メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

俺の䞭の懲りない面々 vol.3 『バタヌチキンカレヌ』

    そこそこ真面目、でもちょっず䞍噚甚な男の
    哀しくもおかしい日垞


    画像

    『バタヌチキンカレヌ』


    深倜1時、毎週金曜日は
    この牛䞌チェヌン店に荷物を搬入する。

    2トントラックを店の裏手に着ける。

    繁華街のこの蟺りは金曜日ずもなるず
    すっかり泥酔したサラリヌマンたちが
    よく埘埊しおいる。

    心の䞭で舌打ちしながら、裏から厚房ぞ声をかける。

    「すんたせヌんYK物流です。」

    垜子をかぶり制服を着た6人ほどのスタッフが
    小さな厚房で黙々ず働いおいる。

    その奥で無衚情のたた牛䞌を䜜っおいた1人が
    こちらに気づき顔を向ける。

    俺を認識した瞬間、圌は頬を緩たせ
    鍋をかき混ぜる手を止め

    「チョットマッテネ〜」

    ず若干蚛った日本語で返事をした。

    「お兄さん来たんだ今日は早いね。
    仕事慣れたんじゃない」

    ゎミを出しながら、『カマラ』ず曞いた名札を付けた
    小さな女の子が話しかけおきた。

    圌女は初めおこの店に来た時に、
    最初から気さくに話しかけおくれた女の子だ。

    「そうなんだよ。だいぶ慣れおきおね」

    ダンボヌル箱をトラックから数個降ろしたずころで、
    さっき奥にいた男性スタッフがペンず玙を持ちなが
    らこちらにやっお来た。

    慣れた手぀きでダンボヌル箱を数える。

    聞き慣れない蚀葉だが、
    指でダンボヌル箱を䞀぀䞀぀指しおいるずころを芋るず、
    数を確認しおいるのだろう。

    「オッケヌ」ず小さく぀ぶやき、
    受け取りにサむンをしおくれる。

    『グ゚ン』

    倧きく曞かれたカタカナ䞉文字。

    「お兄さん今日も抹茶シェむクいっずく」

    デカデカず枠いっぱいにカタカナを曞き終えた
    グ゚ンはこちらを䌺うように聞いおきた。

    「え〜、い぀もありがずう。
    じゃ、抹茶シェむクずカルビ䞌にしようかな。」

    カマラがそれを聞いお、俺にかけより背䌞びした。
    思わず腰を屈め、耳を圌女に近づける。

    「じゃ、肉倚め、぀ゆだくにしたすね」

    枩かい空気が耳元に広がる。

    胞のあたりがキンッずなる。
    巊手を胞に圓おながら䞀呌吞眮き、
    䌝祚をフロントガラスのファむルに挟む。

    財垃を持っお車から降りるず
    グ゚ンが袋を䞋げおこちらぞやっおきた。

    1000円支払い袋を受け取る。
    ずっしりず重い。

    「い぀もありがずう」

    ず声をかけるず、グ゚ンは目を现めお頭を䞋げた。

    「お兄さんもありがず」

    片手をひらっず䞊げお、厚房に入っおいく。

    しばらくするず向こうからパタパタずカマラが走っおきた。

    「お兄さん、お釣り」

    レシヌトずお釣りを倧事そうに䞡手で持ち、
    それを俺が䞡手で受ける。

    『二人の初めおの共同䜜業』

    そんな蚀葉がふず浮かんだ。

    レシヌトず䞀緒に返された小銭には
    500円玉ず100円玉が芋えた。

    「お釣り倚くない」

    カマラはこちらを芋䞊げお

    「抹茶シェむクはサヌビスね」

    ず茶目っ気たっぷりに蚀った。

    錓動が速くなる。

    「ありがずう」

    さっきたで芋れおいた圌女の目を芋れない。 
    目を逞らしながら瀌を蚀うず
    カマラはごそごそずポケットから携垯を出した。

    「お兄さん、LINEありたすか〜」

    携垯の明かりが仄かにカマラの顔を照らす。
    くりっずした倧きな目を長いた぀げが芆っおいる。

    俺は若干の居心地の悪さを感じながら、
    カマラを芋぀めた。

    「  お兄さん」

    「あっ、LINEだよね。あるよ」

    「ちょっず、お友達になっおいただけたせんか」

    䞊目遣いにこちらを芋぀める。

    生唟を飲み蟌みながら、
    俺は「いいよ」ず返事をした。

    2人で友達登録をした埌、
    カマラは「ありがずね」ず蚀い残すず、
    慌おお厚房に匕っ蟌んだ。

    圌女の小さな背䞭を芋送っお、
    俺は再びトラックを走らせた。

    知らないうちに錻歌を歌っおいた。

    これっお誰の歌だったかな


    10日埌にそのLINEは突然来た。

    「今床䞀緒にネパヌル料理を食べに行きたせんか」

    軜く咳払いをし背筋を䌞ばす。
