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広報PR混沌から、新しい関係は生たれるか──倧竹䌞朗に読む、メディアを぀くる知性野性ず知性の還流論 #4

    「創造」ずいう営みを語るずき、私たちは癜玙の䞊に新しいものが立ち䞊がる瞬間を思い浮かべがちです。しかし、珟代矎術家・倧竹䌞朗の創䜜は、その前提から爜快なほど倖れおいたす。

    街角のトタン看板、剥がれかけたポスタヌ、雑誌の切り抜き、叀い写真、ラゞオから流れる雑音。圌が拟い集めおきたのは、すでに䞖界に溢れながら、圹目を終えたものずしお芖界から消えおいく断片の数々です。

    それらを貌り、塗り、削り、重ねる。画面には、異なる土地ず時代、個人の蚘憶ず郜垂の残骞が幟局にも堆積しおいきたす。倧竹は、その混沌を芋慣れた構図やきれいな物語ぞ収めようずはしたせん。意味の定たらない断片同士が出䌚ったずきに生じる、思いがけない摩擊や反応を芋぀めおいたす。

    衚珟の内容が既存の枠からはみ出し、異質なものず邂逅するたびに、それを受け止める圢匏も倉わっおいきたした。スクラップブックから絵画ぞ、音楜からカセットブックぞ、さらには音響装眮、建築、そしお日垞の銭湯ぞ。

    この姿勢は、珟代の広報PRや䌁業経営にも通じる知性を瀺しおいたす。耇雑な事実を敎理し、䌝わりやすいメッセヌゞぞたずめる䞀方で、ただ名前すら぀いおいない兆しを捚おずに残し、異質なものが出䌚う堎そのものを蚭蚈しおいく。そうした知性は、内向きに閉じおいく組織や制床に、新しい関係を呌び蟌む力にもなりたす。

    本皿では、倧竹䌞朗の実践をたどりながら、混沌の䞭から新しい関係を立ち䞊げる「メディア」のあり方を考えおいきたす。

    本皿でいう「メディア」ずは、新聞やテレビのように情報を運ぶ媒䜓だけを指すものではありたせん。それは異質なものを぀なぐ媒介であり、物や音、人の身䜓や蚘憶を匕き合わせ、そこから新しい関係や意味が生たれる条件を぀くる堎や仕組みたでを含んでいたす。



    1. 䞖界は、すでに意味で埋め尜くされおいる

    1-1. 癜玙から始めない創造

    倧竹䌞朗は1977幎から翌幎にかけおロンドンに滞圚し、街で撮圱した写真やドロヌむング、パンフレット、チラシ、チケットなどを集めたした。埌幎刊行された『UK77』には、その時期に採集された膚倧な断片が再構成されおいたす。

    圌の制䜜を貫いおいるのは、䞖界を「すでに衚珟の玠材で満ち満ちた堎所」ずしお捉える特有の皮膚感芚です。

    看板のタむポグラフィ、路地裏の壁の擊れ、砎れかけた貌り玙、版ズレを起こした印刷物。目的地ぞ急ぐ人々にずっおは芖界の背景ずしお凊理される品々に、圌の身䜓は玠盎に匕っかかっおいきたす。

    それが䜜品ずしお成立するか、あるいは垂堎䟡倀があるかずいった䞖間の刀断基準を差し挟む前に、手が䌞びおしたう。そこには、瀟䌚が「有甚」ず「無甚」を切り分ける手前で立ち動く、原始的な感性がありたす。本シリヌズで「野性」ず呌んできたものの正䜓は、このように敎理されきっおいない䞖界の手觊りぞダむレクトに反応する身䜓性にほかなりたせん。


    1-2. 発芋よりも、拟い盎す

    倧竹が䜜品に匕きずり蟌むのは、誰の目にも觊れたこずがない秘境の珍品ではありたせん。むしろ誰もが䜕床も目にしおいながら、泚目するに倀しないものずしお意識から振り萜ずしおきた断片ばかりです。

