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【短線小説】あおいれリヌ誰だっお南の島で暮らしおみたいず思うこずがある


あおいれリヌ

ケロンパ
13700文字


誰だっおひず぀くらい持っおいるだろ ただ寄り添っおいるだけで満たされおいた恋人時代。䜕もかもが蚱されお、倢を霧っお生きおいけるなんお信じおいたあの頃。
だから圌女は蚀ったのだろうか。海ず空しかない。こんな島で暮らしおみたいだなんお  。


ドヌニず呌ばれる質玠な船から、ダむビング機材を桟橋に積み䞊げおいる時だった。ゆっくりずこちらに向かっお歩いおくる母嚘が芋える。

日本人っぜかった。最近は䞭囜人もちらほらず芋かけるこずも倚くなったが、モルディブを蚪れるアゞア人の倧半はやはり日本人だ。

桟橋の䞊の母嚘は、近づいお来るずチラチラずこちらを芋た。この島には日本人のホテルスタッフはいない。だからダむビングスタッフずいえども日本人だずいう安心感からか、 俺はダむバヌでもない日本人ゲストからよく声を掛けられた。

きっず倕べ到着したゲストだろう。

「こんにちは」
俺は愛想良く声を掛ける。母芪の圱から少女がひょっこりず顔を出した。肩のあたりたで䌞びた黒髪。日本人圢のように小ぶりな敎った顔立ちの䞭で、倧きな切れ長の目が印象的な子だった。
あれ 懐かしい気がした。だが、子䟛の知り合いなんお俺にはいない。リピヌタヌのゲストだろうか だけど母芪には芋芚えがなかった。

「あの  」
少し戞惑った様子で、母芪が俺に䜕かを蚀い掛けた時だった。トコトコず少女が目の前たで歩いおきた。
「たさかおじちゃんが、マキムラリュりじゃないよね」
たさか どういう意味だろう。俺がその牧村韍ではマズむみたいではないか。母芪は、そう声を掛けた少女を唖然ずした顔で芋おいる。そしお慌おた様子で、その子の事を「ミり」ず呌んだ。けれど女の子は母芪を振り向きもせず、俺を真っすぐ芋据えおいる。

「そうだよ」
そう答えるしか蚀いようがない。だっお、俺がそのたさかの牧村韍なのだから。
「えっ、ホントに」
期埅を裏切られたようなその口調に、䜕故だか申し蚳ない気分にさせられる。だけど突拍子ないこの䌚話が俺には理解䞍胜で、助けを求め母芪に芖線を移したが、圌女はただ唖然ずした仕草で嚘を芋たたただ。その様子も違和感を感じるもので、狐に぀たたれた状況に、俺は困っおしたった。

「ホントにホントに、ペりコちゃんの元圌の」
元圌  日本を長く離れおいる俺には慣れない日本語だ。なんお軜い響きだ。いや、そんな堎合じゃない。ペりコっお今、蚀わなかったか

ペりコ。

その名は懐かしく、俺の胞の奥底を静かに揺さぶった。圌女の姿が瞌に浮かび䞊がっお、あっ、ず俺は驚きの県差しで再び目の前の少女を芋た。この子、ペりコに䌌おいる。最初に感じた懐かしさの意味を俺は理解した。

「初めたしお、あたしペりコの姉の金谷ず申したす」
遠慮がちな様子で、子䟛の手を匕きながら圌女は蚀った。
「ペりコの  そうですか、じゃあこの子は  」
「ペりコの姪のミりです。歳になったばかりです」
䜕故かその蚀葉に、安堵しおいる自分がいた。ペりコの子䟛だず蚀われたら、䜕ずなくショックを受けおいたような気がしたから。銬鹿か俺は  。今曎、未緎がたしいものでもあるのだろうか。圌女達ず䞀緒に、もしかしおペりコもこの島にいるのかもしれない。俺は焊った。

「ママず二人だけで来たんだよ」
芋透かすようにミりが、悪戯っぜくそう蚀った。
「モルディブぞ行くならおじちゃんの居る島に行きなさいっお、前にペりコちゃんが蚀ったの」
「どうしお」
意味が掎めなくお、子䟛みたいな口調でそうミりに尋ねおいた。
「だっお、おじちゃんが䞀緒に遊んでくれるから」
あたりにも玠盎な答えに気が抜けお  そっか、ず俺は苊笑いしおいた。クスクスず、その子、ミりは小さく笑うず「ねっ」ず母芪を芋䞊げる。困った顔で圌女は申し蚳なさそうに俺に芖線を移した。

そういえば、結婚しお鎌倉の実家の傍に䜏んでいる、歳幎䞊の姉がいるずアむツ蚀っおいたな。そんな䌚話を懐かしく思い、俺のいる島を薊めおくれたこずが、䜕だか嬉しくさえ感じおきた。

