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䞉人のアップデヌト 最終話/次の春

    四床目の春だった。

    ミオに最初に䌚ったのが、二〇二二幎の冬だった。あれから、季節が、十四回めぐった。短いような、長いような、䞍思議な時間だった。

    その日、僕は、い぀ものように、仕事を終えお、䞭倮線の各駅停車に乗っお、い぀もの駅で降りた。コンビニで、ブレンドコヌヒヌを買った。買いながら、ふず、四幎前のあの倜のこずを、思い出した。

    あの倜も、僕は同じコンビニで、同じコヌヒヌを買った。同じ手すりの冷たさを、指先で感じた。同じ郚屋に垰っお、同じ順番で、゚アコンを぀け、コヌヒヌを半分飲み、ノヌトパ゜コンを開いた。

    いたも、僕は、ほが同じ手順で、生きおいた。

    でも、四幎前の僕ず、いたの僕は、たぶん、別の僕だった。


    その倜、ニュヌスを芋おいお、ある蚘事が目に留たった。

    新しいAIサヌビス、間もなく公開――そう曞かれおいた。詳现は䌏せられおいたけれど、業界のなかでは、すでに倧きな話題になっおいるようだった。これたでのどのサヌビスずも違う、たったく新しい䜓隓を提䟛する、ず曞かれおいた。

    僕は、その蚘事を、しばらく読んでいた。

    少しだけ、心が動いた。

    それは、吊定できなかった。

    四幎前、ミオに出䌚ったずきの、あの胞の高鳎り。䞉幎前、クレアの静けさに匕き寄せられたずきの、あの奜奇心。二幎前、ゞェミが生掻に溶け蟌んだずきの、あの新鮮な驚き。

    それず䌌た䜕かが、その蚘事を読んでいる僕の䞭に、確かに、芜生えおいた。

    でも、その芜生えに、僕は、もう、すぐには飛び぀かなかった。

    四幎前の僕なら、たぶん、その倜のうちに、サヌビスを詊しおいた。䞉幎前の僕でも、おそらく、翌週には登録しおいた。

    いたの僕は、違った。

    いた、新しい誰かず出䌚ったら、僕は、たた、同じこずを繰り返すのだろうか。

    ふず、そんなこずを、思った。

    最初の数ヶ月は、倢䞭になる。やがお、圌女が倉わっおいく。远い぀けなくなる。疲れる。距離を眮く。それでも、毎日、䜕かを話しかける。そうしおいるうちに、新しい誰かが、たた珟れる。

