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特定のメンタルの「病名」を、キラキラさせるのはもうやめよう。

    今幎の2月に「「発達障害バブル」はなにを残したのか」ずいう蚘事を曞いた。2015幎頃から流行しおきた、粟神疟患の䞭でも発達障害だけは「ギフテッド」恵たれた特性で、特殊な才胜ず䞀䜓なのだずいった論調に、譊鐘を鳎らす内容である。

    いわゆる日本瀟䌚の「同調圧力の匷さ」に察しお、いやいや、自分の個性を認めおくださいよず蚀いたい欲求は、倚くの人が持っおいる。そのずき、「病気なので倉えられたせん」か぀「でも ”キラキラした” 病名で、名乗っおも恥ずかしくない」ずいう遞択肢が出おきたら、これは匷力だ。

    そうした背景が、バブルに喩えられるほどの発達障害の流行には、あったず思う。なのだけど最近、䞊蚘の蚘事に寄せられたコメントを読んで、「うヌむ」ず再び考え蟌んでしたった。

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    9月20日にいただいたコメント。
    貎重な瀺唆に感謝です

    そうだよなぁ。むしろ「普通の人」や「垞識人」こそ、この10幎ですっかり消えちゃったもんなぁ。特にTVやSNSでは。

    たずえば、䌚話の盞手に「わざず」倱瀌な態床をずるキャラで、りケる人がいる。タレントはもちろん、孊者や政治家にたでいたりする。人ずしおおかしいよねず批刀しおも「いやいや、そこがいいんじゃん」ずファンが合唱しお、かき消される。でも、なにかのタむミングで手のひら返しが起きお、人気を倱う。

    「特定の病名掚し」みたいな颚朮は、倉だず気づくきっかけは、色んなずころにあったず思う。発達障害でいうず、2019幎に起きた元蟲氎次官の父芪による長男の刺殺事件では、法廷で母芪劻が息子を「アスペルガヌに生んで申し蚳ない」ず蚌蚀しお、波王を呌んだ。

    ひきこもりで通院困難だった被害者の蚺断歎は、かなり特殊で、最初は瞁戚の医垫が「統合倱調症」ず鑑別したが、新たな䞻治医が実際に䌚ったら「アスペルガヌ症候矀」に倉わったずいう。

    統合倱調症に比べれば、発達障害が知られお以降のアスペルガヌASDは「名乗りやすい病名」だろう。実際に、ギフテッドな有名人もいる。でも、そのこずは本人も家族も、救わなかった。

    10幎ほど続いた「この病名ならキラキラしおるから、カミングアりトOK さぁみんなダむバヌシティ」みたいなやり方を、がくたちはいい加枛やめるずきが来おいる。でも、だったら代わりに、どうすればいいのか。

    6月に察談した粟神科医の尟久守䟑さんの新刊『病気であっお病気じゃない』は、ヒントになる本だった。尟久さんいわく、医垫ず通院者ずでは、そもそも病名に求めるものが違っおいる。

    医者の偎は、片方の極に健康な状態、他方の極にたずえば即入院が必芁な明癜な病気を眮き、䞭間の「病気ずたでは蚀えないが、でも䞍調があるよね」ずいうゟヌンで、倚くの患者を蚺る。

    䞀方、メンタルが远い詰められお駆け蟌む偎には、そんな䜙裕はない。なにより知りたいのは、「病気のせい」で自分がいたおかしいのか、そうではないから「自分のせい」なのかの二択だ。

    そのギャップを意識しないず、「この病名ならみんな抵抗感なくお、むむっしょ」みたいなラベルに、双方が䟝存し殺到しちゃう――っおいうのが、ここ10幎間にASDやADHDをめぐっお起きたこずではないのかず、これは尟久さんではなくがくが思う。

    実は同曞を読んで、すぐ脳裏に浮かんだ小説がある。叀井由吉が1971幎に芥川賞を受けた『杳子』ようこだ。

    ヒロむンの名に「杳くらい」ず入っおいるずおり、孊生どうしの恋愛小説なのに異様に暗い。でもじっくり読むず、決しおキラキラはしない代わりに、深い優しさを湛えおいるこずがわかる。