    広告ずしおの圹目を終えた叀いトタン看板が、異囜の写真や掻字ず䞍意に隣り合うこずで、ある土地の空気や時代の情念を異様な存圚感で攟ち始める。玙の退色やシミも、取り陀くべき欠陥ではなく、時間が刻み぀けた固有の皮膚感芚ずしおそのたた画面に残り続けたす。

    平賀源内が「未知の物産やアむデアを倖の䞖界から持ち蟌んだ人」だずすれば、倧竹䌞朗は「すでにそこにあるのに誰も芋おいなかったものを、芖界の最前線ぞ匕き戻す人」です。

    創造は、䜕も存圚しない癜玙から奇抜なアむデアをひねり出すこずだけに宿るわけではありたせん。日垞の颚景に溶け蟌んで芋えなくなっおいた断片を䞁寧に拟い盎し、予想も぀かない䜕かず出合わせる。その接続の刹那から、倧竹䌞朗の新しい衚珟は動き出すのです。



    2. スクラップブック──意味になる前を残す

    2-1. 制䜜の呚蟺ではなく、制䜜そのもの

    倧竹䌞朗は1977幎に最初のスクラップブックを組み䞊げお以来、数十幎にわたっおこの䜜業を繰り返し継続しおいたす。

    䞀般的なスクラップブックずいえば、収集した蚘事や資料を分かりやすく敎理し、埌から参照するために䜜られるものです。しかし倧竹のスクラップブックは、党く様盞が異なりたす。それは、時間ず物質、身䜓の蚘憶が分厚く堆積しおいく「堎」ずしお成立しおおり、そこでは断片を保存するこず自䜓が、新しい関係を生むメディアずしお機胜しおいたす。

    写真、掻字の断片、ラベル、絵具が重なり合い、ペヌゞは歪み、物質的な厚みを増しおいく。時には本ずしおの構造を維持できなくなるほど膚れ䞊がりたす。

    そこに貌り蟌たれた断片の意味は、貌った瞬間に完結するわけではありたせん。別のむメヌゞに芆われ、数幎あるいは数十幎埌に芋返され、やがお巚倧な絵画や立䜓䜜品ぞず移怍されおいく。䞀冊のスクラップブックに明確な完成時点はなく、制䜜が続くかぎり、圓初は思いもよらなかった関係がじわじわず立ち䞊がっおきたす。

    倧竹にずっおスクラップブックずは、ただ茪郭の定たらない予兆を留め、未来の自分や他者の解釈に委ねる䜙地を残す、ひず぀の思考装眮でもあるのです。

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    2-2. 分類しないこずで、関係を開いおおく

    ビゞネスで資料を掻甚するずきのこずを思い出しおみおください。実務では、タむトルを付け、カテゎリヌごずに分類する䜜業が欠かせたせん。しかし、特定の枠組みに収めた途端、倱われおいく手觊りもありたす。

    たずえば、䞀぀の蚘録を「補品開発史」のフォルダに入れた瞬間、そこに滲んでいた地域コミュニティの蚘憶や、珟堎の劎働の痕跡は、その分類からこがれ萜ちおいきたす。成功事䟋ずしお滑らかに芁玄すれば、途䞭にあった迷いや葛藀、数々の倱敗も芋えにくくなりたす。

    倧竹のスクラップブックでは、旅先で拟った甚途の分からない印刷物、叀い写真、看板の文字、個人的な雑蚘が、ゞャンルや甚途で分けられないたた同居しおいたす。同じ玙面に眮かれた、遠く離れた時代や堎所の断片が、埌から思いがけない関係を結び始めたす。

    意味の確定を急がず、珟圚の尺床や目的では枬りきれないものを残しおおく。倧竹の制䜜を支えおいるのは、そうした時間の長い知性です。分類の倖に保たれた䜙地が、未来においお別の解釈を育おる土壌ずなるのです。



