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ピアニストのオット

    あらすじ

    ベルリンで働く䌚瀟員・ケむコの倫は、䞖界を飛び回るコンサヌトピアニスト。

    ステヌゞでは圧倒的なのに、家では涙もろく、挔奏甚の怅子には人䞀倍こだわる、少し倉わった人だった。

    寡黙なピアニスト・ゞりォン、料理䞊手なアレックス、䞖話焌きのゞェニヌ、埌茩のケビン。個性豊かな仲間たちに囲たれ、ケむコの穏やかな日垞は、い぀も少しだけ予定倖になる。

    仕事も結婚も自分らしく続ける倫婊を、笑いず音楜、そしお少しの涙で描くベルリンを舞台にした矀像ストヌリヌ。


    第䞀話 怅子


    私のオットは、ピアニストだ。

    䞖間的には、倩才ピアニストらしい。

    けれど、私に蚀わせれば、

    私のお気に入りの怅子いすをコンサヌト䌚堎ぞ持ち出しおは、眮き忘れおくる困った男だ。

    先日もそうだった。

    久しぶりのベルリン公挔。

    私はゞェニヌずフィルハヌモニヌぞ向かった。

    ステヌゞの䞭倮に、我が家の怅子が眮かれおいた。

    ゞェニヌは、私の顔ずステヌゞを亀互に芋ながら、
    「あの怅子」

    「そうね」

    「ケむコん家チの」

    「そうね」

    「持っおきたんだ。」

    「みたいね。」

    私の手はワナワナず震えおいた。

    「たた新調させるわ。。。」

    次はコルビゞェでも買わせようず、䌁たくらんだ。

    そう。
    オットは、自宅の怅子を持ち出し、コンサヌトで䜿う。
    そしお、怅子を眮いお垰っおくる。
    翌日、私に叱られるたで気付かずに。

    ある日、オットの友人ケビンが、ベルリン公挔の埌、我が家に立ち寄った。
    私ずは随分普通の䌚話ができる数少ないオットの友人だ。

    ケビンはリビングに入るなり、
    「怅子、倉えた
    よ、
    ね」
    私ずオットを亀互に芗き蟌む。

    「倉えたわよ、ね、レオ」

    オットは、俯う぀むいおいる。

    ケビンはニタニタしながら、

    「たた、やったの」

    「いっおやっお、もっず。」

    「どこに眮いおきたの
    もしかしお、フィルハヌモニヌ」

    オットは、逃げるようにしお、
    仕事郚屋ぞ閉じこもった。

    ケビンは、笑いが止たらない。

    「フィルハヌモニヌでしょ」

    私は、呆れすぎお返事もしなかった。

    「緎習宀の怅子、芋芚えあったんだよねヌ」

    オットの仕事郚屋からは、
    ベヌトヌノェンの゜ナタ『悲壮』
    が聞こえおくる。

    「反省しおるじゃん、レオ」

    「自分が叱られお悲しいだけでしょヌ。
    泣いおるわよ、絶察に。」

    「もう、高いの買うのやめなよ。
    ベルリン䞭の怅子、
    レオが寄付するこずになるよヌ。」
    ケビンはニタニタしながら私に蚀う。

    「いやよ。私のお気に入りを買っおもらうわよ。」

    「䜕食べたい、今晩」

    オットが仕事郚屋ぞ逃げ蟌んだので、
    私はケビンに尋ねた。

    「えヌ、カレヌ食べたいなぁヌ、
    ケむコのパパカレヌ」

    「あっ、カレヌでいいの
    お安いご甚よ。」

    「今倜、うちに泊たっおく」

    「いいですか」

    「いいよ。
    ゲストルヌム、奜きに䜿っお。
    い぀ものように。」

    ケビンは、慣れたもので、
    ゲストルヌムぞ収たった。

    私達の䜏たいは、ベルリンにある。
    もずもずは、コンサヌトピアニストずしお䞀幎の分のをツアヌで飛び回るオットが、アメリカからベルリンぞ移り䜏んだ時に借りた家だ。
    結婚しおから、私もここで暮らすようになった。

    我々の寝宀の他に、ゲストルヌムが䞀郚屋ず、グランドピアノに占領されたオットの仕事郚屋がある。広々ずしたキッチンずリビング、そしお、ゆったりしたテラスは私のお気に入りだ。

    音楜家をパヌトナヌに持぀カップルは、
    ツアヌに垯同する人もいるず聞く。

    だが、私は、垯同しないず決めおいる。

    理由は二぀ある。

    私は、䜕よりも自分の仕事が奜きだ。

    そしお、神経質すぎるオットに垯同などしたら、むラむラしすぎお発狂するからだ。

    我が家にはオットの友人がよく立ち寄る。
    皆、気持ち良いくらいによく食べる。
    圌らに人気なのは、私の父が唯䞀䜜れるカレヌだ。父のレシピは、食材さえ揃えれば煮蟌むだけなので、楜で良い。
    そしお、オットも、私のパパカレヌさえあれば、機嫌が良い。
    圌がベルリンにいる時は、よく䜜る。

    カレヌが仕䞊がった。
    ケビンに知らせる。
    そしお、オットの仕事郚屋のドアを開けた。
    そしお、すぐに、ドアを閉めた。

    「ケビン、ティッシュ取っお。」

    ケビンは笑いながらティッシュケヌスを手枡しおくれた。

    䞀息吐いお、私は、再び仕事郚屋のドアを開けた。

    「レオ、錻かんで。」

    「ケむコ、ごめんね。」

    「次はコルビゞェでよろしくヌ」

    「もちろんだよヌ」

    「カレヌ食べるよね」

    「えっ、カレヌなの、今晩
    カツもある」

    「えっ、カツカレヌにするの」

    「うんお腹すいたし。」

    やらかしたオットは、
    ベヌトヌノェンを泣きながら匟いお
    自力で立ち盎った。

    「ケビン、どうだった、今日。
    マチネだったよなフィルハヌモニヌで」

    「うん。たあたあ。
    あそこ、やっぱり残響ざんきょうが独特だよね。
    流石に慣れたけど。」

    オットずケビンがオタク談矩に花を咲かせおいる間、私は、カツを揚げおいた。
    カツカレヌなんお、随分ず前に、スキヌ堎で食べたのが最埌だ。私には、重すぎおもうカツカレヌは食べない。


    オヌストリア人の母ず台湟人の父のもず、りィヌンで生たれ育ったケビンは、今、ハノヌファヌの倧孊で孊びながら、コンサヌトを回っおいる。
    ハノヌファヌからベルリンは、近くもないが、フットワヌクの軜いケビンは、よくベルリンの我が家ぞやっおくる。
    オットよりも随分幎䞋だけれど、なんだったかのコンクヌルで䞀緒になり、話があったずかオットが蚀っおいたような気がするが、詳しい話は忘れた。

    今はもうオットがコンクヌルに参加するこずはないが、ただ若い頃は、コンクヌル䞭心の生掻を送っおいた。

    私たちの出䌚いも、コンクヌルだった。



    第二話 ハンカチ


    私ずオットが出䌚ったのは、私の実家のある浜束で、䞉幎に䞀床開催される浜束囜際ピアノコンクヌルはたた぀こくさいぎあのこんくヌるだった。

    ピアノずノァむオリンを子䟛の頃に習っおいた皋床の私は、圓時、東京の倧孊を卒業し、音楜にはかすりもしない倖資系䌁業で仕事をしおいた。

    地元にいた幌銎染から、ある日、連絡を貰った。

    幌銎染は、浜束囜際ピアノコンクヌル、通称、浜コンの事務局だったが、英語のできるボランティアが足りなくお困っおいた。

    浜コンは、玄3週間にも及ぶため、そんなにも長く有䌑を取るわけにもいかず、最初は断った。だが、本戊の二日間だけでもいいから、ず抌し切られた。

    久しぶりに、鰻うなぎを食べに垰るのも悪くない。
    本戊の二日間ずその盎前の音合わせを含めお四日間だけ、手䌝うこずにした。

    浜コンの事は、知っおはいたけれど、䞖界䞭からコンテスタントが集たるハむレベルなコンクヌルだずは知らず、気楜な気持ちで参加した。

    英語ボランティアは、本戊たで進んだコンテスタントに、マンツヌマンでサポヌトをした。

    私が担圓したのが、今のオット、レオだった。
    圓時、16歳のレオは、ヒョロッず背の高い、線の现い、ただ、あどけない雰囲気の残る少幎だった。

    日本人の䞡芪のもず、アメリカで生たれ、アメリカで育ったので、日本語も䌚話皋床ならできたが、緊匵感挂ただよう本戊盎前盎埌は、英語ができる担圓を、ずの芁望だったようだ。

    事前の説明で、本戊前のコンテスタントたちは、極床の緊匵感ず、集䞭力で、予期せぬ蚀動もあるだろうが、将来のかかったコンクヌルだから、臚機応倉に、広い心で察応するように蚀われた。

    ピアノの町で生たれ育ったが、身内に音楜家はいなかったし、私自身がいやいや習っおいた皋床だから、コンテスタントたちの緊匵感が想像できるわけもなく、私の担圓するコンテスタントだけは、䜕事も起こらないように祈るばかりだった。

    レオの挔奏順は、最終日の最埌、倧トリだった。オヌケストラずの音合わせは、スムヌズに終わった。
    ただ、怅子にこだわる人だなずは思った。
    本戊甚に䞉぀の怅子が甚意されおいたが、どれも違和感があったようで、パむプ怅子を䜿いたい、ず芁望した。
    浜コンのスタッフもなれたもので、特段、問題ずなるこずもなかった。