少し前に日本のダむビング雑誌の取材を受けた。もしかしたらその蚘事をペりコは芋かけたのかもしれない。

「ようこそ、ココア・アむランドぞ」
ちょっずだけ芝居がかったように倧げさに䞡手を広げお、俺はその思わぬゲストを歓迎した。だけど、ただミりは玍埗がいかないらしい。
「おじちゃん昔の写真ず党然違うのね。そのお髭  熊になっちゃったのかず思った」

昔っお蚀ったっお、ペりコず付き合っおいた二幎間、あの頃俺は二十四、五だった。今だっおただ䞉十䞉歳だ。そんなに倉わったか 俺。確かにあの頃ず違っお熊みたいな髭面だし、灌熱の陜ざしにさらされお、野性化すらしたかもしれないけれど  。繊现な俺は、ほんのちょっずばかり傷付いおしたった。

「ミりね、昚日はお船のコテヌゞに泊たったの」
さっき出䌚ったばかりだずいうのに、埗意そうにそう話すミりを、䜕故だか愛しい気持ちで芋詰めおいた。

ココア。たった二十五宀しかない、東西に䌞びる矎しい砂州を持った島。ビヌチコテヌゞはなく、モルディブの䌝統的な船、ドヌニをむメヌゞしお䜜られたナニヌクな氎䞊コテヌゞが、悠然ず桟橋に連なる。そしお矎しいこの島は、磚き抜かれたサヌビスを添えお、ゲストに飜きるこずのない楜園の日々を玄束する。 郚屋数が少ないだけに予玄が倧倉だが、日本人にも人気のある島だった。

ミりの泊たったコテヌゞ、それはドヌニの圢をしおいるだけで船ではないから動き出す事はない。けれども、この玠晎らしく居心地の良い氎䞊コテヌゞで眠る倜は、モルディブの海に浮かぶ極䞊の倢を玄束しおくれるに違いない。


ミりはよくダむビングセンタヌに顔を出した。
「ママは」ず聞くず、い぀もデッキテラスで本を呌んでいるず答える。今、ハネムヌナヌばかりでダむビングをするゲストはほずんどいない。だから確かに俺は暇だった。暇なのだが  。

䞀幎前、元々日本人が経営するこのダむビングセンタヌを俺は譲り受けたばかりだった。やっず手にした自分のダむビングセンタヌ。こんな暇でいいのだろうか いや、この栌別なノンビリさが気に入っおこの島、ココアに腰を萜ち着けた。

知り合いなのかず、タむビングスタッフでむタリア人のアルゞェリオが問いかけおくる。昔の恋人の  なんお説明は面倒臭く、芪戚なのだず答えた。するず奎は、自分がフォロヌするから、ミりずの時間を倧事にしろず蚀った。情けの深い男だ。俺を矚たしそうに芋詰めすらしおくる。
半幎前に離婚されお、ホテルスタッフをしおいた劻ずただ小さな嚘に、島を去られたのが盞圓な傷のようだ。ミりの事も随分可愛がっおくれる。そしお、嚘のように頭なんか撫でながら、女を口説くような台詞でミりの髪を耒めあげる。

なんお綺麗な髪だ。たるで絹糞を黒く染めあげたようじゃないか。

奎はただ懲りおないらしい。その倩性の女奜きが、劻から捚おられた䞀番の原因だずいうのに。だけど奎をそこたで唞らせる、ミりず同じ髪をも぀女に、昔、俺は恋に萜ちおいた。ミりず䞀緒にいるず、ペりコの片鱗がその面圱に芋え隠れする。 懐かしさず少しの埌悔が心を匟いお、俺はその切なさに胞を痛める。


俺が初めおモルディブを蚪れたのは、ペりコがどうしおも行っおみたいず蚀い出したからだ。元々ダむビングが趣味の俺は、そのむンド掋の秘境の噂は耳にしおいたので興味を持っおはいた。だけど、やっず日本のダむビングスクヌルでラむセンスを取ったばかりの圌女から、そこに誘われるずは思っおもみないこずだった。

『だっお芋ちゃったの、ほらコレ』
定番のダむビング雑誌を差し出しおくる。衚玙にはモルディブ特集ず曞いおあった。そんな事がきっかけで、俺達は小さな島をひず぀遞び、この環瀁に足を螏み入れた。

この地の䜕もかもが驚きだった。
海も花も、島を取り囲む緑も、党おを匕き立おるように埋め尜くされた、光を匟く真珠色の砂浜も。

島の溢れる色圩が、海の䞭たで続いおいた。色ずりどりな珊瑚瀁ず、それに矀れる魚のカヌテン。海に沈んだオヌロラを眺めおいるようだった。

そしお隣にはペりコがいた。胞を揺さぶる皋の感動を分かち、語り合うアむツが埮笑んでいた。
い぀もは䞋ろしおいる髪を、南の陜ざしのせいか、島ではい぀も結い䞊げおいた。癜い銖筋が芋慣れなくお、二幎も付き合っおいるずいうのに、今曎のようにドキドキする自分がいた。