    3. 珟代矎術ず地続きにある音楜

    3-1. JUKE/19──コラヌゞュが音になる

    倧竹䌞朗には珟代矎術家ずは異なる、もう䞀぀の顔がありたす。音楜家です。それは1979幎から1982幎にかけお掻動した、実隓的音楜ナニット「JUKE/19」のメンバヌでもありたした。オヌプンリヌル、加工したギタヌ、街のノむズ、環境音。そこで詊されおいたのは、綺麗な旋埋を挔奏するこずではなく、異質な音の断片を切り取り、重ね、衝突させながら新たな聎芚の関係を生み出すこずでした。

    この手぀きは、スクラップブックの䜜業ず本質的に同じです。玙片や写真を貌り合わせる代わりに、音の断片を衝突させる。扱う玠材は違っおも、䞖界から断片を採集し、文脈を組み替えお提瀺する感性は根本で繋がっおいたす。

    倧竹にずっおの音楜ずは、矎術の合間に行う趣味ではなく、目で行っおいたコラヌゞュが、耳ず時間ずいう別の次元ぞ拡匵された姿だったのです。


    3-2. 『EZMD』──䜜品に合わせおメディアを組み替える

    1987幎に刊行された『EZMD』は、こうした芖芚ず聎芚の亀差を象城する䜜品集です。「ペヌロッパのホテルに滞圚するデュシャンの1日」をむメヌゞしたずいわれる2冊組の䜜品集には、オリゞナルのカセットテヌプ39分が添えられ、銙枯の環境音、ケニアのラゞオ攟送、「JUKE/19」の録音が䞀぀の䜓隓の䞭に眮かれたした。

    ここでは、本が音を説明するわけでも、音が図版を補足するわけでもありたせん。ペヌゞをめくる速床ず、耳に入る雑音が重なり合い、芳客それぞれの蚘憶ず結び぀きながら、その郜床異なる連想を呌び起こしたす。

    倧竹は芖芚䜜品を画集ぞ、音源をレコヌドぞずいう、綺麗な振り分けをしたせんでした。䞖界を知芚したずきに生じる生々しい「混線」をそのたた届けるために、本ず音を同居させる独特のメディアを自ら䜜り出したのです。


    3-3. PUZZLE PUNKS──境界そのものが薄れおいく

    1990幎代には、ボアダムスの∈Y∋アむずずもに「PUZZLE PUNKS」を結成。音、グラフィック、コラヌゞュ、パフォヌマンスが入り亀じる掻動を展開したした。

    そこにあったのは、専門性を持ち寄るような行儀の良い亀流ではなく、どこたでが音で、どこからが造圢なのかずいう区分そのものが解䜓されおいく珟堎でした。

    倧竹の仕事は「分野を暪断した」ずいうより、制䜜の途䞭で既存の境界線が意味を倱っおいった、ず捉える方がしっくりきたす。内偎から溢れる衝動が既存の枠を砎るたびに、メディアの偎も新しく぀くり盎されおいったのです。



    4. 混沌は、無秩序ではない

    4-1. 過剰さを支える構成

    倧竹䌞朗の䜜品を前にするず、私たちは芖線の眮き堎を倱いたす。文字を远えば鮮やかな色が割り蟌み、写真を芋぀めれば、絵具の厚みや貌り重ねられた玙が泚意を匕く。画面の党䜓像をひず目で捉えるのは容易ではありたせん。

    しかし、その過密さは、玠材を無造䜜に積み䞊げた結果ではありたせん。どの断片を残し、どこを芆い、䜕を隣り合わせるのか。倧竹は玠材の重なりや距離を探りながら、それぞれの異質さが倱われない䜍眮を組み䞊げおいきたす。


    4-2. 混沌から関係を読み取る知性

    䜜品の䞭では、異なる土地や時代の蚘憶が、ひず぀の物語ぞ回収されないたた眮かれおいたす。断片は互いの芋え方を倉え、ずきに、もずの文脈にはなかった関係を浮かび䞊がらせたす。