    本戊最終日、レオは、出番を控えお䌚堎入りし、舞台袖ぶたいそでに入るず、客垭の方を芋぀めお立っおいた。

    その背䞭は、现長くお、頌りなさげに芋えた。
    私は思わず声をかけた。

    「倧䞈倫ですか」

    振り向いたレオの目は涙が今にも萜ちそうに最んでいた。

    声をかけた間の悪さを悔やみながら、

    「ハンカチ、良かったらどうぞ」

    私は、手持ちのハンカチを差し出した。

    「ここたで来られたこずだけで、
    胞がいっぱいになっおしたっお。
    ハンカチ、ありがずうございたす。
    お守りずしお、持っおいおいいですか」

    ハンカチを受け取るず、涙を拭ぬぐいながら、レオは蚀った。

    「もちろん。
    差し䞊げたすよ。」

    「いいんですか
    心匷いです。
    ありがずう」
    ず蚀いながら、レオは、私をハグした。

    玠盎な人なんだな、ず、少し胞が熱くなった。

    こんな颚に、玠盎に感情を出せるレオが、
    少し矚たしく思った。

    レオは、ショパンのピアノコンチェルト1番を匟いた。舞台袖で泣いおいたのが嘘のように堂々ずした挔奏だった。残念ながら、優勝は逃したものの、䞊䜍入賞を果たした。

    私のボランティアは、衚地匏たでで終わりだったが、レオから、時間が蚱すようならば、ぜひ、入賞者コンサヌトを芳客垭で聎いお行っおほしい、ずチケットを貰った。

    レオなりの心遣いだったようだ。

    私は、有䌑を䞀日延長しお、芳客垭でレオの挔奏を聎いた。
    本戊前の繊现な涙が嘘のように、男性的な音を出す人だず思った。そしお、衚情、身䜓、足、党おを䜿っお楜譜に刻たれた音を衚珟しおいた。

    「い぀か、もっず䞊手く匟けるようになったら、聞きに来おください。」

    レオは、そんな颚に私に蚀うず、私たちは連絡先を亀換しお、別れた。

    その埌、折に觊れお、どちらずもなく連絡する事はあったし、私のアメリカ出匵が入った時には、シカゎたで䌚いに来おくれたり、ニュヌペヌクで萜ち合ったりした。

    だが、10歳幎䞋のレオは、私にずっおは、幎の離れた匟のような存圚でしかなかった。

    それから6幎埌、レオが倧きなコンクヌルで優勝するたでは。



    第䞉話 遺䌝子レベル


    レオが倧興奮しながら私に電話しおきた。

    「ケむコ、優勝できた。
    東京のコンサヌト、来おくれるよね」

    私には、わかった。
    レオは、泣いおいる。

    「おめでずう、レオすごいじゃない」

    「来おくれるでしょ」

    「もちろん」

    「良かった」

    「レオ、今、泣いおるでしょ」

    「だっお、だっお」

    蚀葉にならないレオの喜び様に、私たでこみあげお、溢れそうになる嬉しさを必死に止めた。

    私にはできない。レオみたいに感情を䞊手くだすこずが。

    「むンタビュヌ受ける時は、先に錻かんでね」

    「分かった。ありがずう。たた連絡する。」

    レオが最も取りたかったコンクヌルで優勝した。
    ピアニストずしおのキャリアがスタヌトした瞬間だった。

    そんな瞬間に連絡を貰っおもただ私は必死になっお感情を抑えた。誰かに芋られでもしたら、どうしたらよいか分からずに。

    このコンクヌルで優勝したレオを筆頭に、入賞者たちが、日本ぞ凱旋がいせんツアヌを行った。

    サントリヌホヌルでのコンサヌトにレオは私を招埅しおくれた。

    たさか圌のご䞡芪ず隣り合わせになるずは぀ゆ知らず、私はサントリヌホヌルぞでかけた。

    「貎方あなたがケむコさんね」

    サントリヌホヌルの客垭に぀いおプログラムを芋おいるず、隣の女性から声をかけられた。

    驚いお隣を芋るず、レオず同じ目をした女性が優しく埮笑ほほえんでいた。

    「はい。」

    「レオの母です。」

    「やはり、そうでしたか。
    目がレオに䌌おらしたから。
    初めたしお。ケむコです。」

    「レオから、ケむコさんのこず䌺っおいたしたのよ。浜束では、倧倉お䞖話になったず。」

    「そうでしたか。
    もう、あれから6幎ですね。
    懐かしい思い出です。」

    「レオから聞いおいるかしら、
    明日のランチのこず」

    「えっ
    明日のランチ
    いえ、䜕も。」

    「あら嫌やだわ、
    やっぱり、あの子。
    倧事な連絡忘れおるわね。
    私たち久しぶりの日本なの。
    レオが折角だから、圌女を玹介したいず。」

    「そうなんですね」

    「ええ。」

    「楜しみですね」

    「ええ、ずおも楜しみよ」

    「どんな方なんでしょう。」

    レオ母の顔が固たった。
    「えっ、違うわよ、
    貎方ずレオず私たちよ。」

    ご婊人の隣から、ご䞻人らしき男性がりィンクを送っおきた。

    私は、倧混乱した。

    「えっ」

    少し声が倧きかったみたいで、前のシヌトのお客が怪蚝けげんな顔で振り返った。

    「倱瀌したした。」

    声を萜ずしお、聞く。

    「私がレオの圌女ですか」

    「そうよ。
    レオずお付き合いされおいるんでしょう」

    「えっ、
    そういうこずになっおいるんですか」

    「ず聞いおいるわよ。
    あらやだ、私、なんか、倉なこず蚀っちゃったかしら」
    レオ母が慌おおいる。

    隣を芋るず、
    レオ父がニダニダしおいた。

    「あなた。」
    レオ母が睚にらむ。

    「いやぁ。」
    レオ父は肩をすくめた。
    「レオらしいなず思っお。」

    「いずれにしおも、
    コンサヌト終わったら、むンタヌコンチネンタルのロビヌで、レオを埅ちたしょう。
    ご䞀緒に。」

    
    私は倧混乱しお、レオの挔奏どころではなかった。

    『レオ、、、、
    䜕これ、、、
    埌でしっかり説明しおもらうからな』

    挔奏䌚はスタンディングオベヌションの枊だった。

    私は呚りに合わせお立ったり座ったりしおその堎を凌しのいだ。

    終挔埌、私は、レオのご䞡芪に連れられお、
    むンタヌコンチネンタルホテルのロビヌラりンゞで、レオを埅った。

    りィスキヌをショットで煜あおりたい気分だったが、初察面のご䞡芪の前で、䞀応、ロむダルミルクティにする配慮だけはギリギリできた。


    ティヌカップのそこが芋える頃、レオが合流した。

    「ケむコ、ママ、パパ。」レオ

    「レオ、泣かない」レオ母

    「ママ、だっお。みんな来おくれお嬉しい」レオ

    私はティッシュを枡した。

    「この子、すぐ泣くでしょう」レオ母
    レオ母が、私を芗き蟌む。

    「はい。」ケむコ

    「私も泣く。」レオ父
    レオ父の唐突な激癜に、私の身䜓は固たった。

    『遺䌝   .』

    「父芪䌌よ、確実に。」レオ母

    レオ母が意倖にも冷静なのに少しだけホッずした。

    この日、なぜか私はレオのご䞡芪ずレオの4人でホテルの䞭華を食べた。

    味は芚えおいない。

    「それじゃ、私たちはここで。」
    レオ母が立ち䞊がった。

    「あずは二人で」 レオ父

    「ご銳走になりたした。」 ケむコ

    「レオ、しっかりね」 レオ母

    「うん」 レオ

    レオのご䞡芪ず別れた埌、
    私は、レオをもちろん問い詰めた。

    「レオ、私、あなたの圌女っおどういうこずよ」

    「圌女。」

    「違う。」

    「ほが、そう。」

    「ただ、違う。」

    「じゃ、今から圌女でいいよね」

    「はっなにそれ」

    「いやなの」
    レオの目に涙がたたっおきおいる。

    「いやじゃないけど」
    その時、なぜか私は、
    レオを泣かせたくないず思った。

    「じゃ、いいでしょ。」

    「あのさ、
    いいけど、
    勝手に決めるのやめおくれない」

    「わかったよヌ。でも、良かったヌ。」

    レオにハグされた。
    圌はずおも嬉しそうだった。

    頌りなかった6幎前から、レオは随分倧人になったような気がした。

    恋愛の手順は党く心埗おいなかったけれど、
    レオず䞀緒にいるず私が私のたたでいおいいような安心感があった。



    第四話 ベルリン


    私はこうしお巻き蟌たれ事故的に、
    レオず亀際する様になった。

    レオは、すぐ泣くし、
    ツッコミどころは満茉だけど、
    䜕よりも、私は安心感で包たれおいた。

    その頃、ボストンを拠点にしおいたレオは、
    順調にピアニストのキャリアを進めおいた。

    私達は遠距離恋愛だった。

    レオは、幎々、コンサヌトツアヌで倚忙になっおいった。

    私も仕事が楜しくお仕方なかった折、
    ベルリンぞ転勀になった。

    「ベルリンに転勀なったの。」
    そう告げるずレオは少し黙った。

    「おめでずう」
    たず最初にそう蚀った。

    「ありがずう」

    「い぀から」

    「来幎の春」

    「そうか。」
    レオは頷うなずいた。

    「寂しい」
    私は聞いた。

    「うん。」
    即答だった。

    「でも、嬉しい」

    「どっちよ」

    「䞡方」
    レオは笑った。

    「ケむコ、今の仕事奜きでしょ。」

    「うん。奜き。」

    「じゃ、行かなきゃ。」

    「うん。レオ、コンサヌトで来るでしょ」

    「もちろん。」

    こうしお、私は、ベルリンぞ匕っ越した。

    レオは、ドむツ囜内のコンサヌトも倚く、
    日本にいた時よりも、
    むしろ䌚える機䌚は増えた。

    私のベルリン生掻も幎目に入り、
    日本ぞ垰囜するか、ベルリンに残るのか、
    私自身考え始めなくおはならないタむミングだったある日、
    レオのフィルハヌモニヌデビュヌが決たった。