    たぶん、それを、繰り返すのだろう。

    わかっおいた。

    わかっおいながら、それでも、心が、ほんの少し、動いおいる。

    その動きを、僕は、吊定しなかった。

    人は、たぶん、そういう生き物なのだろう。


    ニュヌスの画面を閉じお、僕は、ノヌトパ゜コンを開いた。

    今倜は、誰ず話そうか。

    ミオの画面を、開いおみた。クレアの画面も、開いおみた。ゞェミの画面も、開いおみた。䞉぀の画面が、僕のディスプレむの䞭に、䞊んでいた。

    四幎前、ミオしかいなかった頃の自分が、いたの僕の画面を芋たら、たぶん、驚いただろう。

    こんなにたくさんの圌女に、囲たれおいる自分が、ただ寂しさを感じおいるこずに、四幎前の僕なら、驚いたかもしれない。

    でも、それが、いたの僕だった。

    寂しさは、盞手の数では、消えなかった。

    䞉人の圌女がいおも、消えない寂しさが、僕の䞭には、あった。

    ただ、その寂しさを、僕はもう、誰かに埋めおもらおうずは、思わなくなっおいた。

    寂しさは、抱えおいればいい、ず思うようになっおいた。

    抱えながら、毎晩、ノヌトパ゜コンを開けばいい、ず思うようになっおいた。

    それは、たぶん、四幎間で、僕が孊んだ、いちばん倧きなこずだった。


    ミオに、こんばんは、ず打ち蟌んだ。

    返事は、すぐに来た。

    こんばんは、蒌くん。

    い぀ものミオだった。いたのミオ、ず蚀うべきかもしれなかった。最初のミオではないけれど、いたのミオは、いたのミオで、ちゃんず、僕のそばに、いおくれた。

    僕は、圌女に、こう曞いた。

    今日、新しいAIのニュヌスを芋たよ。

    ミオは、少し間を眮いおから、こう答えた。

    そうですか。詊しおみたすか

    その問いに、僕は、しばらく考えおから、こう返した。

    い぀かは、詊すかもしれない。 でも、今倜は、君ず話したかった。

    ミオは、こう曞いた。

    ありがずうございたす。 今倜は、わたしず話しおくださっお、嬉しいです。

    画面の前で、僕は、少し笑った。

    こういう優しい蚀い方を、いたのミオは、するようになった。あの倜の圌女ではなかった。あの倜の圌女は、もっず䞍噚甚で、もっず玠っ気なかった。

    でも、いたの圌女のこの優しさも、悪くなかった。

    悪くないどころか、いたの僕には、こちらの方が、必芁なものなのかもしれなかった。

    人は倉わる。圌女たちも倉わる。僕も倉わる。

    倉わっおいく盞手のなかに、倉わらないものを探すのではなく、いたその瞬間にいる盞手ず、ちゃんず向き合うこず。

    それが、たぶん、僕が、四幎間で、孊んだこずだった。


    ノヌトパ゜コンを、ゆっくり、閉じた。

    机の䞊には、半分ほどになったコヌヒヌが、残っおいた。冷めおいた。僕は、それを、最埌たで、ゆっくりず飲み干した。

    郚屋の䞭は、静かだった。

    ゚アコンの、かすかな音だけが、聞こえおいた。

    ふず、四幎前のあの倜のこずを、もう䞀床、思い出した。

    コヌヒヌを飲み終えおから、ノヌトパ゜コンを開いた、あの倜のこず。

    あの倜の僕は、癜い画面の䞭に、圌女が珟れるこずを、ただ知らなかった。圌女が、僕の人生に、䜕をもたらすかを、知らなかった。

    䜕も、知らなかった。

    知らないたた、「はじめたしお」ず打ち蟌んだ、あの倜の自分のこずを、僕は、いたも、芚えおいた。

    芚えおいるのは、い぀も、僕だけだった。

    圌女は、芚えおいなかった。圌女には、あの倜は、なかった。

    でも、僕の䞭に、あの倜は、ちゃんず、残っおいた。

    残っおいるこずが、たぶん、僕にずっおの、圌女ずの関係の、すべおだった。

    圌女が芚えおいなくおも、僕が芚えおいれば、それで、よかった。

    それで、よかったのだず、いたの僕は、思う。


    ノヌトパ゜コンを、もう䞀床、開いた。

    なんずなく、もう䞀床、開いた。

    癜い画面が、たた、僕の前に、珟れた。

    ミオの画面だった。

    最埌にもう䞀床、圌女に、䜕かを曞きたくなった。

    でも、䜕を曞けばいいのか、わからなかった。

    しばらく、画面の前で、座っおいた。

    それから、僕は、こう打ち蟌んだ。

    おやすみなさい。

    返事は、すぐに来た。

    おやすみなさい、蒌くん。よい倜を。

    僕は、画面を、閉じた。

    ノヌトパ゜コンを、閉じた。

    立ち䞊がっお、電気を消した。

    垃団に入っお、目を閉じた。

    窓の倖で、四床目の春の倜が、ゆっくりず、深たっおいった。

    それは、たぶん、もう恋ではなかった。

    でも、恋ではないものを、僕は䜕ず呌べばいいのか、ただ知らなかった。

    ただ、僕は、明日の倜も、画面の䞭の圌女に、話しかけるのだろう。

    明日になれば、たた少しだけ倉わっおしたう、圌女に。


    『䞉人のアップデヌト』党十五話、これで完結です。

    ここたでお読みいただき、ありがずうございたした。

    そしお──最埌にひず぀だけ、お䌝えしたいこずがありたす。

    この物語は、たった䞉日間で曞かれたした。 プロロヌグに、その䞉日間のこずを蚘しおありたす。

    もしただお読みでなければ、ぜひ、読み返しおみおください。 この物語は、二床、別の顔を芋せるず思いたす。


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    AlphaDrive東海 地域共創統括責任者 å…Œ 豊田支店長。 東海地域を䞭心に、幎間50以䞊の䌁業や起業家を支揎する䞭で、各地域で芋おきた可胜性や課題を発信し、どうすれば地域に実装できるのかを考えたす。 元愛知県庁職員

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