
ミュージアム見聞録Vol.31|県立ミュージアムズ連携企画 ミュージアムのミステリー@兵庫県立美術館
みなさん、こんにちは。
今回は兵庫県立美術館の「県立ミュージアムズ連携企画 ミュージアムのミステリー」という展覧会をご紹介いたします。

1.印象的だったところ
本展は、兵庫県立美術館・横尾忠則現代美術館・兵庫県立歴史博物館・兵庫県立人と自然の博物館・兵庫県立考古博物館・同加西分館 古代鏡展示館・兵庫陶芸美術館の県立ミュージアム7館が協働して、兵庫県立美術館を舞台に開催した合同展示です。
「ごあいさつ」の文章を読むに、ミュージアムに収蔵されている展示品(=“来館者”にとって未知のもの→「ミステリー」)に触れ、驚き、考え、話し、親しむことを通して、ミュージアムを身近に感じて欲しいという想いから企画が立ち上がったようです。
こういった、ミュージアムへの敷居を下げるための活動ってすごく大事ですよね。僕もミュージアムの中にいる人間ゆえ、いつも同様のことを考え、展示を担当するときはなるべく反映させるよう努めています。

実は僕は、「個性も収蔵品も違う7館が各々出陳したとなると、展示としてまとまらないんじゃないの?」という疑問を抱きつつ会場に足を踏み入れたのですが、そこはキュレーションの力で解決されていらっしゃいました。
具体的には、
神秘
不思議
謎
怪奇
のセクションを設定して、そこに7館の出陳品を分類しているようなイメージでした。だから、展示自体に「雑多」な、「ただ並べてあるだけ」の印象を受けないんです!すごすぎる。

さて、本展でのお気に入りの子達ですが、最初はこちらを紹介したいと思います。

東山魁夷
1989年
兵庫県立美術館 蔵
作品名を見て分かるように、本作の主題は白鳥ではなく、水面に映るゆらめく窓なんですね。
このゆらめきの表現が、オールド・マスターたちの描く静謐で均一なものでもなく、また印象派と今日でカテゴライズされている画家たちが使っていた筆触分割によるものでもない。
オールド・マスター(Old Master )
→18世紀以前に活動していたヨーロッパの優れた画家、または、その作品を
示す美術用語。
ありふれた景色を想起させる、確かなデッサン力に裏打ちされた、ゆらめきの描写に感嘆しました。近くで観ると窓であるとは到底思えないような線なんですよ…だけど少し離れると窓だと分かる…うーむ。
さて、お次の作品です。

大西伸明
2017年
兵庫県立美術館 蔵
一見すると脚立に見えますが、実はこちら、本物の脚立から型を取って制作された彫刻作品です。
脚の部分は透明になっていて今にも消えて無くなってしまいそうです。

本作は脚立としては機能しない、だけれども造形は脚立で確かにそこに物体としては存在している。機能と存在との間を横断する、まさに「不在の在」という命題を観覧者に投げかけてくるようです。
最後はこちら。

江戸時代後期(19世紀)
兵庫県立陶芸美術館 田中寛コレクション
香炉なのですが、獅子が不自然なほど上を向いています。
使用用途から察するに、煙が口から出てくるのだと思います。
それにしても、ここまで高く見上げた造形の獅子を見たことがなかったので、大変面白く、今でも印象に残っている作品です。
ちなみに、とってつけた感じで書き記すのが恐縮なのですが、お子さんにもわかりやすいようにキャプションや表示を工夫されている点も非常に勉強になりました。



3.次回もお楽しみに!
最近、行く先々の展覧会でお仕事中の知人に出会ったりします。
この業界は狭いな〜と思いつつある今日この頃です。
そういえば先日、コメントをいただきましたので近いうちに「学芸員の走り書き」シリーズでお返しできればなと思っております。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
▼前回の記事はこちら。もしお時間がありましたら合わせてご覧ください。