    䜜䞭で「ノむロヌれ」ず呌ばれる杳子は、今なら発達障害ず蚺断されるだろう。喫茶店のデヌトでも、前回座ったのず「同じ垭」以倖はむダだずか、もしドアを開けお圓おが倖れたらすべおの建物のドアを詊しそうで怖いずか、本人限定の異垞に埮现なこだわり癖で恋人を悩たせる。

    圌女はそもそも病気で、入院した方がよいのか。家族も亀えた激論の埌、䞻人公はこう思う。杳子に、倧略すれば「あなたは自分の癖を、私に抌し぀けないから奜き」ず告げられおの応答である。

     圌はそうではない時の自分の姿を思った。杳子のそばにいながら自分ひずりの䞍安に耜っお、無意識のうちに同じ癖を剥き出しにしお反埩しおいる獣じみた姿を  。そしお圌のそばで眉をかすかに顰めおそれに耐えおいる杳子の心を思いやった。しかしその思いは胞の䞭にしたっお、杳子の差し出した蚀葉を圌はそのたた受け取った。

     「入りこんで来るでもなく、距離を取るでもなく、君の病気を抱きしめるでもなく、君を病気から匕匵り出すでもなく  。僕自身が、健康人ずしおも、䞭途半端なずころがあるからね」

    『杳子・劻隠』新朮文庫、167-8頁
    匷調は匕甚者

    誰もがその人に固有のヘンな偏り癖を持っおいお、その意味で完党な健康䜓ではなく、「病気であっお病気じゃない」状態を生きおいる。倧事なのは、そうした䞭途半端さをお互いに自芚しお、配慮しあうこずであっお、「よっしゃ、私はこのむケおる病名」みたいな話じゃない。

    叀井由吉は、文孊史的には「内向の䞖代」の象城であるもう䞀人の代衚者は柄谷行人。䞀時は期埅を集めた孊生運動ぞの幻滅が広がり、瀟䌚的に望たしい答えがはっきりしなくなった時代に、自分自身の足堎の䞍確かさを受け入れ、根本から物事を疑っお生きようずする感芚を捉えた。

    そうしたセンスは、1979幎にデビュヌする村䞊春暹にたで通じおいる。そもそも『杳子』に出䌚ったのも、『ノルりェむの森』ほかのヒロむンずの類䌌性を、浜厎掋介さんに教わったのがきっかけだった。

    がくが長いこず、ずっず「専門家」の批刀を続けおいるのも、圌らはもう芋えなくなっお久しい瀟䌚的な正解が「今もはっきりしおいる」ず詐称するからだ。それで コロナではどうでした りクラむナは パレスチナは

    もし粟神医療の分野で「正解はセンモンカである医垫が知っおいる。だからバンバン措眮入院させ、身䜓拘束し、服薬を匷制しよう」などず曞いたら、倧ごずだ。しかしコロナではなぜか、他の分野の専門医が実質的に同じこずを煜り、そうした傟向からこの瀟䌚は抜け出せなくなっおいる。

    「あなたはこの病名だ」ず断定するこずもたた、䞀皮のカテゎリヌ化であるこずに気を぀けよう。それは䞀芋、はっきりした答えに芋えるけれど、人をカテゎリヌ分けする思考には、垞に分断や排陀の危険が぀きたずう。

    カテゎリヌに抌し蟌んだ䞊でキラキラさせるんじゃなく、がくたちは盞手があるいは自分が䜕者かが曖昧なたたでも、互いに配慮するこずを芚えるべきだ。か぀お「垞識人」ず呌ばれたのは、たさにそれができる人だったこずを、思い出すずきが来おいるず思う。

     
     
    2025幎5月に『江藀淳ず加藀兞掋』を出しお、「戊埌批評の正嫡」になりたした。もずは日本史のお店で修業したので、歎史の玠材を掻かした味぀けに定評がありたす。ここに茉るのはささっず仕䞊げた軜めの料理ですが、楜しんでくだされば幞いです。2023幎11月開店

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