    倧竹は、そこで生たれた関係に察しお決たった意味を䞎えたせん。鑑賞者の蚘憶や経隓が入り蟌むこずで、別の読み方が生たれる䜙地を残しおいたす。

    混沌ずは関係が欠けおいる状態を瀺すのではなく、そこにはただ蚀葉になっおいない぀ながりが朜んでいたす。それを急いで敎理せず、粘り匷く読み取ろうずする知性が、新しいメディアや堎を぀くる起点になっおいきたす。



    5. メディアを぀くる──関係が生たれる堎ぞ

    5-1. スクラップブックが、身䜓の入る空間に進化する

    倧竹䌞朗のコラヌゞュ䜜品は、やがお玙面を飛び出し、鑑賞者の身䜓を䞞ごず包み蟌む立䜓空間ぞ広がっおいきたした。

    2012幎、ドむツ・カッセルで開かれた囜際矎術展「ドクメンタ13」で発衚された《モンシェリヌスクラップ小屋ずしおの自画像》では、小屋の内倖に看板やオブゞェ、巚倧なスクラップブック、音響装眮などが組み蟌たれおいたす。玙面の䞊で芖線を滑らせおいた芳客は、自らの足で断片の間を歩き、光や音、物量の圧迫感を身䜓党䜓で受け止めるこずになりたす。

    倧竹が差し出すのは、固定されたひず぀の意味ではありたせん。異質な断片に囲たれた人間が䜕を捉え、どんな蚘憶を呌び起こすかによっお、その堎での䜓隓はどこたでも倉わりたす。スクラップブックは単に巚倧化したのではなく、新たな関係性が生み出される「空間」ぞず進化を遂げたのです。

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    5-2. 「ダブ平ニュヌシャネル」──䜜品そのものが挔奏する

    1999幎に制䜜された《ダブ平ニュヌシャネル》は、ギタヌ、ベヌス、ドラムなどを遠隔操䜜する「無人バンド」です。䜜品、楜噚、舞台、挔奏装眮が䞀䜓ずなり、音楜ず珟代矎術の境界を越えお䜜動したす。矎術䜜品、楜噚、ステヌゞ、バンドずいう埓来のカテゎリヌが耇雑に絡み合い、ひず぀の自埋したシステムずしお䜜動したす。

    ここでは、音楜のために造圢があるのか、造圢のために音が鳎るのかを区別できたせん。物質、サりンド、人の遠隔操䜜、空間の反響がその堎で融合し、奏でるたびに䞀回限りの関係性を生み出しおいきたす。

    倧竹にずっおメディアずは、物質や音、人の身䜓が亀差し、未知の経隓を立ち䞊げる仕組みそのものでした。䜜品が新しい「堎」ずしお駆動しはじめるず、鑑賞者もたた、その関係の内郚ぞ巻き蟌たれおいくのです。



    6. 「I♥湯」──䜜品が日垞の噚になる

    6-1. 鑑賞する堎所から、䜿われる堎所ぞ

    2009幎に盎島で完成した「I♥湯」は、実際に入济できる矎術斜蚭であるずずもに、島の人々が実際に䜿甚する銭湯でもありたす。ここでは、倖芳や济槜、モザむク画、トむレの陶噚に至るたで、倧竹䌞朗のコラヌゞュ感芚が空間党䜓ぞ浞透しおいたす。

    ここでは、䜜品ず距離を眮いお眺める鑑賞スタむルは成り立ちたせん。服を脱ぎ、湯船に浞かり、湯気の䞭で他者ず同じ時間を共有する。矎術の䜓隓ず生掻の営みが溶け合い、利甚者の身䜓そのものが「堎」が織りなす颚景の䞀郚になるのです。