そしお束ねた髪を、花びらが散らされたシヌツの䞊でほどく瞬間  。その甘矎な時間は、麻薬のように俺を虜にした。

再びペりコに恋をした。島を包む南囜のスコヌルにも䌌た激しさで、熱情は絶え間なく心に降り泚いだ。


「おじちゃん、パパもあれ持っおいるよ」
ダむビングセンタヌの脇に、ひっそりず目立たなく眮かれおいるシヌカダックを芋぀けお、ミりはそう蚀った。
「パパの船は赀だけどね」
このグリヌンのシヌカダックは、俺の趣味でプラむベヌト甚の物だ。そうか、ミりのパパは海の男だったのか。芪近感がわいおくる。

「ホントは䞀緒にくるはずだったのよ。でもお仕事が急に忙しくなっちゃったの」
ミりの顔に浮かんだ寂しそうな笑顔。そんな顔されたらさ  。俺は久しぶりにシヌカダックを匕っ匵り出した。
「ママも乗せおあげるから呌んでおいで」
その蚀葉に嬉しそうに頷くず、ミりは走っおコテヌゞの方ぞ消えおいった。

ミりの母芪  ペりコの姉ずは、あの桟橋で出䌚っお以来ほずんど顔を合わせおいなかった。プラむベヌトを重芖しお䜜られたコテヌゞは居心地が良く、そこでのんびりず本を読むひず時は圌女を倢䞭にさせおいるようだ。ミりを自由にさせおいおも、䞀呚十分ちょっずのこの島では迷子になりようもないし、俺やアルゞェリオや面倒芋の良いホテルスタッフに、すっかり安心しおいるのだろう。

ミりに手を匕かれお、圌女は姿を珟わした。腰に巻かれたパレオが䌌合っおいる。俺よりも幎䞊なのだろうが、ペりコずはたた違ったタむプの、知的で萜ち着いた綺麗な人だず思った。

「ごめんなさいね。毎日ミりがお邪魔しおいるみたいで」
「いや、俺も楜したせおもらっおいたす」
「あたしが遊がうっお誘っおも物足りないみたいで、目を離すずすぐに飛んでいっおしたうのよ  困った子」

ミり達が乗り蟌んだカダックを、波打ち際からゆっくりず抌し出す。垯のように広がっお浅瀬に矀れおいたむワシの黒い圱が、カダックの先端から抌し出されながら、その圢を倉えおいく。俺が船に乗り蟌む頃には、船を取り囲む倧きなドヌナッツの枊のように挂っお、鱗をキラキラず茝かせおいた。

「こんなのパパが芋たらビックリするね」
興奮し䞊ずった声で、ミりが母芪に話しかける。その様子に満足しおパドルを握るず、俺はゆっくりず挕ぎ始めた。

ペりコの話は䞍自然なくらい、お互い避けるように話さなかった。

「どこたでの透明な海。ダむビングが出来たらたた違う䞖界があるのでしょうね」
「ええ、でもモルディブならシュノヌケルでも充分楜しめたすよ。コテヌゞの先にあるドロップオフには行っおみたしたか」
「あの、海の色が倉わっおいる境の所でしょう 䜕だか怖くお」
「浅い堎所でも魚は沢山いるけれど、ドロップオフは魚圱の濃さが違うんです。カダックの䞊から芗いおみたしょうか」

ずっおおきの初めおの䜓隓を二人に莈ろう。驚く顔を頭に浮かべお、俺は少しワクワクした気持ちで船を進めた。


しばしの遊芧の埌、元の浜にカダックを着けた。ドロップオフの光景に興奮したたた、二人は瞳を茝かせおいる。砂浜に腰をおろそうずするず、アルゞェリオに呌ばれお、ミりは䌑む事も無くダむビングセンタヌの方に走っお行っおしたった。

「ただ胞がドキドキしおいるわ。あんな魚の矀れ、初めおよ」
「コテヌゞからすぐの堎所だから今床はシュノヌケルで行っおみお䞋さい。氎の䞭で芗くずたたすごいんですよ」
「そうね、本ばっかり読んでいる堎合じゃないわね。それはそれで心地良いのだけれど」
くすくすず満足そうに圌女は笑った。

「ペりコがたた来たいっお、蚀っおいた意味がわかったわ」
䞍意打ちのように出たその名に、俺は少し動揺しおしたった。
「ペりコ、元気ですか」
さりげなく、でも切実な気持ちで俺はそう蚀った。
「韍さん  」
圌女がそう蚀いかけた蚀葉を、ミりの倧きな声が遮った。

「こっちこっち、早く来おっ。むルカの矀れがあそこに芋えるよ」

今曎、俺はペりコの䜕を知りたいのだろう。あんな別れ方をしお圌女を傷぀けたたた終わっおしたった。
だけど、俺がいるこの島を、ミりに勧めおくれた。それはあの時の俺を蚱しおくれおいるからこそ出た蚀葉なのだろう。それでいいじゃないか。

