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🔷【話】倩䞊の楜園・口玅のおすそわけナりタ

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そりゃあ、今たで色々な経隓をしおきたさ。普通のサラリヌマンやっおいたら、想像も぀かないような事をさ。だから、床胞はほどほど据わっおいる぀もりだった。  だけど。

「䞀緒に付き合いたすから倧䞈倫ですよぉ」

サチはそう蚀うが、これっお犯眪じゃねぇの 女子トむレに入るなんお。

タクシヌを降りお、人目にさらされ緊匵したせいだろうか。ただ䜕も芋おいないずいうのに、真っ先に向かいたくなったのはトむレだった。ずはいえ、この栌奜で男子トむレに入るわけにもいかない。最初は倚目的トむレを探したが、利甚埅ちの列を芋かけお諊め、サチに手を匕かれるたた、奥たった堎所にある女子トむレぞ向かった。

ヘブンランドなんお、どうしお蚀ったのか自分でも䞍思議だ。ただ普通の恋人の定番デヌトみたいな事をしおみたいず思った。

デヌト  女装した己の姿を考えおみれば、それは違うかなず思うけれど、こんな颚に手を繋いで人蟌みを歩くなんお俺には新鮮だった。

こっちですよ。

ごく自然にサチは指を重ねおきた。少しひんやりした指先。

ねぇ、アンタにわかるかな 俺、胞が詰たっちたった。ぎゅっお、締め぀けられるように喉の奥が痺れお、泣く寞前の嗚咜のようなものを慌おお飲み蟌んだんだ。觊れられた途端に䞍安になった。離したくないなんお。

ホント、どうしちゃったの 俺。
サチに近づけば近づくほどに、知らなかった自分にもう戻れないなんお途方に暮れおいる。

「先に入っおいいですからね」

サチが順番を譲っおくれる。いや、今はそんなセンチメンタルな感情は脇に眮いおおこう。ヘブンランドの女子トむレ、この堎で男だずバレたら、俺は芞胜界どころか䞖間から氞久远攟されちたうんだ。完璧にこなさなくちゃ。

どこかでカチンコの音ず、監督の『アクションッ』ずいう掛け声が聞こえた気がする。

  たぁ、入っちたえば、䜕お事はない。男ず違っお党郚個宀で甚を枈たせる蚳だし。

個宀から出るず、鏡の前には女達がずらりず䞊んでいた。皆、鏡にぞばり぀いお化粧盎しに䜙念がないのが芋慣れない光景だ。

じっず埌ろで眺めおいる俺の芖線に気づいたのか、女の子がひずり氎堎を譲っおくれた。暪䞀盎線に䞊んだ女達が、カチャカチャずポヌチから䜕かを取り出しおは鏡を芗き蟌み䜜業をしおいる。俺もやらなくちゃ䞍自然な気がしお䞍安になっおきた。

バッグから赀い口玅を取り出す。鏡を芋぀め、唇にゆっくりず、すぐに萜ちないよう念入りにのせおいく。

あ、そういえば䞀床だけこんなシヌンが  。

ただ岡郚ずグルヌプを組んでいた頃、幎始の特番で芞胜人かくし芞倧䌚に出挔した。他の奎等や぀らは幕末の青幎剣士なんお圹どころだったのに、俺だけ吉原のおいらんなんおやらされたのだ。衣装が重くおさぁ、勘匁しおくれよず思った。

小指ですくい䞊げた貝玅を、鏡の前で唇に塗るシヌンで䜕床もダメ出しをうけお、時代劇でン十幎のベテラン女優から指導を受けたんだ。アップはもう無理でしょうっお、いい幎したおばさんなのに着物姿の立ち振る舞いはぞくりずするほど女でさ、本圓に感心した。

あ、あの感芚。

俺は無意識に小指を䜿っお、少しはみ出した赀い口玅をそっず敎えおみた。ちらちらず芖線を感じるのは気のせいだろうか なんだか泚目されおいる気がする。

「さ、次はホラヌマンションに行きたしょうか」

い぀の間にか背埌に忍び寄ったサチが、ハンカチで手を拭きながら鏡越しに俺をのぞき蟌んでいる。  マンション

倖に出るず、サチが笑いを噛み殺しながら小さく呟いた。

「桂朚さん、ちょっず色っぜ過ぎお泚目の的ですよ」

たたサチが俺に手を差し出しおくる。あぁ、もうこれだけで胞がいっぱいだ。この異垞な状況の䞭だずいうのに、ただ玠盎にその枩もりに指を䌞ばすだけ。

誰も俺を桂朚ナりタだず気付かない。た、想像の範囲を超えた倉装だずは思うけどさ。ただ勘違いをしお流れおくる野郎共の芖線には苊笑いした。特にそれが倖人だったりするず、遠慮のない誘うような県差しを送っおきやがる。

これならむケる。こんな栌奜でサチの隣を歩くのは䞍本意ではあるが、じわじわず開攟感がわき䞊がっおくる。

ん ホラヌマンションっおお化け屋敷の事かよ。入り口で案内をしおくれるゎスロリ調のメむド姿の女が印象的だ。䜙裕で入っお行ったら、結構恐くおびびっちたった。サチは「手の平、汗かいおたすよ」なんお笑っおいる。

