
Doll 7 悪くない
本作には性的な描写があります。
未成年の方の閲覧はご遠慮ください。
「美咲、お前…いかないよな?俺、良くないか?」
和也が言った。
「いくとか、いかないとか…あんまり関係なく無い?」
「関係あるだろうよ」
「そうかな…」
「お前、どうして俺とSEXしているのさ?」
「ん…行為が好き」
「俺で無くてもいいのか?」
「分からない…他の人としていないもの…」
「お前、変わってるな?」
「そう?」
「うん…こんな女、初めてだ…」
「でも、好きなんだよね?」
「だから好きなんだよ」
「じゃ良いじゃない。何も考えることないよ」
「美咲に捨てられそうで怖いんだ…」
「私が?」
「だって…俺のこと…好きじゃないだろう?」
「他に好きな人もいないし…」
「やっぱりな…好きじゃないんだな?」
「好きがよく分からない…」
和也は黙ってしまった。私も黙った。私は眠くなってそのまま寝た。シャワーもしない、歯も磨かない…そう言えば夕飯も食べていない。
朝。
「美咲…」
和也が私の体を触っていた。
「美咲に好きになってもらえるように頑張る」
和也は言って、自分の好きなやり方で始めた。
私は黙って従った。嫌じゃなかった。やっぱり私は行為を愛していて、私には行為が必要だった。触られれば濡れるし、甘い声も出る。「もう少し…」と思う時に和也は終わってしまうけれど、私は それがそれ程不満とも思わない。終わりの無い、切りの無いSEXを知っている。あの快楽はここでは手に入らない。
「美咲…結婚したいんだ…」
和也が突然言った。
「一生弁当屋なんて嫌だよな?美咲は何がしたいの?俺はしたいことなんて無いから、美咲のやりたい事をやろう?」
和也はいい加減だけれど、これは多分本気。私と結婚したくて、私のやりたい事を一緒にしたいのだ。
「和也のいい加減な所が好き」
「何だよ?」
「普通の人が言いそうな事を言わないから好き」
「好きなのか?」
「嫌いか好きならね…」
「ご飯食べろとか、歯を磨けとか、風呂入れとか言わないから好き」
「弁当屋やっていれば食っていける…」
「うん…和也の炊くご飯は美味しい」
「高い米買っているんだよ」
「お弁当屋で私は構わない…」
「良いのか?」
「他にやりたい事が無いもの…」
「そか…就職決まらなくてここへ来たしな?」
「うん…」
「他に男が居なかったから…俺とやったしな?」
「うん…」
「美咲、結婚するか?」
「うん…」
「本当に?」
「うん…」
「美咲の実家、行くぞ?」
「いいよ…」
「反対されても結婚するぞ?」
「うん…」
「美咲…!」
私には選択肢が無い。嫌じゃなければそっちへ進む。何も悪くない。
思えば、家があって、仕事があって、男が居て、全部揃っている。私には何も文句は無い。やりたい事ではなかったけれど、やりたくない事でもなくて、これは私に出来る事だ。
誰かを幸せにして、名前も知らない人から褒められて、笑顔をもらう。悪くない。いいや、良いじゃないか?
和也は私の事が好きで、意地悪はしない。SEXも定期的にやって、それも悪くない。しつこくないし痛くもしない。
「美咲、9時になるよ…米、炊くよ!」
和也は私の腕枕をスルリと抜いて、シャツを着た。
「和也…」
「ん?」
「パンツ貸して…今日履くのが無い…」
私が言うと、
「お前、パンツくらい買えよ!」
と笑ってボクサーパンツを貸してくれた。
(Doll 完)