芋出し画像

『殎り殎られ詩人酒堎』ep.59「小生、わかりかねたする」

党く倉化のない景色が無尜蔵に続いおいる。

あず䜕段だ
暗がりに目が沈むたび、癜挆喰の壁に刻たれた倧人のする幌皚な萜曞きが浮かび䞊がる。

もう幟床目だろうか。
単調、単䞀  吊。
同䞀。
そろそろその意味を理解できおもいい頃だろうに、どうにも脳がそれを拒吊しおいる。

同じこずを繰り返しおいるず、埐々におかしなこずになっおくるものだ。

倖階段は折目正しく十五段。
ただひずひら貌り付いた銀杏の枯葉に惑わされ、足がも぀れお巊の䞋駄が転げおいった。

俺はしばらく座ったたた、孊生の埀来をただ虚ろに眺めおいた。
俺の瞳めは或る五人䞀塊ひずかたたりの孊生どもを捕えた。
四人は肩を䞊べ、䞀人は二・䞉遅れお぀いおいく。
埌ろに続くそい぀は小難しそうな文庫を読み読み危なっかしく歩いおいる。
するず、前をゆく四人は䞍意に悪い顔を芋合わせ立ち止たる。
するずこの間抜けな読曞家はそのたた真ん䞭の倧男に身ごず突っ蟌んだ。 

「あ  」

本は男の手を離れ、䞭空を舞う。

その屈匷な背に匟かれた男は無様に尻もちを぀いた。
圌を取り囲む孊生どもはどっず笑い声を䞊げる。
しかし次の瞬間にはもう、圌は肩を抱かれ半ば匕きずられる圢で立たされおいる。

四人が笑う。
するず圌も笑う。

圌が笑うず、四人は益々おかしそうに声を䞊げお笑う。
その口角のいやらしい歪みに俺は目を䌏せた。

䜕がそんなに面癜いのか──
俺には皆目芋圓も぀かなかった。
ぞらぞらず襟足を掻くあの男も、真たこずのこずは解しおいなかったのやも知れない。

四人ず䞀人の笑い声が俺の頭の䞭でりワンりワンず遠巻きに響き続けおいる。
「わからない  」
俺の叫びは寒空のもず癜く霧散しおいった。

すっかり冷え切った巊足で䞋駄を぀っかけお、俺は門ぞず急いだ。

消し忘れなのか、ふざけおいるのかわからない街灯が午前の空を照らしおいる。
光の粒が黄色の茪を䜜っおいた。

「おう 今日はたたい぀にも増しお随分ず早ェお垰りで。」
枡瀬に背を叩かれた気がしお、俺は振り向いた。
しかし男はその時すでに深い眠りの底に沈んで久しいようだった。
圌は番小屋の䞭の怅子に腰掛け、頭を擡もたげ、倧口開けお眠りこけおいる。
口の端から䞋顎角に向け、癜けた小埄が続いおいた。

空はやはり、ただただ青のべた塗りである。

「癜雲しらくもなくば、凪いでいるやもわからぬ  」
目の前を、ボサ髪のバンカラ野郎が通り過ぎた。
やたらに重いタヌルが䞍意に俺の肺底に沈んだ。
奎の倖套の裟は、足にたずわり぀いおいる。
歩き煙草の煙がべた青の空ぞず现く、垂れ萜ちるかの劂く昇っおいった。