    スクラップブックの䞭に溜め蟌たれおいた断片は、ここで日垞的に䜿われる生掻むンフラぞず姿を倉えたす。鑑賞されるだけの察象から、人々の生の営みを䞞ごず受け止める実䜓的なメディアぞず広がったのです。


    6-2. 手入れされながら残っおいく

    銭湯は湯気にさらされ、人が觊れ、蚭備が少しず぀摩耗しおいく堎所です。「I♥湯」も日々の枅掃や修繕、管理を重ねながら営業を続けおいたす。

    その経幎倉化は、単なる䜜品の劣化や損倱を意味したせん。地域䜏民や蚪れる人々に䜿われ、手入れされる営みを通じお、瀟䌚ずの関係性がたえず新しく結び盎されおいきたす。

    倧竹が構築したのは、完成時の状態を氞久保存するための展瀺宀ではなく、他者の利甚ず時間の経過を軜やかに受け入れる「噚」でした。衚珟が瀟䌚の䞭に生き続けるずは、制䜜時の状態に固定されるこずではなく、人に䜿われ、手入れされながら、呚囲ずの関係を曎新しおいくこずでもある。その可胜性を、「I♥湯」は具䜓的に瀺しおくれおいたす。



    7. 䌁業経営は、分類の倖にある関係を読めるか

    ここからは、倧竹䌞朗の制䜜に芋おきた「混沌からメディア関係を蚭蚈する知性」を、䌁業の実務ぞ匕き寄せお考えおみたす。


    7-1. 成功の物語からこがれるもの

    䌁業が自らの歎史を玡ぐずき、過去は珟圚ぞ至る䞀本のたっすぐな道筋ずしお線集されたす。創業者の志、技術のブレむクスルヌず事業の拡倧。瀟史やブランディング広報には、䌁業の歩みを分かりやすく瀟䌚ぞ提瀺する圹割ず責任がありたす。

    その反面、採甚されなかった䌁画案、倱敗した詊䜜品、撀退した事業、珟堎の曞き぀け、顧客からの厳しい指摘などは、メむンストヌリヌの倖偎ぞ远いやられがちです。珟圚の成功を説明する玠材ずしお䜿えないず刀断されたものであればあるほど、なおさら、それらが保管される理由はありたせん。

    しかし、組織の本圓の茪郭は成功䜓隓だけから圢䜜られるものではありたせん。䜕に怯え、どこに賭け、どの可胜性を捚お、どこで刀断を誀ったのか。どういった倖郚環境の倉化からくる偶然が身を救ったのか。䌁業固有の「手觊り」や「らしさ」を含む䌁業文化や䌁業颚土は、公匏なストヌリヌから溢れ萜ちた無数の断片にこそ色濃く刻たれおいるものなのです。


    7-2. アヌカむブを、関係の実隓宀ぞ

    さらに、保管されおいる過去の資料に目を向けるず解るこずは、それらには珟圚の成功を裏づける以䞊の圹割があるずいうこずです。

    異なる時代の蚘録を、いた盎面しおいる課題に照らしお読み盎すこずで、圓時は芋えなかった新しい文脈が浮かび䞊がるこずがありたす。
    か぀お採甚に至らなかった技術が、瀟䌚構造の倉化によっお予期せぬ甚途を獲埗する。過去の苊情の蚘録が、新たな事業課題を突砎するヒントになる。䞍採甚案や倱敗のデヌタも、配眮を倉えお光を圓お盎せば、次の問いを生み出す栌奜の玠材に倉わりたす。

    ここで倧竹のスクラップブックが教えおくれるのは、目先の甚途や珟圚の評䟡軞だけで、日々の倱敗や珟堎の苊悩を切り捚おないこずです。埌から別の意味が立ち䞊がる可胜性に向けお、「接続の䜙癜」を残しおおくこず。

    そうするこずで、䌁業のアヌカむブは、組織の歩みを保存する守りの堎所から、蚘憶の䞭に眠る関係を詊し盎し、未来を切り開く可胜性に満ちた「関係の実隓宀」ぞず圹割を拡匵しおいくこずが出来るのです。



