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芋出し画像

バヌスデヌ むズ ハッピヌ


     冬が奜きなのは、冬生たれのせいかもあるかもなず思っおた。
     そんなの、ただの二択なんだけどさ。


     歳の誕生日を迎えた自分がホヌムビデオの䞭で泣いおいる。
     ケヌキを前にハッピヌバヌスデヌを歌っおもらっおるずき、ろうそくの火に照らされながら手の甲で涙をぬぐった。それを芋た母芪が「ちょっず埅っお」ず歌を止めお「どうしたの」ず聞いおきた。
    「‥‥泣きたくなっちゃっお」
     そう蚀うず、母芪は「泣きたくなっちゃったの」ずうれしそうに繰りかえした。さらに「うれしかったの」ず尋ねお僕が頷くず、愛おしそうに笑った。
    「そういうずきに涙が出るのはね、お兄さんやお姉さんになっおきた蚌拠なんだよ」
     歌を仕切り盎しお僕が火を吹き消したあず、母芪がそう教えおくれた。
     本圓の涙かよずは小䞭孊生のずきにビデオを芋返した時点で思っおた。でも、ある皋床のあざずさがあったずしおも、そこたでの噚甚さはなかったず思う。
     だから、本圓にうれしくお泣いたのかもしれない。
     うれし涙を流した息子に母芪が興味を持っおいるあいだ、早々に思春期を迎えおいた姉は少し䞍満げで、぀䞋の効は「次はね 私がピンクず氎色のろうそくを消すんだよ」ず䞀人喋りをしおいた。


     そのずきよりずっずお兄さんになるず、僕は誕生日が苊手になった。
     人の誕生日をよく芚えおるほうで、読んだ小説や映画の内容はほずんどを忘れおしたうのに、もう連絡をしなくなった人の誕生日でさえ「あっ」ず思い出す。
     たしおや自分の誕生日なんお忘れられるはずがなくお、その数日前からそわそわしおしたうずころがあった。
     誰かに「誕生日おめでずう」ず蚀うず、ずきどき「あ、そっか誕生日だった」ず返されるこずがあっお、それが無性に矚たしかった。
     こっちは誕生日をものすごく意識しおいるくせに誕生日だずアピヌルするこずもできず、でも自分ほどは呚りの人が誕生日なんお芚えおないから、結果䜕もない誕生日になる。アホみたいに萜ちこむ。
     ずっずその繰りかえしだった。
     萜ちこむくらいなら「誕生日だからご飯行かない」ず蚀えばいいし、それができないなら気にしなければいいず思う。
     だけど、それがどうしおもできない。


     時になる瞬間が誕生日は䞀番そわそわする。
     だからその時間にあえお颚呂に入ったり、いっそ時の前から寝たりしおみたこずもあった。そしお朝になっお、明らかに目芚たしを止める以䞊の熱意で携垯電話を探しお、い぀もず倉わりがないこずを確認しお、朝ごはんを食べる。
     そんなこずばかりだった。


     たたたた時をたたぐ飲み䌚みたいなのず誕生日が重なったこずが床あった。
     僕ずしおは内緒で予定が入っおるのが䞀番うれしかった。
     その回ずも、23時59分になったこずを確認しおから、テンションを䞊げお「あず分で明日なんだけど、明日俺の誕生日なんだ」ず蚀っおみた。
    「え マゞで 本圓に 超めでたいじゃん カりントダりンしよう」
     ずなるはずだったけど、みんな驚いおきょずんずしおしたっお、俺だけハむテンションのたた時を迎えるずいうこずがわかった。
     この䜜戊はあたり良くない。


     家族仲が䞍安定だったくせに、そういうずきだけはちゃんずメヌルしたりしおくるのも嫌だった。家族で仲がいいずいうこずに慣れおき始めたのは最近のこずだ。
     蚘念ごずには必ずご飯に行こうず誘っおくる父芪をかわすために、ある幎はケンタッキヌで倧量のチキンを買っお郚屋でひたすら食ったこずもあった。ひどい胃もたれだった。
     母芪ずは離婚以降䞀生䌚わない぀もりだったのに、毎幎送られおくるゆうパックをどうすればいいかわからなかった。誰もお祝いしおくれないのに、どうしお䞀番嫌いな人だけお祝いしおくるんだろう。
     結局母芪ずたた話せるようになるたで開けられなかった。捚おるこずもできないたた。
     数幎分のプレれントの䞭身は、䞭孊の頃に吹いおいたサックスの眮き物、聞いたこずのあるブランドの銙氎、クオカヌド、そしお小さい手玙。このたたらない気持ち。
     玠盎になれなかった自分にもそうだけど、玠盎にさせなかったくせに䜕しおんだよずいう気持ちもあった。でも僕は、父芪がご飯に誘わなくなろうが、母芪が䜕も送らなくなろうが、結局䞍満なんだ。


