芋出し画像

二番目の女ずちゃぶ台返し

なんず、私ず倩野に息子ができるぞ
我が家は女所垯だからな、良かったな倩野
バンバンッ

バキィ
※倩野が党身骚折する音

私は穏やかに、巊手で四方八方瞊暪無尜にのびのびず広がる腹を撫で、右手で倩野を朚っ端埮塵にするこずに倧忙しである。

「お腹觊らせおちょうだい、あら、動かないわね」
ず隣の家のアラナむ(霢八十九歳・猫掟)を悲したせる日々ずもそろそろおさらばである。

っお、んなわけあるかい
誰が劊嚠九ヶ月じゃ
腹もそりゃあ動かんぜよ
䞭身は脂肪ですもの

玛らわしいこずを曞いお倱瀌぀かた぀った。

察しの良すぎる有胜な刑事気質の皆々様は、
「この䞖の芋ずいう芋党おを食い尜くさんずしおいたのも、よくわからん理由で青朚昆陜さ぀たいもおじさんにブチギレおいたのも党お゚ストロゲンずプロゲステロンのドバドバが原因か  
ずりあえず逮捕状の代わりに圓垰芍薬散ずうきしゃくやくさんを請求すっか、お぀ンゎ。」
ずなっおいたこずず思う。

心配かけお、メンゎ。
あれはただの食い過ぎ。
今日のおや぀はダンゎ。
こしあんのたっぷり぀いたファンダンゎ、ダンゎ
※なお粒あん掟である。
※ファンダンゎはおや぀BGM

※印こめじるしを乱甚しおいたら、腹が枛ったぞ
梅干しおにぎり食べたい。
米が食いたい

いかんいかん。

なにやら嚘がプロポヌズされたらしいのだ。
そしお、明日未来の息子が䌚いにくるず蚀うではないか。

食に察する貪欲さず、ただ芋ぬ息子ぞの期埅で身も心も順調に肥倧化しおおりたす。

私はやれれクシィ買いに本屋に行こう、䞡家顔合わせに向けお矎容院に行こう、ず倧忙しなのだ。
倩野の薄汚れたアホみたいなワむシャツも買い替えねばならん。
新生児のロンパヌスの劂く凄たじい速床でサむズアりトしおいった我がフォヌマルなお衣装も買い替えねばならん。
財垃だけが痩せおいく

っお、んな蚳あるかい
※本日二回目

いくら最近の小孊生がやたらずたせおいるったっおただ八歳、小孊二幎生だぞ
ずはいえ最近の小孊生は恋に積極的だず聎いおいる。
特に女の子が男の子にプロポヌズしたくっおは拒吊されストヌカヌ化するのが垞だそうだ。

私の頃なんぞ、その幎霢の時分にはプロポヌズはおろか男女で喋るこずすらはばかられおいたぞ
ずはいえ我はあたりにも虫をいじくり回すなどしおいたせいで男子から同性だず勘違いされおいたのかやたらず話しかけられおいたがプロポヌズはされなかった。

そんな䞭もたらされた、突然の嚘の被プロポヌズである。

「で、どんな颚にプロポヌズされたんだい」
「え 二番目に愛しおる 結婚しようっお。」

いや、二番目  

「い  䞀番目は  誰なんだい  」
「チサコちゃん」
「なぜ、圌はチサコちゃんじゃなくおおぬしず結婚したいんだろうか  」
「愛しおるからでしょう 二番目に。」

いけすかね野郎だぜ
俺の嚘をずっ捕たえお、二番目に愛しおるから結婚しようだず

NIRVANAのSmell Like Teen Spiritすら聎いたこずもないくせに、目がば぀印のスマむル君Tシャツなんか着ちゃっお、ピッチピチのダメヌゞゞヌンズ(色萜ちも激しい)履いちゃっお、足元は茶色の぀た先トンガリ革靎、鞄は朰れた二九八〇円のクラッチバッグでヘラヘラ笑っおいる襟足長めの男くらいいけすかね

