
“安定した仕事の彼”を信じた結果、全部嘘でした。第四話完結
第四話 全部嘘
「これあなたが書いたの?」
「書いてない」
「本当に?」
焦りや不安が胸の中で大きくなっていく。
それでも彼は書いてないを貫いた。
何度か聞くと
「書いた」
あれだけ声が大きくハキハキしていて嘘が嫌いな彼とは思えないほど
頼りない声。
わたしの目の前にいるのは正反対の人物だった。
彼のその一言ですべて終わった______
はずだった。
「嘘つく人間嫌いだっていってたのに自分がそうなってるじゃん。
お金だって使い過ぎたならまず私話をしてよ。
こんな嘘を作りあげるなんて信じれない。」
お金の管理は絶対に私には任せてくれず、ずっと彼が管理をしていた。
もしかしたら、お金の管理を彼がしていたからこんなことになったんじゃないか。
私はそんな風に自分を責めた。
彼が嫌がるのはわかっていたが、それでも押し切るように私が管理するべきだった。
そうすれば立て直せるはずと思ってしまった。
つい昨日まで一緒に出掛けていたのに。
いままでの時間が全部嘘だったなんてどうしても思えなかったし思いたくなかった。
「これからは私がお金の管理をする」
これがわたしの条件だった。
「任せた方がお金も貯まりそうだな」
彼がそう言った。
あまりの出来事にその日は眠れなかった。
翌朝、
彼は仕事を休みたそうにしていたけれど、いつものように仕事に行った。
私は通帳の整理をしようとおもって銀行に行った。
これからは私が管理しないと、そう思っていた。
でも、残高を見た瞬間
_______息が止まった。
ない。
きれいになくなっていた。
心臓がバクバクして手が震えた。
すぐに彼に電話をかけた。
「どういうこと?」
そう聞くと
「支払いの紙が出てきちゃって帰ったらちゃんと話すよ。」
その言葉を聞いた瞬間頭が真っ白になった。
え?
昨日言ったよね?
これからは私が管理するって。
しかも私の口座から勝手に。
もう全部おわった。
「もう帰って来ないで」
電話のむこうで彼は少しだけ間をおいて言った。
「荷物があるし、一旦帰るよ」
「こないで!」
自分でも驚くくらい強い声だった。
通話を切ったあと、彼の荷物を全部まとめて玄関の外に出した。
それが最後だった_____________
その後、
離婚となり区役所へ行って私が離婚届を提出した。
手続きは進んでいき、更に信じられないことが発覚した。
ずっと渡されなかった保険証は国民健康保険だった。
年金は免除になっていた。
「どういうことですか?」
思わず窓口で聞いた。
「結婚後ずっと国民健康保険ですね。」
「年金が免除ということは、あなたと同じという扱いです。」
同じ扱い?
私と?専業主婦と?
社会保険じゃないの?
毎朝、同じ時間に家を出て定時に帰ってきていた。
スーツに革靴で。
仕事してない。
頭が追いつかなかった。
「公務員ってきいてたんですけど」
きっとこの人騙されているんだろうなって思われたとおもう。
でも信じられないことの連続で一人でのみこめなかった。
ちゃんと支払いものもしてるし貯金もしている。
彼がよく言ってたことだ。
全部嘘。
公務員
全部嘘。
ふと前の出来事を思い出した。
私の“財布の中”の大事な生活費
落としたんじゃない。
落とすわけない______________
私が信じていたのは、一体誰だったんだろう。