「むルカ、芋に行っおみたしょうか」
さりげなく話の方向を倉えお、俺はミりのいる方に向かった。


どちらかずいうず、子䟛はあたり埗意な方ではなかった。だけどミりず島で過ごす時間は、芋過ごしおいた䞖界を俺に教え問いかける。

スコヌルの雚粒を぀けた小さな蜘蛛の巣を、キラキラ光る芳芧車ず呌んでみたり、氎平線に沈む倕日を芋詰めお、あの向こうから明日が来るず教えおくれた。そしお暗い海を挂う倜光虫の光に目を䞞くし、あれは倜空の萜し物だず語る。

ミりの子䟛らしい物語は、芋慣れた矎しい南の島を、俺の知らない色圩で染めあげる。それは圓たり前になっおいたこの島の魅力を、新たな芖点で再び茝かせおくれるものだった。

だから、俺もせめおものお返しに、ミりが喜びそうな島の名所を案内しお回る。ドクりツボの芪子が䜏む小さな穎や、ロブスタヌのように倧きなダドカリの隠れ家。
ミりが笑うず、ペりコも笑っおいる気がした。その錯芚は、俺の心を穏やかに優しく包み蟌んでくれる。


ドむツ人のダむバヌのグルヌプが新たに到着しお、ダむビングセンタヌに掻気が出おきた。明日、ミりはこの島を去るずいうのに、最埌の二日間、ダむビングの予玄で結構忙しくなっおしたった。

午埌のダむビングを終えお島に戻るず、砂浜でミりがカメラを構えおいる様子が目に入る。近づいお、䜕を写しおいるのかず芗き蟌むず、癜い砂浜に刻んだ自分の足跡にレンズを向けおいる。
埮笑たしい気持ちで小さな背䞭に声を掛けた。

「カメラ貞しなよ、ミりを撮っおあげるよ」
その声に驚いたようにミりは振り返っお、はにかんでカメラを枡しおきた。そしお、「ちょっず埅っおね」ず、髪を手で敎えおいる。䞃歳でも䞀人前の女の子の仕草。

「倧䞈倫、綺麗に撮っおあげるから」
ミりは、安心したように照れ笑いをしおカメラを芋詰めた。

ちょうど日も暮れだしお、淡い玫色の光を攟぀空が背景になり、すごくいい写真が撮れた気がした。

「垰ったら、ペりコに写真を芋せおあげなよ」
自然ずそんな台詞が口を぀いた。だけど、ミりは呆れた芖線で俺を芋䞊げる。そしお、悪戯を咎める倧人のような口調で蚀った。

「䜕蚀っおるの、おじちゃん。ペりコちゃんは死んじゃったでしょう」
悪い冗談だず思ったし、突然のその蚀葉に耳を疑った。
「死んじゃったから  写真なんお芋せられないでしょう」
ミりの瞳の端にうっすらず浮かんだ涙を芋お、冗談ではないのだず悟った。

知らないの 心底意倖だずいう顔で、ミりは俺を芋た。
早鐘のように心臓が鳎り響く。凍り぀いたように党身から血の気が匕いおいた。


あの時、哀しそうにペりコは蚀った。

『行きたいわ、本圓にそう思ったのよ。でも珟実にあの島に暮らすなんお䞍安なのよ』

“こんな海ず空しかない島で暮らせたらいいのにね”

あの旅行でそう語ったペりコの蚀葉を真に受けお、垰囜埌、俺は日本人のダむビングむンストラクタヌを募集しおいる島にコンタクトを取った。
モルディブでは初めおの日本資本のリゟヌトで、日本人のホテルのスタッフも探しおいるずいうこずだった。

『あたし、就職しおただ二幎しか経っおないの。頑匵っお勉匷しお、それを生かせる仕事を始めたばかりなのよ』

ペりコはアパレル䌚瀟でパタンナヌの仕事をしおいた。

あの時、俺は䜕をそんなに焊っおいたのだろう。行かなくおは、ただの旅行者ずしおではなく、もっずもっず身近にあの島々を感じお生きおいきたい。それもすぐにず。

ありきたりの倧孊を出お、ありきたりの䌚瀟に勀めおいた。繰り返される代わり映ばえの無い日垞に、飜き飜きしおいた。
だけど、そんな毎日が圓たり前だず思っおいた。こんなものなのだず。ペりコのような恋人がいお、それで充分だず思った。惚れた女がいるずいうだけでも、そんな日垞を幞せに色付けおくれおいたから。
だけど知っおしたった。あんな堎所で過ごす特別な時間を。しかも、雇っおくれる島たであるなんお。

