われた。その日身に぀けおいたほずんどのアむテムは、札幌のショップでも買えるのに。「東京垰り」に先入芳を持ちすぎだ。

    䞀方で、「東京なんお人の䜏むずころやないで」が口癖の知人もいた。䜏んだこずもないのに、やたらず貶すのだ。東京を、魑魅魍魎が跋扈する街だず思っおいるらしい。

    憧れにせよ嫌悪にせよ、東京に察しお匷い感情を持぀人は倚い。

    ◇

    楜しいこずも苊しいこずもおんこ盛りの孊生時代を終えお、そのたた東京で就職を決めた。母は「札幌で就職すればいいじゃない」ず蚀ったが、私は東京を離れる぀もりはなかった。

    その街が奜きかどうかは、その街の蚘憶で決たるず思う。

    私は、䞭孊時代に嫌なこずがあった札幌を、就職する幎霢になっおも蚱せずにいた。䞀方で東京は、どちらかず蚀えばいい思い出が倚い。東京に軍配が䞊がるのは圓たり前じゃないか。

    しかしその埌、私はメンタルを病んで䌚瀟を蟞めおしたった。䞡芪から札幌に戻るよう呜じられ、金銭的に埓わざるを埗なかった。

    あんなに嫌だったのに、札幌に戻っおきおしたった。

    私は盞倉わらず、昔の知り合いに芋぀かるのが怖くおビクビク過ごした。どこに行くにも垜子を目深にかぶったし花粉症患者の少ない札幌では、圓時マスクをしおいる人が珍しかった、店員さんの名札をチェックしおしたう。

    悪いこずしたわけじゃないのに、なんで私が、指名手配犯みたいにコ゜コ゜生きなきゃいけないのよ

    そのストレスを、あるサむトの掲瀺板圓時はBBSず呌ばれおいたに曞き蟌んだ。メンタルの問題を抱える人が、自由に愚痎を曞ける堎所だ。

    するず、掲瀺板の垞連のおばさんからレスが぀いた。

    「どうしお東京に固執するんですか 私には、東京のほうがよっぜど生きづらい街に芋えたす。札幌、旅行でしか行ったこずないですが、ずおもいい街じゃないですか」

    カッずなった。なんにも知らないくせに

    「東京に固執しおいるのではなく、地元が嫌なんです。ここには、過去の私を知る人がいる。ばったり䌚っおしたう可胜性が高い状況で暮らすのが、ずおもストレスなんです。
    旅行でしか来たこずない方はいいですね。この街に、顔を芋ただけでトラりマが蘇る盞手がいないんですもんね。私もあなたのように、旅行者ずしお札幌ず出䌚いたかったです」

    そんな返信を曞いた。私にしおはめずらしく、けんか腰だった。

    そしお、気づいた。

    私は札幌が倧嫌いで、だけど本圓は倧奜きだった頃に戻りたくお、だから苊しいんだ。

    ◇

    今、私は東京に䜏んでいる。

    先日、『東京嫌い』がテヌマの同人誌に誘われた。二぀返事でOKしお、はたず、「東京、そこたで嫌いでも奜きでもないな」ず思った。

    少し考えお、東京で自分を持お䜙しおいた頃のこずを曞いた少しだけフィクションを亀えお。若者特有の䞍機嫌さが、「東京」にしっくりはたる気がしたから。

    曞き䞊げお、みんなの『東京嫌い』を読んでもなお、私は東京に察しおこう思う。

    「別に、そこたで嫌いでも奜きでもないな」

    私が匷い愛憎を向けられる街は、生たれ故郷の札幌だけなんだ。






     
     
    ラむタヌ/著曞『山小屋ガヌルの癒されない日々平凡瀟』『方向音痎っお、なおるんですか亀通新聞瀟』 /有料蚘事は知人に読たれたくないだけで有益な情報じゃないです/お仕事のご盞談はsaki.yoshidama@gmail.comぞ

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