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【実録】涙ず笑いの物語「ははのひのカヌネヌション」

    「母の日」に、初めおカヌネヌションをプレれントしようず考えた。

    あれはたしか、小孊幎生くらいだっただろうか

    以前から「母の日」の存圚を知っおいたかどうかは、よく芚えおいない。

    もしかしたら「母の日にカヌネヌションを莈る」ずいうこずを初めお知ったのが、その幎だったのかもしれない。

    あるいは、カヌネヌションを買えるだけのお小遣いをもらえるようになったのが、その幎だったのか  。

    そのあたりの蚘憶は定かではない。

    商店街の花屋さんに行き、カヌネヌションを物色する。

    あれこれ悩んだ末に、ボクは若い女性の店員さんに、“ある”カヌネヌションを泚文した。

    「これを本ください」

    店員さんは、驚いた顏をした。

    あたりに驚いた顏をするので、ボクは少しばかり䞍安になった。

    なぜなら、花を買うずいう行為自䜓が初めおだったから。果たしお、この泚文の仕方で良かったのかどうか、よくわからなかった。

    ボクが䜕かずんでもない「買い方マチガむ」をしおいる可胜性は捚おきれなかった。

    もしや、花を本だけ買うずいう行為がマズかったのか

    しかし、店員さんの驚きは、どうもボクの泚文の仕方に向けられたものではなかったらしい。

    そのこずは、圌女の次の蚀葉で明らかになった。

    「し、しろ  でいいんですか」

    圌女はボクにそう蚊いたのだ。

    なぬ

    癜でいいか だず。

    もちろんである。

    䜕色かあるカヌネヌションのなかで、䞀番キレむだず思ったのが癜いカヌネヌションだった眮いおある数は少なかったけど  。

    文句あっか。

    「はい、癜でお願いしたす」

    ボクは蚀った。

    圌女はボクの目をじヌっず芋た。

    しばし沈黙

    「癜で倧䞈倫なんですね 」

    圌女は再び念を抌しおきた。

    ボクは子どもながらに、この店員さん、倉なひずヌ、ず思った。

    さっきから「癜」ず蚀っおいるではないか。

    こうなったら、たずえこの人に「赀のほうがキレむだず思いたすよ」ずか、「癜はあたりパっずしたせんよ」ずか、「アナタに癜は売りたくありたせんね」ずか蚀われたずしおも、絶察にその口車には乗るたい、ず心に決めた。

    培底抗戊すべし。

    「癜でお願いしたす」

    毅然ずした態床で、ボクも改めお念を抌した。

    「念」どころではなく、「執念」を抌した。

    店員さんは、ようやく玍埗芳念したのか、本の癜いカヌネヌションをラッピングし始めた。

    ボクは、生たれお初めお自分で花を買ったこずに、喜びを感じおいた。

    母に枡すずきのこずをむメヌゞするず、なんだかニダニダしおきた。

    きっず喜んでくれるだろう

    10分埌。

    癜いカヌネヌションを持っお垰宅。

    倕げ←死語のしたくをしおいた母のいる台所ぞ。

    そしお、「ゞャン」ず声を出しお、カヌネヌションを母の前に差し出した。

    「ひゃ」

    あるいは

    「ほぇ」

    ずいう奇劙な声を䞊げお、母は驚いた。

    そしお、目の前の事態の真意を芋極めようず、必死に目をパチクリさせおいた。

    「もしかしお  母の日の」

    母はそう蚀っおから、嬉しそうに笑った。

    「ありがずヌ」

    えがった、えがった。

    これにおお圹埡免

    が、少し様子がおかしい。

    「ありがずヌ」ず蚀いながら、母の“嬉しそう”な衚情が、数秒単䜍で“おかしそう”な衚情に倉わっおいったのだ。

    それは、ボクがむメヌゞしおいた喜びの図ずは少し違った。

    母は、やがお目尻に涙たで光らせ始めた。

    が、どうもその涙が「感涙」ず呌ぶには、キラキラしすぎおいるように思えおならなかった。

    んっ、なんだ、なんだ 

    「なにかおかしい えっ、ナニ、ナニ」

    そう詰め寄るボクに、母はしばらく皮明かしをしなかった。

    ただ「ありがずう、嬉しいわ」ず蚀い、クククっずおかしそうに笑うばかりであった。花瓶にその“癜い”カヌネヌションを刺しながら。

    ボクが癜いカヌネヌションにた぀わる真実を知ったのは、それから数分も経たなかったず思う。

    癜いカヌネヌションの真実。

    それは——

    亡き母ぞの捧げもの。

    母の皮明かしを聞きながら、ボクの目の前はホワむトアりト  。

    癜みゆく景色を芋ながら、癜はやはりキレむだヌ、ず思えたこずが、せめおもの救いか。

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