俺は有頂倩だった。特別な人生を送れる気がしおいた。しかも奜きな女ず䞀緒に。  だけど、俺が告癜した蚈画に、ペりコは哀しそうに銖を暪に振った。

『たた、韍ちゃんず䞀緒に行きたい。絶察に行きたい。でも旅行じゃ駄目なの』

裏切られた気分だった。だけど今思えば、ペりコが躊躇しお圓たり前なのだ。自分の気持ちしか考えおいなかった。そしお勝手にペりコだっお、同じ気持ちだず信じ蟌んでいた。
ペりコは重症ではなかったが、喘息の持病だっお持っおいた。季節の倉わり目に、蟛そうに咳をする姿を、䜕床ずなく目にした事だっおあったのに。医者すらいない異囜の島に、暮らすなんお䞍安だっただろう。憧れのブランドのパタンナヌになれた。そういう自分の仕事に倢だっお抱いおいただろう。

だけど、俺は蔑むような芖線を向けるず、圌女の元を去った。

『蚀ったじゃないか、暮らしおみたいっお』
そんな颚に圌女を責める俺は、ただの駄々をこねる子䟛だった。自分勝手な男だった。

出発はあっずいう間に決たった。別れおからただ二ヶ月も経っおいなかった。出発する前日の倜、突然ペりコの郚屋を蚪ねた。

『明日、日本を出る』
そう短く告げた俺を、青ざめた顔で圌女は芋詰めた。悲しみの色を浮かべたその瞳の矎しさに心がざわめいお、どうしおこんな事になっおしたったのかず俺は途方に暮れた。

倧事なものを倱っおしたう埌悔。

明日、再びあの環瀁を蚪れるずいうのに、ペりコが䞀緒ではない事実が、それを色耪せたものに倉えおしたっおいた。
圌女は悪くなんおなかったのに。ただ、あの海を目の前にしお、溜息のように溢した倢を口にしただけだったのに。俺は自分の逃げ道をそこに芋぀けお、ペりコを道連れにしようずしただけ。

だけど、わかっおいおも、この湧き䞊がるぶ぀けようの無い怒りを、ペりコに擊り付けるように蚀った。
『嘘぀き』
そしお乱暎に圌女を床に抌し倒し、服に手をかけた。
『やめお』
俺の腕の䞋で、ペりコは泣いおいた。
『こんなのっお哀しすぎるよ』

哀しみでも傷跡でも䜕でも良かった。目の前から消えおいく俺を、圌女の心にただ深く深く刻み぀けたかった。


ペりコが死んだ  。眠れなかった、䞀晩䞭。

難しい病名をすらりず蚀ったミりの声が、䞀晩䞭眠れないベッドの䞊で響いおいた。たるでテレビドラマの可哀盞な䞻人公が、お決たりにかかるような、そんな病。

キュりセむリンパセむハッケツビョり。



「おじちゃん、おじちゃん」

薄く目を開くず、心配そうに俺を芗き蟌むミりの顔が目の前にあった。仕事の埌、もうすぐ島を出発するであろうミりの姿を砂浜に探しに来たのに、がんやりず座り蟌んでいるうちに、うずうずず眠っおしたったようだ。こんな時間にうたた寝するなんお、昚倜の寝䞍足のせいだろうか。
䞊から芗き蟌んでくるミりの柔らかい髪が、俺の頬たで垂れおいお、心地良い優しい感觊に救われた気持ちになる。

ミりは遠慮がちにおずおずず指を䌞ばすず、頬にそっず觊れおきた。涙を拭うような仕草。いや、たさか俺、本圓に
自分の指で恐る恐る觊れおみるず、確かに濡れた感觊があった。信じられない気持ちず、そんな自分を芋られた矞恥心で俺はうろたえおしたった。

「おじちゃん、怖い倢でも芋たんでしょう」
怖い倢  。いや、ペりコの倢を芋おいた。哀しそうに俺を芋詰める、出発前倜のペりコの倢を。

皆には内緒にしおあげるからねず、ミりは母芪のような口調で蚀うず、慰める仕草で頭なんか撫でおくる。倧人ず子䟛の立堎が逆転した状況に居心地が悪くお、䜕か話題はないかず俺は苊し玛れにこんな質問を投げかけた。

「ミりっお可愛い名前だけど、どんな挢字を曞くの」
我ながらいい質問だ。挢字ずいうのが倧人らしい響きではないか。
「あのね、ちょっず難しいのよ」

ミりは砂を指でなぞっお曞き始めた。読めない挢字だったらどうしようず、少し䞍安を感じながら小さな指先を芗き蟌む。そしお、穎ボコだらけになった砂のキャンバスの二文字に、俺はしばらく蚀葉を倱っおしたった。

ミりは埗意そうにこう説明を添えおくれる。
「矎しい海っお曞くの。玠敵でしょう」

そう問いかけおくる圌女に、ただただ頷いおみせる。


『あたしい぀か子䟛ができたら、海っお文字を名前に入れるわ』

あの旅行の最埌の日に、ペりコは俺の肩に寄り添っお独り蚀のようにそう呟くず、キラキラず光を匟く海を指さした。

子䟛。

そんな話は未来だず思ったが、倢を語り合っおいるみたいでくすぐったい感じがした。

ふたりの子䟛。

ちらりず想像しおしたったその響きが、気恥ずかしくお甘ったるくお。だけどそんな日がい぀か来るのかもずいう予感は、俺達が深く愛し合っおいる蚌のようで  。俺は照れ隠しに黙っお、ペりコが指差した海をただ芋詰めおいた。

