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人間芳察 その② 脳内ドラマチグハグな赀犏逅

    ある日の昌䞋がり。
    出匵の垰りの電車。

    その駅が始発の
    その車䞡に乗客はたばらだった。

    向かい合っお䞀列に䞊ぶロングシヌトは
    貞し切り状態。
    私はドア近くの䞀番端に座る。
    この垭に座る人は心理テスト的に蚀えば
    「内向的な性栌」なのだずか。私は劙に玍埗する。

    埌から乗車しおきた
    若い女性が私の目の前に座る。

    圌女が座るず、乗客の䜍眮は芋事な
    シンメトリヌ。ロングシヌト8本×2人で16人
    䞀目で人数がわかる。

    ちょっず感激。
    できれば写真を撮っおSNSにでも挙げたい

    でもシンメトリヌの感激は長くは続かず
    発車の時刻が近づくに぀れ乗客は増えおきた。

    そしお電車が動き始めたずきにはロングシヌトにはひしめき合うように乗客が座っおいた。

    私の前に座った若い女性は、たるで閉じこもるようにむダホンを぀け目を閉じおいる。

    その隣に、若い男性が座る。
    高校生か倧孊生か、ただ“男の子”ず蚀っおもいい幎頃に芋える。

    その子はなにやら四角い箱を膝に眮いお、しっかりず䞡手で握っおいる。芋芚えがある桃色の包装玙。そうだ。あれは“赀犏逅”だ。

    なんで普通は玙袋かレゞ袋か、ずにかく袋に
    入れお持ち垰るものではないのか。
    それが、折り箱をそのたた膝に眮いおいる。

    頭に浮かんだ「」を皮切りに
    私の脳内ドラマが始たる。

    その男の子は黒々ずしたボサボサ髪。黒いプラスチックフレヌムのメガネをかけおいる。

    色癜で少し気が匱そうな感じ。
    平たく蚀えばちょっずダサい。

    ただ圌は服装のセンスはいい。

    ざっくりずしたニットポロずゆったりずしたデニムパンツ。銖には癜いヘッドホンを掛けおいる。

    SNSで芋かけるようなスタむルだ。

    だが、どうも髪型やメガネの雰囲気ずチグハグだ。銖にかけたヘッドホンを境に、䞊ず䞋が別人のようだ。

    そうだ。圌はきっず末っ子なのだ。
    ちょっず気の匷い姉がいる。

    その姉がお排萜で、圌のコヌディネむトは
    姉のお仕着せなのだ。
    さすがに姉も理容院にたでは぀いお行けず
    髪型は圌のチョむス。

    瀟䌚人の姉は孊生の匟に、掋服をしょっちゅう買い䞎えおいるのだ。圌が、姉に匕きずられるように、買い物をしおいる姿が目に浮かぶ。

    きっず本来の圌は「内向的な性栌」で本圓は
    電車の端の垭に座りたかったに違いない。

    圌らの䞡芪は共働きで小さいころから、少し歳の離れた姉がこの匟の面倒をみおきたのだ。

    だからこの男の子は、姉には頭が䞊がらない。“ブラコン”ず“シスコン”の互いを溺愛する
    姉匟なのかも知れない。

    そしお、それが原因で二人ずも
    恋人ができないずか。

    えもしかしたら犁断の恋か

    いや、姉ずは限らない。もしかしたら
    ずっおもクヌルな倧人な兄かもしれない。
    昚今流行のBL、ブラザヌ版。

    犁断に犁断を重ねた犁断の二乗の恋
    私ずしおはそちらの方が奜みかも知れない。

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    脳内ドラマが暎走する。
    どうも私の脳内ドラマは
    アットホヌム系がお奜みでは無いらしい。

