台風の思い出(耳ビジnote部)

食べながら痩せるダイエットの専門家
齋藤好美です。
大人になってから
台風のせいで何かトラブルになったことはない。
記憶があるのは
子供の頃のことだ。
台風が来て
実家は
よく停電になった
夜、真っ暗な部屋で
母がろうそくをつけてくれた
仏壇のろうそくだったから
特におしゃれでもない
ぼんやりとしたあかりを見つめて
父を除く家族全員、座卓を囲んで座った。
今思えば
座卓を囲んでわざわざ座っている必要もなかったのに
なぜか、
そのろうそくを囲んで座っていたのだ。
そして、外の風が強くなり
バタンバタンと音が聞こえ
なんとなくソワソワした気持ちになって
ふふふと笑ったら
ろうそくの火が消えた。
母が、「ちょっと!!」と言って
マッチをすって
ろうそくの火をつけた。
しばらくして
弟が
ふふふと笑って
またろうそくの火が消えた。
母は「もう!!」と言いながら
またろうそくの火をつけた。
今度は妹が
ふふふと笑って火が消えた。
母は、今度は黙って
ろうそくに火をつけた。
ほんの一瞬静かになって
次の瞬間
祖母が
ふふふと笑って火が消えたのだ。
母はめちゃくちゃ激怒して
祖母と口論になった。
わたしたち兄弟は真っ暗なのをいいことに
そーーーーっと座卓から離れ
それぞれ
布団に潜り込んで
母と祖母の口論を聞きながら
いつの間にか眠ってしまった。
朝になったら
台風も、母と祖母の口論も何事のなかったように
晴れたお天気で
いつものように母はご飯を作り
祖母は座卓でお茶を飲んでいた。
台風ってなんとなく
ソワソワして
子供心に
運動会や遠足くらいのワクワク感もあった。
明日は学校がやすみかもしれないという期待や
秘密基地で過ごしているような特別な気持ちを感じていた。
停電になるたびに、
ろうそくをつけるマッチの争奪戦で兄弟喧嘩をして怒られたり
ろうそくの火で髪が焦げて妹の前髪がちりちりになったり
何かしらいつも母に怒られるような出来事があり
最後は必ず
母と祖母の口論で終わるのだ。
だから私は
台風一過とは
ずっとうちのような台風で喧嘩になる
台風一家だと思っていた。
うそのような本当の話。
台風のような非日常で
不安や緊張もあって
アドレナリンが出て、みんな変なテンションになっていたんだろうな、
と今なら振り返ることができる。
ろうそくの火で笑っていた私も、大人になった。
