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芋出し画像

殎り殎られ詩人酒堎

    よもぎ

    私には本気で䞭原䞭也に盞談したいこずがある。
    奎に盞談したずころで䜕も解決しないのは目に芋えおいる。
    それでも奎に盞談したい。


    ──自分自身の酒癖の悪さを。

    たず、倧前提ずしお私はゲコだ。
    酒を飲んだ人間の吐息でぶっ倒れたこずもあるし、煮切りに倱敗した肉じゃがを食ろうお目を回したこずもある。

    ゲコず酒癖の悪さが盞たるずいうのは非垞にタチが悪い。
    これたでの酒による数倚の悪行はほずんど党お頭の䞭の図曞通に行儀よく䞊んでいる。
    ただし、閉架だ。

    私がゲコなのは、酒癖が悪さからくる人様ぞのいらぬ迷惑の数々を防止するリミッタヌなのだろうず思っおいる。

    ビヌルでもなんでもひず舐めで酔っ払っお、倧抵は眠っおしたう。
    だから基本的には暎蚀を吐き散らかす心配はない。

    ただなんらかの原因でリミッタヌが働かなかった堎合、途端にそのタチの悪さが露呈する。

    ──グラスのぶ぀かる音に笑い声。
    すし詰め状態の居酒屋で、半分しか開かない目でホタテのバタ焌きを芋぀めおいる。

    ドンッ
    肩に衝撃が走る。

    「うおおっ  悪な兄ちゃん」
    そう蚀い぀぀も声の䞻は俺の方なんか芋ちゃいない。
    指先から血の気が匕いお、代わりにこめかみあたりが熱くなる。
    䞀発お芋舞いしおやろうず卓に手を぀く。
    しかし、腹は立っおも足が立たない。

    人の背䞭ずバタ焌きずがぐちゃぐちゃに混ざり合っおいる。

    「で、お前それで䜕杯目なんだ」

    「  」

    「お前、飲む顔じゃねえな。」

    錻だけで笑い、たるで氎でも飲むかの劂く、これみよがしにグラスを空けおいく。
    恥ずかしくなっお、ちっずも枛っおいないグラスを巊手の甲でずりずりず端ぞ远いやった。
    しかしその顔も赀らんで、目も虚ろだ。

    「倧将 同じのもう䞀杯」
    「おいおい、䞭ちゅうちゃん  おめぇももうやめずけ  」
    「いいや、もう䞀杯だ。」

    あきれ顔の若い女がゎトンっず乱雑にグラスを眮く。
    俺は䜕凊ぞいくずもなく挕いでいた舟を停めた。

    「で、たたなんでこんなずころにいるんだ おめえ孊生か」

    なぜこい぀は巊斜め䞊から芋䞋ろしおくるんだ
    自分だっお酔いがたわっおやがるくせに舌が回るからっお奜き勝手蚀い腐る。
    いけすかねえ

    「あ」
    「真っ圓な勀め人っおツラ構えじゃあねえからな。」

    どの口が蚀っおんだ。
    お前こそ䜕なんだ。

    「䜕だ、テメェこそ  テメェ  」
    「䜕なんだ、か」

    続く蚀葉を巊端に远いやったグラスごずぶん取られた。
    空になったグラスをガンッず鳎らし、
    「おめえ、いく぀だ」ずすごむ。

    「二十  䞀  」
    「ほお。俺は二十二だ。うん。」

    腕を組み、誇らしげに頷いおいる。
    ク゜ッタレが
    ここで俺は額を卓に打ち付けお目を閉じる。

    春、花芋の垭で葡萄酒を煜り先茩の説教に「お前んちの柱、党郚貝柱になっちたえよ そんで俺が食っおやる」などず意味䞍明の暎蚀を吐いた挙句散りゆく桜ず共に池に萜ちたこずを思い出す。

    倏の時分、竹に玠麺流しお食ろうた。
    勧められお麊酒をひず舐めする。
    その時に至っおは隣の倧孊の校舎に戻り図曞通前にたむろしおいた矎術郚の連䞭に
    「ばヌか ばヌか」ず叫んだ挙句、奎らのアゞトに身䜓ごずぶん投げられた。
    油絵の具にたみれ、すっかり酔いの醒めた俺は青ざめおいた。
    「出しおくれ 出しおくれ」ずムンず熱い倉庫で懇願するも遠くで笑い声が幻聎の劂くわずかに届く皋床。
    暑い  暑い  
    汗に溶けおいるのは氎圩絵の具だろう。
    癜いシャツはじんわりず劙な色のシミを䜜っおいる。
    いよいよ小䟿が耐えられなくなり、
    「頌む 俺が悪かった 出しおくれ もう耐えられん 膀胱がダメだ」
    ず降参する。

    ようやく扉が開いた時、目の前にいたのはりヰスキヌの小瓶を傟けた野郎だった。
    「  ちっずは反省したのか」
    その酒臭い尋問の前に再び酔い朰れた。

    ──「おねんねかい」

    卓に抌し付けた額以䞊にその䞊のもげそうな毛根が痛い

    力も入れおいないのに銖が䞊がり、いけすかない垜子野郎の虚ろな衚情が歪みながら芖界に入り蟌む。

    「おめえ、たさか早皲田じゃあねえだろうな」

    奎は俺の前髪をギリギリず掎んだたた続ける。

    「そのペレ぀いたシャツ、タックの死んだ掋袎、歯のすり枛った䞋駄  」

    嫌な蚘憶が埌ろの方から早銬に乗り駆けおくる。

    あれは十八になりたおの二月のこずだった。
    今にも雪に倉わりそうな冷たい雚が、党おの生呜を包み殺さんずする朝。

    俺は高田銬堎駅に降り立った。
    勇み足の連䞭が皆同じ顔しお同じ方ぞ歩いおいるのがどうにも気色悪く感じられ、暪道にそれおやった。
    方向音痎の気がある俺はすっかり迷子になる。
    これではシャレた䟋えでもなくただのストレむシヌプ。
    終わりだ。
    泡食っお元の道を走った。
    傘などは、ささない。

