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アラウンド棺桶

    よもぎ

    バスに乗っていた際に突然聞こえた会話がいまだに忘れられないので共有します。

    女性①「私たちも“アラカン”だしねェ、早いよねェ」
    女性②「ほんとに!でも年とっても内面ってそんなに変わった感じしないよねー」
    女性①「そうそう。もっと丸くなるかと思ったけど丸くなったのは身体と顔だけ(大笑い)」
    女性②「でも“アラカン”って失礼な言葉じゃない?」
    女性①「そう?」
    女性②「だって“アラカン”ってアラウンド棺桶でしょ?棺桶に片足突っ込んでるって!」

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    ひどく乗り物酔いをしていたのに
    そんなことを忘れるくらいには笑いのツボにクリーンヒットしまして
    ポケモン風に表現するなら

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    こうです。
    なんなら一撃必殺です。
    こらえるなんて貫通する勢いでした。

    それ以来“アラウンド⚫︎⚫︎”は“アラ⚫︎⚫︎”と略してはいけないと心に決めました。
    なのでいわゆるアラサーになった今、
    アラウンドサーティと言うようにしています。
    だって“アラサー”って
    アラウンドサーティワンアイスクリーム
    かもしれないし
    アラウンドサーカディアンリズム
    かもしれないし
    アラウンドサーベルタイガー
    かもしれないじゃないですか。

    アラフォーは
    アラウンドフォーチュンクッキーの恐れもあるし、
    アラフィフは…アラフィフだけは大丈夫そうですね。

    で、この“アラウンド棺桶”というクセ強ワードのおかげで
    その後訪れた祖父のお葬式にて棺桶の横に立った時
    「え、今私棺桶周りにいるってことはアラウンド棺桶なのでは…?」
    と余計なことを考えてしまい
    それまで悲しみに暮れていたのが“思い出し笑い”をこらえるという状況に変化してしまい
    気管に鼻水が入って盛大にむせ、爆音咳で式場内を騒然とさせる空前絶後のアホをかましました。
    とはいえ湿っぽいことが恐らく苦手でいつも笑っていた祖父はきっと
    「イイゾォ!」
    と自分の棺桶上空から言っていたに違いないので結果オーライです。

    その後精進落としの席で、
    満を持して寿司が登場。
    あれ、“寿司桶”に入っているじゃないですか。
    “桶”。
    …棺桶。
    “アラウンド棺桶”
    寿司を見て笑いをこらえている私を見て、当時年中さんだった娘が
    「ウワァ…お母さん寿司見て死にそうになってるゥ…怖」
    みたいな顔をしていたことを私は一生忘れないでしょう。

    そして自分が棺桶に入った時には
    Xのアカウント名を
    よもぎ@棺桶にすることでしょう。

     
     
     
    ラブラドールの匂いで肺を満たしたいアラウンドサーティ。 9歳児に親育てされている本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、しつこく文字を掻き集める滑稽な姿を東京の片隅からお送りしております。 ※連載小説も基本的には一話完結として読める構成を目指しているので、おじけづくことなかれ。

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