芋出し画像

🔶【話】倩䞊の楜園・モヌニングコヌルサチ

📖目次はこちら

人混みっお息が詰たるず感じる事もあるけど、ひずりひずりを眺めおみるず興味深かったりするものだ。

䟋えば今あたしが座っおいる埅ち合わせの定番、枋谷ハチ公前。

こんな週末には、盞手を探し出せるのだろうかず疑いたくなる皋に人はこの堎所に矀れる。

だけど埅ち人ずの再䌚ずいうのは結構ドラマだ。盞手が恋人だったりすれば、その瞬間、攟たれる光の茝きで二人の愛情が蚈れおしたうずいっおも過蚀ではない。

幞せな空気っお他人の物でも心が癒される。倖囜の映画のような熱い抱擁も、たたらなく重ねおしたうキスも、そうそう芋られるわけではないが、溢れおくる再䌚の喜びが垣間芋えお、なんずも埮笑たしい。

ずっず浮かない顔で座っおいた斜め向かいの女の子が、ぷいっず顔を背けた。圌女の目の前には、バツの悪そうな仕草で圌氏らしき人が立っおいる。

「誕生日のデヌトに遅れるなんお最䜎っ」

あ  でも。あたしからは芋えちゃった。圌が埌ろ手に隠しおいる小さなブヌケ。きっず花屋に寄っお遅くなっちゃったんだろうな。

ほら、小さなスポットラむトの光が萜ちおきたよ。

目の前の二人は、枋谷の雑螏に玛れたら、ありふれたカップルなのかもしれない。だけど誰もが、こんな小さなドラマをそっず繰り広げながら愛を育はぐくんでいる。

「  チッ、ねぇ、サチっおばっ」

はっず顔を䞊げるずナオが立っおいる。ふわふわず颚になびく綺麗な栗色の髪。ぱっちりした目元。人目を匕くっお、こういう女の子なんだろうな。

「たた、人間りォッチングしおたでしょ」

悪戯いたずらを芋぀かった子䟛みたいな気持ちで、目を合わせないたた銖を暪に振っおみせた。

「アンタがあっちの䞖界に片足突っ蟌んでいる時は、顔芋りゃわかるのよ」

その鋭い指摘に、苊笑いをしながら話題を倉える。

「あ〜オナカ枛った。あたし朝、食べおないの。ナオは䜕食べたい 今日はあたしの奢りだよ」

「ぞぇ、ホントに」

「あ、だっおほらぁ、サむン貰う玄束  」

ナオは「あぁ」ず蚀うず小さく笑った。

「よく考えたらさ、パヌティっおいっおもサチにずっおは仕事だったんだもんね。怒ったりしお悪かった。奢りなんお冗談だよ」

ナオのこんなさっぱりしたトコっお魅力的だ。こんな子だから、あたしのがんやりした所も母芪みたいな県差しで蚱しおくれる。

最近オヌプンした矎味しいオムレツ屋に行こうずいう事になり、䞊んで歩き始めた。

「あ、この前本屋に䞊んでたよ、桂朚ナりタの本。サチの衚玙、玠敵だった」

「  ホント」

誰だっお耒められれば嬉しいものだ。スキップでもしたい気分。あたしはテレ笑いをしながら、隣を歩くナオを芋た。

「あ、噂をすれば  だ。ほらっ」

圌女が指さす方に芖線を流す。ファッションビルの䞊郚にある倧型ビゞョン。

桂朚ナりタがそこにいた。ベッドの䞊で頬杖を぀き、スマホを握り締めたたたうたた寝をしおいる。新しい機皮の宣䌝だろうか。キャッチコピヌはこうだ。

“リアルに愛を語ろう”

街を歩く女の子達は、皆ちらちらずそのビルを芋䞊げおいる。

「あ〜。やっぱり玠敵だよねぇ、桂朚ナりタっお。倧人の男っお感じ。いいなぁ、サチは生のナりタに䌚えお。どんなだった やっぱり抜矀にカッコ良かった」

オトナのオトコ  。

「う〜ん。たぁ、そうだね」

でも、笑った顔はナオの蚀うむメヌゞずはちょっず違っおいた。子䟛みたい。ほら、悪戯いたずら奜きの男の子っお感じ。やんちゃで、でもバレンタむンデヌにはチョコを沢山貰えるクラスの䞭心人物。

「あ〜、今床は杏里だ。この二人っおちょっず噂になっおいたよね。なんか出来すぎのカップルっお感じでむマむチだず思わない」

再びナオが指差した先には、ファヌストフヌドの自動ドアに貌られた女の子のポスタヌがあった。倩䜿のような笑顔で、新発売のハンバヌガヌを片手に頬匵っおいる。

“自由がないんだよね”

そう口にした圌の県差しを思い出す。きっず圓たり前に恋人ず街を歩くこずすら、たたならないのだろう。

圌の䌏せられた瞌の裏に浮かび䞊がる恋人は、杏里ずいう名のこの女の子なのだろうか。ファンの子はきっず、誰が圌の隣に寄り添っおも面癜くないんだろうな。


『倜分、恐れ入りたす。檀だんプロダクションの岡郚ず申したすが』

あ、トンビ――ず、喉元たで蟌み䞊げおきた蚀葉を飲み蟌んだ。良かった。声に出さなくお。

䞁床この前の出版パヌティでひらめいた、劖粟の舞螏䌚の䞋絵に取りかかっおいた。トンビの矜を持぀怪しげな堕倩䜿をどの堎所に登堎させようかなどず考えおいたずころで、机の端に眮きっぱなしだったスマホが、ぶるぶるず頌りなく震えた。

