
婚勝男から婚勝夫へ⑧〜気がつけば〜
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ここまで読んでくださった方なら、
もうお気づきかもしれない。
医学部受験40連敗。
お見合い100人以上。
どうやら私は、
「損切り」と「途中でやめること」が苦手な人間らしい。
もちろん、何でも続ければいいとは思っていない。
でも、少しでも前に進んでいる実感があると、
もう少しだけやってみようと思ってしまう。
その「もう少し」が積み重なって、
気がつけば10年以上医学部を目指し、
100人以上とお見合いをしていた。
我ながら、ずいぶん根気のある人間だと思う。
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これを書いている時点で、
私が利用する結婚相談所には、
35,000人以上の女性が登録されている。
結婚したいと思っている人が、これだけいる。
それでも結婚できない人もいる。
そして、その中に私も含まれているのだ。
現時点で、私には「この人と結婚します」と
胸を張って言える相手はまだいない。
「婚勝男」という名前を付けておきながら、
まだ勝っていないのである。
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時間の経過は年々早くなり、季節はどんどん巡る。
春が過ぎ、夏が来て、秋になり、気づけばまた年末が近づいてくる。
婚活を始めて一年半。
少しは、営業マンとして成長できた。
少しは、自分のことも分かるようになった気がする。
でも、結婚という結果だけは、まだついてきていない。
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ここまでの婚活を振り返ってみると、
私は、この一年半、結婚のことばかりを考えていた。
どうすればお見合いが成立するのか。
どうすれば相手に安心してもらえるのか。
プロフィールを書き直し、写真を変え、
話し方を変え、女性との向き合い方を変えた。
「もっといい人がいる」と考えていた自分とも向き合った。
思いついたことは、とにかく試した。
うまくいくこともあれば、失敗することもある。
振り返る。
改善する。
そして、もう一度試す。
その繰り返しだった。
振り返れば、婚活をしていたというより、
自分と向き合い続けた一年半だった。
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そして、その理由も少し分かった。
本当に叶えたいと思える目標があると、
人は自分でも驚くほど考える。
誰かに言われた目標では、ここまで考えない。
工夫もしない。
失敗しても、立ち上がろうとは思わない。
でも、本当に叶えたいことなら違う。
何度転んでも、「次はどうしよう」と考え始める。
私は案外、目標に向かっている時の方が、
自分らしく生きられる人間なのかもしれない。
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この作品を書き始めた時、私は婚活を書こうと思っていた。
でも、書き終えた今は少し考えが変わった。
書いていたのは、婚活ではなかった。
婚活という出来事を通して、自分という人間を書いていたのだ。
結婚相手を探しているつもりだった。
でも、本当に探していたのは、「私はどんな人間なのか」
という答えだったのかもしれない。
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さて。
タイトルは『婚勝男から婚勝夫へ』である。
ところが、これを書いている今も、私はまだ婚勝男だ。
だから、この物語は終わっていない。
もしも運よく、note創作大賞の授賞式に呼んでいただけるなら、
その日までには婚勝夫になって出席する準備だけは、しておこうと思う。
あとは、婚勝夫になるだけだ。
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