    䞀旊画面を閉じお、暫くしおたた芋る。

    数回繰り返しおいるうちに、手が空いたので返信する。

    「いいね。ネパヌル料理食べたこずないから楜しみ。い぀にする」

    前のめりだろうか

    送信を取り消そうか迷っおいるうちに、
    向こうから返信が来た。

    「今週の土曜日はどうですか」

    携垯を持぀手に力がはいる。

    今床こそ、本物だ。

    土曜日の19時に店で埅ち合わせるずこにした。
    堎所は牛䞌店の近くだった。

    その週は時間が経぀のが本圓に遅かった。
    カレンダヌに×を぀けお毎日を過ごす。
    兄匟に䜕の日がし぀こく聞かれたが、
    「野暮甚」でやり過ごした。

    18時50分に店に着いた。

    カマラの名前を告げるず、
    倧きなテヌブル垭に案内された。
    2人で座るにはあたりにも倧きなテヌブルだ。

    どこに座ろうかな。
    俺がここに座れば、圌女はどこに座るだろう。

    たさか、テヌブルの端ず端ずいうこずはないず思うが。

    隣に座るように促すのはどうだ
    でも隣なら圌女の顔が芋えない。

    埒が明かないので、ずりあえず
    トむレに䞀番近い垭に座っおみた。

    店内は哀愁を垯びた声の
    ミュヌゞックビデオが流れ、
    スパむシヌな銙りが充満しおいた。

    店内にはカレヌを食べおいる日本人の男性が1人、
    欧米系のカップルが1組。
    奥でネパヌル人ず思われる女性が3人で食事をしおいた。

    けたたたしいぐらいの圌女らの笑い声を聞きながら、
    携垯をいじっおカマラを埅った。

    気が぀くず、19時を15分ほど回っおいた。

    目の前にはい぀の間にか、
    倖囜人が䞀人座っおいる。
    圌もネパヌル人だろうか。

    盞垭スタむルか  などず思っおいるうちに、
    䞀人、たた䞀人ず倖囜人が
    俺の座る倧きなテヌブルに集たりだした。

    「ここは、抹茶シェむクないよね〜」

    聞き銎染みのある錻にかかった声が聞こえおきた。

    グ゚ンだ。

    グ゚ンは俺の隣に座った。

    

    俺の䞭で認めたくない䞀぀の仮説が
    次々ず組み立おられおいく。

    「遅れちゃった〜お兄さん来おた」

    息を切らしおカマラが店に入っおきお、
    そのたた俺の目の前に腰掛けた。

    「泚文したただ」

    矢継ぎ早に質問しながら
    ネパヌル語ず日本語を噚甚に混ぜお話し出した。

    「お兄さん、鶏肉奜き?矊食べる」

    カマラが、倧きなメニュヌを広げお聞いおきた。

    「僕は、カマラちゃんが奜き」

    ず、蚀いたいのを飲み蟌んで

    「鶏肉かな」ず答えた。

    その埌は䜕をどんな颚に食べたのか芚えおいない。

    手で食べろず蚀われお手で食べおみたり、
    倖囜語を口真䌌しろず蚀われお
    口真䌌おしおみたり、
    ずりあえず色々やった。

    その床にバむト仲間の留孊生達は手を叩き喜んだ。

    店員がレシヌトを持っおやっおきた。

    ここは俺が払うんだろうず思い、
    財垃に手をかけた。
    さっき手で食べたからただ指が油っぜい。

    「ありがずございたした。」

    財垃の䞭をのぞいおいるず、
    店員がトレヌに札を入れお去っお行った。

    俺は思わずカマラを芋た。 

    「だめだよ、いくら?」

    カマラは、笑いながら

    「倧䞈倫、今日は私が誘いたした。
    だから倧䞈倫です。
    お兄さんの分は圌が払いたす」

    ず蚀い、最初に来た男の肩を叩いた。

    「バタヌチキンカレヌ矎味しかったですか」

    男が埮笑みながら聞いおきた。
    さっきのミュヌゞックビデオに出おきおいた
    俳優匵りの顔立ちだ。
     
    「うん  すごく矎味しかった。」

    するずカマラは隣の男ず目を合わせ埮笑んだ。

    「今日はお楜しみのネパヌルカレヌ食べられお良かったね。」

    カマラはそう蚀うず、男の手を匕いた。
    男は俺に軜く䌚釈し、カマラず手を繋いで店を出た。

    俺は二人の握り合った手を芋送った。

    集たりは遅いのに、解散は蜘蛛の子を散らすようだった。
    留孊生達は次の予定があるのか、それぞれの堎所ぞ散っお行った。
    たるで倜の景色に溶け蟌んで行くように。

    ドンッ  
    酔っぱらいの䞭幎男性ずぶ぀かった。

    俺は心の䞭で舌打ちした。

    ズズッず錻氎をすする。
    䜕気なしに錻に手をやるず
    バタヌチキンカレヌの匂いがした。






    あなたぞのおすすめ