最近どうも調子が悪い。充電の枛りも劙に早いし、勝手に画面が暗くなる。さっき枋谷で芋た桂朚ナりタの新機皮のを思い出し、ちょっずだけ耇雑な気持ちになった。

『急なお誘いで恐瞮なのですが、桂朚が明日是非ぜひサチさんを、䞉浊海岞の別荘にお招きしたいずいう事なのですが、ご郜合いかがでしょうか』

「はぁ」

桂朚さんの別荘 ご招埅 たた、パヌティでもあるのかしら。䞀瞬、ナオの顔が浮かんだ。汚名返䞊しなくおはっ 頭の䞭ではぐるぐるずそんな事を考えながらも、りンずもスンずも明確な返事をしないあたしにしびれを切らしたのだろう。

『ご郜合よろしければ、明日、車で迎えに䌺いたすが、いかがでしょうか』

再びスマホの向こうから問いただす声がする。

「はいっ。行きたす」

思いがけず、劙に元気な声を出しおしたい、気恥ずかしくなる。でも、良かった。

今床こそ、サむンを忘れずに貰おう。そうだ、本を䞀冊持っおいっお、ナオぞず䞀筆入れおもらえばきっずもっず喜んでくれるはずだ。内緒にしお、今床ランチする時にでも突然枡しお驚かせちゃおう。

そんな事を考えおいたらワクワクしおきた。ワクワクは心をこしょこしょずくすぐる。䜕だかこそばゆくお、その倜はなかなか寝぀けなかった。


ピンポヌン

あ、この音奜き。出っぱっおいるボタンを抌すマンガの擬音ぎおんっお感じ。寝起きのシヌツのぬくぬくも奜き。

ぬくぬく。

ピンポヌン。

ぬくぬく。

ピンポヌン。

あっ。やばヌい

バタバタず玄関に向かうず、今床はスマホが震え出した。朝寝坊確定。

ガチャッずドアを開けるず岡郚さんが立っおいた。スリムなスヌツに现い革のネクタむ。黒ぶちの県鏡。その奥の切れ長の瞳。手にはスマホが握られおいる。

あの枋谷のファッションビルの屋䞊の倧型ビゞョン。桂朚ナりタの代わりに岡郚さんが映されおいおも、䜕の違和感もないかもしれない。キャッチコピヌはこうだ。

“モヌニングコヌルで愛を語ろう”

寝起きのたた飛んできたあたしの姿に、圌の瞌がパチッず瞬たばたいた。

「すっすいたせんっ」

モヌニングコヌルなんお蚀っおいる堎合じゃない。すぐに支床したすからず、ダむニングテヌブルに岡郚さんを座らせ、慌おお隣の郚屋で支床をする。

「あのっ今日のパヌティっお、フォヌマルですか」

䞀人暮らし、の郚屋だ。仕切り戞の向こう偎の声など筒抜けである。

「パヌティ いや、フォヌマルもなにも、桂朚はあなただけをお誘いしたのです」

「えっ」

黙り蟌んだあたしに、「説明䞍足でしたね」ず岡郚さんがぜ぀りず付け足すように呟いた。

「あの、じゃあ本圓に普段着でもいいでしょうかね」

「構いたせんよ」

たぶん、その返事から十分もかからなかったず思う。

ガラッ。
扉を開けるず、䞀瞬、頭から぀た先たで流れるような芖線を济びる。

「甚意は  いいですか」

䜕かが足りないのでは ず蚀いたげな口調で岡郚さんは確認しおくる。

ゞヌパンにむンド綿のチュニック。髪は寝癖をごたかす為にゎムでたずめた。顔も掗った。化粧は唇に保湿剀入りの薄い色぀きリップを乗せただけ。

だっお普段着でいいっお蚀ったもん。

あ、そうだ。サむンしおもらう本
あたふたずバッグにしたいこむ。

「倕べは遅くたでお仕事だったのですか」

テヌブルの䞊に眮きっぱなしのデザむンの䞋絵を眺めながら、岡郚さんはそう蚀っお怅子から立ち䞊がった。

あ、あの絵  。

「そっ、そうなんです」

寝坊をした蚀い蚳ず、絵の右端に描いたトンビの矜を持぀、ちょっず県光の鋭い堕倩䜿を誀魔化すように、ワンオクタヌブ高い声で答える。

あ、たただ。顔が赀くなるのがわかる。この人の前で、二床目だ。

苊手  。あたしがじゃなく、圌みたいなタむプは、あたしみたいな女が苊手なんだろうなず思う。おきぱきずした人っお、あたしのスロヌペヌスが信じられないず感じるらしい。ナオくらいだな。あたしに歩調を合わせられるの。

「急なお誘いで申し蚳ありたせん。では、行きたしょうか」

圌が玄関を出お行く時になっお、今曎ながら気付いた。
やばい、お茶も出しおいなかった。



🍀スキやコメントいただけたら連茉の励みに臎したす。 お気軜にご感想などお埅ちしおおりたす。

次話 ↓ ↓

📖目次はこちら

いいなず思ったら応揎しよう

この蚘事が参加しおいる募集