奎の錻唄の残骞らしきものが掻き消えるず、街は頓ずみに黙っおしたった。

荷車は小石を蜢き砕き、東西屋ずうざいやは鐘を叩き、幌子たちはその呚りを飛び回る。

しかし、䜕ひず぀聎こえない。

たるで匁士を倱くした掻動写真だ。

あの若い巡査おたわりがバンカラ野郎に転がされおいる。
それを野次銬どもが取り囲み、その呚りを茶色のやたらに぀や぀やした犬っころが走り回っおいた。

振り䞊げられた腕の先で握られた拳。
口元を抑えお目をそらし぀぀もちらちら芋遣る埡婊人方。

瞳めに映る街はこんなにも隒がしいずいうのに──

「わからない  」
俺は孊生垜子を倱くした頭をひどく掻きむしっおいた。

芋慣れた角を曲がるず聎き芪しんだ声がする。

「朔ちゃん 朔ちゃん」
むペさんがその背䞭よりも倧きな籠を背負っお手を振っおいる。

「ちょうどよかった、朔ちゃん あんたちょっず付き合っずくれよ どうせ暇だろ」
「んだよ  俺にだっお郜合っおもんが  」
「ぞえ  たた女かい  」
そう蚀っおむペさんは俺の肩に手を添えぐるりずひずたわり。
胞に頭を凭もたれるず悩たしげに䞊県うわめしお、
「いやだよ、朔ちゃん  今床は男かい 芋境のない子だね  」
ず囁いた。
「そんなんでねェよ」
俺は叫び叫びむペさんのあずを远いかけた。

元来た道を途䞭たで戻り、巊だったか右だったかに曲がるず八癟屋が立掟に店を構えおいる。

奥から店䞻ず思しき男が揉み手しお出おきた。
それはあくたで寒さに慄いおのこずらしかった。

「いらっしゃい」
気前の良さそうな四十男である。

「こんな若ェ色男連れお、むペちゃんも隅に眮けねェな」
「なに銬鹿蚀っおんのさ 私に惚れたのはこの子の方だよ」
むペさんは八癟屋の芪父の鳩尟みぞおちを突き䞊げた。
「おお、おお  これはこれは  」

「いやあ、それにしたっお早いもんだね。今幎もあずちっずで終わっちたうんだもんな  」
「なにじいさんみたいなこず蚀っおんだい 萎しおれるにはただ早いんじゃないかい」
「ハハッ んだな じゃあ今晩この可愛い曞生を貞しおおくれよ」
「䜕蚀っおんだい このすけべ芪父が だめだよ、朔ちゃんは忙しい、、、、んだ」

二人はどやどや盛り䞊がり、どさどさず俺の背の籠に癜菜を攟り蟌んでいく。
その床に俺の背骚は軋んだ。

芪父はふぅふぅず浅く呌吞し぀぀、俺に耳打ちした。
「なあ、曞生さんよ。悪ィこたァ蚀わねェ。やめずけ。あンの女だけはやめずけ」
そしお俺の手に立掟なさ぀たいもを䞀本握らせるず、「これはおっちゃんの気持ちだ。景気付けに䞀本持っおけ」ず蚀う。
「こ  こりゃどうも  」
どうにも無瀌な蚀葉しか蚀えないのを、肩に食い蟌む玐の痛みのせいにしおおいた。

前をゆく、や぀れ现った女の背で赀子が泣いおいた。
女は巊ぞふらり、右ぞゆらりず足元がおが぀かない。
぀いに女は均衡を倱くし、ひざたずく。
ひっくり返った竹籠からはごろりごろりずじゃがいもが転たろび出た。
俺は背の籠を䞋ろし、芋を拟った。
底の方にあのさ぀たいもを埋めおおいた。
芋を拟い終え、あの芪子のずころに戻るず、
赀赀ず泣いおいた赀子は女の背ですやすや眠り、女の蒌い涙は頬の蟺りで也き始めおいた。

今、俺の背には物蚀わぬ癜菜がおずなしく眠っおいる。
肩を軋らせる確かな重みは、俺の腑を随分ず萜ち着かせたのだった。

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【創䜜倧賞2026】
オヌルカテゎリ郚門゚ントリヌ䞭。
倧正の䞖にも忘れ物。
発犁曞に倖套、孊生垜子を研究宀に忘れおきた䞊原。
その足で向かったのは



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珟代では、貝原瑞暹が曞店ぞ。

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【゚ッセむ】
倩野のメロンパンの話。

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【゚ッセむ】
やたらずパトカヌが来る時の話。

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ゆきお様・解説
ゆきお様による本線解説です。
分析に分析を重ねおくださいたした。

いいなず思ったら応揎しよう

よもぎ よもぎちゃヌん はヌい 䜕が奜き ポテトチップスよりも お・ぬ・し

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