
ミュージアム見聞録Vol.26|東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展@東京都美術館
みなさん、こんにちは。
今回は東京都美術館で開催されている「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」を観覧しましたので、記憶がまだ新しいうちに感想をまとめようと思います。

1.印象的だったところ
本展は、20世紀のアメリカを駆け抜けた画家 アンドリュー・ワイエスの作品について、「境界」という観点からワイエスの描いた作品世界を捉えなおそうというものでした。
アンドリュー・ワイエスといえばアメリカ具象絵画の大家という印象が強いですが、今回は「境界」に着目するとのことで面白そうなテーマだなぁと思っていました。
ちなみに、「境界」は西洋美術の領域では古くから取り上げられてきたテーマです。屋内/屋外などの単なる物理的区分だけでなく、生/死、現実/虚構など、その語義の及ぶところは多岐にわたります。

1983年
テンペラ、パネル
ユニマットグループ所蔵
アンドリュー・ワイエスについて一番「へぇ」と思ったことは、幼少期から父よりデッサンなどの描画の基礎的な訓練を受けていたこと、そして、その父の「死」が彼の描く寂謬(せきびゅう)とした作品世界に影響を与えていると考えられていることです。
永遠に存在し続けるものはないという彼の考え方が、「窓」や「扉」、「陰影」、はたまた「屋内/屋外」という描き分けをとおして表現されていました。

1986年
水彩、紙
ヒィルブルック美術館所蔵
彼の流転的な考え方ってどことなく無常感に溢れているような気がするんですよね。
ワイエスは1939年に姉弟、クリスティーナ・オルソンとアルヴァロ・オルソン姉弟の暮らすオルソン家に訪問して以来、同家の様々な場面を描きます。

1967年12月に弟アルヴァロが、翌1968年1月に姉クリスティーナが相次いで亡くなります。
主を失い、廃墟のようになった家を翌年の夏に訪れたワイエスが描いたのが、《オルソン家の終焉》です。
撮影禁止エリアにあった作品ですので、本作を観てみたい方は以下リンクよりご覧ください↓
彼が約30年間にわたり制作の拠点とした「オルソン・ハウス」と、そこに暮らしたクリスティーナとアルヴァロの姉弟の死後を描いた追悼の作品です。

住む人を失い静まり返った煙突と屋根、そして画面の奥へ海に続く入江を俯瞰し、オルソン姉弟との永遠の別れと深い思慕を昇華させているように感じます。
ワイエスは本作を制作したのち、オルソン家を描くことは二度とありませんでした。
ワイエスにとっても、一つの時代の終わりを告げる重要な作品だったわけですが、彼の哀愁漂う作品や制作スタイルに多くの人が惹きつけられているのかもしれないですね。

1991年
ドライブラッシュ・水彩、紙
ユニマットグループ所蔵
3.次回もお楽しみに!
とある名誉教授の先生との対話の中でワイエスの名が挙がり「これは観なければならぬ!」と思い、観覧しましたが実に4時間も会場にいました笑
先生が仰られたことを反芻しつつ、何往復もしていた姿は会場スタッフの方の立場から見ると何とも奇妙だったかと思います😂
ではまた次の記事でお会いしましょう!
▼前回の記事はこちら。もしお時間がありましたら合わせてご覧ください。