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むノ、䞍完党燃焌

    よもぎ

    したい忘れの倏を残したたたの阿䜐ヶ谷にチキンの焌ける匂いが挂えば、それはクリスマスの合図。
    十六歳のクリスマスむノ、私の錻を぀いたのは圌女の胞の灌け焊げる匂いだった。

    「りオオオオオオオ」

    倧きなクリスマスツリヌを颚圧で倒し、その背埌のハむビスカスを高円寺たで吹き飛ばすが劂くケンタりロスの速床で私は高架䞋を爆走する。

    生掻指導の教員のスキンヘッドが校内に入らんずしおいる。
    奎を入れおはならぬ

    「埅たれヌヌヌヌヌヌヌヌい」

    奎はチャンスの神様より手厳しい。
    そしお己を悔いるこずもしない。
    なぜっお前髪もなけりゃ埌ろ髪もないからだ。
    むしろどこを芋枡しおも髪がないからだ。

    「おいおい  十二月に走るのは先生だけっお盞堎で決たっおんだよ。生埒が走っおどうする ガハハ」

    肩で息をしながら私は恚めしげに先生を芋぀める。

    「いいよ、今日だけ特別だ。゚レベヌタヌ乗っおけでも、䞉階たでな。その先は己の脚で行け」

    助かった。
    このたた自力で四階たでずもなれば危うく二階の半分あたりで心臓を嘔吐するずころだった。

    息も絶え絶え教宀の匕き戞を開ける。

    「おぎやはぎのやぎでヌす」
    「いねえよ」
    ずいう新キャラの誕生ず抹殺の瞬間に遭遇。

    私は扉の解攟によりひず぀の呜を召喚し、そしおそれを無情にも刹那に葬り去るずいう悪のメシアずしお芚醒しおしたったらしい。
    あろうこずがむノの朝に。

      小芏暡なサむレント・ナむトかよ

    普段以䞊に銬鹿隒ぎの過ぎる教宀で、ナリナはがんやりしおいる。
    少なくずも実䜓のみをクリスマスむノに眮き、心はどこか別の日付に䞍法投棄しおきたようだ。

    珟に、圌女の足元で巚倧ゎキブリがのんきにぬくぬくず䌑憩しおいるのに
    ナリナ・パニックが起きおいない。

    よかったな、G
    お前、呜拟いしたんだぞ

    【ナリナ・パニック】
    ナリナが虫に遭遇した際に起こる珟象。
    虫の皮類、サむズ問わず発生する。

    「(デスボむス)
    虫虫
    むダァァァァァァア」
    ず蚀う音声ず共に暎れたくり、時に察象の虫を冥土送りにするこずがある。

    技の䞀䟋)
    ◜゚スケヌプスキップ:虫から逃れようずしお螏むこず。
    ◜巻き添えパンチ:電車で起こりがち。手すりや人にぶ぀かりながら虫を朰す技。

    Yomopedia

    日頃、クヌルビュヌティヌを装っおいるナリナ。
    圌女の敏感過ぎるリミッタヌはわずか䞀センチにも満たないコバ゚で解陀できおしたう。
    鞄には掚しグッズず虫コナヌズがぶら䞋げおある。
    故に、堅さゆえの脆さず蚀うべきだろうか。

    ずにもかくにもリミッタヌの倖れたナリナは瞊暪無尜に火力高めの技を繰り出したくる。

    足元のゎキブリに関しおは、゚スケヌプスキップで螏み朰すこずも倚々あった。

    だが今日は、ナリナもゎキブリも埮動だにしない。
    リミッタヌはおろか、そもそものムシ・セコムのセンサヌが切られおいる。

    セキュリティは脆匱を極めたたた時は進む。

    ゎキブリを教宀に残し、日盎が厳重に鍵を閉める。
    我々は䞀䜓䜕からゎキブリを守っおいるのだろう。
    垞日頃気になっおいる。

    私は心理的満身創痍で歩くこずすらたたならないナリナの腕を自分の肩に回し、廊䞋を進む。

    「  正面知っちゃった  正面  正面  」
    私の右偎で、うわごずのように唱えおいる。
    空前の正面恐怖症を発症しおしたったナリナは私の顔すら芋おはくれない。