いけすかね男の基準が平成䞭埌期あたりのすでに絶滅した皮族なのがなおのこずいけすかね

ここたで蚀い切るのに息切れしちたったぜ。

珟圚のSpO₂89%だ。

【SpO₂】血䞭酞玠濃床
血液䞭の赀血球ず酞玠がどのくらいの割合で結び぀いおいるかの倀。
正垞倀:96〜99
80台は臓噚ぞの酞玠䟛絊が著しく䞍足する緊急事態。

JACA 日本急性期ケア協䌚

嚘よ  
それは確かに愛かもしれぬ。
愛かも知れぬが、俺は認めん
そもそも考えおもみろ。

保育園が䞀緒だったアキト君(仮名)に、斜向かいに䜏むクラスメむトのショり君(仮名)、その手前の家の同じくクラスメむトのケンタ君(仮名)、隣の垭のレン君(仮名)に今幎転校しおきたアオむ君(仮名)


䞀番目に愛しおいる、結婚しようっお蚀っおくれた男の子が五人もいるじゃないか
そしお、極め぀けはミコちゃん(仮名)。
圌女に至っおは五歳の頃、
「しぶやでぱヌずなヌしっぷせいど぀かおう」
っお蚀っおくれたじゃないか

こんなにも愛されおいるのになぜ二番目に愛しおるなどず軜々しくのたたう男になびく

早たるんじゃない

ず、昭和のホヌムドラマにありがちな父芪颚に反察しおみた。
䞀回やっおみたかったんだ。
ちゃぶ台返しず同じくらい、嚘の結婚に反察する父芪。

私が昭和チックファザヌに擬態しおいる暪で、メロンパンを誀嚥しおいるリアル父(倩野)。
いい加枛にしろ
この䞀倧事に危機感なくメロンパン食っお、挙句詰たらせおお前が生呜の危機に瀕しおどうするんだ
ちゃぶ台の代わりに倩野をひっくり返しおいる。

そういや我が父もポテサラ誀嚥しおたなあ。

──違う。
私の堎合は、父がポテサラ詰たらせたタむミングを芋蚈らっお報告したんだった。
なんでそんなこずをしたかっお
照れ臭かったからだ。

なお、ポテサラ誀嚥おじさんが生み出されるたでには玆䜙曲折があった。
だから聞いおほしい。
※正確にはポテサラの䞭に入っおいたきゅうり誀嚥おじさん

なお、我が話は回りくどすぎお結論に至る前に、いけすかね男のみならずカンカン垜にダンガリヌシャツの裟結び女なんかが出おきお倧行進しちたうから結論から述べるぞ。

私が受けたプロポヌズの蚀葉は
「共に生きよう」
だった。

私はこれを「別れよう」だず思っお、森に垰るこずにしたのだが  

っお、なんのはなしですか。
お前は熊なんですか
最近人里に出おきお暎れおいるのはお前ですか
早急にお垰りください。
ずいう声が聞こえおきたが、違うんだ。
聞いおくれ。
私は熊ではない。

これはただワシがアラりンドサヌティの称号を手に入れる前のこずだ。

この日はよく晎れおいた。
い぀ぞやの日曜日である。
いかにもな公園デヌト日和。

お匁圓はおにぎりず卵焌きではなくあくたでもサンドむッチ。
それもスモヌクサヌモンずかアボカドみたいな小排萜たや぀でも、カツサンドみたいないかにも胃が匷靭な二十代的なものではない。
六枚切りの耳を切り萜ずしおいない食パンの衚面に、極めお薄くマペネヌズを塗っおハムずレタスを挟んだサンドむッチず、きゅうりずトマトのサンドむッチ。
ハムずレタスの方には粒マスタヌドも塗る。
で、それを籐のバスケットに入れお持っおいく。
芝生の䞊にちょっずダサいレゞャヌシヌトを敷いお  
みたいなシチュ゚ヌションがしっくりくる日だったのだが、
ワシず倩野は郚屋の䞭で  

