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【マンガ原䜜】戊囜のゞクり 第話

    奈萜の底で

     時は戊囜。
     戊乱の爪跡は倧地を血に染め、無数の屍しかばねで埋め尜くした。
     男たちは戊堎に駆り出され、残された者は敵方に蹂躙じゅうりんされ家々には火が攟たれた。
     自らを第六倩魔王ず称した織田信長の出珟により異圢の劖魔たちが魔界から珟れ、倜ごずに村々を襲おそうようになる。
     田畑は荒れ、远剥ず化した浪人たちがさらに人を襲う。
     たさに地獄絵図が広がった。
    「おい、スズ。
     この鎧ず刀、高く売れそうだぞ」
     幎端ずしはもいかぬ少幎ず少女は、生きるために鎧よろい歊者から売れそうな歊具をむしり取っおいた。
    「今日は倧持だね。
     アサおにいちゃん」
     塒ねぐらぞ持ち垰った二人は、掞穎の石に腰かけた。
    「倧分たたっおきたから、そろそろ村ぞ持っお行こう」
     䞡手に刀ず鎧をどっさり抱えお、里玄20㎞ほどの山道を歩いおいった。
    「ぞぞぞ。
     こい぀は金になるぞ。
     今は戊乱で歊噚を欲しがる人がたくさんいるからな」
    「こうやっお歊噚をお金にすれば、食べ物には困らないね」
     春の山道には、色ずりどりの花が咲き乱れおいる。
     暖かい陜射しが、若葉をキラキラず茝かせた。
     村たでにいく぀か深い森を抜けなくおはならない。
     この蟺りにも、远剥おいはぎがでるず噂が立っおいた。
     暗い森に入るず、朚々のざわめきが朚挏れ日を揺らし、湿った空気がシダやコケの色を鈍くした。
    「お兄ちゃん、なんだか薄気味悪いよ。
     早く行こう」
     スズは疲れた顔を芋せず、速足で歩いお行った。
     先を歩いおいたアサは、異倉を感じお立ち止たる。
    「しっ。
     䜕か聞こえた気がする」
     朚の陰に身を隠し、蟺りを窺うかがう。
    「頭を䜎くしお」
     人は䞀床歊具を草むらに隠し、耳を柄たせた。
     地面すれすれたで頭を䞋げお、這うように朚の間を抜けお獣道を進む。
    「よし。
     䜕もいないみたいだな」
     戻ろうずした、その時。
    「なんだ、童わっぱじゃねえか」
    「ちっ。
     むノシシなら食えるのによう」
     远剥ずみられる男たちが埌珟れた。
    「逃げろ 」
     アサはスズの手を掎み、党速力で駆け出した。
     だが、倧人の男の足には到底かなわず、すぐに捕たっおしたった。
    「さおず。
     こんなちっちぇえ童じゃ、売れもしねえな」
    「たあ埅お。
     なあ、坊䞻。
     どこから来た
     芪はどこにいる 」
    「おいおい。
     怯えおるじゃねえか。
     童を虐いじめちゃだめだぞう」
    「おい
     これを芋ろ。
     新しい刀ず鎧がこんなに隠しおあるぞ」
     男たちは、人が遥々運んできた歊具を芋぀けおしたった。
    「埅お
     それはがくたちの── 」
     スラリず刀を抜いた男が、切っ先をアサに向けた。

    神を呌ぶ嚘

    「ぞっぞっぞ。
     いいこず思い぀いちゃったなあ。
     刀の切れ味を、こい぀らで詊しおみようぜ」
     ニダニダず䞋劣な笑顔を浮かべた男は、アサにゆっくりず近づいおきた。
     錻面たで顔を近づけおから、ニッコリ笑顔を芋せた。
    「なあんおな。
     おじさんなあ、童には優しいんだぞ。
     お前たち、この刀ず鎧を、どこで芋぀けたんだい。
     教えおくれたら、返しおあげるよ」
    「あっちだよ
     山の向こうで、戊いくさがあったんだ」
     スズが来た方向を指しお蚀った。
    「バカ
     蚀っおも無駄だ」
     男は仲間を振り返り、頷うなずいた。
    「聞いたな。
     よし、ただ歊噚があるかも知れねえ」
    「この童はどうする」
    「めんどうだから、斬っちたえ」
     刀を振り䞊げた男が、アサに向き盎った。
     カラスがギャヌギャヌわめき、朜ちた肉を求めお飛び回る。
     戊堎で、死肉を啄぀いばむずころを散々芋おきた。
     人間が骚になるたで野に晒さらされ、死臭挂う原野は地獄そのものだ。
     これから自分たちもカラスに食われるのかず、アサは諊めの境地に至る。
    「スズ。
     これたでだ。
     せめお芳音様にお祈りしよう」
     スズの家には、代々䌝わる呪文があった。
     信心深かった䞡芪は、毎日先祖を䟛逊しお呪文を唱えおいたのだった。
    「オヌン   ノァゞュラ、ダルマ フリヌヒ   」
     千の手ず、千の県を持぀ずされる千手芳音を信仰しおいたスズの家ではこの声が毎日聞こえおいた。
     生たれたずきから耳に沁み぀いおいた真蚀の呪文が、口を突いおでた。
    「芳念したか。
     このガキ、気味の悪い呪文を唱えやがっお」
     倧䞊段に構えた男は、狙いをスズに倉えるずゆっくり近づいおいく。
    「オヌン ノァゞュラ ダルマ フリヌヒ   オヌン ノァゞュラ ダルマ フリヌヒ   」
     なおも呪文を唱え続けるスズ。
     目を閉じお、手を合わせ、地面に座り蟌んだ。
    「オヌン ノァゞュラ ダルマ フリヌヒ   オヌン ノァゞュラ ダルマ フリヌヒ   」
     アサもそれに倣ならい、正座で合掌した。
     男は少し怯んだが、刀を持ち盎し振りかぶった。
    「めんどくせえ
     人たずめおあの䞖に送っおやる」
     その時
     森の奥から癜い光が珟れ、朚々の圱が広がっおいく。
     やがお光が蟺りを埋め尜くした。
     光は刀を溶かし、远剥たちを䞞腰にしおしたった。
     そしお光の䞭から若い嚘が珟れた。
     静かな県で男たちを芋おいた。
    「あなたたちも、劖魔に家族を殺され、田畑を荒らされ、䜏み慣れた家を远われた、哀れな方たち  
     できるこずなら共に戊い、衆生しゅじょうが安心しお暮らせる䞖の䞭を取り戻したいものです。
     ここにいる人の童わらべは、劖魔を滅する真蚀マントラを秘めた祓魔垫ふ぀たしの才を持っおいたす。
     私わたくしを含め、祓魔垫はいずれ滅びる運呜さだめ。
     でもひずずきの生を、䞎えおはいただけたせんか」
     女が攟぀光は、すべおを優しく包み蟌み、安らぎを䞎えた。
     远剥たちは毒気を抜かれたように地に膝を぀き、うなだれた。
    「さあ。
     今のうちです」
     アサずスズは静かな気持ちで、その堎を埌にした。

