ブラウザは「人がWebを見る道具」から「AIが社会と接続する実行基盤」へーーリンク、代理権、本人性、生成物来歴から読み直すブラウザの次の30年
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<ちなみに私は今年からCometです。>
ブラウザは、長いあいだ「人間がWebを見るための窓」だと思われてきた。だが2026年、AIエージェントがページを読み、フォームを埋め、商品を買い、業務システムを書き換え始めたことで、その前提が崩れつつある。いま起きているのは、ChromeにAIボタンが付く程度の変化ではない。ブラウザそのものが、人間とAI、企業システム、Webサービスの間で「誰が、どの権限で、何をしたか」を扱う実行境界へ変わる可能性がある。
1 ブラウザの前に「リンク」があった
ブラウザの歴史を1990年から始めると、なぜブラウザが生まれたのかが少し見えにくくなる。源流には、もっと古い「知識をどう結ぶか」という問題がある。1945年、Vannevar Bushは「As We May Think」でMemexを構想し、人間の思考は図書館の分類棚のように一直線ではなく、連想によって飛び移るものだと考えた。Memexの核心は、文書を単に保存することではなく、関連する情報を“trail”として結び、後からその道筋をたどれるようにすることだった。
1960年代にはTed Nelsonが「hypertext」という言葉を与え、Project Xanaduで双方向リンク、版管理、transclusion、引用追跡まで含む非常に豊かな文書世界を構想した。Douglas EngelbartはNLSで、リンク、マウス、ウィンドウ、共同編集を一つの知的作業環境として実装し、1968年の公開デモでそれを見せた。つまり、ハイパーテキストの初期思想は「別ページへ飛ぶ」だけではない。人間の知識作業そのものを増強するための仕組みだった。
ブラウザの原点は「ページを見ることだけ」ではない。最初のWebクライアントがbrowser-editorだったように、情報と情報の関係をたどり、編集する機能も原点に含まれていた。
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