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穏やかな人が「怒り」をあらわにした時

    先日、ある社長が部下のAさんについて話をしてくれました。

    Aさんは普段とても穏やかで、怒りを表に現すことは滅多にありません。
    周囲への配慮があり、全体のバランスを見て調整役や仲介役に徹することができる人です。

    ところが、ある日、珍しく怒りをあらわにしたそうです。
    周囲は驚きました。
    「あの人が怒ったらしい」
    「かなりキレていたらしい」
    そんな話が瞬く間に広がったそうです。



    普段から怒っている人が怒るよりも、穏やかな人が怒る方が周囲は動揺します。
    なので、よく怒る人以上に怒りの鎮静化に意識が行くことがあります。

    本人自身も、自分が怒ったことにびっくりして、元に戻そうとする力も出てきます。

    しかし、普段怒らない人が怒った時こそ、大きな変化のチャンスなのです。


    普段怒らない人が怒る時は「変化のチャンス」

    なぜなら、そこに、その場や関係性に生じる課題の本質が眠っていることがあるからです。

    心理学では、「怒りは二次感情」と言われることがあります。
    怒りの奥には、悲しみ・寂しさ・苦しさ・悔しさ・傷つき、といった一次感情が存在しているという考え方です。

    普段怒らない人が怒った時は、
    「怒った」「キレた」といった現象を鎮めようとするのではなく、その奥にある、「思わず怒ってしまうくらい」「悔しい・悲しい・苦しい・傷つく」などの1次感情は何なのか、を、ぜひ探求してほしいと思います。

    なぜならば、Aさんのようなバランサーは、利己のためではなく、その場の関係性やグループが求めたいことや、目指したいことをしっかりキャッチして受け止め、そこに向かって尽力するタイプだからです。

    それなのに、うまくいかなかった、悔しい、悲しい、といった思いが爆発して怒りとして出てきているので、Aさんの怒りを紐解くことで、逆に周りは、本当はこの場で私たちは何を求めていたのか、どうなることが理想なのか、を振り返る機会となります。

    すると、実はその場の関係者全員が望んでいた、純粋で誰もがハッとするような、崇高な目的やビジョンに気づくことができるのです。

    怒りは関係を壊すものと思われがちです。

    でも時に怒りは、特に普段穏やかな人が怒りをあらわにした時は、その人のあるいはその場や関係性の、大切な価値観や願いを教えてくれる入り口かもしれません。

    怒りをなだめたり、何事もなかったかのようにするのではなく、
    大切なものとして向き合ってあげることで、見えてくることもあるのではと思います。


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    社長専門コーチ。20代からプロコーチとして活動し約30年。コーチング実績18,000時間以上。ICFマスターコーチ(MCC)。経営者やリーダーとの対話から見えてきた「コーチングのある日常」を発信。共創コーチ®養成スクール主宰。著書『言いづらいことをサラリと伝える技術』(三笠書房)

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