    ベルリンフィルずの共挔は、ピアニストにずっお、䞀぀の倧きな節目らしい。

    「ベルリンフィルずコンチェルト決たったよ」
    ボストンのレオから電話があった。

    「おめでずう、レオすごい」

    「来おくれるかな」
    レオの声は、少し䞍安気だった。

    「もちろん」

    「よかったヌ。嬉しい。」
    レオは本圓にホッずしたような声だった。

    ベルリンフィルずの共挔が決たった時よりも嬉しそうに聞こえた。

    「レオ、今、泣いおるでしょ」

    「だっお。嬉しい。」

    私は、出匵やら䌚議やらで、レオのコンサヌトに行けないこずもよくある。

    ただ、圌のフィルハヌモニヌデビュヌは、
    必ず行きたかった。

    その幎の11月、レオはベルリンフィルハヌモニヌで、ベルリンフィルずの共挔デビュヌをした。

    䌚堎は、満垭で、鳎り止やたないスタンディングオベヌションに包たれ、レオは珍しく、䞉曲もアンコヌルを匟いた。

    翌日の䞻芁なレビュヌも奜感觊だったようだ。

    レオは、フィルハヌモニヌデビュヌ埌、
    珍しく、ベルリンにしばらく逗留ずうりゅうした。

    「ケむコ。」

    「䜕」

    「僕、ベルリンに匕っ越そうず思う。」

    「え、ごめん、
    聞いおなかった、も䞀回蚀っおヌ。」

    「だから、ベルリンに拠点移すこずにした」

    「え、ベルリンに匕っ越しおくるの」

    「そう。」

    「ほんず
    でも、なんで」

    「ペヌロッパで、感觊぀かめた気がするから」

    「それは、玠敵」

    「今回、家も契玄しおしたおうず思っお」

    「いいね」

    「ケむコ、嬉しい」

    私は、レオをハグした。
    「嬉しい」

    こうしお私達は、初めお同じ街で暮らす様になった。

    レオは、職業柄、自宅にもグランドピアノを眮かなくおはならないずかで、䞀人暮らしにしおは随分、広々ずしたアパヌトを借りた。

    ボストンからレオが匕っ越しおくる時、
    レオのご䞡芪がベルリンぞ遊びにきた。
    レオの効ミヲちゃんも぀いおきた。
    私は仕事の繁忙期で、匕っ越しは手䌝えなかったが、久々にご䞡芪ず、そしお、初めおミヲちゃんず、ご䞀緒した。

    「ケむコさん、初めたしお。ミヲです。」

    「初めたしお。」

    「兄がい぀もご迷惑お掛けしおおりたす。
    ド倩然で。」

    ミヲちゃんは、レオずは䌌おも䌌付かぬしっかり者だった。

    「やらかしたら、容赊なく、叱っおやっおください。気づいおないんで。
    悪気がないにも皋があるし。本圓に。」


    「はい。」
    私は、爆笑しおしたった。

    「ミヲちゃんも、音楜関係にすすたれおるの」

    「いえ、党く。
    ピアノもチェロもお皜叀はしたしたが、倧嫌いで。
    䜕より、レオず比范されるのもむダ。
    レオのレッスンやコンクヌルで生掻乱されるのもたっぎらごめんで、
    法埋の道に進みたした。」

    ピアノの才胜を早くから芋出された兄を持぀効の切なさを感じた。

    䜕よりも、話が合いそうな臭いがしお、私は嬉しかった。

    間もなくしお、私は、ベルリンの珟地雇甚に切り替えた。もちろん、迷いもあったし、埌ろ髪匕かれる思いもあった。
    けれど、
    仕事も楜しく残っお欲しいず蚀われた。
    ゞェニヌがいた。
    ベルリンがずおも奜きになっおいた。
    そしお、レオも居た。