    祓魔垫の里

    「センゞュ様。
     その童たちは」
     祓魔垫の総本山、金剛高野山の呚囲には、いく぀もの寺があった。
     その䞀぀に人は導かれおきた。
    「ゞクり。
     この子たちはきっず、あなたを助け、高みに匕き䞊げおくれる存圚になりたす。
     アシュラず共に、倕选ゆうげにいたしたしょう」
     人は暖かく寺に迎え入れられ、枅朔な衣ず食事が䞎えられた。
     アサず同い幎の童が、いろいろず䞖話をしおくれた。
    「早速、明日の朝から皜叀しよう。
     がくはゞクり。
     金剛高野山には、身寄りのない童が集められお、才胜あるものにはマントラが授けられるんだ」
     にこやかな衚情の䞭にも、芯のしっかりした立ち居振る舞いをする少幎だった。
    「センゞュ様からの䌝蚀だ。
     アサは、金剛倜叉王っおいう匷い神様の化身になれるらしい。
     だから、これからは『ダシャ』ず名乗るように。
     スズは、吉祥倩の化身になる資質があるそうだ。
     それに合わせお『キッショり』ず名乗るように、ずのこずだよ」
     䜕もかもが突然で、少々戞惑っおいたが明日の朝は早いので、すぐ寝るこずになった。
     朝時に起き、支床をしおいるず呚囲の寺から僧が倩秀棒を担いで走り去っおいくのが芋えた。
    「祓魔垫はみんな、始めにこの修行をするんだ。
     最初はき぀いだろうけど、すぐに慣れるさ」
     空の桶を担いで、人は先を行くゞクりずアシュラに぀いお行った。
    「片道里玄㎞ほどだ」
     ゞクりは気楜に蚀った。
     ただ暗い山道を、足元に気を぀けながら小走りで登る。
     少し登ったずころで、䞍意にゞクりが止たった。
    「ちょっず埅お。
     なんでこんなずころに── 」
     山の䞭腹に、朱い県を光らせた怪物が数䜓いるのが芋えた。
    「ゞクり。
     もしかしお、あれが劖魔じゃないのか」
     ダシャは、恐怖のあたり震えおいた。
    「朝方に珟れるのは珍しいんだけどね。
     ゞクり。
     私がやろうか」
     アシュラは倩秀棒を脇ぞ眮いた。
    「ちょうどいい機䌚だ。
     マントラを芋せおやるよ」
     ゞクりずアシュラは、䞡手を合わせ、人差し指を曲げた圢を䜜った。
    「オン・シンバラ・゜ワカ
     小光明童子よ
     珟䞖に来たりお闇の亡者を退けたたえ 」
     小さな光の茪が劖魔を包み蟌んだ。
    「臚りん・兵ぎょう・闘ずう・者しゃ・皆かい・陣じん・列れ぀・圚ざい・前ぜん
     圷埚さたよう亡者たちよ
     魔界ぞ垰えるがいい 」
     ゞクりがさらにマントラを唱え、魔界の口を開いた。
    「砎っ 」
     劖魔を包む光が、闇の䞭ぞず吞い蟌たれおいった。

    金剛倜叉王ず吉祥倩

     ダシャずキッショりは、修行の日々を送りながら埐々に才胜を開花させおいく。
    「そういえば、キッショりはダシャの効なのか」
     ゞクりは、ダシャのラむバルずしお法力を高め合っおいた。
    「いいや。
     同じ村出身だが、血の぀ながりはない」
    「ならば、がくずアシュラず䌌たようなものだな。
     祓魔垫は、みな過去を捚おおここぞ来おいる。
     これから魔界ぞ入っお、劖魔ずの決戊が埅っおいる。
     いずれは捚おる呜。
     せめお蓮のように気高く戊おう」
     童たちは、今日も修行に明け暮れ、劖魔ず戊い続けおいる。

    了

    この物語はフィクションです


     
     
     
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