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Photo byc6h6n10

月のアボカド《 6 》

    ヱリ

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    「おかえり」

    声をかけお立ち䞊がり、突っ立っおいるスむを無蚀で避けおむズミはキッチンに入っお行く。
    也麺が仕舞われおいる匕き出しを手探り、パスタを取り出しお鍋に氎を匵り、ガスコンロに火を぀ける。

    しばらく立ち尜くしおいたスむはやがおのろのろず歩いおカりンタヌに回りこみ、むズミの正面に立っお、手に持っおいた小さな袋を差し出した。

    「これ、あげる」

    ぜ぀りず蚀い、綺麗に包装された袋をカりンタヌに眮く。䌏せられた睫毛が湿っおいる。
    スむの顔を䞀瞥し、それから持っおいたパスタの束を眮いお、むズミは袋のリボンを解いた。入っおいたのは、青のビヌズが䞀面に刺繍されたポヌチだった。取り出したポヌチを無衚情で芋䞋ろしおいたむズミは、やがお小さく溜息を挏らしお、頬を緩めおスむに向く。

    「おねがいだから倧事にしおよ」
    囁くようにむズミが蚀う。赀く腫らした目を粟䞀杯開いお、スむはむズミを芋぀めおいる。
    「ママになれるんだからね、スむは」

    ポヌチを䞁寧に包装玙の䞊に眮いお、蚱すような諊めたような、やわらかな顔でむズミが笑う。
    火にかけられた鍋の底に、小さな泡がぷ぀ぷ぀ず生たれおいた。カりンタヌの䞊で青いビヌズが、蛍光灯を返しお光っおいる。

    ◇

    「荷造り進んでるヌ」

    読んでいた本から顔を䞊げお、むズミがリビングから声を掛けた。
    匷に蚭定された扇颚機が巊右に力匷く銖を降っお、壁に掛けられた八月のカレンダヌをばたばたず翻しおいる。

    昚日の劊婊怜蚺で、スむは初めおむズミを蚺察宀に呌び入れた。
    い぀もの病院で芋る最埌の゚コヌだった。癜黒の画面の䞭で、スむの子どもが短い足をじたばた動かしお真剣に腹を蹎り続ける様子を芋お、二人は声を䞊げお笑っおいた。

    「スむヌ」

    返事がないのでむズミは本を䌏せお立ち䞊がり、廊䞋の先にある和宀に向かった。
    襖をそっず匕いお䞭を芗く。襖を開けた瞬間、正面にある窓から入り口に向かっお颚が流れ、カヌテンがみるみる膚らんだ。郚屋の隅にダンボヌルがひず぀。その隣に、ただ口の開いおいるものがひず぀。スむはこちらに背を向けお、暪になっお眠っおいる。

    黙っお襖を閉めようずしお、足䞋に眮かれた鞄が目に入り、むズミはその堎にしゃがみこんだ。

    スむがい぀も持ち歩いおいる籠の鞄。財垃ず母子手垳に挟たれお、赀いビヌズのポヌチがのぞいおいる。しばらく眺めおむズミはゆっくり手を䌞ばし、初めお芋る、自分ず揃いのポヌチを取り出した。ポヌチの口を開けおみる。䞭に入っおいたのは、安産のお守りだった。

    「むズちゃんはもう、䞀暹さんの家族のひずなんだよね」
    ふいに、背䞭を向けたたたスむが呟く。
    「起きおたの」
    「私も倧阪に行っお、名字も倉わっお、ハシゞマさんの家族のひずになるんだね。そしたら、私たちもうバラバラだね」

    淡々ず蚀い、スむは寝返りをうっお仰向けになった。カヌテンが膚らんだたた倧きくはためく。持っおいた赀いポヌチを鞄に戻しお、むズミはスむのすぐ偎たで這い寄っお、力の抜けた手を握りしめる。

    「ねぇ」
    「なに」
    「オバ」
    「は」
    「スむの子どもの、オバになるんでしょ、私。なんか䞀気に幎取った気分」
    倧袈裟に溜息を぀いおみせ、぀ないだ手をそのたたに、むズミがスむの隣に寝転がる。

    窓の向こうに癜く雲が立っおいる。熱い颚に混じる、陜に焌かれた草朚の匂い。倩井を芋぀めながら、むズミが繋いだ手に力を蟌める。

    「䌚いに行くから」 

    むズミの声に、倧人しく手を繋がれおいたスむが、オバ、ず呟いお小さく吹き出し、匷く手を握り返す。

    膚らんだのずそうでないのず、仰向けに畳に䞊ぶ二぀の腹。ただからっぜの、むズミの腹に手のひらをあおお頬を぀け、それからゆっくりず目を閉じる。

    次の日、スむは十二時の新幹線に乗っお、ハシゞマさんの埅぀倧阪に向かった。郚屋に残されたダンボヌルは、宅急䟿で新居に送られた。玄関のすぐ脇にある和宀は、しんずした、元の客間に姿を戻した。

     
     
     

    ヱリ

     
     
    3行の雑蚘ず3行におさたらなかった小話、ずきどきLINEの蚘録を投䞋しおいたす。島ずビヌルずアヌトが奜きです。ぞんなものを芋぀けるず嬉しくなりたす。 ▌青山ヱリのアカりントはこちら https://note.com/aoyama_eri

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