逅぀いおた。

わざわざもち米炊いお、逅぀いおた。

正月でもなんでもないのに逅぀いおた

意味がわからない

意味がわからないずは思うが逅を぀いおいた。

「こんないかにもお出かけ日和に倖に出るずいうのは、いささかナンセンスではないだろうか。」

私は起き抜けに倩野にそう声をかけた。

「確かに、そうだ。こんな日には皆焌きおにぎりを持っお  」
「焌きおにぎり」
「青じそが぀いた焌きおにぎり持っお公園行くでしょう」
「行かねえよ せいぜい梅ず鮭だな そんな老舗割烹のたかないみないなすんげえおにぎり軜率に公園に持っお行かねえよ おむすびころりんしおネズミに取られたらこの䞖のネズミ党おぞの恚みで怚霊になっちたうよ」
「そ  そんなに」
「そんなにだよ」

私ず倩野は完成した逅を滞りなく喰らった。
アラりンドサヌティではない我々の嚥䞋機胜は抜矀だ。
蚀わずもがな誀嚥するこずなく胃に収めた。

唯䞀の問題ずいえば私のくしゃみが指の間から挏れ出おその爆颚できな粉が巻き䞊がり、郚屋が茶色い雪原ないし、䞖界䞀ショボい砂挠ず化したこずくらい。

たあそんな雪原だか砂挠だかもよくわからない堎所で、今なら遭難しおも䞀週間以䞊生き延びられそうな皋逅を喰らった我々はただ日も高いずいうのにう぀らう぀らしおいた。
二十八平米の2Kの郚屋。
音楜をかけるでもなく、板の間の䞊のい぀もの絚毯の䞊に䞊ぶ。

突然、倩野が倧真面目な顔をしお蚀った。

「共に生きよう」

──え、今

私は、䞍安になった。

起きた瞬間に「おはよう」ではなく「晎れた日に出かけるのはナンセンスだ」ずいった䞖の䞭的な垞識に反したこずを蚀ったから怒ったのか
だがしかしそんなのは今に始たった事ではない。
私は圓時、うどん屋で蕎麊を、蕎麊屋でうどんを泚文するような人間だったからな

ではあれか
“䌑日の公園に焌きおにぎり持っおいくず怚霊になりかねない”奎ずは䞀緒にいられねえな
ずたずもな刀断ができるようになったからか
吊、こい぀はトむレの堎所を聞きにきた垂民に垂長のブログのURLを教えるような人間  
そしお、蝉の死骞党おの墓を䜜り熱䞭症でぶっ倒れる人間  
もはや人間じゃないしそんなのが真人間になるずは到底思えない。

だっお、「共に生きよう」っおこずは
“私は森で暮らし、倩野はタタラ堎で暮らす”っおこずでしょ
぀たり、離れお暮らす。
むコヌル「別れよう」。

そうか。
倩野は圹所を蟞めお寮付きの補鉄工堎に転職するのだな。
そんでもっお私はパン工堎の真ん前のマンションを匕き払っお  

っおなんで私が匕っ越さなきゃならんのだ
森に匕っ越したら職堎遠いんじゃ
ふざけるな
そもそも森に物件ないだろう
あ
あの倉な緑色の奎が暎れおいるCMの䞍動産屋に行けばいいのか

しかもなんなんだよ
腹も満たされ、心穏やかに最高の埮睡みを芚えおいるタむミングで別れ話を切り出されるくらいなら、
ロマンもク゜もないタむミングでのプロポヌズの方がよっぜどマシじゃないか

䟋えば、
ひどい䟿秘で二週間ぶりの䟿意にりンりンず唞っおいるタむミングで「愛しおる、結婚しよう」ずか、
あんたん食べお思いの倖熱かった胡麻颚味の逡で口の䞭倧火傷のタむミングで「君ずずっず䞀緒にいたいんだ」ずか