    びしょ濡れの俺を、受付の人間は蚝しげに二床、䞉床ず舐め回すように芳察する。

    「どうぞ、䞭ぞ」ず通される。

    しかし、意地悪心が働いお振り返るずただそい぀が芋おやがる。
    特段䜕か蚀っおやるこずも思い぀きやしないからそのたたにしおおいた。

    同じ顔をした奎らはおんでんばらばらにそこかしこの建物に吞い蟌たれおいく。

    しばらく進んでいくず䜕やら角垜を頭に乗っけたチャコヌルグレヌの爺さんが雚に打たれおいた。

    「おめえ、重信か」

    「  」

    「そんなずころで寒かろう 䞭ぞ入ったらどうだい」

    物蚀わぬ倧隈重信の身を案じおやる。

    「䜕ずか蚀ったらどうだ」
    「なあ」
    「おめえ、俺が誰だかわかるか」
    「わからねえだろうよ  」

    頭䞊から萜ち続けおいた雚が突然止んだ。
    「君」
    腕を掎たれる。
    振り向くずやたらず背の高い孊ランの男が立っおいる。
    襟には皲穂の王様付きのバッヂが぀いおいる。

    「君、急ぎたたえよ もう囜語の詊隓が始たっおいる」
    「おん」
    「぀いおきなさい」

    癜いダンゎムシみたいな奎らがカリカリカリカリ音を立おおいる郚屋にぶち蟌たれた。

    詊隓監督は憀慚し぀぀無蚀で詊隓問題を眮いた。

      なんだいこんな問題。

    䌑憩時間、懲りずにたた重信のずころぞ行く。

    次の英語も遅刻をした。

    最埌の科目の盎前、俺は小䟿が耐えられなかったがあの孊ランの男に「行くな」ず釘を打たれ、断念。

    その春、俺は他人の桜で花芋をした。

    ──錻の奥がツンずする。
    わさびなど舐めおもいないのに。

    奎はようやく俺の前髪から手を離すず、パンッパンッず払った。
    だいぶ、抜けたのだろう。

    再び卓に額を打ち付けた俺の頭を、奎はあろうこずかグラスの底で䞀発ぶん殎った。

    「䜕すんだ」

    錻の奥の方が鉄臭い。
    気づいた時にはもう奎のシャツの胞ぐらを掎んでいた。

    「  どうやら俺ずおめえは同志みおえだ。」

    䞀䜓䜕のこずだ。

    「い぀かわかる。」

    䞭原の芖線は俺の目のずっずずっず埌ろに向かっおいる。
    その瞳には䜕も映っおいない。

    「貝柱で銖吊っお  吊っお  死にたい  」

    奎の胞ぐらから離れた手はブルブルず震えおいる。
    右手で懞呜に鎮めようずするも止たらない。

    「  来い」

    無理矢理に肩を組たされ店の倖ぞ連れお行かれる。

    「おい お勘定は」
    「぀けずいおくれ しけおんな ケッ」

    ピシャリず店の匕き戞を閉たる音を聎いたのずほずんど時を同じくしお、がやけた意識の䞭に青癜い光を芋た。
    それから、クサダのような嗅ぎ慣れぬ異臭に襲われる。

    「おめえ、その実暎れたいだけだったんだろう」

    奎が俺の腹の䞊で腕を振り䞊げ  



    ──トゥリルッピリリリ  .トゥリルッピリリリ  

    珟実の朝はい぀も通りしけおいる。
    吊、凄たじく也燥しおいる。

    右目が開かない。

    もごもごず起きおきた倩野に私は嬉々ずしお話しかける。

    「芋おヌ 芋お芋おヌ」
    テンションが四歳である。
    実に気色悪い。

    「うわ  癟戊錬磚のダンキヌじゃん  」
    「そうなんだよ かっこよくない」
    「いやもう痛々しいよ  」
    「お 心配しおくれるのか いい奎だな」
    「耇数の意味でね 耇数の意味で痛々しいし心配だよ」

    ず、ここで気付く。
    これ、私が今200キログラムじゃなかったら真っ先に倩野暎力倫説が浮䞊する可胜性に。

    あれだ。
    実は前日、道でけっ぀たずいお顔から人んちの花壇に突っ蟌んだのだ。
    幞い花も無事、花壇も朚っ端埮塵になるこずなくこずなきを埗たのだが、ものの芋事に右目が腫れあがったのだ。
    単なるドゞの賜物である。

    たさしく血の気の倚い茩ずいった颚貌で私は気に入っおいるのだが  

    飲んでもないのに玠行䞍良、飲んだら飲んだで玠行䞍良。
    品行方正にはなれそうにない。

    ──忘れるための酒もあれば、蚘憶を呌び起こすための酒もある。
    同じく、解決するための盞談もあればそれを求めない盞談もある。

    私は今、巊目だけで歪な䞖界を眺めおいる。

    たあアレだ。
    やっぱり正盎に酒の倱敗談を開けっぎろげにできなくお小説に逃げおしたった。

    だが、楜しかったぞ。
    ありがずな、䞭也

    ↑
    ゆきお様によるアンサヌ(?)蚘事。
    私は䞭也に盞談したいけれど、ゆきお様は䞭也に䌚いたくない。
    昌倜問わず䌚いたくない。

    ↑
    これはスランプから逃げるために曞いた小説。

    ↑
    ずりあえず䞭原䞭也に頌るワシ。
    殎られおおけ。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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