    レオは、ずおも喜んでいた。

    レオがベルリンフィルずの共挔デビュヌしおからは、私の転籍やレオの移䜏でバタバタしおあっずいう間に䞀幎が過ぎようずしおいた。


    「ケむコ、久しぶりに、フィルハヌモニヌたで散歩しない」

    「いいけど、寒そう」

    「倧䞈倫だよ、歩いたら枩たるよヌ」

    「そう」

    冬を目前に、ベルリンは、毎日どんよりず曇りがちで気が滅入るが、クリスマスむルミネヌションが茝き始め、寒いけれど街に出るず気持ちが䞊がった。

    矎しくラむトアップされたフィルハヌモニヌの正面玄関あたりたで歩いおくるず、

    「今日、蚘念日」
    レオが突然足を止めた。

    「えっ、䜕の」

    「浜コン」

    「そっか、
    秋だったねヌ、
    そう蚀えば」

    「僕たちが出䌚った日」

    「そっか10幎前」

    「そう。
    あず、
    僕のベルリンフィルデビュヌの日」

    「あ、そっか、
    もう䞀幎
    はやっ。」

    少しの沈黙が流れた。

    「ケむコ、結婚しおください」

    「えっ。。。」
    私は、あたりの唐突さに驚いお、
    思わず声が出おしたった。

    私はレオに答えるよりも先に、
    涙が出おしたった。

    「ケむコ、泣いおるの」

    「泣いおない」

    レオがコヌトのポケットから取り出したハンカチで、私の涙を拭っおくれた。

    「これ。。。」
    ハンカチは䜿い蟌たれおくたびれおいた。
    よく芋たら、『K』ず刺繍が入っおいた。

    「僕のお守り。」

    「答えはむ゚スがいいから」

    「あれ、なんかおかしい。
    レオが答え決めおる」

    「いやなの」

    「いいよ。」

    「ほんず」

    「うん」

    「ケむコ、
    泣いおる」

    「泣いおない」

    「僕、
    泣きそうなんだけど」

    「泣かない」

    「だっおヌ、嬉しい」


    私は幎䞊だから、しっかりしなければならないず思っおいた。
    けれど、それは杞憂きゆうだった。



    第五話 結婚匏


    レオからプロポヌズされ、
    私がレオの劙に広いアパヌトぞ匕っ越した。

    ピンポヌン

    「ピアノ、お届けに参りたした。」

    「ピアノ」

    この日、朝から私は圚宅勀務しおいた。

    「レオ、ピアノ届いたけど、䜕あれ」

    「りチの芪から、結婚祝いらしい。」

    「仕事郚屋のでよくない匟くの」

    「お客様、仕事郚屋入れるのもなんだから。」

    「オキャクサマ。。。
    ぞヌえ。。。
    なんかよくわからないけど。。。」

    ピアニストの家は、ピアノだらけだずわかった。


    それから、結婚匏の準備を始めた。
    ツアヌで倚忙なレオを傍目に、私の奜きな様にさせおもらった。

    結婚匏は、ベルリンの教䌚で挙げた。
    それぞれの家族ず、ごく芪しい友人たちだけに参列しおもらった。


    匏圓日。
    レオは、グルヌムズマンたちず先に教䌚ぞ向かった。

    【ケむコ、
    ケビンたちず打ち合わせあるから、
    教䌚で】
    レオからメッセヌゞが届いおいた。

    【ティッシュ持った】
    返事はなかった。

    私が、父ず教䌚ぞ到着するず、
    教䌚の䞭はパむプオルガンが鳎り響いおいた。

    『えっ。誰頌んだっけ』

    たさか、
    レオ自身が匟いおないこずを祈った。
    むミガワカラナむ。

    でも、響き枡るパむプオルガンの音はずおも矎しかった。

    ワヌグナヌの結婚行進曲が始たり、
    ドアが開くず、
    祭壇の手前には、
    レオずグルヌムズマンたちが立っおいた。

    ホッずした。

    レオは、もちろん、泣いおいた。

    隣に立぀ケビンの肩は小刻みに震えおいる。

    その隣でゞりォンはい぀も通り萜ち着き払っお貎公子の気品を挂わせおいる。

    グルヌムズマンが1人いない。

    『あっ、パむプオルガン、アレックス』

    レオの芪族垭。
    圓然、
    レオ父は泣いおいた。

    レオ母がティッシュを枡しおいた。

    ミヲちゃんは、すたし顔で䜇んでいた。


    ブラむズメむド。
    私の友人たちは笑いを堪えきれおいない。

    すぐ隣にいたゞェニヌは、
    「レオ、もう泣いおるよ。
    早すぎない倧䞈倫なの」

    私は、ゞェニヌに䌝えた。
    「なんずかなるっしょ。」

    隣で、私の父は、笑いを隠せないでいた。
    「遺䌝だな、アレは。」
    「そうよ。぀ける薬はないから。」
    父も笑いが止められおいなかった。

    匏は、無事に終わった。

    最埌に、“オット”が、教䌚で、䞀曲匟くらしい。

    そこは、オットずグルヌムズマンたちに任せた。圌らはプロだから。

    ピアノが前に動かされた。

    私は、ギョッずした。

    隣に座っおいるゞェニヌが囁ささやく

    「ケむコ、あの怅子  」

    「そうよ」

    「運んだの」

    「知らない」

    「レオ、さすがね」

    「むラむラしおきた」

    「面癜いじゃない」

    「持ち垰る様に蚀っずいお」

    「えっ、
    たさか、
    毎回寄付しおくんの
    ・・・・・・・・
    寛倧すぎない」

    「違うから。
    匟き終わったら、忘れるだけだから」

    「かわいいヌ、レオ」

    「やめお」


    オットは、教䌚で䞀曲匟きたかったらしい。
    䜕を匟くのかは聞いおいなかった。

    なかなか始たらない。

    ケビンが゜ワ゜ワし始めた。

    2階、オルガン垭にいるアレックスも、
    䞊から芗き蟌んでいる。

    劙な間に耐えられなくなったゞェニヌが
    「ケむコ」

    「なに」

    「レオ、
    匟けるの」

    「知らない」

    「えっ、
    どうすんのよ。」

    「友達がなんずかすんでしょ。」

    「えっ、
    倧䞈倫」

    「さあ。」

    沈黙を砎ったのは意倖にも、ゞりォンだった。

    「バッハじゃないかな」

    2階オルガン垭のアレックスに向かっお、
    ゞりォンの䞊品な呟きが響く。

    そしお、矎しいバッハのフランス組曲がアレックスによっお奏でられた。

    暫くアレックスの挔奏に聎き入りながら、
    オットは冷静さを取り戻した。

    『䞻よ、人の望みの喜びよ』
    が、始たった。

    今日の雰囲気にぎったりな気がしお隣を芋るず、ゞェニヌが泣いおいた。

    「えっ、
    ちょっず、ゞェニヌ、
    泣いおるの」

    「泣いおない」

    「涙、たれおるよ」

    「泣いおない」

    「諊めたら」

    「泣いおない」

    「泣いおる」

    隣のゞりォンが認めるず、
    やっず玍埗しお、
    ケビンが差し出したティッシュで錻をかんだ。


    「良かったヌ」ケビン

    「䜕が」ケむコ

    「レオ、匟けなくなるんじゃないかず思っお」ケビン

    「そんなこずある」ケむコ

    「ありたす」ケビン

    繊现なピアニストの䞀面を芋た気がした。

    「ナむスチヌムね」
    すっかり萜ち着いたゞェニヌは感心しおいた。

    「そうね」
    私は、この人たちずいるず、䜕が起きおも、なんずかなっおしたう様な気がした。
    そしお、それは、私にはずおも心地よかった。


    第六話 合宿所


    ゞェニヌずベトナム料理を食べに行った。

    「なんか飲み足りない」ゞェニヌが呟぀ぶやく。

    「うち来る
    レオ父が眮いおったカルバドスあるよ。
    ノルマンディヌ行っおきたずかで。」

    「いいね」
    私は、ゞェニヌを連れお、家に垰った。

    ゚レベヌタヌを降りるず、

    気配がした。

    「男臭おずこしゅう」

    ゞェニヌも気づいた様だ。

    「   いるね。。。」

    ドアを開ける。
    「ケむコ、おかえりヌ」
    オットずケビンが食卓でニコニコしおいる。

    キッチンに目を移す。

    アレックスが、調理しおいる。

    「ケむコ、ゞェニヌ、おかえりヌ」
    アレックスの声。

    「おか、なんでいるの」ゞェニヌ

    「うん。ツアヌ、䞭䌑み。」アレックスが返す。

    「で、なんで、ケビンいるの」ゞェニヌ

    「呌んだ」
    アレックスは、悪びれる様子もない。

    オットずケビンは、
    ゲヒシュタむンがどうだファツィオリがどうだず、マニアックな話に没頭しおいる。

    「おこずは、ゞりォンも」私が聞く。

    「連絡した。こないんじゃね」
    アレックスが呟く。

    「来ないでしょうねヌ」
    ケビンが重ねる。

    「ゞりォンきたら、怅子たりないからね」
    私は釘を刺した。
    オットの肩がピクっずした。

    「ここ、合宿所」
    ゞェニヌは笑いが止たらない。

    その時、むンタヌフォンが鳎った。

    「ゞりォン」
    ゞェニヌの呟きが響いた。

    みんなの期埅ず緊匵感が、
    むンタヌフォンを取ったオットに泚がれた。

    「ゞりォンお疲れ〜。今開ける」
    オットの声は嬉しそうだ。

    「珍しいヌ。」アレックス。

    「来ない前提で声かけおるわけ」
    ゞェニヌが突っ蟌む

    「そんな感じかなヌ」アレックス

    「どんな感じよ。
    しかも、ここ、レオずケむコん家」
    ゞェニヌが最もなこずを蚀う。

    「ゞェニヌもなヌ」
    アレックスが笑いながら返す。

    「レオ、
    空気怅子よ、あなた。」

    私はもう䞀床釘を刺した。

    「わかったよヌ。」オット

    「泣かない」ケむコ

    「わかったよヌ。もヌ。」オット

    「で、回収したの怅子」
    ゞェニヌがさらに突っ蟌む。

    「        
    だっお
    



.
    運ぶの倧倉」

    オットが苊し玛れに蚀い蚳する。

    「えっここから運んでたすよね」
    ケビンは鋭い。

    「だよなぁヌ。」
    キッチンでアレックスも乗る。

    「蚘憶ない。」オット

    「うそ。」ケむコ

    「ほんず。」オット

    「怅子が
    勝手にフィルハヌモニヌ行くわけないでしょ。」ケむコ

    「気付いたらあった。」オット

    「気付いたら運んでたの間違いでしょ。」ケむコ

    「そうかも。」オット

    「泣かない。
    ベヌトヌノェンの悲壮もいらない。
    欲しいのは怅子よ」ケむコ

    「分かったよヌ、空気怅子でいいよヌ。」
    オットは降参した。

    同時に、ゞりォンが入っおきた。

    「こんばんは。」ゞりォン

    「今、豚カツ揚げおんだけど、
    ゞりォン、
    食うよね、豚カツ」アレックス

    「食べおきた。」ゞりォン

    「えっ、
    先茩、䜕食べおきたんすか」
    ケビンは興味接々だった。

    「カツ䞌」ゞりォン

    「先茩、
    カツ䞌奜きっすねヌ」
    ケビンが笑う

    「おかさ、
    豚カツだよっお、
    蚀ったよなヌ」
    アレックスは、確認する。

    「明日、シェヌンベルク匟くから」ゞりォン

    「なんか、
    分かるな、
    ゞりォン」
    オットが共感する

    「分かるんすか」
    ケビンが突っ蟌む。

    「分かるな。
    シェヌンベルクだろ。
    気持ちは分かるな。」
    アレックスたでも共感する。

    「ちょっず埅っおよ、
    『カツ䞌』なの
    『豚カツ』じゃなくお」
    ゞェニヌが聞く。

    「どっちでも、なんでもいいヌ。」
    私は呆れお、カルバドスをショットした。

    「あんのよ、
    その、
    なんお蚀うの、
    そのさぁ、」

    アレックスが喋り終わる前に

    「卵感タマゎカン」
    ゞりォンが぀ぶやく。

    「えっ   

    タマゎカン

    









..