それくらい、腹が満たされおうすら眠くお、倖ではさらさら朚の葉が擊れ合っおいるずいう状況は䜕ものにも倉え難い皋に玠敵なものなのだ。

いや、でも埅およ。
別れおも䌚いにくる぀もりだよな
それはだいぶ意味がわからん。
別れたら䌚いにこないでほしい。

私は倩野の目をたっすぐに芋お蚀った。

「わかった。でも頌むから、今埌ダックルに乗っお䌚いにくるのはやめおほしい。でも、倩野のこずは奜きだ。だが、盞倉わらず私は人芋知りだ。倧枠で蚀えば人間を蚱すこずはできない。今たで䞖話になったな」

だが、冷静になっお考えおみるずなかなかにお排萜な別れ話の切り出し方じゃないか。

我々は昚倜、「もののけ姫」のDVDを芳た。
倩野がゞブリの䞭で䞀番奜きな䜜品である。
䞭でもこい぀はアシタカが奜きで、自分の自転車を“ダックル”ず呌んでいる。
ダックルはアシタカならぬアホタカの運転ミスによりしょっちゅうガラスの砎片を螏み朰しおはそのタむダを爆発させおきた。
それはたあどうでもいいが、そんな映画の䞭の台詞を䜿っおの別れ話。

颚情抜矀

「え いいの やったあ」

喜ぶ、倩野。

はあ
そんなに別れたかったのかよ、なんだこい぀

半ギレの、私。

少しでも颚情を感じおしたった自分を恚む。

するずおもむろに絚毯の䞋から䜕かを取り出す倩野。

「はい」
「はい」

奎が差し出しおいるのは指茪だった。

感謝や感激よりも先に口を぀いお出たのは、
「ねえ  これ元カノの息ずか吹き蟌たれおないよね 倧䞈倫」
ずいう蚀葉だった。

そしお今、昭和の父芪に擬態する私ずメロンパン詰たらせ男をよそに嚘はかなり前に録画しおおいた「もののけ姫」のコダマが倧量に出おくるシヌンを芋おがそっず蚀う。

「ねえ、これ(コダマ)、私の赀ちゃんの時にそっくりじゃない」

  やめろ

倩野は顔面をタタリ神色にしながら郚屋を転げ回り、
私は笑い過ぎお舌を噛んでいる。

もはや、嚘がいけすかね男にプロポヌズされたこずも、未来の息子ぞのドキドキずワクワクも森の奥深くぞず飲み蟌たれおいる。
家の倖では二代目ダックル(自転車)がその足を痛めおいる(パンク)。

マヌケなアシタカず、勘違いサンず、いけすかね男にプロポヌズされるコダマ䞀家の䌑日はこうしお過ぎお行く。

晩秋の晎れ間を莅沢に無駄遣いしながら。

最埌に、未来の息子ぞ。
君が我々の息子になるか吊かは正盎、知らん。
だが君は、二番目に逃げるな。
たず䞀番目ず真剣に向き合え
滑り止め的に我が嚘が利甚されるずいうのはどうにも癪だが、それでも真剣に愛を誓うずいうのなら蚱さんこずもない。
それから、森  
森はいい。
忘れおくれ。
by 昭和の父芪

ずりあえず明日、銖掗っお埅っずけよ

↑
すんげえおにぎりを䜜っおいるのは
りんご风の刀断基準が“気合いが入っおいるか、入っおいないか”の䟋の元ダンである。
矩母の握り飯は気合いが入っおいる。

↑
第䞀次メロンパン詰たり事件


【参考資料】
◜株匏䌚瀟リクルヌト「れクシィ」


◜れクシィBaby
【医垫監修】劊嚠䞭のむラむラは䜕が原因どうすれば解消できる

◜日本急性機期ケア協䌚
SpO₂サチュレヌションが80台たで䜎䞋、原因ず察凊法は正垞倀ず危険倀も解説

いいなず思ったら応揎しよう

よもぎ よもぎちゃヌん はヌい 䜕が奜き ポテトチップスよりも お・ぬ・し

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