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父の日に何もやらなかったら、父が飛び降りて命を絶つ夢を見た話

    2026年6月22日、今朝の目覚めは最悪だった。
    夢の中で、父が飛び降り自殺をした。
    コンクリートに向かって真っ逆さまに落ちていく父を、私はただ呆然と見ていた。夢だとわかっていても恐ろしくて、目が覚めたあともしばらく心臓がバクバクしていた。

    なんだこれ。
    なぜこんな夢を見たのか。布団の中でぼんやり考えていて、ふと思い出した。
    そういえば前日は父の日だった。

    そして私は今年、父の日に何もしなかった。

    私は身内に感謝の気持ちを言葉で伝えるのが苦手だ。
    「ありがとう」も、口から出そうとすると途端にむず痒くなる。LINEでも、キャラクターに言わせた「ありがとう」のスタンプを送るので精一杯だ。
    だから私は、だいたい贈り物で解決してきた。
    父の日も母の日も。
    「父、これ好きそうやな」
    「お義父さん喜びそうやな」
    そうやって相手の顔を思い浮かべながら選ぶ時間そのものが、私にとっての「ありがとう」だった。

    ところが、今年は少し事情が違った。
    例年では、実父に贈り、義父にも贈り、さらに夫にも何かとなると3万円近くになる。たかが3万円、されど3万円。
    しかしだ、我が家は上半期に祝い事が集中する。実家義実家含め家族全員の誕生日、節句、それに加え母の日父の日だ。ケーキにプレゼントにパーティの食事……そのお祝いのプロデュースはワタクシ嫁が率先して全力でやるため、毎回嫁のポケットマネーから数万消えるわけだ(まあ、そうやって祝うのが好きなんだけど)。
    結婚して13年、よくやってきたと思う。でも、今年の我が家にとっては、その3万円が結構重かった。正直、それならローンの返済に回したい。

    けれど、今改めて思うと、私が父の日をスルーした理由は、本当はお金だけの話でもなかった。

    母になって12年になる。
    私は毎年、子どもたちにけしかけて、父の日を運営してきた。スーパーの父の日似顔絵コンテストに応募させたり、「お父ちゃんに『いつもありがとう』って言おうか」と促したり。父の日ってのがあって、その日はお父ちゃんに感謝を伝える日やでって、オカンなりに子どもに伝えてきたつもりだ。

    一方で、夫から母の日に何かしてもらった記憶は全くない。別にブランドバッグが欲しいわけじゃない。高級ホテルで中華をご馳走してほしいわけでもない。いや、お金があるならしてくれて全然かまわないのだが。

    そうではなくて。

    どれだけ母親が無償の愛だマザーレイクの広い心だといったとて、それが当然とばかりに過ごされると、本当に「もう色々と、やめてしまおうか」と冷める瞬間がある。

    そして、今年は余裕の無さも相まって、少しだけ思ってしまったのだ。
    もういいや、と。
    なんで私ばっかりやらなあかんの、と魔が差した。
    だから、すべての父の日を見送った。
    お金がなかったからというよりも、なんか疲れた。

    ところが私の脳みそは、それを全然よしとしていなかったらしい。

    ちょうど帰省して久々に見た実父の顔と、父の日をスルーした罪悪感と、「なんで私ばっかり」という不満が頭の中でぐちゃぐちゃに混ざり合い、最終的に「父が飛び降りる」という最悪の映像になって私の睡眠を襲ってきた。
    我が脳ながら、なかなか過激な表現方法である。

    夢占いによると、親が死ぬ夢は吉夢らしい。自立だとか、再生だとか、事態の好転だとか。そんなものは知らない。
    ただ、私が思っていた以上に父の日を気にしていたことだけは確かだ。

    本当はやりたくなかったわけではない。
    父の日も。父たちへの贈り物も。
    でも現実には予算もないし、不満もある。その結果、「もういいや」と投げやった。
    ところが、夢になって飛び出してきた。華麗にスルーなんてどの口が言えるだろうか。なんとも面倒くさい性格である。

    とはいっても、今さら何かをするつもりもない。
    3万円の予算は相変わらず我が家にはつかないし、私のモヤモヤも別に解決していない。
    それならそれこそ、ビール1本でも渡して「少し遅くなったけど父の日!」とでも言えばいいのかもしれない。
    だが残念ながら、そういうことをサラッとできる人間なら、そもそもこんな夢は見ていない。

    夢の中でよかった。
    そう、父たちが変わらず元気なのが、せめてもの救いである。

    来年の父の日については、またその時に考えよう。
    その時に財布と機嫌と相談して、やるかやるまいか決めることとする。


     
     
    📚元赤い本の製本屋/よめじるし/日本で一番「中小企業の嫁」の生き方について考えている人/「テキトーフォーミー」の人/嫁マインド/滋賀県/興味関心:アートと教育