有楽町で恐怖の輪舞曲を
ロマンティック・ステップ
30歳の春。
結婚したいお年頃だし、婚活パーティーにでもいっちょ噛みしてみるかと、私は会場がある東京駅に向かっていた。
八重洲にある会場までの道では、満開の桜の花びらがあたたかな風に乗って踊っている。
頬をなでる桜の花びらが、私のもとにやってくるロマンティックな出会いを祝福してくれているような気がした。
このパーティーが、この後、恐怖のワルツを踊るきっかけになるとも知らずに。
閑話休題 我独自の婚活戦略
乗り込むパーティーの種類
婚活市場においては、女性は「若さ」と「容姿」が最もたる武器になるとのことである。
では、決して若いとはいえない30歳の私が有利になる戦場というのは「女性の参加可能年齢:30歳から」というパーティーであろう。攻めろ、下限ギリ
身だしなみ 控えめ女のコスプレ
「私の中身やキャリアを見て好きになってほしいの…//」
などと戯言を抜かしている場合ではない。
あなたがプレゼントをもらったとして、綺麗なリボンと包装紙に包まれたプレゼントor使い込んだくしゃくしゃのビニール袋に入ったプレゼント、どっちが嬉しいのかって話なのよ。「今日あなたに出会えることを楽しみにしてきました」って気持ちを見せる、相手へのマナーっていう面もあるのよ。
それに30年近く生きて自分が積み上げてきたキャリアや性格を、パーティーという短い時間で相手に全部知られてたまるかって話じゃない?私たちのこれまでの人生、そんな薄いもんじゃないでしょ?
一に外見、次中身。
そして、「男性参加者は同世代⭐︎公務員や士業などいわゆるお堅い人ばかり!」と謳うパーティーを選んだ。ということはあまりチャラこいた趣味の男性はいないであろう。
ならば「主張の強過ぎない女性」の見た目をすれば、男性が持つ私の第一印象は最高になるのではないか。中身の我の強さは後で知ってくれろ
よって私は、
・わかりやすく「女性らしく控えめ」な服装
(ピンク色のワンピース、露出は手首のみ、体の線は出し過ぎず隠し過ぎず)
・化粧は「血色感メイク」
(すべてピンクでまとめる、ラメは控えめに、シアーなコーラルレッドリップ)
・黒髪ストレートミディアムヘア
が、最もその場にいる男性にウケる外見であろうと仮説を立てた。

婚活とは、仮説を立て、戦略を実行することである。
ぶん回せPDCA
このパーティーにおいて、カップル成立&男性過半数から連絡先をもらい、その後カップル成立した男性と交際を始め指輪をもらい、相手の両親とも話をした。
しかしながら相手の素人◯貞仕草により心身ボロボロになったため今は結婚願望がほぼない。バイセクシャルになったのもこれがきっかけである。この男の素人◯貞ゆえの鬼畜の所業については気が向いたら書こう。
しんどいことはみんなに笑ってもらって成仏させる、It's my way
恐怖の輪舞曲を踊ろう
ちょっと閑話休題が長過ぎちゃった
このパーティーに参加した一ヶ月程後、私は一人有楽町でクレヨンしんちゃんの映画を観てから買い物をしていた。
そうだ、HARBSのケーキが夏仕様になるはずだ、食べて帰ろう。今年の初夏のケーキ、メロンと白桃のどちらにしようかな。
日曜のおやつの時間くらいだったので、HARBSは45分以上待ち。
それくらいの時間ならケーキを楽しみに待つのもいいなと思い、列に並んだ。
列に並んでから20分ほどしたであろうか。
「あの、すいません、東京駅の◯◯のパーティーにいた人ですか?」
40代くらい・野生のロン毛の知らないおっさんが声をかけてきた。
たしかに一ヶ月ほど前にそのパーティーには参加した。けどお前誰だよ。参加者だったら記憶力良すぎだろ。てか会場外で声をかけるのって禁止じゃなかったか?普通に怖いので人違いのふりしよう
私「違います」
ロン毛おじさん「そっかあ」
これで安心
ってロン毛おじさんもHARBSの列に並び始めたじゃん
多様性の時代、ロン毛おじさんだってHARBSのドデカケーキを一人で食べたいかもしれない
けど普通にこわいもんはこわい、仮にそのパーティーにいた人だとして、これまで連絡もしていないのに普通声をかけるか?そしてぴったりと後ろに並ぶか?もうおばさんちびりそうなんだけど
とりあえず、その婚活パーティーの公式LINEと婚活仲間に状況説明と相談をしてみる。
婚活パーティー公式「警察呼んでください 普通に規約違反だし」
婚活仲間♂「シンプルに警察以外に何があるって?」
婚活仲間♀「あんたほんとに「もってる」よね笑 警察だろ」
なるほどこれはどうやら大ごとらしい
しかし、私はHARBSのケーキを諦めたくない。
あたしの30年モノの大根脚は、おいしいものにありつくために生えてんの。食べ歩きなら一日中歩いてられるくらいなの。どこの誰かともわからない男と恐怖の輪舞曲を踊り続けるために生えてるんじゃないの。
しかもロン毛おじさん、並んだ後に一向に話しかけてこない、ただひたすらに後ろに並ぶだけである。シンプルにキショい
恐怖が勝つか、初夏のフルーツケーキが勝つか。
警察に今通報するか、店内まで一緒に通報するか。そしたらケーキ食べてる場合じゃなくなるか。
なんでロン毛おじさんにわたしの休日至福のティータイムを邪魔されなあかんのや
よしこうなったら耐久戦じゃ、何分でも並んだろ
10分経過
まだロン毛おじさんは後ろにいる
20分経過
まだまだロン毛おじさんは後ろにいる
25分経過
なんとロン毛おじさんが諦めたのか列から離れた!
ほぼ同じタイミングで、HARBSからたくさんのお客さんがお会計を済ませて出てきた!!私の粘り勝ちである。

そして私は安全にメロンケーキを楽しめましたとさ
HARBSのケーキっておおきくておいしいよねって話と、本当にあった怖い婚活話でした
追記
婚活パーティーって、パーティーじゃないよね。あれって尋問だよね。婚活尋問に名前を変えるべきよ