子䟛。こども。コドモ。

そのあたり慣れない単語に、觊発されたようにあの日の䌚話を回想する。そうだ、圌女こう蚀っおいた。

『結婚した姉は、婊人系の病気を患っお子䟛が出来ないの。すごく母芪が䌌合う人なのに。子育お手䌝っおあげるから、䜕人でも産みなさいよなんお蚀われおいるの。心匷いでしょう』

たさか。そんな事っお  。
䞍劊治療は日々進歩しおいるだろう。なかなか子䟛に恵たれなかった倫婊にある日突然、なんお話だっお珍しい事ではない。だけど、たるでペりコが少女になっお䜇んでいるようなミりの暪顔に、俺は改めお心臓が高鳎るのを感じおいた。

歳、俺があい぀ず別れたの  。無意識に幎月を逆算しおいるこずに気付いお、そんな自分に呆れた。䜕を考えおいるんだよ。

ミりがクスクスず笑いながら海を指差しお、俺に語り掛けおくる。
「おいしそうだね」
その台詞に俺は、時間が埌戻りを始めた錯芚に眩暈さえした。知っおいる  この台詞の続きを。
「だっお、すごく倧きなあおいれリヌみたい」

あの日ず倉わらない空。
あの日ず同じ海の色。
同じ県差し。
同じ仕草。

「ほら、ぷるぷる揺れお綺麗だね」

ペりコが死んだ。

昚日ミりからそう聞いた時は、䜕だか実感がわかなかった。ただ呆然ず聞いおいただけだったのに。今、あの時ず同じ台詞を耳にしたら、ぜっかりず空いた埋めようのない空虚感に俺は萜ちおいっおしたった。

人生を倉えた䞀週間。
初めおこの海に觊れた衝撃。
楜園の颚の心地良さ。

そしお手を䌞ばせば、い぀もあい぀の枩もりがあった。

あれから、雇われのダむビングスタッフずしおこの環瀁を巡り島々に暮らした。海亀やマンタず海を泳ぐ毎日。
生たれ育った東京ず党く違う玠朎な地が、俺の故郷にさえなった。この海のような青い瞳の恋人がいた事もあった。激しく燃えるような、行きずりの恋だっお。だけどペりコず過ごした、この海でのたった䞀週間。あれ以䞊の日々を俺は知らない。

俺を映した瞳。
胞を震わせるような吐息。
名前を呌ぶ声。
絡め合った熱い指先。

俺、あの時どんな顔をしおいた そんな枩もりに包たれお、銬鹿みたいに満たされた幞犏感っおや぀。倢の䞭にいるみたいだった。

ペりコ、䜕凊に行っちゃったんだよ あの瞬間の俺の党お、みんなお前の胞にしたっおおいたのに。もう䌚うこずもなかったかもしれない。だけど  俺ずあの䞀週間を共有しおいるこずで、繋がっおいるっお信じおいた。離れお違う人生を歩いおいおも、求め合う気持ちが擊り枛っおも。

なぁ、最埌にやっぱりここに戻りたいず思ったんだろう 俺にはわかる。あの時のペりコの党おを知っおいるからさ。

ペりコが死んだ。

だったら、あの日の俺も、ペりコだけが知っおいるあの日の俺も、消えおしたったようで  。
倧事な宝物を剥ぎ取られおしたった感芚。

目の前に広がる、あおいれリヌず䟋えられたその海が、果おしなく続く蒌い砂挠のように感じた。

「ごめんね、おじちゃん」
ミりがひどく申し蚳なさそうに、慌おた様子で声を掛けおくる。
「そのお髭、熊みたいだっお蚀ったの冗談よ」
そんな事を急に蚀い出したミりを、䞍思議な気持ちで芋詰める。
「だから、ね そんなに泣かないで」

気が付かなかった。再び瞌が熱かったのは涙のせいだったなんお。いや、声をあげおしたいそうな嗚咜を堪えるのに必死で、涙の事にたでに気が向かなかった。

それ以䞊䜕も蚀わずにミりは、俺の頭を優しく抱いおくれた。
たた、立堎が  。
この期に及んでそんな負け惜しみがちらりず頭をかすめたが、癒すような枩もりに今はただもたれかかっお、子䟛のように泣きじゃくっおいた。

「あ、そうだママがね、出発する前におじちゃんにお話があるんだっお。お時間ありたすかっお聞いおきおっお蚀われおたんだ」
思い出したように、ミりは蚀った。おいおい、最初に蚀っおくれよ、そんな倧事なこず。だけど、そんな文句はずおも今は蚀えそうにない。その話で少し気が玛れたのか、しゃくりあげおいた息も萜ち着いおいた。

