【エッセイ】何もしてない時間って、アカンの?
【忙しい】って、見栄はった。
「最近どう、元気してる?」
どう答えますか?
私はずっとこう答えてた。
「なんか知らんけど、バタバタしてる」
嘘や。全然バタバタしてない。
でもなぜか、その言葉が口をついて出てた。
忙しく見せる方が、なんとなくええ人間に見える気がしてたから。
充実してる。
頑張ってる。
必要とされてる。
「忙しい、バタバタしてる」の一言に、そんな意味を勝手に乗っけてた。
誰かに「最近忙しくて」って言われると、
充実してて、人生楽しんでる人やって、勝手にそこまで思ってしまう。
なんでやろ。
働くことが正義、休むことは怠け。
体調悪くても仕事行くは当たり前。
忙しくなくても何かをしてないと先輩に怒られる。
何もしてない時間は、罪みたいな空気。
でも、そう思ってたのは自分だけかもしれん。
でもずっと、そういう空気の中で生きてきた気がする。
「忙しい」って言えば、なんか許される。
「忙しい」って言えば、ちゃんとやってる人に見える。
「忙しい」って言えば、自分を守れる。
そんな気がしてたんやと思う。
でもある日、ふと思った。
「忙しい忙しい」言いながら、何を作ってたんやろ。
何を感じてたんやろ。
全部こなして、全部片付けて、全部終わったら…何が残ってたやろ。
ただの疲れだけやったかもしれん。
ある日
お祝いの「のし」を書いてもらいながら、ふと思い出した
25年くらい前、百貨店の子供服売り場で働いてた。
お祝いの「のし」を書く、専門のおばさんがいてた。
筆を持って、丁寧に、静かに書いてくれる。
字がものすごく綺麗やってんけど、私がずっと見てたのは字やなかった。
文字と文字の間の、余白やった。
そのバランスが、ほれぼれするくらい美しくて。
余白があるから、文字が生きる。
余白がないと、文字は息ができへん。
あの時からずっと、頭の片隅におる。
予定がありすぎると、なんか息苦しい。
何もしてへん時間が心地ええ。
コーヒーを飲みながら、ぼーっとする。
どこも行かへん。何も考えへん。
生産性ゼロ。成果ゼロ。
でもその時間のあとに書いた文章が、一番よかったりする。
その時間のあとに思いついたアイデアが、一番面白かったりする。
何もしてへん時間は、何もしてへんわけやない。
「忙しいアピール」をやめてから、不思議と時間が増えた。
忙しさを手放したら、余白が生まれた。
余白が生まれたら、自分が戻ってきた。
50代にしてやっと、気づけた
知らんけど。
よはく
#50代 #エッセイ #余白 #生き方 #忙しい #エッセイ部門 #自分 #気づき #スキしてみて #日常
