メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

『殎り殎られ詩人酒堎』ep.69「月ず青幎」

    宿酔に䌌た、厭いやな感芚が胃のあたりで蟠わだかたっおいる。
    頭の方ばかりが熱っぜくお、たたらない。
    冬だずいうのに月は花霞を纏っおいる。

    道ゆく人は皆、寒くおたたらぬずいった具合に倖套の襟を立おたり、手に息を吹きかけたりしおいた。
    俺は法曹厩れの肩を借り、䞋駄をずっおぞたり歩いおいる。
    取り返し、あんなにも悊に浞った倖套も、そこで立枯れみたいになっおいるわけのわからない男にかけおやりたいくらいだった。
    枟々ず湧く氎の劂く背を滎る汗が䜕から䜕たでじずじずに湿らせおいる。

    「おかしなもんだね、これじゃあ酒堎垰りみたいだ。」
    奎は俺の身䜓を敎えながら笑う。
    「それずもどうだい ふら぀き぀いでに䞀杯、匕っかけおくかい」
    「結構だよ  」
    「んだよ、文士殿。元気そうじゃねェか。」
    「酒飲みは飲む前から管巻きやがる  巻けねェように先に管壊しおやんのさ。」
    「なんだい、それ  」
    「秘密だ。おめェず俺だけのな  」

    自分でも䜕を蚀っおいるのかわからなかった。
    ずはいえ瓊斯灯に照らされた煉瓊の隙に、確かに原皿甚玙のマスを芋、た。
    俺はその芏則正しい四角の矅列にやたらに巊䞋の払はらいの酷い字を曞き぀ける自身の姿をはっきりず芖、た。

    俺はうなだれ県を開いたり、閉じたたたにしたりを繰り返しおいた。
    するずようやく胃の蟺りの蟠っおいたや぀がぬぅず抜けおいった感芚があった。
    立ち所に脱力し、膝から地に萜ちた。
    䞋唇だけがやたらに震える。

    「文士殿 起きおるかい」
    「ん  」
    「寒くないかい」
    「倉なこず蚊くんでねェよ、久米君。俺は熱いんだ  」
    「そうかい。」
    「  さっきたで団扇うちわで  颚、ふっかけおたの、君  」

    瞌の裏の月は癜い。
    光は鋭く藍を切り裂いおいる。

    身䜓が䞍意に綿にでも乗せられたかの劂く浮いた。
    柔らかく化孊ず花の匂いがする。

    かろうじお瞌を擡もたげるず、月は癜く霞を纏っおいた。
    「明日は雚だね  」
    「䜕かあるのかい」
    「いんや  なんも。なんもないずいい、なあんもも  」
    そう、蚀い切れたか吊か。
    それすらも定かではない。

    その背の枩ぬくみず圌の歩みの揺れは床々俺を睡ねむりの海の底ぞず誘いざなう。

    県を閉じた。
    吊、瞌が萜ちた。
    癜き月灯に切り裂かれし藍の面圱が県前に広がる。
    ああ  どちらの月が真実か。
    月無き倜に生たれた俺は、月灯を疑うお止たぬ。

    波のように睡ず芚醒ずは満ちおは匕くこず繰り返しおいた。

    「なあ、久米君  」
    「ん」
    「おめェ、さっき『俺を殺ダっちたった奎を裁けんのは俺』みおェなこず蚀っおたな」
    「ああ  」
    「それは  久米君が久米君を  」
    「なんだい 寝がけおんのかい やだね、文士殿  そりゃ䞊原朔也うえはらさくやを殺ダっちたった奎を䞊原朔也うえはらさくやが、の話でないか。」
    茂みは黒くちぎれ、枯草が球たたになっお転げおいく。
    「  死者は法で裁けんのかい」
    「さあな  」
    「そしたら逆は  」
    「逆」
    「死者  は  法を  叞れんのかい」
    「どうだかな  」
    俺は抱える代わりに法曹厩れの肩に頭をすっかり凭もたせかけた。

    珟う぀぀ず幻たがろしの間をひたすらに挂う。
    芋慣れた垣の列぀らなりを倜颚が撫でおいる。

    俺は法曹厩れの詰襟の释を匄んでいた。
    「文士殿、およしください  」
    「枛るもんでもなし  」
    そう蚀っおおいお奎の背に抌し付けた自分の胞の释の足りないこずを思い出す。

    「久米君  」
    颚が止んだ。
    「なあ、久米君。」
    声は頭蓋に沿っお巡り挂っおいる。

    やがお感芚の倧半が蒞気ずなった。
    揺れぬ揺籠の䞭、俺の背は緩く匧を描いおいた。

    ↑
    【創䜜倧賞2026】
    オヌルカテゎリ郚門゚ントリヌ䞭
    なんかもうここからは審査範囲倖文字数だず思う。


    ↑
    癜石怋に぀いお気になっおくださった方がいたのなら。
    圌の物語が始たるのかもしれない。

    ↑
    花を食り、人生を問う。
    貝原は今日もゆく。

    ↑
    ep.30ずep.44はセットで読んで欲しい。

    ↑
    【゚ッセむ】
    おばか゚ッセむの方がお奜みの方はお手数ですが二月以前の蚘事をご参照くださいたせ。

    ↑
    ゆきお様・解説
    読むずすっきり。
    でも深たる。
    そしお、「朔也」ずいう名前。
    お時間のある方は蟞曞で「朔」を芋おみおください。
    きっず。

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

    あなたぞのおすすめ