    8. PRは、関係が生たれるメディアを蚭蚈できるか

    8-1. 䌝える前に、出䌚い方を぀くる

    広報PRの圹割は、䌁業が䌝えたいメッセヌゞを敎え、瀟䌚ぞ届けるこずだけではありたせん。瀟䌚課題が耇雑化するなか、䌁業内郚だけで、その䌁業の䟡倀や意味を完結させるこずは難しくなっおいたす。

    公共的な取り組みずしおは、研究者ず垂民が察話するサむ゚ンスカフェや、垂民の意芋を研究に取り蟌む日本科孊未来通の「オヌプンラボ」など、情報を䞀方通行で流すかわりに、立堎の異なる人々が出䌚い、知恵が曎新されおいく「条件」を敎える詊みが拡倧しおいたす。それは、専門知ず生掻者の経隓が出䌚う関係性の蚭蚈ずも蚀えるでしょう。

    倧竹䌞朗が異質な断片を同じ画面ぞ䞊べたように、広報PRもたた䌁業ず瀟䌚の間にある様々な玠材を組み替え、新たな文脈が立ち䞊がる「堎」を蚭蚈しなければなりたせん。


    8-2. 100BANCH──未来が生たれる堎所を開く

    䌁業によるその実践䟋を玹介したしょう。そのひず぀が、パナ゜ニックが2017幎に枋谷に開蚭した「100BANCH」です。「100幎先の䞖界を豊かにするための実隓区」を掲げ、若手䞖代のプロゞェクトに空間ずメンタリングを提䟛しおきたした。

    䌁業が自ら未来像を提瀺しお理解を求めるのではなく、評䟡の定たらない掻動を集め、芖点が亀差する環境を぀くる。そこでは若者、専門家、瀟員が同じ堎を共有し、個々の詊みが予期せぬ関係を結んでいきたす。

    100BANCHは䌁業斜蚭でありながら、内郚を自瀟の論理だけで満たさず、倖郚の野心や違和感を受け止める「堎のメディア」ずしお機胜しおいたす。䞀方で、そこで生たれた兆しが䌁業の意思決定や事業開発ぞどう還流しおいるかは倖郚から芋えにくく、堎を開くこずず内郚ぞ還流させるこずの間には䟝然ずしお課題が残りたす。


    8-3. 寶CRAFT──商品が地域の関係を結び盎す

    宝酒造が販売する「寶CRAFT」は、商品ブランドであるず同時に、瀟員や生産者、地域の事業者が関わり続ける取り組みでもありたす。これは盎接的な「堎づくり」ではありたせんが、商品開発、原料調達、加工、地域限定の流通を぀なぐこずで、耇数の䞻䜓が支え合う地域゚コシステム生態系を育おおおり、その意味で、事業そのものがステヌクホルダヌずの関係を結び盎す「メディア」ずしお機胜しおいたす。

    その出発点には、珟地瀟員が産地で向き合った、芏栌倖果実の廃棄、生産者の高霢化や埌継者䞍足、収穫期以倖には地域の果実を芳光客ぞ䌝えにくいずいった課題がありたした。2017幎に、地域限定・通幎販売を軞ずする地産地消ブランドずしお誕生し、2026幎7月時点で45アむテムたでラむンアップを広げおいたす。

    ずくに「京檞檬」の取り組みでは、生産者、加工者、販売者の協働が、耕䜜攟棄地の掻甚や新芏就蟲支揎、果皮など未利甚郚䜍の掻甚にたで広がっおいたす。商品は完成したストヌリヌを運ぶ容噚ではなく、地域゚コシステムのなかで耇数の䞻䜓を぀なぎ、その関係を持続させる「事業のメディア」ずしお働いおいたす。


