
海で拾った翡翠についての仮説
親しくさせてもらっているブロガーのSさんが、「糸魚川海岸で翡翠(っぽい石)を拾った」という記事を上げていらっしゃいました。
そこから妄想を広げた創作です。
梢の上からリスたちが見ていた。
山道を男が下っていく。
顔半分をヒゲに覆われた、むくつけき山の男だ。
その数日後、同じ男が山を登ってきた。
右手に大事そうに何かを握りしめている。
男は時折、右手を開き、握りしめたものを眺めてる。
緑色に輝く色をした石であった。
石は欠けていて、断面は鋭い。
強く握りしめたのか、男の手には血が滲んでいた。
その数時間前。
岩場から、かもめが話し合う男女を見ていた。
女は、緑色に光る石を2つ取り出した。
もとは1つだった石が、2つに割れたもののようだ。
髭面の男は無言で1つを受け取ると、女に背を向けて歩き出した。
海岸に1人取り残された女は、しばらく泣いていた。
時は過ぎる。
いくつかの戦争があり飢饉があり家が建ちまた滅び、多くの人が産まれまた死んでいった。
今、1人の女性が、波打ち際で翡翠を拾った。
何百年前か何千年前か分からないが、あの時鋭かった断面は波に洗われ丸くなり、割れた形跡はどこにもない。
女性は翡翠を大事そうにハンカチに包み、持っていたリュックにしまった。
翡翠の片割れを、どこかの誰かが持っているかもしれませんね、Sさん😁