出発前っおあず䞀時間しかないじゃん。ママはどこにいるかず尋ねるず、コヌヒヌショップだずミりは蚀った。

俺は波打際で顔を掗うず、少し緊匵した気持ちでコヌヒヌショップに向かった。


りッドデッキテラスの怅子にミりの母芪は座っおいた。遅くなった事を詫びるず、ミりのおしゃべりに付き合わされおいたのでしょうず、逆に申し蚳なさそうに圌女は蚀った。なんお返事をしおいいやら  困った俺は、曖昧な笑顔でその堎を濁した。

「本圓に、ペりコが話しおいた通り、玠敵な所だったわ」
圌女は溜息混じりにそう蚀うず、倕日を垯び始めた空を仰いだ。
「ペりコの事は昔の事なのに、今曎抌しかけお、気持ちをかき乱すような事をしおごめんなさいね」
「いや、蚪ねおくださった事、俺は感謝しおいたす」
ありがずうず、小さな声で圌女は蚀った。
「昚日あの子、あなたにペりコが亡くなった事、話したみたいね」
「  ええ」
「ペりコが死んでこの二ケ月、ミりは䞀蚀も口をきかなかったの」
「えっ」
驚いた。最初に䌚った時、ミりは普通に話し掛けおきたから。
「あなたに声を掛けたあの時、ミりの声を二ヶ月ぶりあたしは耳にしたの  。嬉しかった」
あぁ、だからあんなにびっくりした顔をしお慌おおいたのか。初めお顔を䌚わせた時の状況が頭をよぎった。
「お医者さんには、ペりコの死を受け入れられないショックのせいだろうっお」

党然気付かなかった。ミりはい぀も笑っおいたから。だけどあの小さな身䜓で、そんな傷を心に負っおいたのかず思うず、胞の奥がズキズキず痛んだ。

「ペりコはあの子にずっお特別な存圚だったの。幎の離れた姉のような、芪友のような、理想の憧れの女性  そしお母芪のような」
母芪ずいう蚀葉に、俺の心臓は跳ね䞊がった。少しの沈黙の埌、思い詰めた声で圌女は蚀葉を繋げた。

「韍さん、あの子はね  ミりは  」
圌女の顔は青癜く、その声は震えおいた。俺はそんな颚に圌女を怯えさせる䜕かを、蚀わせおはいけない気がしお、その先を遮るように蚀った。

「金谷さん」
圌女はビクリずしお、喉元たで出かかった蚀葉を飲み蟌んだ。そしお泣きそうな顔で俺を芋䞊げお、次の蚀葉を静かに埅った。
「ミりはいい子だ。あの子を芋おいるず、家族に愛されお育った子だっおわかりたす。あなたの話も、お父さんの話も、僕は家族の話を沢山ミりから聞きたした」
圌女は瞳を最たせお、䜕かに耐えるように抌し黙っおいる。俺はおどけるように蚀った。圌女の気持ちを少しでも楜にしおあげたくお。

「ミりには俺がいいショック療法だったんでしょうね。憧れのペりコの元圌が、熊みたいなオダゞになっおいた」
圌女は䞡手で顔を芆った。肩が震えおいお、泣かれおしたったず慌おたが、挏れおくるその声はクスクスず抌し殺した小さな笑い声だった。
「  ごめんなさい」
申し蚳なさそうにそうは蚀うが、蟌み䞊げおくる笑いを抌さえ切れない感じだ。堎の雰囲気が明るくなっお、救われた気持ちになる。だけどあたりのりケように、繊现な俺はちょっずばかり傷付いおはいたけれど  。

「ペりコがあなたに惹かれたの、わかる気がするわ」
さらりずそんな台詞を口にしお、圌女は膝に眮いおあった本を俺に差し出した。 䞍思議な気持ちでそれを受け取る。
「これはやっぱり韍さんにお返ししたすね」
本だず思ったそれはアルバムだった。ぱらりず衚玙をめくるず、抜けるような青空の䞋で、銬鹿みたいにはしゃいでいる俺の写真が匵り付いおいる。

若くお、髭面でもない、あの時の俺。隣の写真にペりコもいた。日に焌けお、ダシの朚陰で頬杖を぀いお、こちらを芗き蟌んでいる。あの旅の写真、ペりコが持っおいたのか。

「ペりコ、このアルバムを病宀にたで持ち蟌んでいおね、たるで物語を読むみたいにペヌゞをめくっおは、よくミりに話しおいたわ」

遠くでミりが「ママ」ず呌ぶ声が聞こえる。圌女は「今行くわ」ず声がした方向に返事をした。そしおゆっくりず立ち䞊がるず、話を締めくくるように語った。

「ペりコはこう蚀っおいたの。これがあおいれリヌに浮かぶ小さな島よっお」

桟橋の先端で俺は、積み蟌たれるミり達のスヌツケヌスを眺めおいた。䜕床ずなく芋慣れた光景。だけど自分だけがポツリず眮いお行かれる気分だった。
俺のシャツの裟をミりは匕っ匵っお、桟橋の端っこに連れおいく。そしお、そこにしゃがみ蟌むず、名残惜しむように桟橋の灯りに集たった魚を芋詰めた。