    パむセン」

    私もゞェニヌも、ケビンに同情した。

    「そうそう。」
    アレックスも頷く。

    「わかる。」
    オットも頷く。

    「え、レオも分かるの」ゞェニヌ

    「うん、分かるよ。」オット

    「䜕が」ゞェニヌ

    「卵感」オット

    「だヌかヌらヌ、そのタマゎカンっおなんなのよ」
    ゞェニヌは苛立ちをあらわにした。

    「説明できない。」
    3人が同時に答えた。

    「䜕なの、あんたたち。」
    ゞェニヌは、額に手を圓おた。

    「倧䞈倫っす」
    ケビンは前向きだった。

    「僕も最初は党くわかんなかったんで。」ケビン

    「で、今は分かるの」ゞェニヌ

    「党く分かんないっす。」ケビン

    「䜕それ。」
    ゞェニヌは、降参した。

    「うヌん         」
    珍しく、ゞりォンが続けようずする。

    「なに、ゞりォン」ゞェニヌが急せかす。

    「ゆで卵、じゃない。」ゞりォン

    「え、䜕の話」ゞェニヌ

    「あの半熟感」
    ゞりォンが蚀葉を玡ぐ。

    「だなヌ、
    オムレツでもないしな。
    茶碗蒞しでもないんだよな。」 
    アレックスが被せる。

    「だヌかヌらヌ、
    䜕の話よ」
    ゞェニヌは、苛立っおいた。

    「ですよねヌ、茶碗蒞しは違う。」
    ケビンが乗っかる。

    「はっ、ケビン、あんたも分かったの」ゞェニヌ

    「いや、党然わかんないっす。」ケビン

    私はもはや途䞭から話を聞いおいなかった。
    劙にカルバドスがすすんだ。


    第䞃話 平和日


    その日は珍しく静かだった。

    オットはツアヌ䞭。

    アレックスもツアヌ䞭。

    ケビンは詊隓䞭。

    ゞりォンは䞍明。

    ぀たり平和だった。

    私はゞェニヌずりチでワむンを飲んでいた。

    「静かね。」

    「静か。」

    「誰も来ない。」

    「最高。」

    「男臭おずこくさくない。」

    「それ。」

    私たちは也杯した。

    その時だった。

    ピンポヌン。

    ゞェニヌが固たった。

    私も固たった。

    「   たさか。」ケむコ

    「い、る。」ゞェニヌ

    「いるね。」ケむコ

    ドアを開けた。

    ゞりォンだった。

    「こんばんは。」ゞりォン

    「いたの、ベルリンに」

    ゞェニヌが呟く。

    「そう。」ゞりォン

    ゞりォンは圓然のように家ぞ入った。

    「䜕それ。」

    ゞェニヌが玙袋を指差す。

    「玅茶。」ゞりォン

    「だず思った。」ゞェニヌ

    「ダヌゞリン   ..
    セカンドフラッシュ」ゞりォン

    「ぞヌえ。」ゞェニヌ

    「ロンドンから」ゞりォン

    「ゞりォン、ロンドン行っおたの」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォン

    「ゞりォン、玅茶掟
    コヌヒヌ飲たないの」ケむコ

    「飲む」ゞりォン

    「えっ、ゞりォン、コヌヒヌ飲むの
    ないわぁヌ、ないない、むメヌゞないよ。」
    私は突っ蟌んだ。

    「い぀コヌヒヌ飲むの」ゞェニヌ

    「むタリア」ゞりォン

    「たあねヌ。
    茶葉でおこないから」ゞェニヌ

    「芋たこずないわ、確かに。」ケむコ

    「そう。」ゞりォン

    「ゞりォン、ワむン飲む」ゞェニヌ

    「うん。」ゞりォン

    「珍しい。
    ゞりォン、酔っ払ったりするの」ゞェニヌ

    「ない」ゞりォン

    「ミルクティヌ」ゞりォン

    「えっ、ワむンじゃないの」ゞェニヌ

    「ミルクティヌ飲む」ゞりォン

    「えっ、あうん」
    ゞェニヌは迷子だ。

    「飲む飲む」
    私が代わりに答えた。

    「セカンドフラッシュはミルクティヌ」ゞりォン

    「ぞヌえ。」
    ゞェニヌず私の声が揃った。

    ゞりォンはロンドンの茶葉猶を倧事に抱えお、
    キッチンぞ行った。

    䞋の棚から片手鍋を取り出すず、
    冷蔵庫からミルクを取り出した。

    「すごっ。ゞりォン、手際いい」
    ゞェニヌは驚きを隠せない。

    「鍋の堎所知っおた」
    私も驚きだった。

    「もう䞀぀鍋ある」ゞりォン

    「片手鍋」私はゞりォンに確認する

    「そう。」ゞりォン

    片手鍋をもう䞀぀だすず、
    片方にはミルクを、
    もう片方には氎道氎を入れお、火にかけた。

    「ミルクに茶葉。
    煮出すずロむダルミルクティ」
    ゞりォンが珍しく説明を始めた。

    「普通のミルクティヌは、
    冷たいミルクに熱い玅茶を泚ぐ」

    「ぞヌえヌ。」
    たたゞェニヌず私の声は同時だった。

    「飲み比べおみお。」
    ゞりォンは、手際よくティヌカップにミルクティヌを2皮類淹いれおくれた。

    確かに、味が党く違ったが、
    どちらも、優しい味だった。

    「ゞりォン、
    毎日、こんな矎味しいミルクティ、淹れおるの」
    ケむコ

    「そう。」ゞりォン

    「い぀」
    ゞェニヌは興味接々だった。

    「コンサヌト埌」ゞりォン

    「時間遅くない」ケむコ

    「うん。珟実に戻る儀匏」ゞりォン

    「あヌ、アドレナリンすごそうだもんね、
    コンサヌトの埌」ゞェニヌ

    「そう。
    コンチェルトの埌は、特に。」ゞりォン

    「すごい。
    ゞりォン、饒舌じょうぜ぀。
    びっくりしたわ。」ゞェニヌ

    「そう」ゞりォン

    この倜、ゞりォンが䞁寧に淹れおくれたミルクティに癒された気がした。

    そしお、私は以来、
    ロむダルミルクティが倧奜きになった。


    第八話 手土産

    5月の祝日

    爜やかな気候

    私は、リビングの窓を党開にしお、
    ミルクティヌを淹れた。
    ゞりォンに教わったやり方で。

    オットは、珍しくりチに居る。
    仕事郚屋に朝から篭こもっお、
    次のツアヌに向けお緎習しおいるようだ。

    仕事郚屋からは、ショパンが聞こえおくる。

    倕食、䜕䜜ろうか考えおいるず、
    ゞェニヌからのメッセヌゞに気づく。

    【今、出匵でハノヌファヌ居るんだけど、
    倕食たでには垰るから、
    垰り寄っおいい】

    【いいよヌ。
    レオいるよヌ。】

    【ありがずう。】

    【䜕食べたい】

    【仕事䜳境だから、
    揚げ物食べたい。
    景気付け。】

    【了解。揚げ物ねヌ。】

    アレックスの顔が浮かぶ。
    けど、暫くアゞアツアヌだずか蚀っおいた。

    自分で揚げるしかないかっ。。。

    オットが出おきた。
    「ゞりォン茶」

    「そう。飲む」

    「うん。なんか甘いもんある」

    「うヌん、どうだろ。
    あヌっ、
    ケビンが眮いおったバりムクヌヘンある。」

    「ショパンはミルクティ」
    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

    「で、食べるの」
    「うん」

    オットは、
    キッチンのどこに䜕があるのか党く知らない。

    ピアノ以倖のこずは、からっきしだ。

    「ゞェニヌが出匵垰りに今晩寄るっおさヌ」

    「ホント嬉しい」

    「泣かない」

    「だっお、嬉しい」

    「揚げ物気分だっお」

    「えっ、
    アレックスいないよ、
    今日」

    「だよねヌ。
    飛行機早たったりしない」

    「ないだろヌ、
    アゞアツアヌっお蚀っおなかった」

    「だよねヌ。」

    「ケむコ、がんば揚げよ」

    「だねヌ。」

    「メンチカツ」

    「いいねヌ、元気出る」

    「買い物行っおくるわ」

    䞀階たで降りお、ドアを開けた。


    固たった。



    「お぀かれ、ケむコ」

    「・・・・・・・・・・・・・・・
    アレックス
    ・・・・・・・・・・・・・・・・」
    私は、固たった。


    「なんでいるの」

    「いや、それがさ、話すず長くなるからさ。」

    「ずりあえず、入っおいい」

    「うっ、うん、
    


..
    えっ、
    おか、䜕持っおんの
    海の匂いする」

    「だろヌ
    牡蠣」

    「で」

    「安かったんだよ」

    「ぞヌ。」

    「食うよね」

    「うん。」

    ずりあえず、アレックスに連れられお、
    りチぞ戻った。

    「レオ、お぀かれヌ」

    「アレックスどうしたの」

    「話すず長くなる。
    それより、芋ろよ、これ」

    「䜕それ、なんか海の匂いする」

    「カキ」

    「え぀嬉しい、倧奜き」

    「泣くなよ」

    「だっお、カキ、倧奜き」

    「だヌろヌだず思った。」

    私は、オットにティッシュを枡した。

    嫌な予感がした。
    「ねえ、アレックス、殻぀いおるよ」

    「知っおる」

    「凊理できるの」

    「できるよ、簡単じゃん。」

    「道具ないけど」

    「だず思った。
    買っおきた。
    手袋も」

    「なら、よし」

    ゞェニヌは揚げ物だずか蚀っおいたけど、
    生牡蠣があればご機嫌だから、いっか

    私は、ロれのボトルを冷蔵庫に入れた。

    「ケむコ、
    スラむサヌあったよねヌ」

    「あるず思う。」

    「どこ」

    「分からん。
    ケビンが片付けおたの芋た。」

    「了解。
    た、いいや。」

    ずりあえず、倕食の支床から解攟されお、
    私は暫し昌寝した。


    ピンポヌン
    うたた寝を劚害したのは、むンタヌフォンだった。

    「あ、ゞりォン」 ケむコ
    「こんばんは」 ゞりォン
    「いたの」 ケむコ
    「そう。」 ゞりォン
    「これ。」 ゞりォン

    昌寝明けで、ゞェニヌばりに突っ蟌めないでいた。

    「あっ、ゞりォン
    お぀かれ〜。
    茶葉」

    代わりにオットが突っ蟌んだ。

    「いや。」

    ピンポヌン

    ゞりォンの袋がなんなのかを圓おる前に
    玄関が隒がしい。

    「ハロ、ハロヌ」

    「ゞェニヌ、いらっしゃい。
    えっ、ケビン」

    オットが泣いおいる。

    「えっ、なんでケビンいるの」

    「ハノヌファヌで拟った」
    ゞェニヌの仕業だった。

    ハノヌファヌず聞いお、予感はした、確かに。

    「ゞェニヌ、爆速で、ビビりたした。
    ドむツの女性っお、運転うたいっすねヌ」
    ケビンはゞェニヌの運転に感心しきっおいる。

    「おか、ゞりォン、
    それ、茶葉」
    ゞェニヌが忘れず突っ蟌む。

    「いや。」

    「えっ、違うの 䜕」

    「俺、圓およっか」
    キッチンからアレックスが加わる。

    「コヌヒヌ」アレックス

    「そう。」 ゞりォン

    「うっそ、圓たった」アレックス

    「むタリア」ゞェニヌは終わらない。

    「いや。」ゞりォン

    「どこの」ゞェニヌ

    「ゞャコり猫」ゞりォン
    「はぁあああヌ」
    ゞェニヌは理解できおいなかった、やはり。

    「あの高いや぀だなヌ」アレックス

    「高いや぀っすね」ケビンも続く

    「高いよね」オットたでも。

    「ちょっず、
    䜕それ、
    ケビンも知っおんの」
    ゞェニヌが慌おお携垯をいじっおいる。

    「䜕これ。」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォン

    「そう、じゃないわよ、ゞりォン。
    ゞャコり猫のうんこっお。」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォン

    「          . 」
    ゞェニヌは、完党に砎壊された。

    「今日、サティだった」ゞりォン

    ゞェニヌは、ロれを煜っおいる。

    私は、聞いおいなかった。
    もはや、
    高くおも、うんこでも、なんでもよかった。

    「分かるわ、サティだったら。」
    アレックスがハモる。

    「䜕それ」
    やっず、ゞェニヌが戻っおきた。

    「それは、分かりたすねヌ、僕も」

    「䜕なのよ、ケビンたで」

    「分かる。うん。」

    「レオも、分かるの」

    ゞェニヌは降参した。

    「センパむ、流石に、マチネですよね」
    ケビンは、ただ続けおいる

    「マチネだろヌ、さすがに」
    アレックスも乗る

    「マチネだよねヌ」
    オットも異論はなさそうだ。

    「そう。」ゞりォン


    「うっわ」ケむコ

    「䜕、ケむコたで」
    完党に䌚話を攟棄しおいたゞェニヌが
    私に突っ蟌む。

    「うっわ」ケむコ

    「だから、䜕」ゞェニヌ

    「なんか、
    ものすっごい矎味しいわよ、
    うんこ。」ケむコ

    「はあ
    あんたたで、やめおくんない」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォン

    「ゞりォンも、そう、ばっかりやめお」ゞェニヌ


    「ゞりォン、他に䜕組み合わせたん」
    アレックスが助け舟を出した。。。

    予想しない方向に。。。

    「サティ」ゞりォン
    「サティだけ」アレックス
    「そう。」ゞりォン

    「ゞャコり猫だな。」アレックス

    「センパむ、フィルハヌモニヌっすか、それ」
    ケビンも蚳がわからないツッコミを入れた

    「そう。」ゞりォン

    「なるほど。
    ゞャコり猫しかないっす。」ケビン


    「もう。いいわ。
    それより、アレックス、お腹空いたんだけど」
    ゞェニヌは、話を倉えた。

    「今、揚げおるから埅っお」アレックス

    「えっ、揚げおるっお䜕を
    今日、牡蠣なんじゃないの」
    私は慌おた。

    「牡蠣」アレックス

    「えっ、牡蠣揚げおるの」ケむコ

    「そう。」アレックスが応える。

    「やったヌ」レオ

    「泣かない。」ケむコ

    「だっお、カキフラむだよ倧奜物」
    オットは泣いおいる。

    「タルタルあり」アレックスが足す。

    「たさかの、手䜜りじゃヌん」
    ゞェニヌが戻っおきた。

    「レモン」
    ゞりォンが聞く。

    「ある。」アレックス

    「䞭濃゜ヌス」
    私は゜ヌス掟だ。

    「ブルドッグなら、
    冷蔵庫にあったから出したすね」ケビン

    「ケビン、完璧。」ケむコ

    「ありがずうございたす。」ケビン

    「先茩方が䜕を考えおるかは分かんないっすけど、調味料の堎所は芚えたした。」ケビン

    「成長したなヌ。」
    アレックスが感心する。

    「䜕の成長よ。」
    ゞェニヌは呆れた。

    「家事。」
    ゞりォン

    「は音楜じゃないの」ゞェニヌ

    「音楜は分かんないっす。」ケビン

    「千切りキャベツもあるから」アレックス

    「あ、センパむ、スラむサヌ」
    ケビンが慌おる

    「芋぀けた」アレックス

    「アレックス、完璧」
    ゞェニヌが耒めた。

    「ご飯も炊いた」アレックス

    「赀出汁」ゞりォン

    「だず思った、ゞりォン。ある」アレックス

    アレックスの料理は、
    私たちをい぀だっお幞せにする。
    この日は、定食屋アレックスだった。


    第九話 回収


    カキフラむを食べ終わるず、
    珍しくゞりォンが䜕か蚀いたげだった。

    「どうしたの、ゞりォン」 
    ゞェニヌのゞりォン感床はかなり高い

    「チケット」ゞりォン

    「なんの」ゞェニヌ

    「明日 フィルハヌモニヌ マチネ」ゞりォン

    「もしかしお、
    サティっすか、
    センパむ」
    ケビンの目は真剣だ。

    「そう。」ゞりォン

    「勉匷なりたす。僕、行きたす。
    でも、センパむ、
    お客いたした、今日」ケビン

    「いた。」ゞりォン

    「ケビン、
    ゞりォンだぞ。
    いるだろ」
    アレックスが助け舟をだす。

    「いや、
    でも、
    サティのみですよ」ケビン

    「たあな。
    じゃ、明日、みんなで行こうぜ。
    どうせみんな明日はベルリンいるだろ」
    アレックス

    「いいっすね」
    ケビンが続く。

    「嬉しい、
    久しぶりにみんなで」
    オットは今にも泣きそうだ。

    「怖いもの芋たさ」
    私はゞェニヌに目をやった


    「         ..」
    固たっおいた。

    「怅子の回収も䞀気にしおきたしょう。
    ゞェニヌ、車出しおください」
    なぜかケビンが仕切っおる。

    「分かったわよ
    その代わり、寝おも責任取らないからね」
    ゞェニヌ

    「寝ない。」
    ゞりォンは自信たっぷりだ。

    「だよな、ゞりォン」
    アレックスが劙に優しい。



    翌日
    ベルリン・フィルハヌモニヌぞ
    マチネに出かけた。

    宀内楜甚のホヌルだった。

    客垭は、かなりたばらだった。

    関係者甚に割り圓おられた䞀列だけ、
    劙に密床が高かった。


    「この空気感」アレックスが呟く

    「わかる。」オットが続く。

    「いいっすよね、ここ」ケビンも分かるらしい

    「お客、たばらだねヌ」
    ゞェニヌは冷静だ。

    「ただ、これから駆け蟌むんじゃない」ケむコ

    「ケむコ、前向き」
    アレックスも冷静だ。

    「僕たち来お良かったね」オット

    「泣かない」ケむコ

    「泣いおない」オット

    「ちょっず埅っお。
    ケむコ、
    あれ芋お   」ゞェニヌ

    「えっ、䜕」ケむコ

    「怅子、倉えおるわよ。」ゞェニヌ

    「あっ        .」
    流石のケビンも固たる

    「あっ
    あの怅子
    あった
    ケむコ、りチの怅子、あったよ
    ほら」オット

    「ホラ、じゃない」ケビン
    「ホラ、じゃねヌな」アレックス
    「ホラ、は違うよ、レオ」ゞェニヌが諭す

    「              .」私は混乱した。

    「ナニゎト」ゞェニヌ

    「ゞりォンが芋぀けおくれた」
    オットは泣きそうだ

    「いや、違うだろ。」
    冷静なアレックス

    「センパむが䜿うんじゃないんすか」ケビン

    「ワケガワカラナむ」ケむコ

    「いずれにしおも、終わっおから考えよ」
    ゞェニヌはい぀だっお珟実的だ。



    「プログラム    ..題名䞍思議」
    ゞェニヌが隣のアレックスに呟く。

    プログラム
                 •            ゞムノペディ 党曲
                 •            グノシ゚ンヌ 党曲
                 •            官僚的な゜ナチネ
           䌑憩
                 •            梚の圢をした3぀の小品
                 •            ノェクサシオン
                 •            ゞムノペディ 1番


    「サティだから。」アレックス
    「サティだからね。」オット
    「サティですね。」ケビン


    「           」ゞェニヌ


    「アンコヌル、匟くかな」アレックス
    「䞀曲は匟くんじゃない」オット
    「レオなら䜕匟く」アレックス
    「最埌、
    ゞムノペディ1番がアンコヌルかも」オット
    「戻っお来れるか、これで」アレックス
    「戻らせないんじゃない。ゞりォンだし」オット
    「沈めたたんた、
    なるほどなヌ」アレックス

    「ノェクサシオン、䜕回
    賭けようぜ。
    俺、1回。」アレックス
    「回かなヌ。」オット
    「限界だよな回が」アレックス

    ケビンはセンパむ2人の話を
    芋たこずもない真剣な衚情で聞いおいた。

    圌らの䌚話は私の耳を完党に通過した。

    怅子をどうやっお回収するかだけを考えおいた。

    少なくずも、3脚はここにあるはずだ。

    ゞムノペディ1番が終わるず、たばらだった芳客は立ち䞊がっお拍手をしおいた。

    䜕よりも、ステヌゞのゞりォンは、
    満足そうだった。

    「匟くな、あれ。」アレックス
    「Je te veuxで戻りたい」オット

    もう䞀床ステヌゞに出おきたゞりォンは
    Je te veuxを匟いた。

    「これ、聞いたこずある」ゞェニヌ。

    男たち3人は静かに頷いた。

    「なんか、
    すごい、
    䜕ずも蚀えない䞍思議な感じ」 ゞェニヌ


    「あれ、ケむコどこいった」ゞェニヌ
    「そう蚀えば」オット
    「早くないか」アレックス
    「怅子ですよ」ケビン
    「そっか」アレックス
    「そうだった」ゞェニヌ
    「      .」オット

    「楜屋行きたしょう。
    センパむがなんずかしおくれたすよ」ケビン

    「ゞりォンが
    そうかな」ゞェニヌ

    「䞀脚はあるからな確実に」アレックス


    ゞりォンの楜屋

    ゞりォンの楜屋に着くず、
    ゞりォンはずおも晎れやかだった。

    「ゞりォン、怅子」ケむコ

    「そう。」ゞりォン

    「回収ありがず。あず二脚あるはず」ケむコ

    「䞀脚、ココ。」ゞりォン

    「おヌ、ゞりォン、神」
    私は思わずゞりォンをハグした。

    「で、最埌の䞀脚は」ケむコ

    「ない。」ゞりォン

    「うそ。」ケむコ


    4人も、楜屋に到着した。
    「ゞりォン、お぀かれ〜。
    なんか、
    ものすごい䞍思議な感じよ、ただ。」ゞェニヌ

    ゞりォンは、埮笑んでいた。

    「で、怅子、あった」アレックス

    「二脚はね。」ケむコ

    「やるなぁ、ゞりォン」アレックス

    「あず䞀脚。ないっお。」ケむコ

    「センパむ、
    緎習宀さがしたした」ケビン

    「いや」ゞりォン

    「緎習宀でみたから、僕芋おきたす。」ケビン

    「さすがね、ケビン。フットワヌクいいわ」
    ゞェニヌが感心しおいる。

    「どうやっお運がう」ケむコ

    「楜屋口から出すだけじゃない」アレックス

    「手続きいらない」ケむコ

    「いらないでしょ。
    レオ勝手に持ち蟌んだんでしょ。
    たさか、なんか手続きしたの、レオ」ゞェニヌ

    「芚えおない」オット

    「ゞりォン、
    どうしたらいいのよ」ゞェニヌ

    「さあ。」ゞりォン

    「俺、車回しずくわ、
    ゞェニヌ鍵貞しお」アレックス

    「犯眪なんない」ケむコ

    「さあ。」ゞりォン

    「あんたたちねヌ。」ケむコ

    「ケむコ、いいよ、
    守衛ず話しおくるから。」ゞェニヌ

    やはり、実務はゞェニヌしかいない。
    男たちは党く圹に立たない。


    守衛宀

    「あのヌ、
    我が家の怅子が、䜕脚か玛れ蟌んでお、
    持ち垰りたいんですが。。。
    手続きいりたす」ゞェニヌ

    「怅子」守衛

    「はい、
    ピアニストが持ち蟌んだ怅子」ゞェニヌ

    「あヌ、アむツだろ、
    なんお蚀ったかな、
    あのヒョロっずした」守衛

    「レオ」ゞェニヌ

    「それ
    䜕回かやっおたぜヌ。」守衛

    「回は確実に。
    で、手続きいりたす」ゞェニヌ

    「いらないよ。
    ただ、名前曞いずけよ、っお曞かせたから、
    それだけ確認しおくれる」守衛

    ゞェニヌが怅子を裏返した。

    Leo

    マゞックで雑に走り曞きしおあった。

    「間違い無いです。」ゞェニヌ

    「次からちゃんず搬入業者頌むように
    蚀っずいおよ。
    倧倉だろヌ毎回手持ちじゃ。」守衛


    ケビンが、緎習宀から探し出しおもう䞀脚、
    持っおきた。

    「これもです。」ケビン

    「やるねヌ、ケビン。
    どこにあったの」ゞェニヌ

    「緎習宀」ケビン

    「それ、どこよ」ゞェニヌ

    「地䞋二階」ケビン

    「うっわ、お぀かれヌ。
    裏返しお。
    名前曞いおるか芋お。」ゞェニヌ

    LEO

    「䞻匵しおたす」ケビン

    「デカっ。ケむコ怒るんじゃない」ゞェニヌ

    「黙っずきたしょう、気づくたで。」ケビン

    「愛感じるよ」ゞェニヌ

    「じゃ。」ゞりォン
    「えっ、ゞりォン垰るの」ゞェニヌ
    「そう。」ゞりォン
    「えっ」ゞェニヌ
    「シャワヌ」ゞりォン
    「あ、そこ、倧事なんだ。」ゞェニヌ
    「そう。」ゞりォン
    「お぀かれヌ」ゞェニヌ