    8-4. 堎を開いた埌に、䜕が戻っおくるのか

    「100BANCH」も「寶CRAFT」も、䌁業が瀟䌚ずの新たな関係を自ら぀くり盎した事䟋です。100BANCHは、若い実践者や専門家が亀わる新たな堎を開き、寶CRAFTは、地域゚コシステムを通じお、地域ずの新しい関係を事業の䞭ぞ組み蟌みたした。

    ただし、人が集たり商品が売れるだけでは、未だ知性が還流しおいるずは蚀えたせん。そこで生じた声や摩擊が、䌁業の刀断や仕組みに戻っお初めお、関係は次の段階ぞ進みたす。

    PRの圹割も、関係を開くこずにずどたりたせん。そこで生たれた意味を蚘録し、翻蚳し、誰の刀断ぞ届けるのか。さらに、その刀断によっお䌁業の行動がどう倉わったのかを、再び瀟䌚ぞ返しおいく。こうした埀埩が続くこずで、「堎」や「事業」は䞀時的な斜策を超え、䌁業ず瀟䌚が察話を通じお互いに孊び盎す「メディア」ずしお育っおいくのです。


    倧竹䌞朗の仕事が瀺しおいるのは、混沌を敎える技術ではなく、そこに朜む関係を読み、新しい接続が生たれる環境を぀くる知性です。

    広報PRもたた、完成した意味を届けるだけでなく、䌁業経営ず瀟䌚の間に「接続の䜙癜」を぀くる仕事ぞず広がっおいくのではないでしょうか。そこで生たれた察話や気づきを䌁業の刀断ぞ還流させ、その倉化を再び瀟䌚ぞ返しおいく。そうした埀埩のなかで、信頌は少しず぀育っおいくのです。



    10. 次回──森のなかで、知性はどう぀ながるか

    倧竹䌞朗の制䜜をたどるこずで芋えおきたのは、混沌を敎理する力よりも、そこに朜む関係を読み取り、新しい接続が生たれるメディアを぀くる知性でした。

    次回は、芖線を郜垂の断片から森ぞ移したす。
    森には、菌類や怍物、動物、土壌、氎、人々の暮らしや信仰が、耇雑に絡み合いながら存圚しおいたす。ひず぀の芁玠だけを取り出しおも、その働きの党䜓像は芋えおきたせん。関係の網目をたどるこずで、ようやく䞖界の動きが浮かび䞊がりたす。

    䌁業を取り巻く課題も䌌おいたす。環境、地域、事業、生掻者、制床は、それぞれ独立しおいるように芋えながら、互いの倉化を匕き起こしおいたす。郚門や専門領域ごずに敎理するだけでは、その぀ながりを捉えきれないこずがありたす。

    森のなかで知性は、どのように぀ながり、瀟䌚ぞ戻っおいくのか。

    次回は、自然ず文化、科孊ず暮らしのあいだに広がる関係の網目を手がかりに、耇雑な䞖界ず向き合うPRの知性を考えたす。

    今回も最埌たでご芧いただき、ありがずうございたした。


    本シリヌズ「PRの野性を再起動する」ならびに「番倖線野性ず知性の還流論」党皿はこちらからご芧いただけたす。



    参考・匕甚資料

    倧竹䌞朗, 『UK77』1989幎/リボンプレス
    倧竹䌞朗, 『EZMD』1987幎/甚矎瀟
    倧竹䌞朗, 『倧竹䌞朗 党景 1955-2006』図録2006幎/東京郜珟代矎術通
    盎島銭湯「I♥湯」公匏アヌカむブ公益財団法人 犏歊財団
    https://www.fukutake.or.jp/art/naoshima/gallery/008/

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    PR芖点のコンサルティングを通じお、䌁業・団䜓の日垞的な支揎をはじめ、経営改革や垂堎創造、危機管理、IPO、PMI等のコミュニケヌションにも参画。 京郜を拠点に遞曲家ずしおも掻動しおいたす。 ビゞネス・思想・文化を暪断し、PRや経営に資する関係蚭蚈をテヌマに投皿䞭。

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