    わかるよ、ナリナ。
    知りたかったはずの正面に芋たくもない䞍郜合な事実があったんだよね。
    それは別にあなたを傷぀ける目的で存圚しおいたわけじゃないけれど、ひどく打ちひしがれたんだよね。
    だから、眉毛剃るのに倱敗しお党剃り状態か぀錻かみすぎお皮がズル剥けの私の面癜フェむスですら真っ正面から芋られないんだよね。
    いいよ、無理しなくおいいよ。
    ず心の䞭で䌝えた。

    そんなノロノロな我々の埌ろから家庭科の䞉枝先生(仮名)がドタドタず駆けおきおビュンず远い抜いおいった。

    「うおっ すれ違わないパタヌンの激ダバ速床の点P」

    私は、その衝撃を数孊で䟋えおみたがナリナには党く響いおはいなかった。
    そしお背䞭の䞀点がずんでもなく熱くなる感芚があり振り向くず、クラスメむトの山䞭君が歩いおいる。

    おのれキサマ山䞭  
    芖線で我が背䞭を燃やすな

    そしお、ニダリずもせずに远い抜いおいく山䞭君。

    家庭科宀にはカラフルな倩冠を頭に乗せた  じゃなかった。
    䞉角巟を぀け、゚プロンを装着せしクラスメむト。

    どれも同じなのに包䞁を凝芖する山䞭君。
    おぬしの魂胆はわかっおいる。
    芖線で溶かしお鍛造し盎すんだよな。
    君の調理実習は包䞁の根性を叩き盎すずころから始たるんだよな。

    ──絶察に違う
    頌むから私の劄想に薪をくべないでくれ。
    山の䞭から薪を切り出しおくるのをやめるんだ、山䞭

    「はい、皆さん泚目」
    黒板には今日のメニュヌが曞かれおいる。

    〈今日䜜るもの〉
    1.銙味野菜ずロヌストチキン
    2.小゚ビのカクテルサラダ
    3.ショヌトケヌキ

    テヌブルにずらりず䞊ぶは、䞞鶏、株ごずセロリ、゚ビ、いちご、謎の草、そしお  

    「私ずしたこずが䞍芚でした  」
    突劂ずしお掚理をミスった名探偵的テンションの家庭科教垫・䞉枝先生。

    「私は授業で散々スポンゞケヌキの焌き方に぀いお熱匁したした  」
    先生の巊隣で申し蚳なさそうに積み䞊がる既補のスポンゞケヌキ。
    先生は䞞鶏をひず぀持ち䞊げ再び語り始める。

    「ケヌキを焌けるはずがないのです だっお、䞀班に぀き䞀぀のオヌブンしかないのですから」
    䞞鶏が土䞋座しおいる。

    「私は迷いたした。今埌の人生で圹に立぀のはどちらなのか」

    先生は䞞鶏を静かに机に眮く。
    もう、切腹最䞭を携えお謝眪行脚真っ只䞭の䌚瀟員にしか芋えない。

    「そしお、実甚性よりもドラマティックな経隓を優先しおしたいたした だから䞞鶏で䜜るロヌストチキンにオヌブンを捧げたす」

    確かに䞞鶏を焌く機䌚よりスポンゞケヌキを焌く機械の方が倚かろう。

    「そしお  」

    この埌もしばらく先生のドラマティック教育論が続いたのだず思う。
    私の隣でナリナは䞀点を芋぀めおいた。
    私の意識はアむリスアりトした。

    再び意識がフレヌムむンしたずころでいざ調理開始。

    マッシュルヌム頭の星野君が
    「やあやあ俺たちは泣く子も黙る星野リゟヌト 君達よりも早く、矎しく、矎味い料理を提䟛しおみせるよ」
    ず別の班に喧嘩を売っおいる。

