
〈詩〉わく
あの狭い四角のなかに
閉じ込められる
震える指先が
なぞらなければならない
正しい線が
どうしても
はみ出てしまう
不甲斐なさに
その苛立ちが
なぜなのか
ずっと分からないでいた
今あの子に会えたなら
私はきっと
あの正しさを
切り取るだろう
月のカタチに
花のカタチに
トカゲでも
ネズミでもいい
その中に
好きな色で
はみ出しながら
描くのだ
始まりはどんなカタチでも
いいんだよ
歪な中に
好きを見つけて
美しさは
最後に辿り着くから
子供のころ
漢字の書き取りがきらいだった
漢字が嫌いだったわけではなく
そもそも嫌いか好きかも
分からなかった
漢字の書き取りをする時
指が震えるほどストレスを感じていた
太字の枠に嵌め込む事
薄い線をなぞること
明朝体で書かれた文字に
鉛筆でなぞる
けれど同じ太さ
同じ線にはならない
同じようには完成しない
一度で書かなければいけない
子供だから必ずはみ出る
ストレスと戦って
なんとか書き切る
そんなだから
漢字を記憶するエネルギーなんか
残っちゃいない
子供の頃できない子だな
ダメだな....
って落ち込んでたけど
できないんじゃなかったんだなぁ
単にそういう脳の特性なだけだったんだなぁ
楽な方法で描いて
描いて
なんだ
こんなものかぁ
って分かった後に
正しさに戻る
その時
驚くほど
なんでもないように
四角の中に書けるのだろう
もう
その枠の外にも
世界がある事を知っているから