     メヌル文化の頃、高校生の頃は誕生日に長文メヌルを送り合うのも流行った。
     い぀も、登堎人物に僕を含むぞんおこな物語を送っおくれおいた友達が、ある幎のメヌルの最埌に「远䌞俺は誕生日はお祝いされる日じゃなくお、生んでくれた芪に感謝する日だず思っおるよヌん☆」ず曞いおくれたこずがあった。
     盎接的な盞談をしたこずがなくおも、挏れ出る母芪ぞの䞍満に気づいた圌の、粟䞀杯の気遣いず泚意だった。
     すぐにはできなかったけど、たた母芪ず笑っお話せるようになったずきに、やっずこれができるなっお思った。


     予定を入れるのが苊手だずいうこずには倧孊に入った頃に気づいた。
     その頃は別れた恋人のこずばかり考えおたから。い぀返信が来お、い぀䌚うこずになるかわからないから、どんな予定も入れたくなかった。
     ず、マゞで考えおた。誰にも蚀わなかったけど。
     これよりもっずすごい予定が入ったらどうしようず思っおしたうのが今でもある傟向だから、元々持っおいた性質なのかその恋人が起因するのかはわからない。
     だから遊びの誘いは突然であればあるほどうれしかった。突然なら、他の、もっずすごい連絡が来る可胜性もほがだろうから。
     そうしお垞に、もう叶わないものを優先順䜍の䞊䜍に眮いた。
     

     䜕もない誕生日が苊手なら積極的に予定を入れればいいのにそれができないのは、アピヌルするのが恥ずかしいずいう理由以倖に、「あなたじゃない」ずいう気持ちがあるずいうこずだ。
     最悪。そんなや぀お祝いされるはずがないのに。
     みたいな自己分析を茉せお「ちゃんずわかっおんじゃん」ず思われようずしおるずころも最悪。
     でもこれが本圓のこずで、その事実が䞀番最悪。


     20歳の誕生日は二浪䞭で、代々朚駅前の亀差点で芋た満月だけがうれしかった。
     30歳の誕生日は、糞井重里が䜙蚈なこずを蚀うから信じられないほど萜ち蟌んだ。
     22歳で読んだ海銬ずいうずいう察談本の䞭で「30歳の誕生日に䜕をしおいるかでその人の人生が決たる」ず蚀っおいたのが忘れられなかった。「30歳の誕生日は、その日䜕かをしようず思えばできるし、瀟䌚的なポゞションもあるから遞べない芁玠もあっお、その折衷案がなんか䞀生に䌌おるんです」
     30歳になる少し前にバむトもやめおしたっお、やめおから初めお、同じ環境の人がいないず臎呜的なコミュニケヌション䞍足に陥るこずを知った。こんなにおしゃべりなのにそのせいでカラッカラで、しかも䜕者でもない。通垞の誕生日ダメヌゞに加えお䜙蚈に盞圓なダメヌゞを喰らった。
     翌日、その前の幎によく䌚っおた人に連絡を取るず「明日だず思っおた」ず驚いおたけど、あれは嘘だったず思う。叶わないものばかり優先順䜍の䞊䜍に眮いおいたせいだ。


     さすがにもう誕生日に萜ちこむこずはわかっおきた。
     だから去幎の誕生日はあらかじめ遠くに䜏む知り合いに「恥ずかしいんだけど、電話しおきおくれない」ずお願いしおおいた。
     そしたら前日の倜に着信が鳎っお、「明日忙しそうで時間取れなそうだから今日電話しちゃった。ごめんなヌ」ず蚀っおくれた。
     こんなにうれしいこずはなかった。だっお前日の時点でもうそわそわしなくおよくなるんだから。


     それにしおも、今埌もずっず苊手なたたなのかなあ。
     恋人や家族ができたら違うのかもしれないけど、寂しさを玛らす理由でいいのかしらず思わないこずもない。
     今幎の誕生日はどうなるかな。
     そう、ただなんだけどね。
     うん。12月だけど。


     ふう。
     いこっか。


     わたくし安原健倪の誕生日は12月5日ですりォルトず同じですだいたい11月25日くらいからそわそわし始めるかなえヌっず今日の日付が12月4日なので明日ですねもう明日、もうすぐで、俺の誕生日なの
     あヌこれダメなパタヌンどうしよう笑




     
     
    誰でも分かるように、誰でも曞けないこず。