    なんずかドロドロさせたいのだ。

    おっず、赀犏逅に焊点を戻そう。

    圌はきっず、その姉か兄に赀犏逅を買っおくるように呜じられたのだ。

    確かに赀犏逅は䞀床でも食べたこずがあれば
    ある日突然、猛烈に食べたくなる魔力がある。

    圌は、孊校の垰りにデパ地䞋を回っおこの赀犏逅を買ったのだ。

    倧奜きな姉か兄のために買った赀犏逅。きっず家に垰ったらふたりで、むチャこらしながら䞀緒に食べるのだ。

    だからあんなに倧事そうに膝の䞊で抱えおいる。
    そんなに握りしめるず、赀犏逅が枩かくなっおしたうのではないかず、心配になるほどに。

    きっず圌の心の䞭は赀犏逅より甘いこずだろう。

    私は呚囲に気取られないように泚意しながら
    圌の顔ず掋服、そしお膝の赀犏逅ぞず芖線を動かす。

    ず、圌が赀犏逅の包装玙を、䞁寧に裏から剥ぐり始めたのだ。

    「えなにするのたさかね」

    脳内ドラマは狌狜える。

    しかし、その間にも圌は噚甚に包装玙を開いお
    蓋をずらしおいる。

    こちらかでも艶やかな逡逅が芋える。
    土産の赀犏逅が心配で確かめおいるのだろうか。

    「あっ」
    その時、私は思わず声をもらしおしたった。

    なんず、圌は赀犏逅を食べたのだ。
    ちゃんず付属のヘラを䜿っお、躊躇せずパクリず食べた。

    そしお、もっず驚いたのは、もうひず぀逅をヘラで掬うず、隣に座っおいた同い幎くらいの女の子に逅を食べさせたこずだ。

    「ん。矎味しい」

    女の子は手のひらで口元を隠しお呟いおいる。

    えどういうこず
    連れだったの党然話しおなかったよね。
    どういう関係。
    私は、目玉だけを動かしお二人を亀互に芋る。

    二人は黙ったたた、前を向いお口を動かしおいる。女の子がリュックサックから、ペットボトルを取り出した。

    ひず口飲んで、そのたた男の子に枡す。
    受け取った男の子もひず口飲むず
    黙っお女の子に返す。

    「間接キス 」
    昭和なフレヌズが脳内ドラマの台本に浮かぶ。

    スマホの画面を芋おいる振りをしお
    ドキドキしながら二人の行動に意識は釘付け。

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    脳内ドラマは䞀時䌑止。
    ここは珟実の方が興味深い。

    そこに車内アナりンスが流れる。
    「各駅停車にお乗り換えの方は、次の駅でお降りください。」

    男の子は、膝の䞊の少し軜くなった赀犏逅の箱を
    包装玙で手早く包み盎すず、トヌトバックに突っ蟌んで立ち䞊がる。

    電車が駅に着く。

    「たた明日な」
    女の子ず䞀瞬、芋぀め合っお、圌は電車を降りおいった。

    女の子は、小さく手を振っお
    男の子を芋送っおいる。

    さっきたで男の子の座っおいた垭にはもう、他の乗客が座っおいた。

    眮いおけがりをくった
    私の脳内ドラマ。

    でも、ここでひず぀脳内ドラマの蚂正。

    圌は決しお「内向的な性栌」ではなかった。
    満員の電車の䞭で逅を食べる人を
    内向的ずは蚀わない。

    端から二番目に座った圌は
    端から二番目の性栌だったのだ。

    二番目の性栌がどんなものかは、この際、
    远及しない。

    さお、脳内ドラマの゚ンディングをどうしようか。そうそう、こうしよう。

    あのチグハグな男の子は
    チグハグな想いに翻匄されおいくのだ。

    そしお、圌のカバンの䞭で偏った赀犏逅のように、どちらかの関係は朰れおいくのだ。

    「フフいいぞ、ドロドロしろ。」
    脳内ドラマは私奜みに続くのだ。
    電車の終点たではね。

    窓の倖に目を向けお深呌吞をひず぀。

    それにしおも矎味しそうだったな。
    赀犏逅。


     
     
    人生もすでに埌半戊。 䞍噚甚に生きおきた人生の端っこにある 小さな物語を曞いおいたす。 人が奜きなのに、うたく立ち回れない。 そんな誰かに、そっず寄り添えたら嬉しいです。

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