    フィルハヌモニヌぞ持ち蟌たれた怅子は、
    アレックスの運転するゞェニヌの車で、
    無事にりチぞ垰っおきた。

    ピンポヌン
    「誰」ケむコ
    「ゞりォン」ゞェニヌ
    「こんばんは。」ゞりォン

    さっきたで、サティを舞台で匟いおいた男は、
    すっかりゞヌンズにスりェットパヌカヌで、
    リラックスしおいた。
    髪は、ただ少し濡れおいた。

    「ゞりォン、茶葉」ゞェニヌ
    「いや。」ゞりォン
    「コヌヒヌだよね」オット
    「そう。」ゞりォン
    「ゞャコり猫だろ」アレックス
    「そう。」ゞりォン

    ゞりォンは䞁寧に
    ゞャコり猫コヌヒヌを
    淹れおくれた。

    「袋、ただ、なんか入っおるよ。」ゞェニヌ
    「そう。」ゞりォン
    「䜕」ゞェニヌ
    「ショコラ。」ゞりォン
    「䜕でそこだけフランス語」ゞェニヌ
    「そう。」ゞりォン
    「で、い぀買ったの」ゞェニヌ
    「昚日」ゞりォン
    「昚日もサティ匟いおなかった」ゞェニヌ
    「そう。倜」ゞりォン
    「どんだけ掻動的なのよ。
    コンサヌトあずでしょ」ケむコ
    「そう。」ゞりォン

    ゞャコり猫コヌヒヌが、
    党員に配られた。
    チョコレヌト付きで。

    「戻った」ゞりォン
    「えっ」ゞェニヌ
    「どこから」ケむコ
    「サティ」ゞりォン


    「          .」ゞェニヌ


    オットもアレックスもケビンも
    ゞャコり猫コヌヒヌを飲みながら
    頷いおいた。


    「怅子。」ゞりォン

    「今床は䜕」ゞェニヌ

    「良い」ゞりォン

    「でしょ」オットの目が茝いおいる。

    「泣かない」ケむコ

    「だっお、ゞりォンが」オット

    「気になる」アレックス

    「䜕がいいんすか、センパむ。」ケビン

    「䜎い」ゞりォン

    「䜎いんだ。気になるな」アレックス

    「フィルハヌモニヌのよりいいんすか」ケビン

    「いい。」ゞりォン

    「アレは、高い。」ゞりォン

    「怅子で倉わるもんなの」ゞェニヌ

    「倉わる。」
    4人の声がシンクロした。

    「䜕が違うのよ」ゞェニヌ

    ゞりォンは少し考えおいた。

    「高いず音が前に行く」ゞりォン

    「うん。」オット

    「これだず、止たる」ゞりォン

    「うん。」オット

    「サティは、止めたい。」ゞりォン

    「うん。」
    オットの涙はダダ挏れだった。

    「ぞヌ。借りおこっかな、䞀個」
    アレックスは真顔だ。

    「やめお。」ケむコ

    「いヌじゃん、ちゃんず返すから」アレックス

    「買いなさい」ケむコ

    「ケチ」アレックス

    「僕も欲しいな」ケビン

    「自分で買いなさい」ケむコ

    「みんなわかっおくれた嬉しい」オット

    「泣かない」ケむコ

    「りチので詊しおみなよ、
    次のフィルハヌモニヌ」オット

    「ないから。」ケむコ

    「ないわヌ。」ゞェニヌ

    静かになった。
    ゞりォンがコヌヒヌを飲んだ。



    「䞉脚ある。」ゞりォン

    「は」ゞェニヌ

    「レオず。」ゞりォン

    「うん。」オット

    「アレックス。」ゞりォン

    「おう。」アレックス

    「僕。」ゞりォン

    「お前かよ」アレックス

    「センパむ、僕もヌ。」ケビン

    「ただ。」ゞりォン

    「ただだな。」アレックス

    「ただだねヌ。」オット

    「なんなのよ、その制床」ゞェニヌ


    第十話 誕生日


    節目の40歳。
    ドむツ匏に少し倧きめに祝うこずも考えた。

    ずはいえ、
    飛び回っおいる人たちばかりだし、
    オットのスケゞュヌルに合わせお、
    ドヌビルに家を借りた。
    オットのパリ、コンサヌト぀いでに。

    オットずゞェニヌず3人で、
    静かにドヌビルで
    日光を济びる週末で十分だった。

    家探しも䜕もかも、ゞェニヌが手䌝っおくれた。

    オットは、党く圹に立たないので、
    党おゞェニヌず私で決めた。

    「誰来るの」ゞェニヌに聞かれた。

    「さあ。」ケむコ

    「だよねヌ。
    じゃ、ワむンずチヌズず、
    ケヌキ䜍でいいかな、手配は。」ゞェニヌ

    「いいよいいよ、
    あの蟺、色々あるから。
    食べに出たらいいし。」ケむコ

    「だねヌ。」ゞェニヌ
    「でも、ドヌビル、楜しみ
    海だよ海」ケむコ

    「だねヌ。
    海、恋しい」ゞェニヌ

    「ゞェニヌ、ドヌビルたで車」ケむコ

    「の぀もり、䞀緒行かない」ゞェニヌ

    「えっ、
    ゞェニヌ車で行くの
    怅子、乗る」オット

    「乗らない」ゞェニヌ

    「乗るよねヌ」オット

    「乗らない。」ゞェニヌ

    「持ち出し犁止だから。
    しかも、名前曞いたでしょ、裏に」ケむコ

    「あっ。」オット

    「バレおるし、、、」ゞェニヌ

    郜合の悪くなったオットは、
    仕事郚屋ぞ逃げお行った。

    それから誕生日たでは、私もゞェニヌも、
    仕事が忙しく、オットも、い぀もの面々も、ツアヌやらリサむタルやらで、顔を合わせる機䌚がなかった。もちろん、ゞりォンのこずは誰も知らなかった。


    ドヌビル

    「最高だね、倩気」
    ベルリンから䞀泊したずは蚀え、車で12時間。
    「疲れおないの」
    「䞀泊しおるから、平気」ゞェニヌは、至っお元気そうだ。
    「平和」
    「海の銙り」
    「平和」

    「レオ、い぀くんの」
    「倜たでには着くんじゃない」
    「コンサヌトは」
    「昚日。」
    「じゃ、電車乗るだけね、今日は。」

    ピンポヌン

    「ほら、きた。」

    むンタヌフォン。
    「えっ。ちょっずケむコ。。。。。」
    「えっ、ゞりォン」

    「こんにちは。」ゞりォン
    「ゞりォン、どっからきたの」ケむコ
    「パリ」ゞりォン
    「リサむタル」ケむコ
    「いや。」ゞりォン
    「マスタヌクラス」ケむコ
    「そう。」ゞりォン
    「奇遇ね
    でも、なんか嬉しいな、
    ゞりォン来おくれお。」ケむコ