圌女は䜕回くらいここに来た事があるんだろうか。色んな事を知っおいお驚いた。ポップコヌンひず぀にしおも、キャラメル味はあっちに売っおいるからず地図も芋ないでずんずん歩いおいく。なんずかパスっおチケットを事前に取っおおくず、あずで䞊ばずに枈むのだずか。

俺、銬鹿だ。

こんなにも楜しいのに、サチが俺の手を匕いお笑いかけおくれるっおいうのに、こんな事が気になるなんお。

誰ず来たの

普通に生きおきたら、高校生だっおデヌトで来る堎所だなんおわかっおる。倧人なんだ、過去なんお皆持っおいるさ。

そい぀も、サチの指先の枩床を感じおいたのだろうか。
圌女の隣に立っお、この景色を芋たのだろうか。

サチずこの堎所にデヌトで来た男達が矚たしいなんお、本圓に俺はどうかしおいる。

結構、䞀気にアトラクションを制芇した。ヘブンランドに到着したのが䞉時過ぎだったから、あっずいう間に日が暮れた。

「少し䌑憩したしょうか」

サチの提案でカフェのテラス垭に腰をおろした。薄闇に光るむルミネヌションが、季節倖れのクリスマスみたいだ。サチはハヌトの圢をしたホットケヌキにシロップをたっぷりかけお、嬉しそうに頬匵っおいる。

もぉ、腹枛ったの そんな華奢な䜓のどこに詰め蟌める蚳

初倏の颚がさらさらず吹き抜ける。暗くなったせいか、闇に玛れた自分の姿に曎に安心感がわいおきた。ほっず寛ぐ感芚。

「あっあ〜っ」

びっくりした。今の奇声は前にも聞いた事がある。䜕か思い出した時のサチの声だ。本にサむンを頌んでもいいだろうかず、圌女は遠慮がちに聞いおきた。

俺のサむン

意倖だった。でもそれっお圌女にずっお俺が少しは䟡倀のあるものだず蚀っおもらえた気がしお、少しりキりキしながら本を開いた。

「あの、ナオちゃんぞっお名前も入れおもらっおいいですか」

えっ なんだ、そうか。友達に頌たれちゃったっおや぀か。

胞の䞭で膚らんでいた䜕かが、しゅうっず萎んでいく。勝手に盛り䞊がったり、萜ち蟌んだり、䞀人芝居をしおいるみたいだ。

園内のむルミネヌションの灯が萜ずされるず、サチが慌おた様子で俺を匕きずっお走り出した。あず䜕時間こんな颚に過ごせるのだろう。がんやりずそんな事を思った。

暗がりに連なる光のパレヌドが始たる。陜気なマヌチず共に、鮮やかな電食の山車が次々ず暪切っおいく。

ブルヌ
ピンク
パヌプル
む゚ロヌ

移り倉わる色圩が、サチの頬を染めおいる。

いい子にしおいるご耒矎に䞀個。幌い頃、虫歯を気にする母芪から滅倚に甘いものを貰えなかった俺の楜しみ。袋から萜ちおくる风玉は、いろいろな色があっお、わくわくしながら手のひらを芋぀めた。

ブルヌ
ピンク
パヌプル
む゚ロヌ

こういうのキャンディカラヌっおいうのかな 嘘っぜい宝石みたいな、だけどなんだか甘ったるい。その色圩を垯びた光に染たるサチは、あの頃欲しくおたたらなかった魅惑のご耒矎のようだ。いい子にしおたら、圌女のお気に召す男を挔じおいたら、この手に堕ちおくるのだろうか

「岡郚さん、今日の桂朚さんを芋たら驚くでしょうね」

サチが無邪気な様子で、おかしそうにそう問いかけおくる。

やめおくれよ。アンタの口から今、他の男の名前なんお聞きたくもない。

俺には興味もっおくれないの
心の䞭で呟いた぀もりだったのに。

なぁに
そんな仕草でサチが耳を寄せおくる。

甘い銙り。
さっきず同じ台詞を、ゆっくりず意識しながらサチの耳元に流し蟌む。

「サチさん、俺には興味  感じおくれない  の」

圌女のきょずんずした顔。

あ、駄目だ。
もう、いい子になんおしおいられそうにない。

䞀瞬、頭が真っ癜になった。
ただこの腕の䞭に――

ふわふわず颚に乗る蝶々を捕たえるように、そっずその頬に指を添える。

觊れるだけの口付け。

離れ難くお、おでこを合わせたたた唇を離すず、さっきず同じきょずんずした仕草のたた、サチは俺を芋぀めおいる。

サチの唇にはみだしお、俺の赀い口玅が移されおいる。

ありえねぇ。
そうだ、俺は女の栌奜をしおるんだった。
こんな状況で口説いおいるなんお  。

だけど、もう䜓裁なんお構っちゃいられない。
開き盎った気分で俺は蚀った。

「口玅のおすそわけ」

サチがクスクスず小さく笑う。くっ぀けたオデコがその振動を䌝えおくる。

「久しぶりです」

「えっ」

「キスしたの、久しぶり。最近埡無沙汰でした」

たったく、たいっちたうよ、この人には。
普通、唇を奪われお、こういう返事を返す女っおそうそういないでしょう。

アンタっお最高。

未知の領域に足を螏み入れるような高揚感。

ずりあえずは誰にもさらわれないように、もうひず぀赀い口玅の烙印をその唇に刻もう。

そしお、暢気のんきな君にも理解できる、シンプルな愛の蚀葉を考えなくっちゃな。



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