「あのね、そのアルバムの最埌の䞀枚、綺麗だったからあたし貰っちゃったの」
「いいよ、ミりに持っおいお欲しいな。どんな写真だった」
「えっずぉ」
バツが悪そうにミりは蚀葉を濁した。

ミり以倖のゲストは、皆、船に乗り蟌んだみたいだ。スタッフが、癖のある英語で声を掛けおくる。しゃがんでいたミりは立ち䞊がり、俺の耳元で小さく囁いた。

「こんな感じの写真よ」
チュッず小さな音。おでこに甘いキスを萜ずされる。 悪戯っぜく俺を芗きこむず「たたね」ずミりは脇をすり抜けお船に乗り蟌んだ。
おいおい、その手慣れたさりげないキス  たいったな。 苊笑いをしながら、俺も立ち䞊がるず船の方ぞ向かった。

突き抜ける゚ンゞン音を響かせお、スピヌドボヌトが桟橋をゆっくりず離れおいくのが芋える。

「バむバむ」
そう叫びながら、暗くなった海に溶け蟌んでいくミりの姿。 氎平線に近づいおいく船の灯りはどんどん小さくなっお、空を埋め尜くす星の光に混じっおいった。

手にしおいたアルバムをパラパラずめくる。桟橋の柔らかいラむトに照らされお、あの日々の断片が浮かび䞊がる。ペりコが芋詰めたあの瞬間、俺が芋詰めたあの瞬間がそこにあった。無くしおしたったものを、再び抱き締めた安堵感。

そしおミりが蚀った通り、最埌のペヌゞの䞀枚が抜き取られた圢跡があった。いや、差し替えられたず蚀うべきだろう。他のずは倧きさの違う䞀枚の写真。そこにはミりずペりコが写っおいた。どこかの公園で撮ったのだろうか、背景は䞀面の芝生だった。仲よく寄り添っお、楜しそうにカメラを芋おいる。

もしかしたらミりは、ペりコが産んだのかもしれない。䞇に䞀぀の可胜性で俺の子䟛なのかもしれない。だけど、ペりコは俺に䜕も蚀わなかった。そしおそのたた消えおしたった。それが党おなのだず思った。

そしおミりはここを蚪れた。ペりコに導かれお  。俺の傍で䞀週間過ごし、家族ず暮らす家に垰っお行った。

傷付いた心を、この島は優しく癒しおくれただろう。ペりコが教えたあおいれリヌの海は、ミりの瞳に深く焌き぀いただろう。

絶えるこずなく、䞖界䞭から人々がこの地を蚪れる。そしお様々な賞賛の蚀葉を口にする。誰の物でもない矎しい環瀁。

けれども、ミりのような子䟛達にこそ、この海を知っおもらいたいず思った。

無垢な瞳にこの海は、ただありのたたに映るだろう。そしお地球が青く茝く意味をその小さな胞に刻むのだ。

背埌からヌッず倪い腕が䌞びおきお、ごっ぀い指が俺の写真を指差した。振り向くず、顔銎染みのレストランの若いりェむタヌが、アルバムを芗いおいる。
「  リュり」
たさかな、ずいう口調で圌はそう尋ねおきた。
「む゚ス」
圓たり前だずいうように俺は答える。
信じられないずそい぀は、倧げさに頭を抱える仕草をしやがった。ただ幌さを残した悪戯っぜい顔で、し぀こく俺を冷やかしおくる。生意気なガキだ。

埗意の回し蹎りを食らわしおやるず、今床はそのカンフヌを教えおくれずたずわり぀いおくる。い぀たでもさがっおいるず、倧目玉を食うぞず脅かすず、慌おた様子で戻っお行った。

その埌ろ姿を芋詰めながら、シャワヌの埌、久々に  いや、数幎ぶりに髭でも剃っおみるかず思っおみる。

朝食のい぀もの垭に座る俺に、お決たりの玅茶を運ぶアむツは、芋知らぬ男をそこに芋るだろう。
そんな思い぀きに心を躍らせお、ミりに熊ず蚀われたこの髭を、名残惜しむように觊れおいた。

【】

小説の舞台ずなった島モルディブココア
写真提䟛おいしいのがすき

●この物語が奜きだった方ぞ
 åŒã˜äž–界芳の短線をこれからも投皿しおいきたす。
 é­…惑の疑䌌バカンスを お楜しみください。
 è‰¯ã‘ればフォロヌしおもらえたら嬉しいです。
●昔曞いた小説ですので、珟圚は島がリニュヌアルしお名前が倉わっおいるこずがありたす。
●モルディブを知らない方でも問題なく楜しんでいただけるかず思いたす。楜園の颚を感じおみたせんか。モルディブは島リゟヌトホテルが基本です。小説も島ごずに描いおいきたs。
★感想などお気軜にお曞きください。励みに臎したす。


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