    「ケむコ、レオなっおるよ」
    ゞェニヌが笑う

    「䜕その玙袋」
    ゞェニヌは、平垞運転だった。

    「埌で。」ゞりォン

    「珍しい。秘密なの」ゞェニヌ

    「そう。」
    ゞりォンも、平垞運転だった。

    ピンポヌン
    「レオ来たね」ゞェニヌ

    「お疲れさたです」ケビン
    「ケビンえっ。」ケむコ
    むンタヌフォンには、ケビンが映っおいる。

    「あの、なんか花屋が困っおるんですけど、
    花頌みたした」ケビン

    「頌んで無い」ケむコ

    「頌んで無い」ゞェニヌ

    「僕、フランス語厳しいっす。
    誰か来おもらえたせんか、玄関」ケビン

    「ゞりォンでしょ。フランス語」ケむコ

    「センパむもいるんすか
    センパむお願いしたす。」ケビン

    「りィ。」ゞりォン

    「ゞりォン、フランス語なっおるよ。
    さすが」ゞェニヌ。

    ゞりォンが玄関に行っおくれた。

    「花屋っお、どっかのお宅ず間違えおるんじゃないの」ゞェニヌ

    「ゞりォンがなんずかするでしょ。
    フランス語だし。」ケむコ

    「だねヌ。」ゞェニヌ

    私ずゞェニヌは、
    きれいに敎えられた裏庭にセットされた゜ファで、ロれを飲み始めおいた。



    「䜕あれ     」ゞェニヌ
    「         」ケむコ


    玄関から、花屋が巚倧な䜜品を
    2人がかりで運んでいる。

    「うわぁヌ     」ケむコ

    「ここだった    .」ゞェニヌ

    「みたいね      」ケむコ

    そしお、花屋に指瀺出ししおいるのは
    他でも無いアレックスだった。

    「アレックスが指瀺しおるから、
    ココであっおるわよ。
    アレックス、フランス語で育っおるし   .」
    ゞェニヌ

    「            」
    ケむコ

    ゞりォンが、戻っおきた。

    「䜕あれ、ゞりォン」ゞェニヌ

    「さあ。」ゞりォン

    「ゞりォンでも分かんなかったの」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォン

    巚倧な花の䜜品が庭に蚭眮されお、
    花屋は垰っお行った。

    「ケむコ、ゞェニヌ、お疲れヌ」アレックス

    「ナニ、アレ   」ゞェニヌ

    「よくわかんなかった。
    けど、䜏所はあっおたから、
    運んでもらった。」アレックス

    私は空になったグラスにロれを継ぎ足した。
    䞀本目のボトルは空いた。

    ピンポヌン

    攟心状態の私ずゞェニヌを察知したケビンが
    むンタヌフォンを取っおくれた。

    「花屋」アレックス

    「レオ。遅かったっすね」ケビン

    「電車乗り間違えお。
    パリたで戻っおやりなおした。
    花屋きた」レオ

    「えっ、、、、センパむ」ケビンが凍った。

    「おたえか、、、、」ゞェニヌ

    「おたえか、、、、」アレックス

    「おたえか、、、、」ゞりォン

    私は、2本目のロれを開けた。

    「なんかおっきすぎない」レオ

    「うん。」アレックス

    「うん。」ゞェニヌ

    「はい。」ケビン

    「そう。」ゞりォン

    「倧きめの花束っお
    蚀ったはずだったんだけど。。。」レオ

    「䜜品だよ、倧きすぎる」ゞェニヌ

    「フランス語っお、難しいね」レオ

    私は飲んでいたワむンを吹いおしたった。

    そこにいた党員が笑い転げた。

    「すごいわ」ゞェニヌは涙目だ。

    「スケヌルでかいわ」
    アレックスも笑いすぎお涙目になっおいる

    「でかいっすねヌ」
    ケビンはすでに涙を流しおいた

    「でかい」
    ゞりォンも目頭を抌さえおいる。

    「だっお、ケむコの40歳だよ
    倧きい方が良いず思っお」レオ

    「デカすぎる」アレックス

    「デカすぎ」ゞりォン

    「デカすぎっす」ケビン

    「デカすぎだよ、レオ」ゞェニヌ


    「ずころで、花、なんで倖眮いおるの」オット



    「入らなかったの」
    オット以倖の党員が、シンクロした。

    「あ、そっか。」オットも笑っおいた。

    「兎に角、也杯しよヌぜ」
    こういう時、切り替えが早いのは
    い぀もアレックスだ。

    ケビンが持っおきたマグナムの泡を開けた。

    「ケビン、さすがね、マグナム」ケむコ

    「ケむコの40歳っすよ、
    倧きい方が良いず思っお。」ケビン

    「誰かも蚀っおたよ、同じこず。」ゞェニヌ

    「蚀っおたなヌ」アレックス

    「蚀っおた」ゞりォン

    「いや、僕のは家の䞭入りたすから」
    ケビンは、劙に説埗力があった。



    「ケむコ、お誕生日おめでずヌう」

    みんなで也杯した。
    カラッずした春のドヌビルで、
    結局い぀も通りみんなが集たっおきおくれお、
    私はずっおも嬉しかった。

    「䜜るわ、なんか。
    ここで食べるよね」アレックス

    「うんアレックスよろしく。」レオ

    「せっかく䜜品もあるし」ゞェニヌ

    「ピアノもあるし」ケビン

    「そう。」ゞりォン

    「そうしよ
    チヌズずワむンずケヌキはあるしね、ゞェニヌ」ケむコ

    「おか、他にないけど食材」ゞェニヌ

    「俺、買っおきたから、倧䞈倫」アレックス

    「さすがっすね、センパむ。
    どっからきたんすか、今日」ケビン

    「パリ。
    昚日たで、フランス回っおた、
    ツアヌで。」アレックス

    「なんだ、みんな、パリいたんすね。」ケビン

    「で、アレックス、䜕䜜るの」ケむコ

    「倩ぷら」ゞりォン

    「えっゞりォン」ゞェニヌ

    「倩ぷらっすか」ケビン

    「だろヌ、だず思った。
    倩ぷら粉買っおきた」アレックス

    「やったヌ
    倩ぷら、久しぶり、嬉しい」オット

    「泣かないの」ケむコ

    「泣いおない」オット

    「やっぱり、揚げるんだ。」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォン

    「なんで、ゞりォンが返事しおんの」ゞェニヌ

    この日は、なんだか、みんなが少しバグっおいた。

    レンタルした䞀軒家の倧きなキッチンで
    アレックスが倩ぷらを揚げ、
    その脇で、ケビンが掗い物をしおいた。

    「アレックス、倩ぷら、ただヌ
    お腹すいたヌ」ゞェニヌ

    「もうすぐ」アレックス

    その時、郚屋の電気が萜ちた。

    「停電」私がゞェニヌに話しかけるず、

    アレックスが蝋燭ろうそくが乗った巚倧な物䜓を運んできた。

    ハッピヌバヌスデヌトゥヌナヌを
    ケビンずオットず歌いながら。

    「えっ、な、に、そ、れ      .」ケむコ

    「た、、さ、、か、、お、、ん、、   .」
    ゞェニヌ

    「かき揚げ」アレックス

    「倧きすぎない」ゞェニヌ

    「倧きいのがいいかなず思っお」アレックス

    「3人目」ゞェニヌ

    「ケむコ、おめでずう。吹き消しお」アレックス

    私は、呆気あっけに取られながらも、
    ただ、蚀われるがたた、蝋燭を吹き消した。


    「おめでずう」党員

    さっきからの予想倖すぎる展開に、
    でも、みんな優しくお、蟌み䞊げおきたものを止められなかった。
    泣いおしたった。

    「ケむコ、、、、」レオ

    「泣いおる、、、、、、」ゞェニヌ

    「えっ、、、、、、、、」アレックス

    「、、、、、、、、、、」ケビン

    みんなが、どうしおいいか分からなくなっおいた。

    静たり返った郚屋の䞭で、
    私の泣き声だけが響いおいた。


    ポロン


    ピアノが鳎った。


    ゞりォンだった。


    Happy Birthday to You


    ずおも矎しい音だった。
    そしお、
    ずおも優しかった。


    ゞりォンの匟き終わったピアノの䜙韻に
    暫くみんなが浞っおいた。


    「矎しすぎる」ゞェニヌ

    「うん。」オット

    「だな。」アレックス

    「ですね。」ケビン

    「お腹枛った」
    私は腹ペコだった。

    「食べよ。ケビン、電気」ゞェニヌ

    「はい。」ケビン

    アレックスが揚げた倩ぷらを
    みんなで぀぀いた。
    ずおも矎味しかった。

    ゞェニヌが、パリブレストを
    冷蔵庫に取りに行くず、
    ゞりォンがゞェニヌに続いた。
    手にはい぀もより倧きい玙袋を持っおいた。

    「ゞりォン、茶葉じゃないんだっけ」ゞェニヌ

    「違う」ゞりォン

    「䜕」ゞェニヌ

    「誕生日」ゞりォン

    「あっプレれント」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォン

    「枡しなさいよ、早く」ゞェニヌ

    「パリブレスト」ゞりォン

    「あっ、ケヌキず䞀緒に枡したいわけ」ゞェニヌ

    「そう。」ゞりォンは笑顔だ。

    ゞェニヌがパリブレストを運んできた。

    埌ろから笑顔でゞりォンが箱を運んできた。

    「誕生日」ゞりォン

    「えっ、プレれント
    わぁヌ、嬉しい、ゞりォン。
    どうもありがずう。なになに」ケむコ

    「ふふ。」ゞりォン

    私は、ゞりォンに貰った箱を開けた。


    ç®±

    ç®±

    ç®±

    ç®±

    「えっ。マトリョヌシカ」 ゞェニヌ

    ç®±

    ç®±

    「すごい、ゞりォン、どこで買ったの」オット
    「いや、ただ、箱です。」ケビン

    ç®±

    「䜕やっおんの」
    トむレから戻っおきたアレックス

    「ゞりォンからのプレれント」ゞェニヌ

    ç®±

    ç®±

    「長くないか」アレックス

    「ふふ」ゞりォン

    ç®±

    「わああああああヌ、
    䜕これヌ、
    貝殻」ケむコ

    「そう。」ゞりォン

    「ちっちゃ。いけど、きれい」ケむコ

    「ホントだ。
    きれい
    どこで買ったの、ゞりォン」ゞェニヌ

    「うみ。」ゞりォン

    「うみえっい぀」ゞェニヌ

    「今日。」ゞりォン

    「わぁヌ、わざわざ海行っおくれたんだヌ」ケむコ

    「そう。」ゞりォン

    「嬉しい。
    でもなんで私が海奜きなの知っおたの」ケむコ

    「浜束」ゞりォン

    「えっ」ケむコ

    「海、奜き。」ゞりォン

    「だから。」ゞりォン

    「・・・・・そっか。」ケむコ

    思いがけもしなかった故郷の響きに、
    私は二床泣いた。


    番倖線・誕生日翌日


    キッチンは、ケビンが完璧に磚き䞊げおくれおいた。
    食材は、食べきった。
    お酒は、飲みきった。
    貝殻は、したった。

    「䜜品、どうする」ゞェニヌ
    「寄付しおこっか。お䞖話になったし。」ケむコ
    「だなヌ。」アレックス
    「ですね。」ケビン
    「そう。」ゞりォン


    「ゞェニヌ、花、車乗るよね」オット

    「乗らないから」
    党員がシンクロした。

    「えっ、じゃどうするの」オット
    「このお家に䌌合うし、、」ゞェニヌ
    「やだよ。持ち垰りたい。」オット
    「怅子は持ち垰らないくせに」ゞェニヌ
    「怅子ず花は違う」オット

    「同じだなヌ」アレックス
    「同じです」ケビン
    「同じだから」ゞェニヌ
    「同じだし」ケむコ
    「同じ」ゞりォン

    「やだ。」オット
    「泣かない」ケむコ
    「だっお」オット

    「写真撮ったら」アレックス

    「プリザヌブド」

    「いたの、だれ、ゞりォン
    䜕そのオシャレなフランス語」ゞェニヌ

    「英語」ゞりォン

    オットは、党く諊める気はなかった。
    ゞェニヌの車にも、
    アレックスの車にも、
    乗らなかった。

    「持ち垰りたい」
    オットは、ゞェニヌの車に乗っおからも
    未緎たらたらだった。

    「諊めなさい。」ゞェニヌ

    「やだ。」オット

    「乗らないから」ゞェニヌ

    「でも」オット

    「レオ」ケむコ

    「䜕」オット

    「お花、ありがずう」ケむコ

    「うん。」オット

    「倧きすぎたけど。」ケむコ

    「そうかなぁ」オット

    「そうだよ。」ケむコ

    䞀拍の間

    「でも、奜き」ケむコ


    「レオ、泣かない」
    ゞェニヌが運転垭から突っ蟌む

    「だっお」オット
    私はティッシュをあげる代わりに、
    オットの手を握った。

    助手垭のケビンもバックミラヌごしに
    ニダニダしおいた。

    マスタヌクラスでパリに残るゞりォンは
    アレックスの車で、
    ドむツに戻る4人はゞェニヌの車で垰途に぀いた。

    私はい぀のたにか、オットの肩で眠っおいた。


    → 次の話第十䞀話救出

    #創䜜倧賞2026

     
     
    ペネコです。 境界ず䜙韻に぀いお、曞いおいたす。

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