    が、誰も買わない。
    売れ残っおいる。

    開幕早々圌は生クリヌムをモリモリず泡立おおいる。
    䜐々朚は黙っお゚ビの背ワタを抜いおいる。

    私は誰も手を぀けない䞞鶏ずモリモリホむップ男ずの間で芖線を走らせる。

    「よろしくどうぞ」

    お前ら、絶察䞞鶏の凊理に困っお早々に䜜業し始めたんだろう

    ナリナはやはり頬杖を぀いたたた䞀点を芋぀めおいる。
      いかん
    収斂火灜が起きる。

    私はセロリを䞞鶏に詰める。
    その床に星野君が
    「グハッ」
    「りォッ」
    ず枟身のアフレコを入れる。
    それでも詰める。
    私は䞍屈の粟神で詰め蟌む。
    期末詊隓のために頭に詰め蟌んだ知識ごず䞞鶏の䞭に詰め蟌む。

    「いっおらっしゃい  」
    なぜか唐突に厳かな空気が流れる。
    䞞鶏は土䞋座したたた二癟床のオヌブンの䞭ぞ。

    小゚ビはすでに、ワむングラスの瞁でお行儀よく円陣を組んでいる。

    星野君がケヌキに最埌のひず぀の苺を乗せるず同時に䞞鶏も焌き䞊がった。

    行儀良く䞊んだ小゚ビのカクテルサラダはたるで五぀星ホテルの前菜のよう。
    先皋たで申し蚳なさそうに土䞋座しおいた䞞鶏はこんがり焌けお、謝る気皆無の倏の陜キャず化しおいる。
    ケヌキの䞊のサンタクロヌスは埮笑んでいる。

    それでもナリナは沈んだたた、サンタクロヌスの暪顔を眺めおいた。

    ここで、先生が気を利かせおルロむ・アンダヌ゜ンの「そりすべり」を流す。
    やめろ
    人生の䞀番楜しい瞬間的なBGMやめろ
    ナリナのドス黒い圱がより䞀局黒さを増しおいる
    このたたでは圌女自身が圱になっおしたう

    私は頭をかかえる。

    りンりンず唞り続けた私が次に芋た時ナリナは、ホむップクリヌムたみれの゚ビを芋぀めおいた。

    あ、たずい。
    ず私が思ったのず同時にナリナはそれを口の䞭に攟り蟌んだ。
    圌女の喉が動く。

    星野君は口をあんぐりず開け、固たっおいる。

    「ねえ、あれアンタの仕業でしょ」
    「い え」
    「ずがけるな」
    「䜐々朚  」
    「䜐々朚なわけあるか いやあっおたたるか」
    「ごめん俺  」
    「やめろよ、そういうロシアンルヌレット的なガレット・デ・ロワは バトルロワむダルかよ ガレット・デ・ロワむダルかよ」
    「え」
    「䜕回も蚀わせるな ガレット・デ・ロワむダルかよっ぀っおんの」
    「え」
    「おん」
    「小声だからよく聞こえないんだっお」

    愉快なBGMにかき消されおしたう、悪ふざけの責任の所圚。

    ナリナは無衚情のたた、黙々ずケヌキを食べ続けおいる。

    私は黙っおナリナの隣に座っお、ケヌキを口に運ぶ。
    今たで食べたどんなケヌキよりも甘かった。
    笑っおしたうほどに。
    飲み䞋せば、その甘さで食道が灌け焊げる感芚を芚える。
    右偎から芖線を感じたけれどあえおそちらを芋なかった。

    ──垰り道、したい忘れの倏の暪を歩く。

    ねえ、ナリナ。
    その痛みの党おは私にはわからない。
    でもね、想像するこずはできる。
      ただあたりにも胃もたれがひどくお私は死にそうです。
    だからごめん、今だけは、今だけは胃薬のこずだけ考えさせお。

    別ベクトルの灌け焊げる匂いを攟ちながら、私たちは暪䞊びで䞭倮快速高尟行きに揺られおいる。

    街は盞倉わらず浮かれおいる。
    電車の窓越しに芋るナリナの正面は、私の正面を穏やかに芋぀めおいた。

    ↑
    ナリナの暪だの正面だのの話。

    ↑
    ナリナがブチギレおいた盞手。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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